東京為替見通し=ドル円は値動き限定か、短期・中長期の米経済の先行き相違で不安定に

市場見通し
 海外市場でドル円は、欧州通貨やオセアニア通貨に対してドル売りが進むと、円に対してもドル売りが出て一時133.86円まで弱含んだ。米10年債利回りが3.54%台まで低下したことも相場の重し。ユーロドルは一時1.0983ドルまで上昇した。

 本日のドル円は、値動きが限定されそうだ。先週は米国から注目される経済指標発表など、複数のイベントがあったことで、為替相場は大きな値動きを伴ったが、今週はこれまではイベントが少なく、レンジ内での取引となっている。もっとも、本日は米地区連銀経済報告(ベージュブック)が公表され、本邦からも21日には3月の全国消費者物価指数(CPI)が発表されることもあり、徐々に市場も盛り上がってくることになりそうだ。

 為替市場が方向感なく動いている要因としては、米経済の先行きについて短期的にはインフレ警戒感があるものの、中長期的には景気低迷の予想が主になっていることがあげられる。
 昨日も米金融大手バンク・オブ・アメリカ(BOA)のモイニハンCEOは「顧客はより多くの支出をしており、それが米国の雇用を支えている」と述べ、予想よりも消費支出の流れが拡大していることを指摘した。その一方で「今年後半に緩やかな景気後退を見込んでいる」との見解は変えていない。これは、CMEグループがFF金利先物の動向に基づき算出する「フェドウォッチ」でも同様で、5月の25ベーシスポイント(bp)利上げ(FF金利誘導目標レンジを5.00‐5.25%へ引き上げ)は8割を超えているが、12月には更なる利上げと見込んでいる予想は1%にも満たず、90%以上が利下げ予想となっている。
 米金融大手JPモルガンのダイモンCEOが「金融危機で市場に多くの動揺が引き起こされ、銀行やその他の貸し手が一段と保守的になる」と指摘しているように、金融大手のCEOが揃って今後の景気に不安を抱えている。目先の米経済指標が強含んでいても、年後半への不安をぬぐえないことがドルの重しになりそうだ。

 本日のアジア市場は、本邦の2月鉱工業生産確報と設備稼働率などが発表されるが、他のアジア諸国やオセアニア国からは、主だった経済指標の発表は予定されていない。しかしながら、欧州は入り際すぐに英国から3月の消費者物価指数(CPI)が発表されることで、昨日同様に欧州参入後はポンドが市場のトレンドを作る可能性もありそうだ。
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