本日の東京為替見通し(為替/FXニュース):ドル円、円買い介入を引き続き警戒 NZドルはRBNZ政策に注目(2023年8月16日)

マーケットレポート

August 16, 2023

【前日の為替概況】ドル円、欧州市場の高値145.87円から145.10円まで反落後145.60円台へ

 

15日のニューヨーク外国為替市場でドル円はほぼ横ばい。
終値は145.57円と前営業日NY終値(145.56円)と比べて1銭程度のドル高水準だった。
予想を上回る7月米小売売上高をきっかけにドル買いが先行すると一時145.82円付近まで値を上げたものの、同時に発表された8月米ニューヨーク連銀製造業景気指数が予想を下回ったことが分かるとすぐに失速した。
日本時間夕刻に付けた年初来高値145.87円がレジスタンスとして意識された面もあった。
市場では「政府・日銀が昨年9月に為替介入に踏み切った145円台後半では介入警戒感が強まっている」との声も聞かれた。

その後発表された8月米NAHB住宅市場指数が予想より弱い内容となったことが分かると一段とドル売りが進み、24時前には145.10円と日通し安値を更新した。

ただ、米連邦準備理事会(FRB)が利上げを打ち止めにするとの観測が後退する中、米長期金利が上昇傾向を維持すると再びドル買いが優勢に。
145.00円に観測されているオプション絡みの買いも相場を下支えし、4時過ぎには145.67円付近まで持ち直した。

ユーロドルもほぼ横ばいだった。
終値は1.0905ドルと前営業日NY終値(1.0906ドル)と比べて0.0001ドル程度のユーロ安水準。
予想を上回る米小売指標を受けて一時1.0898ドルと日通し安値を付けたものの、そのあとは低調な米指標を手掛かりにユーロ買い・ドル売りが進み、1.0953ドルと日通し高値を更新した。
ただ、前日の高値1.0961ドルが目先レジスタンスとして働くと再び弱含んだ。
米金利上昇に伴うドル買いも根強く、4時30分過ぎには1.0899ドル付近まで押し戻された。

なお、米連邦公開市場委員会(FOMC)で投票権を有するカシュカリ米ミネアポリス連銀総裁は「インフレ率は現在、鈍化しつつある。
順調な進展を一定程度遂げてきた」と述べた一方、「インフレ率は依然として高過ぎる」との認識を示した。

ユーロ円は3営業日ぶりに小反発。
終値は158.78円と前営業日NY終値(158.74円)と比べて4銭程度のユーロ高水準だった。
欧州時間に一時159.34円と2008年8月以来15年ぶりの高値を付けたものの、NYの取引時間帯に入ると上値が重くなった。
ダウ平均が一時400ドル近く下落するとリスク回避の円買い・ユーロ売りが入り、一時158.69円付近まで下押しした。

【本日の東京為替見通し】ドル円、円買い介入を引き続き警戒 NZドルはRBNZ政策に注目

 

本日の東京外国為替市場のドル円は、引き続き本邦通貨当局のドル売り・円買い介入に警戒する展開となる。

昨年9月22日にドル円が145.90円まで上昇した局面で本邦通貨当局は、ボラティリティー抑制を名目にした第1弾の円買い介入(2兆8382億円)を断行。
ボラティリティーを反映するボリンジャー・バンド+2σは146.12円に位置していた。
昨日のドル円は145.87円まで上昇しており、本日のボリンジャー・バンド+2σは146.43円付近に位置していることで、146円台に向けて上昇する局面では注意が必要かもしれない。

昨日、鈴木財務相は、「為替市場の動向は高い緊張感を持って注視。
行き過ぎた動きには適切に対応。
投機筋の動きがあれば、企業の将来的経営計画や家計にも影響」と円安を牽制。
この投機筋への言及は、昨年9月22日の介入後の発言「投機による過度な変動を見過ごすことはできない」を彷彿とさせるものであり、「断固たる措置」という介入前の常套警告は発せられていないものの、警戒しておきたい。

