プロサイクリスト與那嶺恵理選手が語る「オリンピック延期、コロナウイルスとEUレースサーキットの今」
トレーダーの皆様、こんにちは!
OANDA JAPAN プロ契約ロードレーサーの與那嶺恵理です。
コロナウイルス、大変なことになってしまいました。
私が住むオランダ、ほぼLockdown時の状況です。
少しでもヨーロッパの現状が伝わるように、オアンダ通信ご一読ください。
それはストラーダ・ビアンカに向かう飛行機の搭乗5分前でした。
監督から「レースはキャンセルされた、自宅に戻ってくれ」
https://twitter.com/YonamineEri/status/1235528025917317121
呆然と駐車場に戻り、武井コーチの車でオランダの自宅に帰り、それから1ヶ月。
みなさんが御存知の通り、全てのレースがキャンセルされ、EUの国々はLockdown。
私が住むオランダのファルケンブルク、国境の町の現状をお伝えします。
※この記事は3月末時点のものです。
1 国境が締まる
私達はベルギー、ドイツの国境まで自転車で15分ほどの場所に私は住んでいます。
幸いにもオランダ国内は未だにLockdownにならず、外で練習が出来ていますが
普段素通りするベルギーの国境がバリケード、武装警官、軍隊によって通ることが出来ない状況となりました。
ベルギー側はかなり神経質になっておりほぼすべてのオランダ人の通行を出来ないようにしています。
よって、オランダがLockdownを発動しなくとも、周りの国が国境を閉じることで
人の移動を厳しく制限し、コロナの封じ込めを図っています。
今まで自由に往来をしていた場所が突然閉鎖される現状に、正直とても落ち込んでいます。
2 オランダフェデレーションのメッセージ
自転車大国のオランダ。国民の多くがママチャリ(一般車)もロードレーサーもMTBもE-bikeも楽しんでいます。
Lockdownに至らないように、フェデレーションからもコロナ対策のメッセージが発表されています。
https://www.knwu.nl/magazine/kan-ik-gezien-het-coronavirus-nog-buiten-fietsen
A 健康な身体での運動の推奨
B #ridesolo:一人で自転車乗り、1.5メートル離れます。
C 手鼻をかむな、たんを吐くな
D ハードワークアウトを制限する(体の免疫機能を落とさないため)
E ウイリーやジャンプなどの危険な操作には注意しろ。病院はすでにコロナウイルスでいっぱいです。
F 運動、睡眠、休養を含め、セルフケアの徹底
最後に、自転車は最高のスポーツです。自己責任を意識して末永く楽しみましょう!
これをフェデレーションからのメッセージで出せるオランダ。
自転車文化の深さを感じました。
3 チームの状況
大変な状況です。。。私の所属するワールドツアーチームのAlé BTC Ljubljanaは
メインスポンサーがジャージメーカーのAleそしてBTCショッピングモールの運営です。
ItaliaのLockdownに伴い、昨日よりAle本社の工場も一ヶ月ほどの休業を余儀なくされました。
https://www.facebook.com/eri.yonamine.5/posts/1823453784457288
そして私達の大切な仕事、レースを走り、露出をして稼ぐ。
このシステムが完全にダウンしております。
現状、レース再開の目処は立っていない状況です。
ライダー同士、Instagramやワッツアップで連絡を取り合いながら
現状の把握に努め、孤独にならないようにコンタクトを取り続けています。
4 大きく伸びたシーズン
ヨーロッパのLockdownに伴い、主要クラシックレースが全てキャンセルされたため、
通常は9月末で終わるレースシーズンですが、現在10月末まで延長するとUCIからアナウンスが出ています。
(11月中旬までずれ込むのではとの噂)
https://www.uci.org/inside-uci/press-releases/the-uci-and-its-partners-unite-to-face-the-consequences-of-the-coronavirus-for-road-cycling
私達、ワールドツアーレーサーの間でのうわさ話だと主要クラシックは10月になるのでは。とのこと。
東京オリンピックが延期された今、ツール・ド・フランスのりスケジュールに大きく左右されるようです。
早くコロナが収束し、レース活動が再開されることを毎日願っています。
