【本日の東京為替見通し】堅調な本邦株がドル円の支えに、本日は豪雇用統計に要注目
【前日の為替概況】ドル円、5日続伸 日経平均先物の上昇やテクニカルな買いが後押し
17日のニューヨーク外国為替市場でドル円は5日続伸。
終値は137.68円と前営業日NY終値(136.39円)と比べて1円29銭程度のドル高水準だった。
NY勢参入後も日経平均先物とともにドル円を買う動きが継続。
市場では「200日移動平均線が位置する137.07円を上抜けたことで、テクニカル的にも買いが入りやすい」との声が聞かれ、5時30分過ぎには137.71円と日通し高値を更新した。
米国の債務上限問題を巡る与野党協議が進展するとの期待から米国株相場が上昇したことも相場の支援材料。
ダウ平均は一時460ドル超上昇したほか、ナイト・セッションの日経平均先物は大証終値比480円高の3万0540円まで買われる場面があった。
なお、バイデン米大統領はこの日の会見で「(債務上限交渉)合意に自信」「米国はデフォルト(債務不履行)に陥らないと確信」「合意に達するまで議論を続ける」と述べたほか、米共和党のマッカーシー米下院議長はインタビューで「最終的に米国がデフォルトに陥ることはない」「今週内の合意は実行可能」と明言した。
ユーロ円は4日続伸。
終値は149.25円と前営業日NY終値(148.16円)と比べて1円09銭程度のユーロ高水準。
米債務上限問題を巡る与野党協議が進展するとの期待から米国株が大幅に上昇すると、投資家のリスク志向が改善し円売り・ユーロ買いが優勢となった。
取引終了間際には一時149.26円と日通し高値を更新した。
ユーロ円以外のクロス円も堅調だった。
日米株高を背景にリスクオンの円売りが優勢となり、ポンド円は172.01円、豪ドル円は91.79円、NZドル円は86.18円、カナダドル円は102.39円、スイスフラン円は153.22円、メキシコペソ円は7.84円まで値を上げた。
ユーロドルは続落。
終値は1.0840ドルと前営業日NY終値(1.0862ドル)と比べて0.0022ドル程度のユーロ安水準だった。
独長期金利が低下した一方、米長期金利が上昇すると欧米金利差拡大への思惑からユーロ売り・ドル買いが進んだ。
23時過ぎに一時1.0810ドルと4月3日以来の安値を付けた。
ただ、節目の1.0800ドル手前では下げ止まった。
ユーロ円の上昇につれた買いも入り、1.0849ドル付近まで下げ渋った。
【本日の東京為替見通し】堅調な本邦株がドル円の支えに、本日は豪雇用統計に要注目
本日のドル円も底堅い動きが期待されるが、連日上げ幅が急速に拡大していることもあり、ポジション調整の動きには警戒したい。
米国をめぐる債務上限引き上げ問題について、楽観論が流れていることがドル円の支えとなっているが、他通貨と比較してもドル円は上昇幅が大きくなっている。
ドル円の上昇要因の一つは、日経平均を始め本邦株式市場が堅調な動きを見せていることがあげられる。
海外投資家もSafe Haven(安全な逃避先)として、本邦株を買っているとされている。
通常は株買いの円買いでドルの頭を抑えるところが、ここ最近の為替市場は、株高によるリスクオンで円売りに動いている。
昨日はダウが反発し、ナスダック総合が年初来高値を更新するなど、米株式市場の動きも追い風となり、ドル円が下支えされる可能性が高い。
また、年後半の米連邦公開市場委員会(FOMC)での利下げ予想が低下していることも、ドル円の支えになる。
シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)グループがFF金利先物の動向に基づき算出する「フェドウオッチ」では、1カ月前は9月の利下げ予想が約57%だったものが、1週間前は米国のインフレ指標が低下したことで約81%まで上昇、しかし昨日は46%程度まで低下している。
本日は本邦からは4月の貿易統計が発表予定。
季節調整前では、3月よりも赤字額は減少し6138億円の赤字予想となっている。
また、明日から広島で開催されるG7サミットを前に、本日は岸田首相とバイデン米大統領の会談が予定されている。
ドル円以外では、本日は豪州から4月の雇用統計が発表されることで、豪ドルの動きに要注目となる。
豪準備銀行(RBA)は現在の失業率(3.5%)は「歴史的低水準に近い水準を維持している」としているが、「2024年末までには4.5パーセントに達すると予想」している。
雇用情勢が引き続き強い結果を見せることが出来るか注目される。
【本日の重要指標】 ※時刻表示は日本時間
<国内>
○08:50 ◎ 4月貿易統計(通関ベース、予想:季節調整前6138億円の赤字、季節調整済1兆842億円の赤字)
○08:50 ◇ 対外対内証券売買契約等の状況(週次・報告機関ベース)
○日米首脳会談(広島市)
<海外>
○10:30 ◎ 4月豪雇用統計(予想:失業率3.5%/新規雇用者数2.50万人)
○15:35 ◎ デギンドス欧州中央銀行(ECB)副総裁、講演
○16:00 ◎ ミュラー・エストニア中銀総裁、講演
○16:45 ◎ ピル英中銀金融政策委員会(MPC)委員兼チーフエコノミスト、講演
○18:15 ◎ ベイリー英中銀(BOE)総裁、議会証言
○21:30 ◎ 前週分の米新規失業保険申請件数/失業保険継続受給者数(予想:25.4万件/181.8万人)
○21:30 ◎ 5月米フィラデルフィア連銀製造業景気指数(予想:▲19.8)
○22:05 ◎ ジェファーソン米連邦準備理事会(FRB)理事、講演
○22:30 ◎ バーFRB副議長(銀行監督担当)、米上院銀行委員会で議会証言
