ISM製造業景況指数とは|内容・重要性・マーケットへの影響について解説
ISM製造業景況指数は、全米サプライマネジメント協会(ISM : Institute for Supply Management)が毎月発表する、製造業の景況感を示す経済指標です。
毎月第1営業日に発表されることから、米国の景気動向を表す先行指標として注目を集めます。
本記事では、ISM製造業景況指数の重要性や、マーケットへの影響などを詳しく解説します。
目次
- 1.ISM製造業景況指数とは
- 2.ISM製造業景況指数の重要性
- 3.ISM製造業景況指数のマーケットへの影響
- 4.ISM製造業景況指数に関するQ&A
- 5.【まとめ】ISM製造業景況指数とは|内容・重要性・マーケットへの影響について解説
ISM製造業景況指数とは
ISM製造業景況指数とは、全米サプライマネジメント協会(ISM : Institute for Supply Management)が毎月発表する、製造業の景況感を示す経済指標のことです。
ここでは、ISM製造業景況指数の内容と、公開日について解説します。
- ・ISM製造業景況指数の内容
- ・ISM製造業景況指数の公開日
ISM製造業景況指数の内容
ISM製造業景況指数は、米国製造業の購買担当者を対象にアンケート調査を行い、その集計結果を基に算出されます。
アンケートでは、新規受注、受注残、新規輸出受注、輸入、生産、入荷遅延比率、在庫、雇用、物価の9項目について、前月と比べて「良くなっている」「同じ」「悪くなっている」を意味する回答を受けます。
この内の、新規受注、生産、入荷遅延比率、在庫、雇用の5項目を使ってDI(景気動向指数)を算出し、0~100%までの数字で表されます。
一般的に、この指数が50%を上回ると景気拡大局面、下回ると景気後退局面と判断されます。
ISM製造業景況指数の公開日
ISM製造業景況指数は、毎月第1営業日に発表されます。
発表時間は、日本時間で24時です(米国がサマータイムの場合は、1時間前倒しで23時に発表)。
ISM製造業景況指数の重要性
経済指標には、景気に先行して動く「先行指標」と、遅れて動く「遅行指標」がありますが、ISM製造業景況指数は「先行指標」として重要視されています。
毎月のスケジュールで見ると、主要指標の中で最も早く(毎月第1営業日)発表されます。
製造業の景況感を表し、GDPのトレンドに先んじて変化すると考えられており、この観点からも注目されています。
また、第3営業日に発表されるISM非製造業(サービス業)景況指数と共に、米国経済の動向を測るための重要な経済指標と考えられています。
ISM製造業景況指数のマーケットへの影響
ISM製造業景況指数がマーケットへ与える影響は、主に以下の3つです。
- ・指数の数値と意味
- ・50を上回る場合と下回る場合の影響
- ・過去の市場の反応例
指数の数値と意味
ISM製造業景況指数は、製造業の購買担当者の景況感を基に算出しているため、製造業が拡大局面にあるのか、縮小局面にあるかを読み取ることができます。
前述の通り、50%を上回っていれば製造業の業績は順調(景気拡大局面)、下回っていれば製造業の業績が悪化しつつある(景気後退局面)と考えられます。
2024年11月 | 2024年10月 | 2024年9月 | 2024年8月 | 2024年7月 | 2024年6月 | |
指数 | 48.4% | 46.5% | 47.2% | 47.2% | 46.8% | 48.5% |
ただし、ISM製造業景況指数は変化の方向と大きさに焦点を当てた統計指標であり、絶対値の水準で表す統計とは異なることに注意が必要です。
指数の推移ではなく、コンスタントに50%を上回っているか、下回っているかを見ることが大切です。
50を上回る場合と下回る場合の影響
ISM製造業景況指数が50%を上回ると、市場は結果を好感し、米国経済の成長期待が高まります。
逆に50%を下回ると米国経済の景気後退の可能性が指摘され、市場には悲観的な見方が広がります。
経済の好調が見込まれるとドルが買われやすく、米国の株価が上昇する傾向があります。
一方で、市場が悲観的になるとドルが売られやすく、米国の株価が下落する傾向が強まります。
過去の市場の反応例
出典:TradingView
過去の例として、2023年12月1日24時に発表された11月ISM製造業景況指数が、市場予想47.6%に対して46.7%と下回った結果が分かると、ドル円は5分間で約50pips急落しました。
ISM製造業景況指数の結果が市場予想と乖離すると、外国為替市場に大きな影響を及ぼすことがあり、この指標はFX取引を行う際に非常に重要な要素の一つとなっています。
ISM製造業景況指数に関するQ&A
ISM製造業景況指数に関する、よくある質問に回答していきます。
- ・最新のISM製造業指数はどこで見られますか?
- ・製造業PMIとの違いは何ですか?
- ・ISM製造業景況指数が高いとどうなりますか?
- ・なぜ先行指標として注目されているのでしょうか?
最新のISM製造業指数はどこで見られますか?
ISM製造業景況指数は、「国別経済指標」のリンクより、ご覧いただけます。
また、ISM非製造業(サービス業)景況指数も、同じリンクでご覧いただけます。
製造業PMIとの違いは何ですか?
ISM製造業景況指数と製造業PMIは、集計機関や公表方法、アンケート項目が異なります。
ISM製造業景況指数は、全米サプライマネジメント協会(ISM : Institute for Supply Management)によって、前月と比較したアンケート結果を収集・公表します。
一方、製造業PMIは、調査会社であるS&P Global社によって、前月と比較したアンケートの結果が、速報値と改定値の2段階で公表されます。
ISM製造業景況指数が高いとどうなりますか?
ISM製造業景況指数が50%を上回っていれば、市場は結果を好感します。
製造業の業績が順調で景気拡大局面にあると考えられ、米国経済の成長への期待が高まります。
なぜ先行指標として注目されているのでしょうか?
ISM製造業景況指数は、景気の影響を受けやすい購買担当者に、前月と比較したアンケート調査を実施し、その結果を毎月第1営業日に公表します。
主要な経済指標に先駆けて、製造業の景況感を把握できることから、先行指標として重要視されます。
【まとめ】ISM製造業景況指数とは|内容・重要性・マーケットへの影響について解説
ISM製造業景況指数は、米国製造業の購買担当者を対象にした、新規受注、生産、在庫、雇用などに関するアンケートを集計し、指数化したものです。
指数は0~100%で表され、50%を上回る場合は景気が良好とみなされ、逆に下回る場合は景気が悪化していると判断されます。
毎月第1営業日に発表され、一般的に景気の先行指標として注目されることが多く、特に景気の転換点で重要視されています。
ISM製造業景況指数は、「国別経済指標」のリンクより、ご覧いただけます。
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