5 帰国予定
6月中旬の全日本選手権に出場予定で一時帰国をする予定です。
オランダでの日常を優先しながらなのですが、現在私が住んでいるオランダからの帰国について、日本政府は14日間の隔離処置を発表しています。
「オランダ等の入国拒否対象地域(下記1参照)を出発し、日本に到着される方におかれましては、14日間の待機要請に加え、空港到着時にPCR検査を受ける必要がでてきます。」
https://www.nl.emb-japan.go.jp/itprtop_ja/index.html
そのため、一時帰国の際は事前にオランダの病院でコロナ陰性診断書の取得を目指す方向です。
無事に日本に入国し、広島までフライトが出来ますように。。。
6 東京オリンピックの延期
判断が遅すぎる。これを強く感じました。
JOCからも一切の連絡が無く、自分で状況把握に努めることは大きなストレスです。
日々悪化するコロナウイルスの状況を見れば、なぜ早めに決断を行い
選手に寄り添うことが出来ないのだろうか。率直に疑問です。
オランダの論調は「今夏の開催は絶対に無理」。
日本とヨーロッパ、北米との力関係もありますが、
「仕方がない」に尽きると思います。
最後に私達にできること
コロナウイルスとの戦いは、大人しくし、
他人と接触しない、これに尽きるようです。
スポーツが持つ共感、感動をレースを通じてみなさんに伝えられず、
当たり前にその場所に合った、社会インフラと公衆衛生が崩れた今、
レースが出来ない日常は、こんなにも息苦しい生活なのか。
と落ち込むことが多いです。
ハグ、ヴィスが大好きなEUの文化が崩れてしまう悲しさはありますが、ぐっと我慢のしどころ。
幸いにもオランダは野外活動への強い制限は無いので、ソロライドを楽しみながら
来たるべきレース再開に向け、のんびりとライドを続けます。
皆さん、元気に全日本選手権で会いましょう!
全てを力に変えて
OANDA JAPAN プロ契約アスリート
與那嶺 恵理
OANDA JAPAN プロ契約ロードレーサーの與那嶺恵理です。
コロナウイルス、大変なことになってしまいました。
私が住むオランダ、ほぼLockdown時の状況です。
少しでもヨーロッパの現状が伝わるように、オアンダ通信ご一読ください。
それはストラーダ・ビアンカに向かう飛行機の搭乗5分前でした。
監督から「レースはキャンセルされた、自宅に戻ってくれ」
https://twitter.com/YonamineEri/status/1235528025917317121
呆然と駐車場に戻り、武井コーチの車でオランダの自宅に帰り、それから1ヶ月。
みなさんが御存知の通り、全てのレースがキャンセルされ、EUの国々はLockdown。
私が住むオランダのファルケンブルク、国境の町の現状をお伝えします。
※この記事は3月末時点のものです。
1 国境が締まる
私達はベルギー、ドイツの国境まで自転車で15分ほどの場所に私は住んでいます。
幸いにもオランダ国内は未だにLockdownにならず、外で練習が出来ていますが
普段素通りするベルギーの国境がバリケード、武装警官、軍隊によって通ることが出来ない状況となりました。
ベルギー側はかなり神経質になっておりほぼすべてのオランダ人の通行を出来ないようにしています。
よって、オランダがLockdownを発動しなくとも、周りの国が国境を閉じることで
人の移動を厳しく制限し、コロナの封じ込めを図っています。
今まで自由に往来をしていた場所が突然閉鎖される現状に、正直とても落ち込んでいます。
2 オランダフェデレーションのメッセージ
自転車大国のオランダ。国民の多くがママチャリ(一般車)もロードレーサーもMTBもE-bikeも楽しんでいます。
Lockdownに至らないように、フェデレーションからもコロナ対策のメッセージが発表されています。
https://www.knwu.nl/magazine/kan-ik-gezien-het-coronavirus-nog-buiten-fietsen
A 健康な身体での運動の推奨
B #ridesolo:一人で自転車乗り、1.5メートル離れます。
C 手鼻をかむな、たんを吐くな
D ハードワークアウトを制限する(体の免疫機能を落とさないため)
E ウイリーやジャンプなどの危険な操作には注意しろ。病院はすでにコロナウイルスでいっぱいです。
F 運動、睡眠、休養を含め、セルフケアの徹底
最後に、自転車は最高のスポーツです。自己責任を意識して末永く楽しみましょう!
