本日の東京為替見通し(為替/FXニュース):ドル円、円安圧力緩むもドル高が支えに(2023年8月28日)

マーケットレポート

August 28, 2023

【前日の為替概況】ドル円、続伸 FRB議長講演後に米金利上昇

 

25日のニューヨーク外国為替市場でドル円は続伸。
終値は146.44円と前営業日NY終値(145.83円)と比べて61銭程度のドル高水準だった。
8月米ミシガン大学消費者態度指数確報値が69.5と予想の71.2を下回ったことが分かると円買い・ドル売りが先行。
23時過ぎに一時145.73円と日通し安値を更新した。

ただ、売り一巡後は買い戻しが優勢に。
パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長がジャクソンホール会議の講演で「追加利上げの是非は慎重に進めていく」としながらも、「追加利上げは適切な場合に実施する用意がある」「インフレの持続的な鈍化まで景気抑制的な政策を維持する」と述べると米金利の上昇とともにドル買いが入った。
17日の高値146.56円を上抜けると一時146.63円と昨年11月以来約9カ月ぶりの高値を更新した。

なお、市場ではパウエル議長の発言について「年内の追加利上げの可能性が改めて示された。
タカ派的な内容だった」との声が聞かれた一方、「年内に最後の利上げがあるとみているが、今の引き締めサイクルの終了が近いとも言える」との指摘があった。

ユーロドルは続落。
終値は1.0796ドルと前営業日NY終値(1.0810ドル)と比べて0.0014ドル程度のユーロ安水準だった。
低調な米経済指標を手掛かりにユーロ買い・ドル売りが先行。パウエルFRB議長の発言が伝わった直後はドル売りで反応し、一時1.0842ドルの日通し高値を付けた。
ただ、買い一巡後は再び上値が重くなった。
米金利の上昇とともにドル買いが優勢となり、24時前には欧州時間に付けた日通し安値1.0766ドルに面合わせした。
ユーロ圏の景気不安から欧州中央銀行(ECB)の追加利上げ観測が後退する中、ユーロ売りが出やすい面もあった。

なお、ラガルドECB総裁はジャクソンホール会議の講演で「金利を必要なだけ高い水準に設定していく」「インフレ率の低下は適時かつ持続可能である必要」などと語った。

ユーロ円は続伸。
終値は158.03円と前営業日NY終値(157.66円)と比べて37銭程度のユーロ高水準。
ドル円の上昇につれた買いが入ったほか、米国株相場の上昇を背景にリスク・オンの円売りも出て、4時30分前に一時158.25円と日通し高値を更新した。

【本日の東京為替見通し】ドル円、円安圧力緩むもドル高が支えに

 

本日の東京市場では主な経済指標など注目のイベントは乏しい。
ドル円は日中株価の動向や日米金利動向を眺めながらの動きも、先週末に注目のパウエルFRB議長の講演を通過し、堅調地合いを維持したことで、本日も下値の堅い動きが見込まれる。
日銀による長短金利操作の修正などを受けて円安の圧力はやや後退しているものの、ドル高地合いが続いていることがドル円の支えになる。

パウエルFRB議長は先週末の講演で、一段の金融引き締めの判断は「慎重に進める」としながら「適切であれば一段の利上げをする用意がある」と明言した。
FRBは依然としてインフレが目標の2%に回帰するために政策金利が十分に高いとは結論付けていないと強調した。
金利先物市場では依然として約8割が9月の米連邦公開市場委員会(FOMC)で政策金利の据え置きを織り込んでいるものの、11月FOMCでの利上げ織り込みは5割超にやや上昇している。
米景気が予想以上に堅調で、インフレ圧力も根強いなか、FRBは11月と12月もしくは来年1月に2回の追加利上げに踏み切る可能性がある。
日米金融政策見通しの格差は引き続きドル買い・円売りの要因となる。

ただ、ドル円の上昇局面では引き続き日本政府・日銀による円買い介入が警戒される。
また、先週に日銀が公表した7月基調インフレ率は統計開始以来最大の伸びを記録した。
本邦の物価上昇圧力は依然として根強いことが示唆されたが、植田日銀総裁は26日にジャクソンホール会議のパネル討論会で「基調的インフレは依然として2%目標を下回っている」「日銀の緩和継続は目標を下回っているインフレが理由」などの見解を示した。
日銀の更なる政策修正への意識が高まるかどうかにも注目したい。

【本日の重要指標】 ※時刻表示は日本時間

<国内>
○14:00 ◇ 6月景気動向指数改定値
○未定 ◇ 8月月例経済報告

<海外>
○10:30 ◎ 7月豪小売売上高(予想:前月比0.2%)
○21:00 ◇ 7月メキシコ貿易収支(予想:16.60億ドルの赤字)
○21:00 ◎ ナーゲル独連銀総裁、デコス・スペイン中銀総裁、ホルツマン・オーストリア中銀総裁、講演
○29日00:30 ◎ 米財務省、2年債入札
○29日01:30 ◎ バー米連邦準備理事会(FRB)副議長(銀行監督担当)、講演
○29日02:00 ◎ 米財務省、5年債入札
○英国(サマーバンクホリデー)、休場

