【本日の東京為替見通し】植田総裁のデビュー戦、日銀結果公表まではリスクオンを意識
【前日の為替概況】ドル円、3日ぶり反発 米インフレ指標が予想を上回る
27日のニューヨーク外国為替市場でドル円は3営業日ぶりに反発。
終値は133.97円と前営業日NY終値(133.67円)と比べて30銭程度のドル高水準だった。
米商務省が発表した1-3月期米国内総生産(GDP)速報値が前期比年率1.1%増と予想の2.0%増を下回ったことが分かると一時133.24円と日通し安値を付けたものの、ドル売りでの反応は一時的だった。
米連邦準備理事会(FRB)が物価の目安として注目するコアPCEが前期比年率4.9%上昇と予想の4.7%上昇を上回ったこともあり、そのあとは米長期金利の上昇とともにドル買いが優勢に。
22時30分過ぎには134.20円と日通し高値を更新した。
ただ、その後発表の3月米住宅販売保留指数(仮契約住宅販売指数)が前月比5.2%低下と予想の0.5%上昇に反して低下したことが伝わるとドル買いの勢いは後退。
一目均衡表転換線が位置する134.08円を超えた水準では戻り売りなども出やすく、3時前には133.82円付近まで下押しした。
市場では「明日の日銀金融政策決定会合の結果公表を前に、大きな方向感は出なかった」との声が聞かれた。
ユーロドルは小反落。
終値は1.1028ドルと前営業日NY終値(1.1041ドル)と比べて0.0013ドル程度のユーロ安水準だった。
前日に約1年1カ月ぶりの高値を付けたあとだけに利食い売りなどが出やすかったうえ、米インフレ指標の上振れでドル買いが進むと一時1.0992ドルと日通し安値を付けた。
ただ、前日の安値1.0968ドルがサポートとして働くと下げ渋った。
米住宅指標が低調だったことも相場を下支えした。
NY午後に入ると、徐々に値動きが鈍り1.1000ドルを挟んだもみ合いに終始した。
市場では「明日28日のNYカット(日本時間23時)に行使期限を迎えるまとまった規模のオプションが1.1000ドルに観測されており、同水準を睨んだレンジ取引に収れんしやすい」との指摘もあった。
ユーロ円は小幅ながら続伸。終値は147.71円と前営業日NY終値(147.60円)と比べて11銭程度のユーロ高水準。
21時過ぎに一時147.15円と日通し安値を付けたものの、売り一巡後は買い戻しが優勢に。
23時30分過ぎには147.76円付近まで持ち直した。
ドル円とユーロドルの値動きの影響を同時に受けたため、相場は方向感が出なかった。
【本日の東京為替見通し】植田総裁のデビュー戦、日銀結果公表まではリスクオンを意識
本日の東京為替市場では、ニューヨーク市場の流れを引き継ぎリスクオン地合いが予想されるなか、通常は昼頃に公表される日銀金融政策決定会合の結果を見極めることになる。
また月末、ゴールデンウィーク前の実質ゴトー日(5・10日)ということもあり、本邦実需勢の動向にも振らされそうだ。
米株市場は昨日、主要企業の四半期決算を好感し大幅に上昇して終えており、アジア株への波及が期待される。
昨日の1-3月期米GDPは減速予想のところを更に下振れたものの、こちらは過去の数値として捉えられた形だ。
リスクセンチメントの改善を背景に、足もとではクロス円を中心に底堅い展開となるか。
当然ながら、植田日銀総裁のデビュー戦となる日銀会合の結果は重要。
植田総裁は再三、これまで黒田・前総裁のもとで進めてきた超金融緩和を継続すると述べきており、目先の政策はサプライズなしが基本的な見方でよいだろう。
一方、昨日の1-3月期米コアPCEの上振れで今晩発表の3月PCEデフレーターに対する上向きリスクが意識され、足もとで米金利は上昇に転じた。
そうなると、日米金利差を意識したフローでドル円の下値は限定的となるか。
一部報道によれば、日銀会合では物価見通しの引き上げを議論しているもよう。
先週末に発表された3月全国インフレ率が上昇基調を強めており、見通し修正は驚きではない。
ただ、植田総裁は年末にかけて物価は低下するとの見解を示しているため、前回1月に1.6%とした2023年度消費者物価指数(CPI)見通しの上げ幅は小幅に留まる可能性はある。
注目の1つは、日銀が政策金利と同時に発表する経済・物価情勢の展望。
今回は25年度分が初めて示され、CPIについては1%台後半という見方が多い。
また15時30分からの日銀総裁の定例記者会見では、植田・新総裁がどの程度まで独自色を出してくるのかも注目だ。
イールドカーブ・コントロール(長短金利操作、YCC)の正常化、出口戦略についての質問が多くなると思われ、総裁が今後の政策変更の基本的な考え方をどのように示すか注視される。
どの文言に投機筋が反応するか、まずは発言と相場の動きを見比べることになりそうだ。
【本日の重要指標】 ※時刻表示は日本時間
<国内>
○08:30 ◎ 4月東京都区部消費者物価指数(CPI、生鮮食料品除く総合予想:前年比3.2%)
○08:30 ◎ 3月完全失業率(予想:2.5%)
○08:30 ◎ 3月有効求人倍率率(予想:1.34倍)
○08:50 ◎ 3月鉱工業生産速報(予想:前月比0.5%/前年比▲1.2%)
○08:50 ◇ 3月商業販売統計速報(小売業販売額、予想:前年比5.8%)
○未定 ☆ 日銀金融政策決定会合(終了後、決定内容発表、予想:当座預金金利▲0.10%で据え置き)
○未定 ◎ 経済・物価情勢の展望(4月、基本的見解)
○14:00 ◇ 3月新設住宅着工戸数(予想:前年比▲4.3%)
○15:30 ☆ 植田和男日銀総裁、定例記者会見
