本日の東京為替見通し(為替/FXニュース):ドル円の上値は限定的か、本邦企業物価指数・RBNZのMPCに要注目(2023年7月12日)

マーケットレポート

July 12, 2023

【前日の為替概況】ドル円、4日続落 米CPI発表を前に持ち高調整目的の円買い・ドル売り優勢

 

11日のニューヨーク外国為替市場でドル円は4日続落。
終値は140.36円と前営業日NY終値(141.31円)と比べて95銭程度のドル安水準だった。
投機筋の円売り・ドル買いポジションが約5年半ぶりの高水準となる中、鈍化が見込まれている明日の6月米消費者物価指数(CPI)の発表を前に持ち高調整目的の円買い・ドル売りが優勢となった。
欧州時間には一時140.16円と6月16日以来の安値を付けた。

米10年債利回りが上昇に転じたタイミングで一時140.96円付近まで下げ渋る場面もあったが、戻りは鈍かった。
米10年債利回りが再び低下すると一時140.30円付近まで押し戻された。

ユーロドルは小幅ながら4日続伸。
終値は1.1009ドルと前営業日NY終値(1.1001ドル)と比べて0.0008ドル程度のユーロ高水準だった。
アジア時間には1.1027ドルと5月8日以来約2カ月ぶりの高値を付けたものの、欧米市場では上値の重さが目立った。
欧州時間発表の7月独ZEW景況感調査(期待指数)が▲14.7と予想の▲10.5を下回ったことなどが相場の重しとなり、22時前に一時1.0977ドルと日通し安値を付けた。

ユーロ円は6日続落。
終値は154.52円と前営業日NY終値(155.47円)と比べて95銭程度のユーロ安水準。
ドル円の下落につれた売りが出たほか、独経済指標の下振れを受けて一時154.18円と6月20日以来の安値を付けた。
その後の戻りも154.80円付近にとどまった。

【本日の東京為替見通し】ドル円の上値は限定的か、本邦企業物価指数・RBNZのMPCに要注目

 

本日のドル円も上値は限定的になるか。
先週の内田日銀副総裁による発言以来続いている円安の調整(円の買い戻し)相場が続いているが、この流れが継続される勢いで、ドル円の上値は限定的になりそうだ。

本日も円高を援護射撃するかのように、日経新聞朝刊が「日銀の利上げ時期 ヒントは?」とのタイトルで、来年のマイナス金利解除時期について掲載している。
7月にイールドカーブコントロール(YCC)の上限引き上げが決定されるかは依然として不透明だが、本邦のインフレ傾向が鮮明なこともあり、日銀の軌道修正が年後半に行われる確率は高まっていることで、根強い円の買い戻しになりそうだ。

その中で本日注目されるのが、6月の企業物価指数になる。
5月は市場予想よりも下振れたが前年比で+5.1%になり、昨年の同月が+9.4%だったことを考慮するとインフレ高進は明らかだった。
また、輸入物価指数は前年比で-9.6%となったものの、1年前の同月が44.9%と大幅に上昇していたこともあり、低下することを市場は織り込んでいた。
本日発表される同指標で更にインフレが高進すれば、円相場にも影響を与えそうだ。

もっとも、本日の値動きを限らせるのは、米国入り後に今週最大の注目となる6月の米消費者物価指数(CPI)が発表されること。
すでに、今月の米連邦準備理事会(FRB)の利上げを市場は9割以上織り込んでいるが、更にインフレが進んでいることが確認されれば、7月以後の利上げ期待も高まり、ドル売りの流れが一転する可能性もありそうだ。

ドル円以外で注目されるのは、オセアニア通貨の動き。
本日はニュージーランド準備銀行(RBNZ)が金融政策委員会(MPC)を開き、政策金利を発表する。
変化はわずかとされているがMPCの権限と憲章が更新されてから初めてのMPCとなることで、これまでとは発表される声明内容に変化が生じる可能性もある。
なお、前回は5対2の票決によって利上げが決定されたが、今回は据え置き予想となっている。
また、RBNZのMPC後に豪準備銀行(RBA)のロウ総裁の講演も予定されていることで、豪ドルも値動きが荒くなることが予想される。

【本日の重要指標】 ※時刻表示は日本時間

<国内>
○08:50 ◎ 5月機械受注(予想:船舶・電力除く民需 前月比1.0%/前年比▲0.1%)
○08:50 ◇ 6月企業物価指数(予想:前月比0.2%/前年比4.4%)
○岸田首相、北大西洋条約機構(NATO)首脳会議に出席

<海外>
○11:00 ☆ ニュージーランド準備銀行(RBNZ)、政策金利発表(予想:5.50%で据え置き)
○12:04 ◎ ロウ豪準備銀行(RBA)総裁、講演
○15:00 ◎ 英中銀(BOE)、金融安定報告書を公表
○16:00 ◇ 5月トルコ鉱工業生産
○17:00 ◎ ベイリーBOE総裁、金融安定報告書についての会見
○20:00 ◇ MBA住宅ローン申請指数
○21:00 ◎ 5月インド鉱工業生産(予想:前年同月比5.0%)
○21:00 ◎ 6月インド消費者物価指数(CPI、予想:前年比4.58%)
○21:00 ◇ 5月メキシコ鉱工業生産(季調済、予想:前月比横ばい)
○21:30 ☆ 6月米CPI(予想:前月比0.3%/前年比3.1%)
     ☆ エネルギーと食品を除くコア指数(予想:前月比0.3%/前年比5.0%)
○21:30 ◎ バーキン米リッチモンド連銀総裁、講演
○22:00 ◎ ブイチッチ・クロアチア中銀総裁、講演
○22:45 ◎ カシュカリ米ミネアポリス連銀総裁、討議に参加
○22:45 ◎ レーン欧州中央銀行(ECB)専務理事兼チーフ・エコノミスト、パネルディスカッションに参加
○23:00 ☆ カナダ銀行(BOC、中央銀行)、政策金利発表(予想:5.00%に引き上げ)
○23:30 ◇ EIA週間在庫統計
○13日01:00 ◎ 6月ロシアCPI(予想:前月比0.4%)
○13日02:00 ◎ 米財務省、10年債入札
○13日02:00 ◎ ボスティック米アトランタ連銀総裁、講演
○13日03:00 ◎ 米地区連銀経済報告(ベージュブック)
○13日05:00 ◎ メスター米クリーブランド連銀総裁、講演
○NATO首脳会議(リトアニア・ビリニュス、最終日)
○日韓首脳会談(ビリニュス)