※「予想」は特に記載のない限り市場予想平均を表す。▲はマイナス。
※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。
※指標などの発表予定・時刻は予告なく変更になる場合がありますので、ご了承ください。

【前日までの要人発言】

25日07:39 ナーゲル独連銀総裁
「利上げ停止を考えるのは時期尚早」
「欧州の労働市場はかなり良い」
「コアインフレは依然として不快」

25日09:52 ブイチッチ・クロアチア中銀総裁
「金利が十分に制限的かどうかをみている」
「ユーロ圏経済は基本的に停滞している」

25日11:25 鈴木財務相
「(ジャクソンホール会合における)為替動向を含めて注視」

25日16:56 欧州中央銀行(ECB)関係筋
「成長鈍化懸念で利上げ停止論が強まる」
「情勢は流動的」

25日23:05 パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長
「追加利上げの是非は慎重に進めていく」
「追加利上げは適切な場合に実施する用意がある」
「実質金利はプラス圏で大半の中立推定値を大きく上回る」
「7月PCE価格指数は前年比3.3%、コア4.3%上昇と予想」
「インフレの持続的な鈍化まで景気抑制的な政策を維持する」
「トレンドを上回る継続的な成長は引き締めを正当化する可能性も」
「政策は引き締め基調だが、FRBは中立金利水準が正確に何であるかを確定できていない」

26日00:11 ハーカー米フィラデルフィア連銀総裁
「金利を据え置き、経済がどう進展するかを見極める」
「インフレ低下が停滞すれば、さらなる利上げが必要になる可能性がある」

26日00:44 メスター米クリーブランド連銀総裁
「おそらくまだやるべきことがある」
「6月の予想以来、基調的な勢いはさらに強くなっている」
「6月予測で私は来年の利下げを想定せず」
「4%超のコアインフレ率は依然として高すぎる」

26日01:40 グールズビー米シカゴ連銀総裁
「ソフトランディングに自信を持っている」
「将来のFRBの行動について憶測するのは好きではない」
「まだまだ先は長い」

26日01:53 ホルツマン・オーストリア中銀総裁
「ECBが再び利上げするかどうかは最終的にデータ次第」
「ECBは金利をもう少し引き上げる必要があるのではないかとみている」
「コアインフレは依然として非常に高い」

26日04:14 ラガルド欧州中央銀行(ECB)総裁
「金利を必要なだけ高い水準に設定していく」
「中銀は物価期待を抑制する必要」
「インフレ率の低下は適時かつ持続可能である必要」

26日04:18 カザークス・ラトビア中銀総裁
「まだ利上げに傾いている」

※時間は日本時間

〔日足一目均衡表分析〕

<ドル円=転換線を上回る水準で底堅い動き続きそう>

ドル円=転換線を上回る水準で底堅い動き続きそう

各ラインの期間

 

陽線引け。
一時146.63円と昨年11月以来、約9カ月ぶりの高値を更新した。
一目均衡表・転換線を上回る水準で推移。
145.59円でしばらく横ばいとなる同線のサポートを背景とした底堅い動きが続くか。
昨年11月8日高値146.93円や同7日高値147.57円といった上値の節目をこなしながらのじり高の展開を予想する。

レジスタンス2  147.57(2022/11/7高値)
レジスタンス1  146.93(2022/11/8高値)
前日終値  146.44
サポート1  145.96(8/24高値)

<ユーロドル=200日線付近の攻防>

ユーロドル=200日線付近の攻防

各ラインの期間

 

小陰線引け。
一時1.0766ドルと、6月13日以来の安値水準まで下振れる場面があった。
1.08ドル付近で上昇中の200日移動平均線を下回る水準で下げ渋ったものの反発力は不十分。
同線を回復しきれない流れになりやすいか。
200日線を上抜くことができても低下傾向の一目均衡表・転換線1.0851ドルが抵抗になりそうだ。

レジスタンス1  1.0851(日足一目均衡表・転換線)
前日終値  1.0796
サポート1  1.0733(6/12安値)

<ユーロ円=転換・基準線が接近するレンジへ収れんするか>

ユーロ円=転換・基準線が接近するレンジへ収れんするか

各ラインの期間

 

下影陽線引け。
一時158.25円と、一目均衡表・転換線158.18円を上回る底堅い動きだった。
157円台で上昇中の21日移動平均線を下回る水準で下げ渋ったことも好感できる。
ただ、転換線は現水準で頭打ちとなり低下へ転じる見込み。
21日線付近で底堅さを示しつつも転換線と、今後の上昇が予想される一目・基準線の接近が予想される157円半ばに収れんする展開を予想する。

レジスタンス1  158.85(ピボット・レジスタンス2)
前日終値  158.03
サポート1  157.24(8/25安値)

<豪ドル円=雲の下限付近で動き停滞しやすい状態>

豪ドル円=雲の下限付近で動き停滞しやすい状態

各ラインの期間

 

小陽線引け。
一目均衡表・雲の下限93.79円前後の攻防となっている。
同水準付近には一目・転換線93.54円や基準線93.85円、5・21・90日移動平均線も93円台で推移と主だったテクニカル指標が集積。
同レンジ付近で動意が停滞しやすいとみる。

レジスタンス1  94.23(ピボット・レジスタンス2)
前日終値  93.78
サポート1  93.48(90日移動平均線)

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