【本日の東京為替見通し】ドル円 調整に気を付けながらも下値の堅さは継続か
May 26, 2023
【前日の為替概況】ドル円、続伸 金利スワップはFOMC2会合0.25%追加利上げ織り込む
25日のニューヨーク外国為替市場でドル円は続伸。
終値は140.06円と前営業日NY終値(139.47円)と比べて59銭程度のドル高水準だった。
米10年債利回りが3.72%台まで低下すると円買い・ドル売りが先行し、21時30分前に139.19円付近まで下押しした。
ただ、その後発表された1-3月期米国内総生産(GDP)改定値や前週分の米新規失業保険申請件数が予想より強い内容だったことが分かると一転円売り・ドル買いが優勢に。
米10年債利回りが3.8251%前後と3月10日以来の高水準を付けたことも相場の支援材料となり、一時140.23円と昨年11月23日以来約半年ぶりの高値を更新した。
なお、金利スワップ市場では7月の米連邦公開市場委員会(FOMC)までの2会合で0.25%の追加利上げが実施されることを完全に織り込んだ。
ユーロドルは3日続落。
終値は1.0725ドルと前営業日NY終値(1.0750ドル)と比べて0.0025ドル程度のユーロ安水準だった。
市場予想を下回る独経済指標の発表が続き、ユーロ圏景気の先行き不透明感を警戒したユーロ売り・ドル買いが出た。
FRBの金融引き締め長期化観測を背景に全般ドル買いが進むと、一時1.0707ドルと3月21日以来約2カ月ぶりの安値を付けた。
その後の戻りも1.0733ドル付近にとどまった。
主要通貨に対するドルの値動きを示すドルインデックスは一時104.31と3月17日以来の高水準を付けた。
ユーロ円は続伸。終値は150.20円と前営業日NY終値(149.93円)と比べて27銭程度のユーロ高水準。
ユーロドルの下落につれた売りが出た半面、ドル円の上昇につれた買いが入り一時150.32円と日通し高値を更新した。
南アフリカランドは下落した。南ア準備銀行(SARB)はこの日、政策金利を現行の7.75%から8.25%に引き上げることを決めたと発表。
市場予想通りの結果となった。
ただ、声明で「ランドは一段安になる公算が大きい」との見解が示されるとランド売りが優勢に。
対ドルでは一時19.8468ランドと史上最安値を付けた。
対円では7.06円まで値を下げた。
【本日の東京為替見通し】ドル円 調整に気を付けながらも下値の堅さは継続か
本日の東京為替市場でドル円は、今晩発表の4月米PCEデフレーター/同コアを控えた調整には気を付けながらも基本的なドル高円安トレンドは継続するか。
昨年10月高値151.95円から今年1月安値127.23円まで下落した幅の半値戻し139.59円をしっかりと超えてきており、フィボナッチリトレースメントで次に注目されるのは下値から61.8%戻しの142.51円となる。
昨日の東京朝に債務問題を懸念した格付け会社フィッチが米格付けを「レーティングウォッチネガティブ」に指定した。
これを受けてドル円は急落したが、それでも下値は138円後半までだった。
東京勢の本格参入前で流動性が薄い時間帯でさえも下げ幅が限られ、ドル需要の根強さがうかがえる。
植田日銀総裁が就任後も日米金利差が縮まるどころか広がっていることが、ドル高円安を強めている要因の1つ。
昨日も同総裁は大規模な金融緩和の継続を改めて強調。
本日発表の4月企業向けサービス価格指数では前年比予想が+1.4%と前回から減速する見込みだ。
欧米でサービス価格が加速しているのとは対照的であり、年末にかけてインフレ低下とする日銀見通しを裏付けることになるか。
一方、先週末にパウエル米連邦準備理事会(FRB)議長が次回の米連邦公開市場委員会(FOMC)では利上げ休止を示唆したものの、米金利の先高観は強まっている。
本日ニューヨーク序盤にはFRBが金融政策を決定するうえで重要視する米PCEデフレーター/同コアが公表予定。
4月分となる今回の市場予想は、総合が前年比+4.3%と3月からやや伸び率が加速し、コア前年比は+4.6%で横ばい見込み。
