東京為替見通し=ドル円、日米金融政策の乖離で底堅い展開か

市場見通し
 14日のニューヨーク外国為替市場でドル円は、予想を下回った5月米卸売物価指数(PPI)を受けて139.29円まで下落後、ドット・チャートで2023年末の予想中央値が5.6%へ引き上げられたことで、140.18円付近まで反発した。ユーロドルは1.0864ドルまで上昇した後、一時1.0802ドル付近まで水準を落とす場面があった。ユーロ円は日欧の金融政策の方向性の違いが意識されて151.78円まで上昇した。

 本日の東京外国為替市場のドル円は、米連邦公開市場委員会(FOMC)での「タカ派的スキップ(見送り)」と本日からの日銀金融政策決定会合での大規模金融緩和の維持見通しから底堅い展開が予想される。

 しかしながら、パウエルFRB議長は会見で「7月FOMCでの利上げはまだ決まっていない」と述べていることには注意したい。米長期金利は昨日低下し、ドル円も140円台前半で伸び悩む展開となっており、ここからは日銀会合からの材料待ちとなっている。

 8時50分に発表される5月の貿易統計(予想:季節調整前1兆3319億円の赤字、季節調整済8600億円の赤字)では、ドル円の下値を限定的にしている実需の円売り圧力を確認することになる。

 FOMCでは、フェデラルファンド(FF)金利の誘導目標が5.00-25%に据え置かれたものの、ドット・プロット(金利予測分布図)で今年末の中央値が前回の5.10%(※FF金利5.00-25%)から5.60%(※FF金利5.50-75%)へ引き上げられた。すなわち、年内残り4回のFOMC会合の内、2回で0.25%の利上げが示唆されている。しかし、CMEグループがFF金利先物の動向に基づき算出する「フェドウオッチ」では、7月FOMCで5.25-50%へ利上げ、そして、9月、11月、12月FOMCでは据え置き確率が高まっており、年内1回の利上げだけを示唆している。

 パウエルFRB議長は会見で、「累積的(cumulative)な引き締めを考慮する」と前回5月と同じ文言を使った。この「累積的」という文言は、2006年8月8日のFOMCで、バーナンキ第14代FRB議長が、17回の利上げで到達したFF金利誘導目標5.00-25%の据え置きを決定して、利下げへ転換した時に使用した文言である。FEDピボット(FRBの方向転換)のシグナルかもしれないことで警戒しておきたい。

 ドル円のテクニカル分析では、140.93円と138.45円を底辺とする「三角保ち合い」を上抜けており、7月FOMCでの利上げ観測や本日からの日銀会合での大規模金融緩和策の継続観測を背景にした上昇トレンドの再開を示唆している。上値の目処としては、151.95円から127.23円までの下落幅の61.8%戻しとなる142.51円処が想定されるが、この水準は、昨年11月11日の高値142.48円に対応している。

 10時30分に発表される5月豪雇用統計は、失業率の予想は4月と同じ3.7%、新規雇用者数は1.50万人の増加と予想されている。豪準備銀行(RBA)は、雇用情勢よりもインフレ抑制に軸足を置いて追加利上げを示唆しており、ネガティブサプライズとならない限り豪ドル売りには繋がらないのかもしれない。

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