【本日の東京為替見通し】ドル円は底堅さ維持も、16日の米債務上限協議控え動きにくいか
【前日の為替概況】ドル円、3日続伸 米利上げ停止観測が後退するなか米長期金利上昇
15日のニューヨーク外国為替市場でドル円は3日続伸。
終値は136.12円と前営業日NY終値(135.70円)と比べて42銭程度のドル高水準だった。
5月米ニューヨーク連銀製造業景気指数が▲31.8と予想の▲2.5を大幅に下回ったことを受けて円買い・ドル売りが先行。21時30分過ぎに一時135.71円付近まで値を下げた。
ただ、週明け早朝取引で付けた日通し安値135.59円が目先サポートとして働くと買い戻しが優勢に。
米利上げ停止観測が後退する中、米長期金利の上昇に伴う円売り・ドル買いが出ると136.20円付近まで持ち直した。
もっとも、NY中盤以降は136円台前半で値動きが鈍った。
米債務上限問題の行方や明日公表される米小売指標の結果を見極めたいとの思惑から、積極的な売買は手控えられた。
なお、バイデン米大統領は連邦政府の借入限度額である「債務上限」の引き上げを巡り、議会指導部と明日16日に改めて会談するとの見通しを示した。
ユーロドルは3営業日ぶりに反発。終値は1.0874ドルと前営業日NY終値(1.0849ドル)と比べて0.0025ドル程度のユーロ高水準だった。
米経済指標の下振れをきっかけにユーロ買い・ドル売りが先行すると、21時30分過ぎに一時1.0891ドルと日通し高値を付けたものの、米長期金利の上昇に伴うユーロ売り・ドル買いが出ると1.0864ドル付近まで押し戻された。
ただ、そのあとはドル円と同様に米債務上限問題の行方を見極めたいとの思惑から、積極的な売買は手控えられた。
ユーロ円は続伸。終値は148.01円と前営業日NY終値(147.24円)と比べて77銭程度のユーロ高水準。
ただ、NY市場に限れば大きな方向感は出なかった。
21時30分前に148.18円と日通し高値を付けたものの、すぐに失速。21時30分過ぎには147.62円付近まで下押しした。
そのあとは148.00円を挟んだもみ合いに終始した。
【本日の東京為替見通し】ドル円は底堅さ維持も、16日の米債務上限協議控え動きにくいか
本日のドル円は堅調地合いを維持できるだろうが、大きくレンジを広げるのは難しそうだ。
先週発表された米国の4月消費者物価指数(CPI)、卸売物価指数(PPI)、そして昨日発表された5月NY連銀製造業景気指数など、米国の弱い経済指標でドル売りに市場は反応したものの、下げ幅が徐々に限られてきている。
市場のドル買い意欲が依然として根強いこともあり、当面は大きくドルが崩れるには時間を要し、底堅さは維持できるのではないかと思われる。
もっとも、東京市場で値動きが限られるのは、本日16日にバイデン米大統領とマッカーシー下院議長(共和党)を中心に、議会指導部が債務上限引き上げ問題について会談を開くことで、この結果を見極めるまでは動きにくいことだ。
この問題についての解決の糸口が見えない場合は、バイデン米大統領はサミットに不参加の可能性も示唆していたが、サミットの不参加は回避され、18日には広島に到着し、同日に岸田首相と会談をするスケジュールを発表している。
バイデン米大統領は昨日も上限問題については「楽観的」との姿勢を見せているが、一方のマッカーシー下院議長は「進展はない」とも述べていることで、明日の会談までは動きにくいだろう。
なお、上述の日米会談だけでなく、韓国の尹大統領を含め日米韓の3カ国首脳会談も行われる予定。
この会談では、3カ国による安全保障協力強化のために「共同訓練の拡大を目指す」と米政権関係者が早朝に発表していることで、北朝鮮による挑発的な行動の可能性があることにも注意を払っておきたい。
なお、アジア時間には本邦からは主だった経済指標等のイベントは予定されていないが、本日は5月2日に行われた豪準備銀行(RBA)理事会の議事要旨が公開される。
この理事会ではサプライズとなる利上げを実施したこともあり、RBA声明文で表されたものよりもインフレへの警戒感が強かった場合には豪ドルが動く可能性もあり、警戒しておきたい。
【本日の重要指標】 ※時刻表示は日本時間
<国内>
特になし
<海外>
○09:30 ◇ 5月豪ウエストパック消費者信頼感指数
○10:30 ◎ 5月豪準備銀行(RBA)理事会議事要旨
○11:00 ◎ 4月中国鉱工業生産(予想:前年比10.9%)
○11:00 ◎ 4月中国小売売上高(予想:前年比21.0%)
○15:00 ◎ 4月英雇用統計(失業率/失業保険申請件数推移)
○15:00 ◎ 1-3月英失業率(ILO方式、予想:3.8%)
○17:15 ◎ マクルーフ・アイルランド中銀総裁、講演
○18:00 ◎ 5月独ZEW景況感指数(予想:▲5.3)
○18:00 ◎ 5月ユーロ圏ZEW景況感指数
○18:00 ☆ 1-3月期ユーロ圏域内総生産(GDP)改定値(予想:前期比0.1%/前年比1.3%)
○18:00 ◇ 3月ユーロ圏貿易収支
○18:30 ◎ 1-3月期南アフリカ失業率(予想:33.0%)
○21:15 ◎ メスター米クリーブランド連銀総裁、討論会に参加
○21:30 ◎ 4月カナダ消費者物価指数(CPI、予想:前月比0.4%/前年比4.1%)
○21:30 ◇ 3月カナダ製造業出荷(予想:前月比0.7%)
○21:30 ☆ 4月米小売売上高(予想:前月比0.8%/自動車を除く前月比0.4%)
○22:15 ◎ 4月米鉱工業生産指数(予想:前月比横ばい)
◇ 設備稼働率(予想:79.7%)
○23:00 ◎ 5月全米ホームビルダー協会(NAHB)住宅市場指数(予想:45)