○19:00 ◇ 外国為替平衡操作の実施状況(介入実績)
<海外>
○10:30 ◎ 1-3月期豪卸売物価指数(PPI)
○14:30 ◎ 1-3月期仏国内総生産(GDP)速報値(予想:前期比0.2%)
○14:30 ◇ 3月仏消費支出(予想:前月比0.3%)
○15:00 ◇ 3月独輸入物価指数(予想:前月比▲0.9%/前年比▲3.6%)
○15:30 ◇ 3月スイス小売売上高
○15:45 ◇ 4月仏消費者物価指数(CPI)速報値(予想:前月比0.4%/前年比5.7%)
○15:45 ◇ 3月仏卸売物価指数(PPI)
○16:00 ◇ 4月スイスKOF景気先行指数(予想:98.1)
○16:00 ◇ 3月トルコ貿易収支(予想:86.0億ドルの赤字)
○16:55 ◎ 4月独雇用統計(予想:失業率5.6%/失業者数変化1.00万人)
○17:00 ☆ 1-3月期独国内総生産(GDP)速報値(季節調整済、予想:前期比0.2%/前年同期比0.3%)
○17:00 ☆ 1-3月期独GDP速報値(季節調整前、予想:前年同期比0.8%)
○18:00 ☆ 1-3月期ユーロ圏GDP速報値(予想:前期比0.2%/前年比1.4%)
○18:45 ◎ ラガルド欧州中央銀行(ECB)総裁、 ユーロ圏財務相会合で発言
○19:30 ◎ ロシア中銀、政策金利発表(予想:7.50%で据え置き)
○21:00 ◎ 4月独消費者物価指数(CPI)速報値(予想:前月比0.6%/前年比7.3%)
○21:00 ◎ 3月南アフリカ貿易収支(予想:250億ランドの黒字)
○21:00 ◎ 1-3月期メキシコGDP速報値(予想:前期比0.8%/前年比3.3%)
○21:30 ☆ 2月カナダGDP(予想:前月比0.2%/前年比2.6%)
○21:30 ☆ 1-3月期米雇用コスト指数(予想:前期比1.1%)
○21:30 ◎ 3月米個人消費支出(PCE、予想:前月比▲0.1%)
◎ 3月米個人所得(予想:前月比0.2%)
☆ 3月米PCEデフレーター(予想:前年比4.1%)
☆ 3月米PCEコアデフレーター(予想:前月比0.3%/前年比4.5%)
○22:45 ◎ 4月米シカゴ購買部協会景気指数(予想:43.5)
○23:00 ◎ 4月米消費者態度指数(ミシガン大調べ、確報値、予想:63.5)
○ユーロ圏財務相会合(ストックホルム)
※「予想」は特に記載のない限り市場予想平均を表す。▲はマイナス。
※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。
※指標などの発表予定・時刻は予告なく変更になる場合がありますので、ご了承ください。
【前日までの要人発言】
27日20:09 トルコ中銀声明
「現在の政策金利は適切」
「地震の影響を注視している」
「地震の地域は予想よりも早く回復している」
※時間は日本時間
〔日足一目均衡表分析〕
<ドル円=転換線や雲にらみ調整色を強める可能性も>
小陽線引け。
133円台で低下中の一目均衡表・雲上限の動きに追随するように133.24円まで下値を探る動きが先行した。
その後は反発して一時134.20円と、一目・転換線134.08円を回復する場面もあった。
しかし伸び悩み、134円台に定着できずにNYを引けている。
底堅いながら、雲上限の低下や頭打ちが見込まれる転換線も示唆するような上値の重い動き。
次第に調整色を強め、現在132.39円に位置している一目・基準線をやがて試す展開になるかもしれない。
レジスタンス1:134.73(4/24高値)
前日終値:133.97
サポート1:133.24(4/27安値)
サポート2:132.39(日足一目均衡表・基準線)
<ユーロドル=転換線を多少割り込んでも21日線などが支え>
小陰線引け。
高値圏でやや調整気味となり、1.0992ドルまで一時低下した。
しかし、1.1ドル台を回復して、一目均衡表・転換線を上回ってNYを引けている。
上昇傾向の転換線付近での底堅さを維持している。
本日1.1006ドルへ小幅に切り上がる転換線を割り込むような不安定は動きを見せる場面もあるかもしれない。
しかし、1.09ドル半ばで推移する21日移動平均線などもサポートになり、上向の流れを維持するとみる。
レジスタンス1:1.1095(4/26高値=年初来高値)
前日終値:1.1028
サポート1:1.0959(21日移動平均線)
<ユーロ円=転換線付近の底堅さ維持>
下影小陽線引け。
一目均衡表・転換線を下回る場面を挟みながらも回復する底堅さを示している。
転換線は147.46円での横ばいから一時的に下押す可能性はあるものの、やがて切り上がることが見込まれる。
同線の動向が示唆する底堅い相場推移の継続が想定できる。
レジスタンス1:148.62(4/25高値=年初来高値)
前日終値:147.71
サポート1:147.15(4/27安値)
<豪ドル円=雲付近で動き重くなりそう>
下影陽線引け。
一目均衡表・基準線88.42円を割り込んだ水準から戻す動きとなり、一時88.86円まで上昇した。
上昇傾向の基準線付近の底堅さは維持するとみるが、ここからは88.83円へ低下した一目・雲の下限前後での重い動きが想定される。
雲の中で上値を試す動きとなっても、緩やかな低下が見込まれる一目・転換線が上伸を阻むだろう。
レジスタンス1:89.33(日足一目均衡表・転換線)
前日終値:88.86
サポート1:88.42(日足一目均衡表・基準線)
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