June 26, 2023
【前日の為替概況】ドル円、3日続伸 日銀緩和継続で投資家は円売り姿勢
23日のニューヨーク外国為替市場でドル円は3日続伸。
終値は143.70円と前営業日NY終値(143.11円)と比べて59銭程度のドル高水準だった。
米10年債利回りが3.68%台まで低下したことなどを受けて円買い・ドル売りが先行。
ボスティック米アトランタ連銀総裁が年内の利上げ見送りを支持したことも相場の重しとなり、一時142.72円と日通し安値を付けた。
ただ、下押しは限定的だった。
前日のパウエル米連邦準備理事会(FRB)議長に続き、デイリー米サンフランシスコ連銀総裁が「今年あと2回の利上げは非常に妥当な予測」などと発言すると一転円売り・ドル買いが優勢に。
米10年債利回りが3.75%台まで低下幅を縮めたことも相場を下支えし、一時143.87円と昨年11月以来7カ月ぶりの高値を更新した。
市場では「世界の主要な中央銀行の中で日銀が大規模な金融緩和を続けていることが一段と際立っており、投資家は円を売る姿勢を強めている」との声が聞かれた。
ユーロドルは続落。
終値は1.0894ドルと前営業日NY終値(1.0956ドル)と比べて0.0062ドル程度のユーロ安水準だった。
ユーロ圏の6月購買担当者景気指数(PMI)速報値が軒並み予想を下回ると、ユーロ圏景気への懸念が強まり、欧州序盤には一時1.0845ドルと日通し安値を付けた。
ただ、NY市場に入ると下げ渋る展開に。
ユーロ豪ドルなど一部ユーロクロスの上昇も支えに1.0902ドル付近まで持ち直す場面があった。
ユーロ円は3営業日ぶりに反落したものの、下値は堅かった。
終値は156.66円と前営業日NY終値(156.79円)と比べて13銭程度のユーロ安水準。
利上げ姿勢を崩さない欧州中央銀行(ECB)と大規模な金融緩和を続ける日銀との金融政策の違いが意識されて、この日も円売り・ユーロ買いが出やすかった。
なお、スイスフラン円は一時160.33円まで上昇し、連日で史上最高値を更新した。
スイス国立銀行(中央銀行、SNB)は前日、政策金利を1.75%に引き上げ、声明では「物価安定のため、さらに利上げが必要になる可能性は排除できない」と指摘。
追加利上げの可能性を示唆した。
【本日の東京為替見通し】円安基調は変わらず、口先介入などで乱高下の可能性には要注意
本日のドル円も円安基調は変わらないか。
日本以外の各国がインフレ抑制姿勢をさらに強めていることもあり、円の独歩安が続く可能性は高そうだ。
もっとも、先週発表された本邦の5月コア消費者物価指数(CPI)は、ヘッドラインもコアも市場予想を上回る結果となったことで、日本も大規模緩和策からの脱却を計る可能性もあるだろう。
特に今週末30日に発表される、6月の東京都区部のCPIが高止まった場合には、債券市場が金融緩和是正を催促する相場展開になり、7月の日銀金融政策決定会合でのイールドカーブコントロール(YCC)上限引き上げへの思惑が高まりそうだ。
円安基調はなかなか変わりにくいもの、水準的には為替介入が起こり得る水準での取引が続いていることには警戒したい。
昨年の円買い介入は9月22日に行われたが、ドル円が145.90円に到達した後に行われた。
現行水準から3円にも満たない水準ということもあり、口先介入や、金融機関のフェイク介入などで、市場が急激にドル売り・円買いに傾く場面も考えられることで、注意を怠らないようにしたい。また、岸田内閣の支持率が急降下していることで、円安是正に対する風圧が高まった場合は、支持率回復を狙った動きとしての為替介入なども起こりうるか。
本日は本邦から5月企業向けサービス価格指数と、6月15-16日に行われた日銀金融政策決定会合における主な意見が公表される。
もっとも、よほどのサプライズとなることが公表されない限りは、市場が動意づくのは難しいと言えそうだ。
国外の動きでは、ロシア情勢には引き続き要警戒。
24日には民間軍事会社ワゴネルとロシアの正規軍との対立が表面化したが、その後反乱は終結し、ワグネル党首プリゴジン氏がベラルーシへ出発したと報じられた。
もっとも、この件についてブリンケン米国務長官は「土曜日にロシアで起きた混乱はこの国の亀裂を露呈させた」と述べるなど、今後のロシア情勢に変化が生じる可能性がある。
プーチン氏がさらに過激な行動を取るのか、逆にプーチン氏の失脚を狙う動きが表面化するかなど、これまで以上にロシア情勢が不安定になる可能性もあり、ユーロや欧州株式市場が動意づくかもしれない。
【本日の重要指標】 ※時刻表示は日本時間
<国内>
○08:50 ◇ 5月企業向けサービス価格指数(予想:前年比1.8%)
○08:50 ◇ 日銀金融政策決定会合における主な意見(6月15-16日分)