○23:00 ◇ 3月米企業在庫(予想:前月比横ばい)
○23:00 ◎ ラガルド欧州中央銀行(ECB)総裁、講演
○23:00 ◎ バー米連邦準備理事会(FRB)副議長(銀行監督担当)、米下院金融サービス委員会で議会証言
○17日01:15 ◎ ウィリアムズ米ニューヨーク連銀総裁、討論会に参加
○17日04:15 ◎ ローガン米ダラス連銀総裁、討論会に参加
○バイデン米大統領、債務上限を巡る議会指導部との協議
○欧州連合(EU)財務相理事会
※「予想」は特に記載のない限り市場予想平均を表す。▲はマイナス。
※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。
※指標などの発表予定・時刻は予告なく変更になる場合がありますので、ご了承ください。
【前日までの要人発言】
15日08:11 エルドアン・トルコ大統領
「現時点では正確な結果は分からないが、我々がリードしているようだ」
「国内・国外の投票はともに集計中」
15日20:40 ボスティック米アトランタ連銀総裁
「利下げは基本的な考えに入っていない」
「インフレ率が急速に低下するとは考えていない」
「インフレとの戦いはまだ長い道のり」
「金利はさらに上昇させる必要があるかもしれない」
16日04:44
「個人的には利上げを一時停止したいと考えているが、FOMCは何をすべきかまだ検討中」
「企業は減速の顕著な兆候が見られる」
「金利の行き過ぎのリスクを考慮すると、FRBは慎重に行動する必要がある」
15日23:01 カシュカリ米ミネアポリス連銀総裁
「インフレは非常に高いが、下降傾向にある」
「まだ取り組むべき仕事がある」
「わずか数カ月の良いデータに騙されてはならない」
「インフレ目標に到達するにはまだ長い道のりがある」
「労働市場は依然として強い」
16日00:34 アデヨモ米財務次官
「デフォルトは米国の債務と経済を悪化させる」
「デフォルトにより、人々がドル資産に投資する意欲を低下させる」
16日01:34 ピル英中銀金融政策委員会(MPC)委員兼チーフエコノミスト
「先週、BOEが金利を引き上げたのは、経済に勢いがありすぎたから」
「成長しすぎることによるインフレをまだ懸念」
「インフレ率が2%に戻るには、需要が多すぎる」
16日01:57 米共和党のマッカーシー下院議長
「債務上限を巡る交渉では何ら動きが見られない」
※時間は日本時間
〔日足一目均衡表分析〕
<ドル円=137円付近で推移する200日線回復をうかがう>
陽線引け。
135円付近で低下中の一目均衡表・転換線の動きに引っ張られることなく底堅い推移が継続した。
3日以来の136円台回復を果たしている。
低下中の転換線がしっかりした支えになりにくい状況は変わらない一方、下押しが進んだ局面で上昇傾向の一目・基準線134.90円の下支えが期待できる状態も継続。
一定の底堅さを維持し、137円台で推移する200日移動平均線を狙う展開を予想する。
レジスタンス2:137.05(200日移動平均線)
レジスタンス1:136.74(ピボット・レジスタンス2)
前日終値:136.12
サポート1:135.34(5/11-15上昇幅の38.2%押し)
<ユーロドル=低下傾向の転換線が上伸を妨げそう>
小陽線引け。
1.0820ドル付近で推移する90日移動平均線や、一目均衡表・雲の上限1.0813ドルといった水準を下値に控えるなか下げ渋り、1.09ドル回復に近づく場面もあった。
1.09ドル前後に位置する5日移動平均線の抵抗をこなして、1.09ドル台で戻り余地を探る展開を期待したいところ。
しかし、低下傾向の一目均衡表・転換線1.0969ドルが上伸を妨げることになりそう。
レジスタンス1:1.0935(5/12高値)
前日終値:1.0874
サポート1:1.0822(90日移動平均線)
<ポンド円=5日線や転換線を支えに上値試す展開想定>
陽線引け。
目先の抵抗だった一目均衡表・転換線を上抜け、170円台に乗せた。
転換線はしばらく現水準169.51円で横ばい推移となり、下押し局面での支えとなりそう。
同線や169円台で上昇中の5日移動平均線付近の底堅さを背景に、10日高値171.18円などの抵抗をこなしながら上値を試す展開が想定できる。
レジスタンス1:171.18(5/10高値)
前日終値:170.53
サポート1:169.60(5日移動平均線)
<NZドル円=5日線を上回り、85円台乗せ期待>
陽線引け。
一目均衡表・転換線84.67円を上回り、85円回復をうかがう様相となっている。
昨日は、84.98円前後に位置していた5日移動平均線を上抜けなかったが、本日朝方は84.84円へ低下した同線を上回って推移する状態となっている。
目先の抵抗をどうにかこなした格好で、85円台に乗せる展開が期待できる。
レジスタンス1:85.64(ピボット・レジスタンス2)
前日終値:84.95
サポート1:84.43(5/15レンジ半値水準)
本ホームページに掲載されている事項は、投資判断の参考となる情報の提供を目的としたものであり、投資の勧誘を目的としたものではありません。投資方針、投資タイミング等は、ご自身の責任において判断してください。本サービスの情報に基づいて行った取引のいかなる損失についても、当社は一切の責を負いかねますのでご了承ください。また、当社は、当該情報の正確性および完全性を保証または約束するものでなく、今後、予告なしに内容を変更または廃止する場合があります。なお、当該情報の欠落・誤謬等につきましてもその責を負いかねますのでご了承ください。