一昨日にウォラーFRB理事が「次回も追加利上げとなる経済データが出る可能性」を示唆しており、指標への注目度はいつも以上に高そうだ。
なお、東京午前には4月豪小売売上高が発表される。市場は前月比+0.2%と前回から0.2ポイント低下を予想。
もし更に下振れた場合、特にマイナスとなれば印象は悪そうだ。
株式市場の堅調さが見込まれるなか発表までリスクオン地合いが続くと思われが、結果を受けた反動には気を付けたい。
【本日の重要指標】 ※時刻表示は日本時間
<国内>
○08:30 ◎ 5月東京都区部消費者物価指数(CPI、生鮮食料品除く総合予想:前年比3.3%)
○08:50 ◇ 4月企業向けサービス価格指数(予想:前年比1.4%)
○14:00 ◇ 3月景気動向指数改定値
<海外>
○10:30 ◎ 4月豪小売売上高(予想:前月比0.2%)
○15:00 ◎ 4月英小売売上高(自動車燃料含む、予想:前月比0.3%/前年比▲2.8%)
○15:00 ◎ 4月英小売売上高(自動車燃料除く、予想:前月比0.3%/前年比▲2.8%)
○15:45 ◇ 5月仏消費者信頼感指数(予想:84)
○16:30 ◎ ブイチッチ・クロアチア中銀総裁、講演
○16:40 ◎ レーン欧州中央銀行(ECB)専務理事兼チーフ・エコノミスト、講演
○21:00 ◎ 1-3月期メキシコGDP確定値(予想:前期比1.0%/前年比3.9%)
○21:30 ◎ 4月米個人消費支出(PCE、予想:前月比0.4%)
◎ 4月米個人所得(予想:前月比0.4%)
☆ 4月米PCEデフレーター(予想:前年比4.3%)
☆ 4月米PCEコアデフレーター(予想:前月比0.3%/前年比4.6%)
○21:30 ◇ 4月米卸売在庫(予想:前月比横ばい)
○21:30 ◎ 4月米耐久財受注額(予想:前月比▲1.0%/輸送用機器を除く前月比▲0.1%)
○23:00 ◎ 5月米消費者態度指数(ミシガン大調べ、確報値、予想:57.7)
○米債券市場は短縮取引(メモリアルデーの前営業日)
○香港(釈迦生誕節)、休場
○28日 トルコ大統領選、決選投票
○28日 スペイン地方選
※「予想」は特に記載のない限り市場予想平均を表す。▲はマイナス。
※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。
※指標などの発表予定・時刻は予告なく変更になる場合がありますので、ご了承ください。
【前日までの要人発言】
25日05:15 米共和党のマッカーシー下院議長
「(米債務上限交渉)事態は少しずつ好転している」
「バイデン大統領は歳出削減の必要性に気付いた」
「多くの問題が未解決のまま」
「交渉は今晩も続ける」
25日05:24 オアNZ準備銀行(RBNZ)総裁
「NZ金利は制限的で中立金利を大きく上回っている」
「経済成長もインフレも予想より弱い」
「必要なら、新しいデータに応じて評価を変更することが可能」
25日07:53 格付け会社フィッチ・レーティングス
「米債務問題、Xデー前の解決なお予想 上限引き上げ/凍結がなされないリスクも高まる」
25日14:55 植田日銀総裁
「日銀のバランスシート、必ずしも正常な中銀のバランスシートではない」
25日18:18 デギンドス欧州中央銀行(ECB)副総裁
「賃金の動向がインフレ見通しの上方リスクを高めている」
「ユーロ圏加盟国政府は、インフレの進行を望まないのであれば、昨年のエネルギー危機を受けて導入した支援措置を縮小すべき」
25日19:53 ナーゲル独連銀総裁
「欧州中央銀行(ECB)は高インフレを克服するため引き締めを継続する」
25日20:31 ビルロワドガロー仏中銀総裁
「欧州中央銀行(ECB)の金利が景気抑制的な領域にあるのは明らか」
「ECBは利上げサイクルの大半を完了した」
「これまでの利上げの影響にも配慮すべき」
25日22:09 南アフリカ準備銀行(SARB)
「ランドは一段安になる公算が大きい」
「インフレは上昇リスクが高い」