<海外>
○16:15 ◎ ビルロワドガロー仏中銀総裁、講演
○17:00 ◎ 6月独Ifo企業景況感指数(予想:90.6)
○17:15 ◎ ディングラ英中銀金融政策委員会(MPC)委員、講演
○27日02:00 ◎ 米財務省、2年債入札
○27日02:30 ◎ ラガルド欧州中央銀行(ECB)総裁、講演
○ECB中央銀行フォーラム(ポルトガル・シントラ、28日まで)
※「予想」は特に記載のない限り市場予想平均を表す。▲はマイナス。
※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。
※指標などの発表予定・時刻は予告なく変更になる場合がありますので、ご了承ください。
【前日までの要人発言】
23日07:46 イエレン米財務長官
「米国のリセッションの可能性は低下している」
「米金融引き締めのなかでリセッションのリスクは残る」
24日00:13
「収益低迷で今年さらに多くの銀行合併が行われる可能性が高い」
23日21:25 ボスティック米アトランタ連銀総裁
「経済にリスクの要素は見られない」
「インフレ率は高すぎる」
「物価の安定が最優先課題」
「インフレに対処する中で、混乱を最小限に抑えようとしている」
「信用リスクは今後発生する可能性が高く、不動産がリスクとなる可能性」
「年内の利上げ見送りを支持」
23日22:35 デイリー米サンフランシスコ連銀総裁
「過剰引き締めと過少引き締めのリスクはほぼ均衡」
「今年あと2回の利上げは非常に妥当な予測」
「あと2回の利上げは単なる予測、確かなことは分からない」
「金利を据え置き、データを注視するという6月の決定を強く支持」
※時間は日本時間
〔日足一目均衡表分析〕
<ドル円=下値の堅さ示す下ひげともなう足型形成>
下影陽線引け。
142円台で下値を試す展開が先行した。
しかし底堅さを維持し、143.87円まで昨年11月10日以来、7カ月ぶり以上となる高値を更新している。
下値の堅さを示す下ひげをともなう足型形成で、買い基調の継続が示唆されている。
高値警戒感もあり不安定に振れる場面は想定されるものの、142.76円前後で推移する5日移動平均線前後や先週末安値142.72円付近で底堅さを示し上値を試す展開か。
レジスタンス2:145.11(2022/10/27安値)
レジスタンス1:144.58(ピボット・レジスタンス2)
前日終値:143.70
サポート1:143.16(6/23レンジ38.2%水準)
<ユーロドル=雲上限前後の攻防>
下影陰線引け。
一目均衡表・雲の中へ沈み込み15日以来の安値1.0845ドルまで下振れた。
だが、一目・転換線を下回る同水準から反発し、1.09ドル手前で週の取引を終えている。
週明けは雲の上限1.0906前後の攻防となっている。
1.0893ドルへ切り上がった転換線付近では引き続き底堅さを示し、上昇が予想される同線の動きに沿って雲付近からの上放れを試すことになるか。
レジスタンス1:1.0953(6/22-23下落幅の半値戻し)
前日終値:1.0894
サポート1:1.0845(6/23安値)
<ユーロ円=5日線を下回っても大きな崩れ回避できるとみる>
下影小陰線引け。
155.06円まで下落が先行した。
155円後半で推移していた5日移動平均線をからやや下放れたものの反発し、156円台を回復して週引けしている。
週明け156円台へ上昇した5日線を再び下回る場面もありそう。
ただ、先週末安値や、現水準153.93円から上昇が続く見込みの一目均衡表・転換線が下振れ場面の支えになりそう。
相場の大きな崩れは回避できるとみる。
レジスタンス1:157.31(ピボット・レジスタンス1)
前日終値:156.66
サポート1:155.95(6/23レンジ半値水準)
<豪ドル円=転換線が低下へ転じる前にレンジ切り上げたい>
下影陰線引け。
15日以来の安値95.26円まで下振れ後、一目均衡表・転換線95.83円を上回る水準へ戻して週引けできた。
ただ、反発力は十分ともいえず、週明け96.14円へ切り上がった転換線を下回る推移となっている。
同線の動きを追うように多少戻すことができても、上値を伸ばしきれずに失速するリスクが懸念される。
現状では今週末にも低下し始める公算の転換線が下落へ転じる前にレンジを切り上げたい局面といえよう。
レジスタンス1:96.85(6/23高値)
前日終値:95.99
サポート1:95.26(6/23安値)
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DZH Finacial Research
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