本日の東京為替見通し(為替/FXニュース):円の買い戻しは短命で円安基調継続、イベント少なく値幅は限定的か(2024年5月20日)

マーケットレポート

May 20, 2024

【前日の為替概況】ドル円、続伸 FRB高官が米早期利下げに慎重な見方を示す

17日のニューヨーク外国為替市場でドル円は続伸。
終値は155.65円と前営業日NY終値(155.39円)と比べて26銭程度のドル高水準だった。
今週発表された4月米消費者物価指数(CPI)の結果を受けて米インフレが再加速するとの懸念が薄れる中、全般ドル売りが先行。
4月米景気先行指標総合指数が前月比0.6%低下と予想の0.3%低下を下回ったことも相場の重しとなり、0時過ぎに一時155.25円と日通し安値を更新した。

ただ、前日のNY時間高値からの下押しレベルでもあり、一目均衡表転換線が位置する155.17円がサポートとして働くと買い戻しが優勢に。
米早期利下げに慎重な見方を示す米連邦準備理事会(FRB)高官らの発言が相次ぐ中、米長期金利の上昇に伴う円売り・ドル買いも出た。

なお、ボウマンFRB理事はこの日、「インフレはしばらく高止まりするだろう」「今年はインフレに関してさらなる進展はまだ見られない」「金利変更には引き続き慎重、インフレ進展次第では利上げも辞さない」などと語った。

ユーロドルは小反発。
終値は1.0869ドルと前営業日NY終値(1.0867ドル)と比べて0.0002ドル程度のユーロ高水準だった。
20時過ぎに一時1.0836ドルと日通し安値を付けたものの、NY市場では買い戻しが優勢となった。
予想を下回る米経済指標を受けて全般ドル売りが活発化すると、0時過ぎに一時1.0878ドルと日通し高値を更新した。
主要通貨に対するドルの値動きを示すドルインデックスは一時104.39まで低下した。

なお、バスレ・スロベニア中銀総裁は「6月利下げは妥当だろう」「今年のGDP成長率は予想よりも良いようだ」などと述べた。

ユーロ円は続伸。
終値は169.17円と前営業日NY終値(168.87円)と比べて30銭程度のユーロ高水準。
ドル円の持ち直しやユーロドルの上昇につれた買いが入ると、3時過ぎに169.33円と本日高値を付けた。
イエレン米財務長官の発言で為替介入への警戒が後退する中、引き続き円売りが出やすい面もあった。

【本日の東京為替見通し】円の買い戻しは短命で円安基調継続、イベント少なく値幅は限定的か

本日のドル円相場は、引き続き円安地合いが継続されるだろうが、値幅は限られるか
今月に入り米国で注目された2つの注目経済指標は、ともに市場予想よりも弱い結果となった。
3日に発表された4月の米雇用統計の結果を受けて、同日にドル円は153円後半から151.86円まで約2円弱含んだ。
また、先週15日に発表された4月の米消費者物価指数(CPI)後には156円半ばから翌日には153.60円まで下落した。
しかし、この下落トレンドは1日程度しか持たず、翌営業日は再びドル円は買い戻されている。
米経済指標悪化による米金利低下にもかかわらず、ドル円の下押しが限られたことは、ドル円の底堅さが改めて示されたと言えそうだ。

ドル円の底堅さは、ドル買いと円売り要因が重なっていることだ。
ドル買い要因としては、雇用統計とCPIという注目指標がいずれも弱い結果だったものの、4月卸売物価指数(PPI)は予想比を上振れ、今後のインフレを予想するミシガン大学やニューヨーク連銀が公表した期待インフレはいずれも上昇していることで、今後米国のインフレが低下をすることには確信が持たれていない。
これらの経済指標の結果後に行われた米連邦準備理事会(FRB)要人の講演内容でも、インフレがこのまま落ち着くという楽観視した発言はなく、それぞれ下記のように述べている。