これをフェデレーションからのメッセージで出せるオランダ。
自転車文化の深さを感じました。
3 チームの状況
大変な状況です。。。私の所属するワールドツアーチームのAlé BTC Ljubljanaは
メインスポンサーがジャージメーカーのAleそしてBTCショッピングモールの運営です。
ItaliaのLockdownに伴い、昨日よりAle本社の工場も一ヶ月ほどの休業を余儀なくされました。
https://www.facebook.com/eri.yonamine.5/posts/1823453784457288
そして私達の大切な仕事、レースを走り、露出をして稼ぐ。
このシステムが完全にダウンしております。
現状、レース再開の目処は立っていない状況です。
ライダー同士、Instagramやワッツアップで連絡を取り合いながら
現状の把握に努め、孤独にならないようにコンタクトを取り続けています。
4 大きく伸びたシーズン
ヨーロッパのLockdownに伴い、主要クラシックレースが全てキャンセルされたため、
通常は9月末で終わるレースシーズンですが、現在10月末まで延長するとUCIからアナウンスが出ています。
(11月中旬までずれ込むのではとの噂)
https://www.uci.org/inside-uci/press-releases/the-uci-and-its-partners-unite-to-face-the-consequences-of-the-coronavirus-for-road-cycling
私達、ワールドツアーレーサーの間でのうわさ話だと主要クラシックは10月になるのでは。とのこと。
東京オリンピックが延期された今、ツール・ド・フランスのりスケジュールに大きく左右されるようです。
早くコロナが収束し、レース活動が再開されることを毎日願っています。
5 帰国予定
6月中旬の全日本選手権に出場予定で一時帰国をする予定です。
オランダでの日常を優先しながらなのですが、現在私が住んでいるオランダからの帰国について、日本政府は14日間の隔離処置を発表しています。
「オランダ等の入国拒否対象地域(下記1参照)を出発し、日本に到着される方におかれましては、14日間の待機要請に加え、空港到着時にPCR検査を受ける必要がでてきます。」
https://www.nl.emb-japan.go.jp/itprtop_ja/index.html
そのため、一時帰国の際は事前にオランダの病院でコロナ陰性診断書の取得を目指す方向です。
無事に日本に入国し、広島までフライトが出来ますように。。。
6 東京オリンピックの延期
判断が遅すぎる。これを強く感じました。
JOCからも一切の連絡が無く、自分で状況把握に努めることは大きなストレスです。
日々悪化するコロナウイルスの状況を見れば、なぜ早めに決断を行い
選手に寄り添うことが出来ないのだろうか。率直に疑問です。
オランダの論調は「今夏の開催は絶対に無理」。
日本とヨーロッパ、北米との力関係もありますが、
「仕方がない」に尽きると思います。
最後に私達にできること
コロナウイルスとの戦いは、大人しくし、
他人と接触しない、これに尽きるようです。
スポーツが持つ共感、感動をレースを通じてみなさんに伝えられず、
当たり前にその場所に合った、社会インフラと公衆衛生が崩れた今、
レースが出来ない日常は、こんなにも息苦しい生活なのか。
と落ち込むことが多いです。
ハグ、ヴィスが大好きなEUの文化が崩れてしまう悲しさはありますが、ぐっと我慢のしどころ。
幸いにもオランダは野外活動への強い制限は無いので、ソロライドを楽しみながら
来たるべきレース再開に向け、のんびりとライドを続けます。
皆さん、元気に全日本選手権で会いましょう!
全てを力に変えて
OANDA JAPAN プロ契約アスリート
與那嶺 恵理