本日の東京為替見通し(為替/FXニュース):ドル円、市場の目線は今晩の米CPIへ(2023年8月10日)

マーケットレポート

August 10, 2023

【前日の為替概況】ユーロ円、一時157.90円まで上昇 伊リスクが後退

 

9日のニューヨーク外国為替市場でドル円は3日続伸。
終値は143.73円と前営業日NY終値(143.38円)と比べて35銭程度のドル高水準だった。
イタリア政府が前日の株式市場混乱の収拾を図るため、銀行の「超過利潤」に課す新税の縮小を表明するとイタリア株中心に欧州株相場が反発。
投資家のリスク回避姿勢が和らぎ円売り・ドル買いが先行した。
ロンドン16時(日本時間24時)のフィキシングに絡んだ円売りのフローが観測されると、一時143.73円まで値を上げた。

フィキシング通過後は米10年債利回りが低下に転じたことが相場の重しとなったほか、3日の高値143.89円がレジスタンスとして意識されたため、伸び悩む場面もあったが、下押しは限定的だった。
4時30分前には一時143.75円と日通し高値を更新した。

ユーロドルは3営業日ぶりに反発。
終値は1.0974ドルと前営業日NY終値(1.0956ドル)と比べて0.0018ドル程度のユーロ高水準だった。
イタリア政府は銀行の「超過利潤」に課す新税の一部を撤回し、多くの銀行にとって影響を抑制する措置を導入すると表明。
前日に大幅安となっていた欧州の主要株価指数が反発すると、投資家のリスク回避姿勢が後退しユーロ買いが優勢となった。
23時過ぎには一時1.0995ドルと日通し高値を更新した。

ただ、買い一巡後はもみ合いに転じた。
明日10日の7月米消費者物価指数(CPI)や11日の7月米卸売物価指数(PPI)など、注目度の高い米経済指標の発表を控えて様子見ムードが広がった。
NY時間の値幅は0.0033ドル程度と比較的小さかった。

ユーロ円は3日続伸。
終値は157.76円と前営業日NY終値(157.10円)と比べて66銭程度のユーロ高水準。
イタリア株中心に欧州株相場が反発すると、投資家のリスク回避姿勢が後退し、円売り・ユーロ買いが優勢となった。
24時前に一時157.90円と本日高値を更新した。
その後の下押しも157.48円付近にとどまった。

メキシコペソは堅調だった。
WTI原油先物相場が昨年11月以来9カ月ぶりの高値を更新すると、産油国通貨とされるメキシコペソに買いが入った。
ドルペソは一時17.0497ペソ、ペソ円は8.43円までペソ高に振れた。

【本日の東京為替見通し】ドル円、市場の目線は今晩の米CPIへ

 

東京タイムでは本邦7月国内企業物価指数などの発表が予定されているが、結果は円相場の動意につながる可能性は低く、今晩の米CPI待ちムードが強いか。
ただ、この国内企業物価指数も、景気動向ひいては金融政策を判断するための一つの材料になるので結果には留意しておきたい。
8日に発表された6月の毎月勤労統計調査では、現金給与総額が前年比+2.3%と18カ月連続の増加となったが、物価変動の影響を除いた6月の実質賃金は15カ月連続で前年割れとなり、減少幅も前月から拡大した。
物価と賃金の好循環を目指す日銀は実質賃金が伸び悩むなか、慎重な金融政策運営を迫られることになる。

今晩にビッグイベントの米7月CPIを控えていることや、明日11日の東京市場が山の日の祝日で休場となることもあり、本日の東京タイムでは積極的な取引は見込めない。
なお、米金融当局者が重視する、変動の激しい食品とエネルギーを除いた米7月コアCPIは前月比+0.2%と2カ月連続で約2年半ぶりの小幅な伸びが見込まれ、前年比でも前月と同じ水準の+4.8%が予想されている。
一方で総合では前年比+3.3%と前月の+3.0%から伸びの加速が見込まれている。
コアCPIがディスインフレの進展を示す結果となれば、9月の米連邦公開市場委員会(FOMC)で政策金利の据え置きが決定されるとの市場の観測を後押しすることになる。
CPIがどんな結果になっても、結果後のドルは荒っぽい動きが予想される。

【本日の重要指標】 ※時刻表示は日本時間

<国内>
○08:50 ◇ 7月企業物価指数(予想:前月比0.2%/前年比3.5%)
○08:50 ◇ 対外対内証券売買契約等の状況(週次・報告機関ベース)