○23:00 ◎ 4月米中古住宅販売件数(予想:前月比▲3.2%/年率換算430万件)
○23:00 ◎ 4月米景気先行指標総合指数(予想:前月比▲0.6%)
○23:00 ◎ ローガン米ダラス連銀総裁、講演
○19日04:00 ◎ メキシコ中銀、政策金利発表(予想:11.25%で据え置き)
○スイス、ノルウェー、スウェーデン(キリスト昇天祭)、休場
※「予想」は特に記載のない限り市場予想平均を表す。▲はマイナス。
※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。
※指標などの発表予定・時刻は予告なく変更になる場合がありますので、ご了承ください。
【前日までの要人発言】
17日05:10 米共和党のマッカーシー下院議長
「合意には依然として大きな隔たりがある」
「今週末までに合意に達する可能性はまだある」
17日21:27
「最終的にデフォルトにはならない」
18日01:18
「今週内の合意は実行可能」
17日05:21 シューマー米上院院内総務(民主党)
「(合意に近づいているかとの質問に)イエス」
17日06:23 バイデン米大統領
「議会指導部との債務上限を巡る協議は良好で生産的」
「デフォルト回避を確実にするため、スタッフが毎日協議する」
18日00:17
「昨日の会談は生産的だった」
「(債務上限交渉)合意に自信」
「米国がデフォルトに陥らないと確信している」
「我が国はこれまで一度もデフォルトしたことはなく、今後もデフォルトを起こすことはない」
「21日に記者会見を開く」
「合意に達するまで議論を続ける」
「海外滞在中にマッカーシー氏と緊密に連絡を取る予定」
「交渉担当者は今日再び協議する」
17日08:39 ボスティック米アトランタ連銀総裁
「失業率が上昇し始め、インフレ率が高止まりするなら、米連邦準備理事会(FRB)には大きな圧力になる」
「債務デフォルト時にFRBがどう対応するかは明確ではない」
「FRBがインフレ抑制へのコミットを非常に強く維持する必要がある」
17日08:42 グールズビー米シカゴ連銀総裁
「ソフトランディングの可能性はまだある」
「景気後退を起こさずにインフレを解消できる機会がある」
「賃金はインフレの先行指標ではない」
17日19:02 ベイリー英中銀(BOE)総裁
「インフレ率2%目標達成への決意はゆるぎない」
「インフレが根強ければさらなる引き締めが必要となる可能性」
17日23:08 エルドアン・トルコ大統領
「ウクライナ産穀物の輸出について2カ月延長で合意」
17日23:16 ノバク露副首相
「ロシアとイランは、中国人民元による相互貿易決済の可能性を検討」
17日23:21 米ホワイトハウス
「バイデン米大統領が日本時間23時45分から債務上限に関する演説を行う予定」
18日00:38 デギンドス欧州中央銀行(ECB)副総裁
「今後の政策措置はデータ次第」
※時間は日本時間
〔日足一目均衡表分析〕
<ドル円=高値更新うかがう、伸び悩んでも200日線が支え>
大陽線引け。
相場の強弱を判断する際の分岐点とされる200日移動平均線を上回った。
一時137.71円まで上昇している。
2日高値137.77円や3月8日につけた年初来高値137.91円の上抜けをうかがう状態となった。
これらの節目を前にいったん調整で伸び悩む場面も想定できる。
しかし、その際も上抜けてサポートに転じた200日線が支えとなりそう。
レジスタンス2:138.63(ピボット・レジスタンス2)
レジスタンス1:138.17(2022/12/15高値)
前日終値:137.68
サポート1:137.10(200日移動平均線)
<ユーロドル=90日線の動きに沿った弱い動き想定>
下影小陰線引け。
一時1.0810ドルと、4月3日以来の水準まで下振れた。
本日1.0860ドルへ低下した一目均衡表・雲の上限を下回る推移となっており重い動きが続きそう。
昨日一時下回った90日移動平均線も本日1.0822ドル前後へ小幅に低下。
90日線の低下に沿うような弱い動きとなり、雲の下限1.0792ドルを意識した展開となるか。
レジスタンス1:1.0905(5/16高値)
前日終値:1.0840
サポート1:1.0792(日足一目均衡表・雲の下限)
<ポンド円=上昇波形維持し、高値更新を目指す>
大陽線引け。
一時172.01円と、年初来高値172.33円をつけた2日以来の172円台回復となった。
高値更新を目前に足踏みすることも考えられるが、10日高値171.18円を割り込まなければ短期上昇波形を維持できており、高値更新をうかがう状態が続いているとみていいだろう。
やや下押しが深めとなっても、まずは16日高値170.84円程度にとどまるとみる。
レジスタンス1:172.33(5/2高値=年初来高値)
前日終値:171.94
サポート1:171.18(5/10高値)
<NZドル円=調整安に注意も、大きな崩れなさそう>
大陽線引け。
84円台で推移する一目均衡表・転換線付近から85円台、86円台と段階を踏んだ上昇で年初来高値を更新した。
調整安局面で下支えとなりそうな主だった日足テクニカル指標が85.20円付近で推移している5日移動平均線まで見当たらない点はやや懸念材料。
しかし、転換線も引き続きサポートになりそうで、基調を大きく崩すことはないだろう。
レジスタンス1:86.57(2022/12/19安値)
前日終値:86.00
サポート1:85.20(5日移動平均線)
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