11時に発表されるニュージーランド準備銀行(RBNZ)の政策金利は、5.50%での据え置きが予想されている。

先月の金融政策決定会合では、据え置きが決定され、これまでの利上げが想定通りに支出を抑制しインフレ圧力を弱めているとの認識が示された。
RBNZはインフレ抑制のため、2021年10月以降、5.25%の利上げを実施して、5.50%に至っている。

NZのインフレ率は鈍化傾向にあり、現在は昨年のピーク7.3%から6.0%まで減速した。
この大幅な利上げを受けて、ニュージーランド経済は急激に冷え込んでおり、昨年第4四半期と今年第1四半期の2四半期連続でマイナス成長となり景気後退(リセッション)に陥っている。
本日は予想通りに据え置きが発表された後の声明で、利下げ時期への言及などに注目か。

【本日の重要指標】 ※時刻表示は日本時間

<国内>
特になし

<海外>
○11:00 ☆ ニュージーランド準備銀行(RBNZ)、政策金利発表(予想:5.50%で据え置き)
○12:00 ◎ オアRBNZ総裁、記者会見
○15:00 ◎ 7月英消費者物価指数(CPI、予想:前月比▲0.5%/前年比6.8%)
○15:00 ◎ 7月英CPIコア指数(予想:前年比6.8%)
○15:00 ◇ 7月英小売物価指数(RPI、予想:前月比▲0.7%/前年比9.0%)
○18:00 ☆ 4-6月期ユーロ圏域内総生産(GDP)改定値(予想:前期比0.3%/前年比0.6%)
○18:00 ◎ 6月ユーロ圏鉱工業生産(予想:前月比▲0.1%/前年比▲4.2%)
○20:00 ◇ MBA住宅ローン申請指数
○20:00 ◇ 6月南アフリカ小売売上高(予想:前年同月比▲0.2%)
○21:15 ◇ 7月カナダ住宅着工件数(予想:24.00万件)
○21:30 ◇ 6月カナダ卸売売上高(予想:前月比▲4.2%)
○21:30 ◎ 7月米住宅着工件数(予想:145.0万件、前月比1.1%)
     ◎    建設許可件数(予想:146.3万件、前月比1.5%)
○22:15 ◎ 7月米鉱工業生産指数(予想:前月比0.3%)
     ◇    設備稼働率(予想:79.1%)
○23:30 ◇ EIA週間在庫統計
○17日03:00 ☆ 米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨(7月25-26日分)

※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。
※指標などの発表予定・時刻は予告なく変更になる場合がありますので、ご了承ください。

【前日までの要人発言】

15日09:51 後藤経財相談話
「実質GDPの水準は過去最高となった」
「個人消費のマイナス、物価上昇の影響もあり食料品や家電等減少などによるもの」
「政府、一過性でない構造的賃上げ後押しや国内投資拡大図る」
「経済・物価情勢注視しつつ、必要があれば機動的対応講じるなど国民目線に立った対応行っていく」

15日10:37 豪準備銀行(RBA)議事要旨
「金利据え置きと0.25%の利上げを検討し、据え置きを決定」
「インフレ率が妥当な期間内に目標に戻ることを確実にするために、金融政策のさらなる引き締めが必要となる可能性があるとの認識で一致」
「さらなる金利引き上げが必要かどうかはデータとリスク評価の進展に依存するだろう」
「これまでの大幅な引き締めが意図したとおりに機能している兆候がある」
「インフレが正しい方向に向かっていることを示す初期の兆候が見られた」
「インフレに関する最近の情報は心強い」

15日11:40 中国家統計局報道官
「生産者物価指数の下落幅、一段と緩やかになると予想」
「中国の景気回復、課題に直面」
「中国輸出、下半期は基本的に安定と予想」
「中国不動産開発会社のリスク、政策の最適化により徐々に解消される可能性」