・ウィリアムズ米ニューヨーク連銀総裁「当面利下げの必要性はない」
・グールズビー米シカゴ連銀総裁「満足を得るには良好なインフレデータが数カ月続く必要がある」
・バーキン米リッチモンド連銀総裁「我々は正しい道を進んでいるものの、もう少し時間がかかりそうだ」
・メスター米クリーブランド連銀総裁「インフレ率が2%に向かうという確信を得るにはさらに時間がかかるだろう」
・ボウマンFRB理事「インフレはしばらく高止まりし、金利変更には引き続き慎重。インフレ進展次第では利上げも辞さない」

シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)グループがFF金利先物の動向に基づき算出する「フェドウオッチ」では、先週末時点では9月FOMCまでの利下げ予想が約64%になり、米国の利下げを予想する声は多い。
しかし、市場は常に先取りをしようと動くものであることで、今後も確実にインフレが低下傾向にたどっていることが証明されるまでは、予断を許さず、早期の利下げ期待でドルを売り込むのは時期尚早だろう。

一方、円安要因としては、ここ最近の本邦の経済指標がさえないものばかり出てきていることだ。
先々週発表された3月の毎月勤労統計の現金給与総額は、予想を下回る僅か0.6%となり、物価変動を加味した実質賃金も過去最長の24カ月連続のマイナスだった。
更に先週発表された1-3月期の実質国内総生産(GDP)は、予想を下振れ-2.0%となり、GDPの過半数以上を占める個人消費に至っては、4四半期連続のマイナスとなった。
市場では13日に日銀が長期国債の買い入れ削減したことで、再び買い入れ額を削減することもあり得るとの声もある。

しかしながら、断続的に金利を引き上げた場合は、短期プライムレートも引き上げられ、その余波で住宅ローン等も上昇し、更に消費が低迷することになるのは明白である。
このような状況下で金利引き上げの継続性は難しいだろう。
また、仮に円安を阻止するために利上げを繰り返した場合は、住宅ローンだけではなくコロナ以後は中小企業を中心に有利子負債依存度が高まっていることで、経済で様々なマイナス面が浮き彫りになり、本邦の更なるファンダメンタルズの悪化を引き起こし、別の意味での円安相場にもなりかねない。

なお、本日はアジア時間では中国から最優遇貸出金利(LPR、ローンプライムレート)が発表されることと、3月の本邦第三次産業活動指数以外の経済指標の発表が予定されていない。
また、欧米時間も市場を動意づけるような経済指標の発表予定がない。
よって、円安地合いは変わらないと思われるが値幅は限られることが予想される。

【本日の重要指標】 ※時刻表示は日本時間

<国内>
○13:30 ◇ 3月第三次産業活動指数(予想:前月比▲0.1%)

<海外>
○21:45 ◎ ボスティック米アトランタ連銀総裁、あいさつ
○22:00 ◎ バー米連邦準備理事会(FRB)副議長、あいさつ
○22:00 ◎ ウォラー米連邦準備理事会(FRB)理事、あいさつ
○23:30 ◎ ジェファーソンFRB副議長、講演
○21日03:00 ◎ メスター米クリーブランド連銀総裁、メディア出演
○スイス、ノルウェー(聖霊降臨祭月曜日)、カナダ(ビクトリア・デー)、休場

※「予想」は特に記載のない限り市場予想平均を表す。▲はマイナス。
※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。
※指標などの発表予定・時刻は予告なく変更になる場合がありますので、ご了承ください。

>本日発表予定のその他の経済指標についてはこちら

【前日までの要人発言】

17日09:09 植田日銀総裁
「保有ETFの処分は時価をベースにすることになっている」
「保有ETFの処分、すぐに行うとは考えていない」
「保有ETFの取り扱い、少し時間かけて検討する必要がある」