※「予想」は特に記載のない限り市場予想平均を表す。
▲はマイナス。
※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。
※指標などの発表予定・時刻は予告なく変更になる場合がありますので、ご了承ください。

【前日までの要人発言】

11日15:43 ビルロワドガロー仏中銀総裁
「2024年のインフレ率は、2.5%程度に低下する見込み」
「2025年のインフレ率は、2%程度まで低下する見込み」
「フランス経済は、リセッション(景気後退)に陥ることなく、インフレを克服できる」
「政策金利は、ターミナルレート(利上げの最終到達点)付近での高止まりが当分続く見込み」

※時間は日本時間

〔日足一目均衡表分析〕

<ドル円=重しとなるテクニカル指標を上値に控え反発限定>

ドル円=重しとなるテクニカル指標を上値に控え反発限定

各ラインの期間

 

陰線引け。
一目均衡表・基準線142.62円を下回る水準でこれまで進んできた円売り相場の調整が進んだ。
一時140.16円と、6月16日安値139.85円など140円割れの水準も視野に入ってきた。

今後の小幅な上昇余地を残す基準線付近へ戻すことも想定できるが、141円台で低下中の5日移動平均線も控えており反発を限定しそう。
基準線付近へ戻すことができても142円台で低下中の一目・転換線が重しとなる。

レジスタンス1  140.81(7/11レンジ半値水準)
前日終値  140.36
サポート1  139.85(6/16安値)
サポート2  139.01(6/13安値)

<ユーロドル=5/8以来の高値圏で気迷い気味の足型形成>

ユーロドル=5/8以来の高値圏で気迷い気味の足型形成

各ラインの期間

 

小陽線引け。
5月8日以来の高値圏でやや気迷い気味の足型を形成した。
調整の下押しを挟む展開も想定しておきたい。
上向きの流れが断たれた感はないが、1.09ドル台で上昇中の5日移動平均線前後や10日安値1.0944ドル付近までの反落は想定して臨むべきか。
下げ止まらなければ一目均衡表・転換線1.0931ドルや1.0927ドル前後で推移している21日線付近に調整がとどまるか見定めることになる。

レジスタンス1  1.1054(5/8高値)
前日終値  1.1009
サポート1  1.0944(7/10安値)

<ユーロ円=転換線-基準線レンジで方向性うかがう状況>

ユーロ円=転換線-基準線レンジで方向性うかがう状況

各ラインの期間

 

陰線引け。
155円台で推移していた21日移動平均線付近で下げ止まることはできず、6月20日以来の安値154.18円まで下落が進んだ。
一目均衡表・転換線156.07円と基準線153.32円に挟まれたレンジ中程で今後の方向性をうかがう状況か。
切り上がりが見込まれる基準線がやがて支えとなり、両線の交差が予想される155円付近へ収れんする相場展開が想定できる。

レジスタンス1  155.06(6/23安値)
前日終値  154.52
サポート1  153.91(ピボット・サポート1)

<豪ドル円=低下傾向の転換線が上伸を阻みそう>

豪ドル円=低下傾向の転換線が上伸を阻みそう

各ラインの期間

 

陰線引け。
一目均衡表・基準線95.23円を下回るレンジで下値を探る動きとなった。
6月9日以来の水準93.47円まで下振れている。
上昇が続く見込みの基準線を追うように戻りを試すことも想定できる。
しかし低下傾向の一目・転換線95.15円が上伸を阻むだろう。

レジスタンス1  94.49(ピボット・レジスタンス1)
前日終値  93.85
サポート1  93.17(6/9安値)

OANDA CFD

Provided by
DZH Finacial Research

「投資を面白く、投資家を笑顔に」をスローガンに、株式や為替など様々な金融マーケットの情報を提供。 豊富な経験を持つエキスパートが多数在籍し、スピーディー且つオリジナルな視点からの情報をOANDA Labに配信しています。
会社名:株式会社DZHフィナンシャルリサーチ
所在地:東京都中央区明石町8番1号 聖路加タワー32階
商号等:【金融商品取引業者】投資助言業/【登録番号】関東財務局長(金商)907号


本ホームページに掲載されている事項は、投資判断の参考となる情報の提供を目的としたものであり、投資の勧誘を目的としたものではありません。投資方針、投資タイミング等は、ご自身の責任において判断してください。本サービスの情報に基づいて行った取引のいかなる損失についても、当社は一切の責を負いかねますのでご了承ください。また、当社は、当該情報の正確性および完全性を保証または約束するものでなく、今後、予告なしに内容を変更または廃止する場合があります。なお、当該情報の欠落・誤謬等につきましてもその責を負いかねますのでご了承ください。

この記事をシェアする
一覧へ戻る

ホーム » マーケットニュース » 本日の東京為替見通し(為替/FXニュース):ドル円の上値は限定的か、本邦企業物価指数・RBNZのMPCに要注目(2023年7月12日)