<海外>
○08:01 ◇ 7月英王立公認不動産鑑定士協会(RICS)住宅価格(予想:▲50)
○13:30 ☆ インド中銀、金融政策決定会合(予想:6.50%で据え置き)
○15:00 ◎ 7月ノルウェーCPI(予想:前月比0.7%/前年比5.7%)
○16:00 ◇ 6月トルコ鉱工業生産(予想:前月比▲2.3%)
○16:00 ◇ 6月トルコ失業率
○21:30 ☆ 7月米CPI(予想:前月比0.2%/前年比3.3%)
     ☆ エネルギーと食品を除くコア指数(予想:前月比0.2%/前年比4.8%)
○21:30 ◎ 前週分の米新規失業保険申請件数/失業保険継続受給者数(予想:23.0万件/171.0万人)
○24:00 ◎ デイリー米サンフランシスコ連銀総裁、講演
○11日02:00 ◎ 米財務省、30年債入札
○11日03:00 ◎ 7月米月次財政収支(予想:1093億ドルの赤字)
○11日04:00 ◎ メキシコ中銀、政策金利発表(予想:11.25%で据え置き)
○11日04:00 ◎ ボスティック米アトランタ連銀総裁、あいさつ
○11日05:15 ◎ ハーカー米フィラデルフィア連銀総裁、講演

※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。
※指標などの発表予定・時刻は予告なく変更になる場合がありますので、ご了承ください。

【前日までの要人発言】

9日の金融市場では、要人の発言は特になかった。

※時間は日本時間

〔日足一目均衡表分析〕

<ドル円=一目・転換線が水準切り上げ、下値は堅いまま>

ドル円=一目・転換線が水準切り上げ、下値は堅いまま

各ラインの期間

 

陽線引け。
下押しも143円までと限られ、底堅いまま3日につけた約4週ぶりの高値143.89円に迫った。
142円後半の日足一目・雲の上限が支持水準として働いた形。
ただし、同水準は本日の142.80円台で上昇が一服し、来週にかけて低下する見込みだ。
もっとも一目・転換線が142円台に乗せてきており、下値の堅さはまだ意識されるだろう。

レジスタンス2  145.07(6/30高値)
レジスタンス1  144.20(7/7高値)
前日終値  143.73
サポート1  142.88(日足一目均衡表・雲の上限)
サポート2  142.30(日足一目均衡表・転換線)

<ユーロドル=90日線から8/3安値が支持帯として働くか>

ユーロドル=90日線から8/3安値が支持帯として働くか

各ラインの期間

 

陽線引け。
1.09ドル半ばから1.10ドル手前の狭いレンジで上下した。
1.09ドル後半の日足一目・転換線を僅かに下回って引けたものの、3手ぶりの陽線引けとなった。

転換線は本日1.0979ドルと若干低下。
本日も同線を念頭に置いた取引となりそう。
下サイドでは1.0930ドル台でジワリと水準を上げている90日移動平均線から1.0910ドル台の3日安値までが支持帯として働くか注目したい。

レジスタンス1  1.1019(8/7高値)
前日終値  1.0974
サポート1  1.0912(8/3安値)

<ポンド円=8/1高値を超えることができるかがポイントに>

ポンド円=8/1高値を超えることができるかがポイントに

各ラインの期間

 

ほぼ寄引き同時線引け。
1週間ぶりに183円台に乗せる場面はあったが、大台維持は出来ずに182円後半で引けた。
週初の180円台からしっかりと水準を上げてきたものの、先月末から今月初に頭を抑えられた183円前半が抵抗水準として意識されているもよう。
しかしながら転換線が181円後半まで水準を大きく切り上げてくるなど、上昇基調継続のサインは多い。
1日高値を超えるようだと上げ足を速めそうだ。

レジスタンス1  183.25(8/1高値)
前日終値  182.81
サポート1  182.38(8/9安値)

<NZドル円=一目雲の中で方向感を探る展開続くか>

NZドル円=一目雲の中で方向感を探る展開続くか

各ラインの期間

 

極小陽線引け。
87円前半まで強含むも、8日高値87.31円に僅かに届かず大台割れまで上値を切り下げて終えた。
相場の方向性を示す日足一目・基準線が87.18円に水準を下げ、一方で転換線は87.39円まで切り上がってきた。
均衡表の好転ではあるが、基準線の向き、雲の中で推移、遅行スパンが実線を下回っていることを考えると、本日は方向感を探る展開が続くか。

レジスタンス1  87.46(8/3高値)
前日終値  86.97
サポート1  86.19(8/7安値)

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