17日11:39 シュナーベル欧州中央銀行(ECB)専務理事
「6月の利下げは適切かもしれない」
「6月以降の道筋はより不確実」

17日16:28 デギンドス欧州中央銀行(ECB)副総裁
「インフレ率は、2025年にインフレ目標の2%に向けて低下する見通し」

17日17:00 テデーン・スウェーデン中銀(リクスバンク)総裁
「6月の利下げは金利の道筋に沿っていない」
「最近のデータは金利引き下げの見通しを変えるものではない」

17日17:13 陶玲・中国人民銀行(PBOC)副総裁
「公共住宅のための3000億元の再貸付けスキームを設立」

18日02:31 バスレ・スロベニア中銀総裁
「6月利下げは妥当だろう」
「今年のGDP成長率は予想よりも良いようだ」

18日02:34 ボウマン米連邦準備理事会(FRB)理事
「政策が十分に制限的かどうかを評価するため、データを監視」
「政策金利の維持でインフレはさらに低下する見通しだが、リスクはある」
「金利変更には引き続き慎重、インフレ進展次第では利上げも辞さない」
「インフレはしばらく高止まりするだろう」
「今年はインフレに関してさらなる進展はまだ見られない」

※時間は日本時間

>本日の要人発言をリアルタイムで確認するならこちら

〔日足一目均衡表分析〕

<ドル円=基準線・転換線に挟まれたレンジで戻り鈍いか>

ドル円0520

パラメータ0520

小陽線引け。
一目均衡表・転換線155.17円と、同・基準線156.02円に挟まれたレンジにとどまる限定的な動きだった。

基準線が重しとなるほか、目先的な下支えが期待される転換線も低下が見込まれており、戻りの鈍い展開が想定できる。
長い下ひげをともない下げ渋った16日の安値153.60円までの範囲で反発のポイントを探るとみる。

レジスタンス1 156.36(ピボット・レジスタンス2)
前日終値 155.65
サポート1 155.07(5/16-17上昇幅の38.2%押し)
サポート2 154.51(5/16-17上昇幅の61.8%押し)

>ドル円のリアルタイムチャートはこちら

<ユーロドル=下値に転換線のサポート控える状態>

ユーロドル0520

パラメータ0520

下影極小陽線引け。
先週は15日以降、1.08ドル台にとどまる限られたレンジで推移した。
次に動き出す方向性を探る状態だが、本日1.0861ドル前後で上昇する5日移動平均線前後の底堅さが期待できるほか、上昇が予想される一目均衡表・転換線が支えとなりそう。
1.09ドル台回復をうかがう展開といえる。

レジスタンス1 1.0903(ピボット・レジスタンス2)
前日終値 1.0869
サポート1 1.0810(日足一目均衡表・転換線)

>ユーロドルのリアルタイムチャートはこちら

<ユーロ円=上昇傾向の転換線基準線は上向きの流れ示唆>

ユーロ円0520

パラメータ0520

陽線引け。
169円付近を中心としたレンジで動きにくい状態だった。
16日に一時167.33円へ下振れた場面などから不安定な状態もうかがえる。
上昇傾向の転換線167.79円や同・基準線167.14円は上向きの流れを示唆。
不安定に振れるリスクを念頭に置きつつも、上値を試す展開が期待できる。

レジスタンス1 169.64(ピボット・レジスタンス2)
前日終値 169.17
サポート1 168.33(5/16-17上昇幅の半値押し)

>ユーロ円のリアルタイムチャートはこちら

<豪ドル円=5日線の上昇ともなう底堅い動き>

豪ドル円0520

パラメータ0520

陽線引け。
本日103.89円前後へ切り上がって推移する5日移動平均線の上昇をともなう底堅い動きが続いている。
4月29日につけた年初来高値104.94円を狙うじり高の流れ。
他のいくつかの円絡みの通貨ペアのように、上昇が見込まれる一目均衡表・転換線ほか、基準線の状態が上値を追う展開を示唆している。

レジスタンス1 104.94(4/29高値=年初来高値)
前日終値 104.20
サポート1 103.63(5/17安値)

>豪ドル円のリアルタイムチャートはこちら

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