市場見通し
◆ポンド、4月英インフレ指標に注目。コアの方向性も重要に
◆ポンド、経済指標で英景気動向を見極め
◆加ドル、市場のリスクセンチメントを見据えた動きに
予想レンジ
ポンド円 169.50-174.50円
加ドル円 100.50-104.50円
5月22日週の展望
ポンドは24日に発表される英国の4月インフレ指標が注目される。ベイリー英中銀(BOE)総裁は英国商工会議所の年次総会における講演で、同国の物価動向について、4月消費者物価指数(CPI)を皮切りに今後数カ月にわたって急速に低下するとの見解を示した。ベイリー総裁によれば、3月CPIが前年比10%台で高止まりした要因は、天然ガス価格などが1年前より大幅に上昇していたことが要因。その上昇分が今回は除外され、エネルギー価格の指数寄与度が大幅に低下するもようだ。今後も燃料価格が落ち着いて推移すれば、時期は不透明ではあるものの食糧価格の上昇ペース鈍化も見込めるため、全体的にインフレの押し下げ圧力が強まるという。
もっとも、総裁はヘッドライン・インフレが低下したとしても、エネルギーと食品の価格を除いた「コアインフレ率は強さを維持する可能性」を指摘。英中銀もコアインフレ率の上昇に繋がる「賃金やサービス価格の伸び率」に注視しているという。たとえ今回の4月英CPIが前年比一桁台で大きく減速していたとしても、決して一喜一憂せず、同月CPIコアの前回6.2%からの振れ幅を確認する必要があるだろう。
英経済指標では他に、23日に5月分の製造業/サービス部門購買担当者景気指数(PMI)、26日には4月小売売上高が発表予定。ベイリー総裁は先の講演で「数カ月前よりも英経済に若干の明るさが見ている」と言及しているが、「リセッション(景気後退)の可能性はない」という中銀見通しを、足もとの指標で確認することになる。
加ドルは市場のリスクセンチメントを見据えながらの値動きか。米国の債務上限問題は解決に至っていないもののデフォルト(債務不履行)回避の見通しが高まり、金融市場では安心感からのリスク志向の動きが広まった。先進7カ国首脳会議(G7サミット、19-21日)後に予定されるバイデン米大統領と議会指導部との会談を受け、センチメントに変化があるかに注目したい。また、カナダ金融政策への思惑も加ドルを上下させそうだ。16日に発表された4月加CPIは前年比4.4%と鈍化予想から上振れただけでなく、3月分も上回った。短期金融市場では、秋頃にカナダ中銀(BOC)の0.25%利上げを織り込む動きが一部で見られた。米金利の動向が主ではあるものの、暫くは加金利にも敏感に反応する場面がありそうだ。
5月15日週の回顧
ポンド円は週初の169円割れから172円台まで上昇。相場全般に強まったリスクオンの円売りに歩調を合わせた。一方、ポンドドルは1.25ドル半ばから1.24ドル割れまで水準を下げた。さえない英雇用データや米金利の上昇基調などが重しとなった。加ドル円は100円付近で下値を固めて週後半にかけて上げ幅を拡大した。
加インフレ上振れをきっかけに買いが強まり、リスクオン地合いにも後押しされた。加ドルは対ドルでは1.35加ドルを挟み上下。加CPIの発表後に加ドル高に振れたが、米金利の上昇で加ドル買いは続かなかった。(了)
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◆ポンド、経済指標で英景気動向を見極め
◆加ドル、市場のリスクセンチメントを見据えた動きに
予想レンジ
ポンド円 169.50-174.50円
加ドル円 100.50-104.50円
5月22日週の展望
ポンドは24日に発表される英国の4月インフレ指標が注目される。ベイリー英中銀(BOE)総裁は英国商工会議所の年次総会における講演で、同国の物価動向について、4月消費者物価指数(CPI)を皮切りに今後数カ月にわたって急速に低下するとの見解を示した。ベイリー総裁によれば、3月CPIが前年比10%台で高止まりした要因は、天然ガス価格などが1年前より大幅に上昇していたことが要因。その上昇分が今回は除外され、エネルギー価格の指数寄与度が大幅に低下するもようだ。今後も燃料価格が落ち着いて推移すれば、時期は不透明ではあるものの食糧価格の上昇ペース鈍化も見込めるため、全体的にインフレの押し下げ圧力が強まるという。
もっとも、総裁はヘッドライン・インフレが低下したとしても、エネルギーと食品の価格を除いた「コアインフレ率は強さを維持する可能性」を指摘。英中銀もコアインフレ率の上昇に繋がる「賃金やサービス価格の伸び率」に注視しているという。たとえ今回の4月英CPIが前年比一桁台で大きく減速していたとしても、決して一喜一憂せず、同月CPIコアの前回6.2%からの振れ幅を確認する必要があるだろう。
英経済指標では他に、23日に5月分の製造業/サービス部門購買担当者景気指数(PMI)、26日には4月小売売上高が発表予定。ベイリー総裁は先の講演で「数カ月前よりも英経済に若干の明るさが見ている」と言及しているが、「リセッション(景気後退)の可能性はない」という中銀見通しを、足もとの指標で確認することになる。
加ドルは市場のリスクセンチメントを見据えながらの値動きか。米国の債務上限問題は解決に至っていないもののデフォルト(債務不履行)回避の見通しが高まり、金融市場では安心感からのリスク志向の動きが広まった。先進7カ国首脳会議(G7サミット、19-21日)後に予定されるバイデン米大統領と議会指導部との会談を受け、センチメントに変化があるかに注目したい。また、カナダ金融政策への思惑も加ドルを上下させそうだ。16日に発表された4月加CPIは前年比4.4%と鈍化予想から上振れただけでなく、3月分も上回った。短期金融市場では、秋頃にカナダ中銀(BOC)の0.25%利上げを織り込む動きが一部で見られた。米金利の動向が主ではあるものの、暫くは加金利にも敏感に反応する場面がありそうだ。
5月15日週の回顧
ポンド円は週初の169円割れから172円台まで上昇。相場全般に強まったリスクオンの円売りに歩調を合わせた。一方、ポンドドルは1.25ドル半ばから1.24ドル割れまで水準を下げた。さえない英雇用データや米金利の上昇基調などが重しとなった。加ドル円は100円付近で下値を固めて週後半にかけて上げ幅を拡大した。
加インフレ上振れをきっかけに買いが強まり、リスクオン地合いにも後押しされた。加ドルは対ドルでは1.35加ドルを挟み上下。加CPIの発表後に加ドル高に振れたが、米金利の上昇で加ドル買いは続かなかった。(了)
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DZH Finacial Research
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