「食料インフレは引き続き上昇する公算、今後の乾燥した天気が続くリスクも増大」
「中期的な国内成長予想は均衡している」
「現在のレポレートの水準は制限的な政策」
「全会一致で利上げを決定」
25日23:16 バーキン米リッチモンド連銀総裁
「労働市場は非常に強い」
25日23:33 コリンズ米ボストン連銀総裁
「FRBは経済の健全性に関する広範なデータを監視」
「FRBは利上げを一時停止できる時期、もしくはそれに近い段階にある可能性」
「利上げの一時停止により、これまでの行動を評価する余地が生まれる」
「米国のインフレ率は高すぎる。緩和の兆しも」
25日23:38 米共和党交渉担当者の1人であるグレイブス下院議員
「(バイデン政権との債務上限問題を巡る交渉)本日の担当者協議は予定されていない」
26日00:33 クノット・オランダ中銀総裁
「基調インフレが低下する兆しはない」
「6月、7月には利上げが必要。9月はオープン」
「ECBはかなりの期間、ピーク金利を維持する」
26日01:33 ハスケル英中銀金融政策委員会(MPC)委員
「英労働市場は依然として非常に逼迫している」
「一段の利上げは排除できない」
26日03:03 バイデン米大統領
「歳出増の2年凍結案を提示した」
「合意に達すると信じている」
※時間は日本時間
〔日足一目均衡表分析〕
<ドル円=堅調ながら高値圏で不安定さも>
下影陽線引け。
138.83円まで下振れが先行した。
しかし、138円後半で上昇中だった5日移動平均線に近づいた同水準で下げ渋り。
再び騰勢を強め昨年11月23日以来、約半年ぶりの140円台回復となった。
本日5日線は139.11円前後へ上昇して推移。引き続き支えとなり堅調な流れは続くとみる。
ただ、調整の反落が同線付近までにとどまったとしても、押し目が少し深くなる感がある。
堅調ながら高値圏でやや不安定な動きと考えておきたい。
レジスタンス1:140.73(5/24上昇幅の2層倍=E計算値)
前日終値:140.06
サポート1:139.48(5/24高値)
サポート2:139.11(5日移動平均線)
<ユーロドル=雲付近から下放れ、さえない>
下影小陰線引け。
一時1.0707ドルと3月20日以来、約2カ月ぶりの1.07ドル割れをうかがう様相となった。
1.07ドル台で低下中の5日移動平均線付近で戻りが鈍く、一目均衡表・雲の下限1.0796ドル付近から下放れている。
雲を下回る売り示唆の状態が続きそう。
下値を探るさえない推移が続くとみる
レジスタンス1:1.0796(日足一目均衡表・雲の下限)
前日終値:1.0725
サポート1:1.0631(3/20安値)
<ユーロ円=5月初めの年初来高値局面より底堅い印象>
下影小陽線引け。
今週は下押しを一目均衡表・基準線148.87円前後にとどめ、5日移動平均線の上昇をともなう好調な推移が続いている。
150円台に定着してきた。年初来高値151.61円をつけた今月2日前後の上振れ局面より底堅い印象。
目先のすう勢を示す5日線の上昇をともない高値を更新する展開が期待できる。
レジスタンス1:150.96(ピボット・レジスタンス2)
前日終値:150.20
サポート1:149.30(5/25安値)
<豪ドル円=転換線を追うように戻すことできるか注視>
下影小陰線引け。
91円台で推移する一目均衡表・転換線を割り込み、90.76円まで下振れた。
91円近辺で上昇中の21日移動平均線を下回る同水準からは反発し、91円台を回復してNYを引けている。
本日91.46円へ切り上がった転換線を追うように戻すことができるか注視。
21日線も91.06円前後でじり高となっており、付近でサポートされるか。
レジスタンス1:91.46(5日移動平均線)
前日終値:91.11
サポート1:90.57(5/16安値)
Provided by
DZH Finacial Research
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