東京為替見通し=ドル円、6月の日本のコアコア消費者物価指数に要注目か

市場見通し
 20日のニューヨーク外国為替市場でドル円は、前週分の米新規失業保険申請件数が予想より強い内容となり、米10年債利回りが一時3.8701%前後まで急伸したことで140.50円まで上昇した。ユーロドルは米金利の上昇を受けて1.1119ドルまで下落した。ユーロ円は155.87円まで下落した。

 本日の東京外国為替市場のドル円は、日本の6月のコアコア消費者物価指数を見極めた後は、日銀関係者による見解に注目する展開が予想される。

 昨日発表された日本の6月の貿易収支は、467億円の赤字予想に対して、23カ月ぶりとなる430億円の黒字だった。輸出が、自動車の+49.7%などにより、+1.5%の8兆7441億円、輸入は、原油や液化天然ガスの減少が9.2%ポイント影響したことで、-12.9%の8兆7010億円だった。貿易黒字が続いた場合、円売り圧力が後退することになるため、今後は、7月の貿易収支(8月17日に発表予定)に向けて、上旬分(7月28日に発表予定)や上中旬分(8月8日に発表予定)の貿易収支にも注目していきたい。

 8時30分に発表される6月全国コア消費者物価指数(CPI)は、前年比+3.3%と予想されており、5月の同比+3.2%から上昇、コアコアCPIは同比+4.2%と5月の同比+4.3%からの伸び率鈍化が見込まれている。日本銀行がインフレ指標として注視しているコアコアCPIが予想通りに鈍化していた場合、2月の+3.5%、3月の+3.8%、4月の+4.1%、5月の+4.3%までの上昇基調が一服となる。しかし、もし、6月も上昇基調を辿っていた場合、7月27-28日の日銀金融政策決定会合での「経済・物価情勢の展望(展望リポート)」では、新聞報道のように、物価見通しが現在の+1.8%から2%台へ引き上げられる可能性が高まることになる。
 すなわち、「展望リポート」で物価見通しが引き上げられた場合、現状の金融緩和政策が維持されたままでは、整合性が取れなくなるため、7日の内田日銀副総裁や13日の早川元日本銀行理事によるイールドカーブコントロール(YCC)の許容変動幅の拡大を示唆する発言が現実味を帯びることになる。
 内田日銀副総裁は、金融政策ではない長期金利操作の「YCC修正」と、金融政策である短期金利操作の「マイナス金利解消」を分離することで、YCCの許容変動幅の拡大を示唆していた。

 しかしながら、植田日銀総裁は、「持続的・安定的な2%の物価目標までに距離があるとの認識に変化がなければ、粘り強く金融緩和を続ける姿勢も変わらない」と述べて、YCCの許容変動幅の拡大観測を打ち消している。
 日銀政策委員会(9名=正1副2総裁+6人の審議委員)では、植田日銀総裁とリフレ4人組との5対4で、現状の緩和策の維持が予想されている。
 岸田政権は、今秋の衆院解散・総選挙を視野に入れており、10月上旬召集とされる秋の臨時国会前後には「防衛費増額」「子育て支援の財源問題」「24年度税制改正大綱」などが待ち受けている。YCCの許容変動幅を±0.5%から±0.75%、あるいは±1.0%に拡大した場合、岸田政権の財政政策に悪い影響を与え、株価も下がることから、植田日銀総裁は政権へ忖度したのかもしれない。

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