15日14:23 鈴木財務相
「為替相場、行き過ぎた動きには適切に対応」
「高い緊張感を持って注視している」
「為替相場はファンダメンタルズを反映して安定的に推移することが重要」
「投機筋の動きがあれば、企業の将来的経営計画や家計にも影響」

16日00:11 カシュカリ米ミネアポリス連銀総裁
「経済の回復力に驚いている」
「インフレに関してはある程度の進展が見られた」
「利上げは経済を若干減速させた」
「米国のインフレ率は依然として高すぎる」
「利下げまでは程遠い」
「利上げが終了したと宣言する準備は私にはない」

※時間は日本時間

〔日足一目均衡表分析〕

<ドル円=8/14安値を支持に押し目買いスタンス>

ドル円=8/14安値を支持に押し目買いスタンス

各ラインの期間

 

極小陽線引け。
転換線は基準線を上回り、遅行スパンは実線を上回り、雲の上で引けていることで、三役好転の強い買いシグナルが点灯中。
7手連続陽線で転換線を上回って引けており、続伸の可能性が示唆されている。
しかし145.87円まで上昇して高値圏での寄引同事線的な足で引けたことは、トレンドの転換を示す場合もあるため警戒しておきたい。

本日は、14日の安値を支持に押し目買いスタンスで臨み、同水準を下抜けた場合は手仕舞い。

レジスタンス2  146.59(2022/11/10高値)
レジスタンス1  146.12(151.95円~127.23円の76.4%戻し)
前日終値  145.57
サポート1  144.66(8/14安値)
サポート2  143.70(日足一目均衡表・転換線)

<ユーロドル=転換線を抵抗に戻り売り、雲の上限も注目>

ユーロドル=転換線を抵抗に戻り売り、雲の上限も注目

各ラインの期間

 

極小陰線引け。
雲の中で推移しているものの、転換線は基準線を下回り、遅行スパンは実線を下回っているため売りシグナル優勢な展開。
3手連続陰線で転換線を下回って引けており続落の可能性が示唆されている。
しかし安値圏での寄引同事線的な足で引けたことは、まれにトレンドの転換となる場合もあり警戒しておきたい。
本日は転換線を抵抗に戻り売りスタンスで臨み、同線を上抜けた場合は手仕舞い。
本日1.0940ドル台で上昇中の一目・雲の上限も注目ポイントか。

レジスタンス1  1.0970(日足一目均衡表・転換線)
前日終値  1.0905
サポート1  1.0875(8/14安値)

<ポンド円=上昇トレンド継続、8/14安値を支持に押し目買い>

ポンド円=上昇トレンド継続、8/14安値を支持に押し目買い

各ラインの期間

 

陽線引け。
転換線は基準線を上回り、遅行スパンは実線を上回り、雲の上で引けていることで、三役好転の強い買いシグナルが点灯している。
7手連続陽線で転換線を上回って引けており上昇トレンドは継続。
上値余地を更に試す展開か。

本日は14日の安値を支持に押し目買いスタンスで臨み、同水準を下抜けた場合は手仕舞い。

レジスタンス1  185.86(ピポット・レジスタンス2)
前日終値  184.95
サポート1  183.47(8/14安値)

<NZドル円=雲の上限を抵抗に戻り売りスタンス>

NZドル円=雲の上限を抵抗に戻り売りスタンス

各ラインの期間

 

陰線引け。
転換線は基準線を上回り、遅行スパンは実線を下回り、雲の中で引けている。
抱き線で反落して転換線を下回って引けており、続落の可能性が示唆されている。

本日は、転換線86.99円や雲の下限86.57円を念頭に置き、雲の上限を抵抗に戻り売りスタンスで臨み、同線を上抜けた場合は手仕舞い。

レジスタンス1  87.51(日足一目均衡表・雲の上限)
前日終値  86.63
サポート1  84.95(7/28安値)

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