用語解説

ドルペッグ制とは|採用している国・地域やメリット・デメリットを解説


ドルペッグ制とは、自国通貨の価値を米ドルと連動させる制度のことです。

自国経済の安定化や発展を目的としています。

本記事では、ドルペッグ制の意味や、メリットなどについて詳しく解説します。

ドルペッグ制とは

ドルペッグ制の意味と採用している国や地域について解説します。

  • ・意味
  • ・採用している国や地域

意味

ドルペッグ制とは、外国為替の分野で使われる用語で、自国通貨の価値を米ドルに連動させることです。

対米ドルの為替レートはおおむね固定化される一方、その他の通貨とは固定されません。

ペッグ制にはいくつかの種類があり、各国は自国の実情に応じて使い分けています。

採用している国や地域

ドルペッグ制を採用している国は新興国が多く、OECD加盟国などは一部を除いて変動相場制を採用する傾向にあります。

2022年に発行されたIMFの報告書によると、ドルペッグ制を採用している国・地域の数は37で、全体の20%弱を占めます。

ドルペッグ制を採用する主な国・地域
  • ・香港
  • ・UAE
  • ・カタール
  • ・グレナダ
  • ・サウジアラビア
  • ・ドミニカ国
  • ・バーレーン

米ドル以外の通貨にペッグさせる例も珍しくありません。

IMFの報告書によると、ユーロとペッグさせている国の数は26です。

ペッグ制を採用する主な国・地域 ペッグ対象通貨
デンマーク ユーロ
シンガポール 通貨バスケット(複数の国の通貨)
ブルネイ シンガポールドル

IMF加盟国全体のうち、ペッグ制を採用している国の割合はおよそ60%です。

ドルペッグ制のメリット・デメリット

ドルペッグ制のメリットとデメリットを確認しましょう。

メリット

メリット
  • ・為替レートの安定と経済の発展
  • ・インフレの沈静化

ドルペッグ制を採用すると、自国通貨と米ドルの交換レートがおおむね固定化され、為替レート変動を心配する必要がなくなります

為替差損益を考慮しない貿易が可能で、経済発展に寄与します。

また、インフレ率が高い国がドルペッグ制を採用すると、インフレ率が沈静化すると期待できます。

デメリット

デメリット
  • ・自国の判断で自由に金融政策を実行できない

ドルペッグ制を採用すると、自国通貨と米ドルの交換レートを固定しなければならず、自由な金融政策を実行できなくなります

自国と米国の景気循環が同一の場合、この問題は大きくありません。

自国も米国も不景気ならば、米国の金融政策が自国にも好影響をもたらすと期待できます。

しかし、自国と米国の景気循環が逆になる場合には、問題が生じます。

自国が不景気になるとき、本来ならば経済を刺激する金融政策を実施すべきですが、自由に実行できません。

景気回復には、通常よりも長い時間が必要な可能性があります。

為替相場制度の例

為替相場は、大きく2つに区別できます。

為替相場制度の区分
  • ・固定相場制
  • ・変動相場制

固定相場制度と変動相場制度は、さらに細かく分類可能です。



固定相場制 解説
ドル化 自国内で米ドルが流通し、自国通貨を持ちません。

または、自国通貨と米ドルが対等に扱われます。

カレンシーボード制 自国通貨と特定の外貨の為替レートを固定化します。

これを実現するために、自国が保有する外貨の量を上限として、国内通貨を発行します。

従来のペッグ制 自国通貨と外貨の交換レートを固定化し、わずかな価格変動を容認します。
通貨バスケット制 複数の外国通貨のまとまり(通貨バスケット)に対して、自国通貨との交換レートを固定化します。
クローリング・ペッグ制 自国通貨と特定の外貨の交換レートを固定化しつつ、交換レートを随時見直します。
変動相場制 解説
管理変動相場制 通貨当局が積極的に外国為替制度に介入し、為替レートを誘導します。
自由変動相場制 為替レートは市場が決定します。

通貨当局による介入は限定的で、特定の為替レート実現でなく安定化のために介入します。

【まとめ】ドルペッグ制とは|採用している国や地域やメリット・デメリットを解説

ドルペッグ制とは、外国為替の分野で使われる用語で、自国通貨と米ドルの交換レートを固定化する制度です。

インフレを沈静化させ、経済を発展させる効果を期待できる一方、自国の自由な金融政策を阻害するデメリットがあります。

ペッグ制度は複数の分類が可能で、各国は自国の実情に沿うペッグ制を採用しています。


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