September 15, 2023
【前日の為替概況】ユーロ 利上げサイクル終了観測で下落、対ドル1.0632ドル、対円156.64円
14日のニューヨーク外国為替市場でユーロドルは続落。
終値は1.0643ドルと前営業日NY終値(1.0730ドル)と比べて0.0087ドル程度のユーロ安水準だった。
欧州中央銀行(ECB)はこの日の定例理事会で政策金利を現行の4.25%から4.50%に引き上げることを決めたと発表。
市場では金利据え置きを予想する向きも多かっただけに、発表直後はユーロ買いで反応した。
21時30分前には一時1.0747ドル付近まで値を上げた。
ただ、声明では「現在の評価を踏まえ、理事会は政策金利が十分に長期間維持されれば、インフレ率が目標に適時に戻るのに十分に資する水準に達したと考えている」と指摘したほか、2023-25年の成長率見通しを引き下げ、景気の先行きに弱気な見方を示した。
市場では「現在の利上げサイクルが終了した」との見方が広がり、ユーロ売りを促した。
ラガルドECB総裁が理事会後の会見で「景気は今後数カ月、低迷が続くだろう」「経済成長に対するリスクは下方に傾いている」と述べたことも相場の重しとなり、3時前には1.0632ドルと3月20日以来約半年ぶりの安値を付けた。
なお、ECBは今後の金融引き締めについては「データ次第」とし、ラガルド総裁は「ECBの金利がピークに達したかについては言えない」とも語った。
ドル円はほぼ横ばい。
終値は147.47円と前営業日NY終値(147.46円)と比べて1銭程度のドル高水準だった。
8月米小売売上高や8月米卸売物価指数(PPI)、前週分の米新規失業保険申請件数など、この日発表の米経済指標が軒並み予想より強い内容となったことで円売り・ドル買いが先行。
21時30分過ぎに一時147.56円と日通し高値を付けた。
ただ、前日の高値147.73円が目先レジスタンスとして意識されると失速した。
ユーロ円やポンド円などクロス円の下落につれた売りも出て、24時過ぎには147.02円とアジア時間に付けた日通し安値に面合わせした。
もっとも、米10年債利回りが4.29%台まで上昇すると買い戻しが優勢となり、147.49円付近まで持ち直した。
ダウ平均が一時400ドル超上昇するなど、米国株相場が堅調に推移したことも相場を下支えした。
ユーロ円は3営業日ぶりに反落。
終値は156.97円と前営業日NY終値(158.22円)と比べて1円25銭程度のユーロ安水準。
ECBが0.25%の利上げに踏み切ると一時158.39円と日通し高値を付けたものの、すぐに失速した。
声明で政策金利がインフレ抑制に寄与する水準に到達したことが示唆されると、「ECBの利上げは今日が最後になった」との見方が広がりユーロ売りが進んだ。
1時30分前には一時156.64円と日通し安値を更新した。
ポンド円は一時182.52円と8月9日以来の安値を付けた。
ECBの利上げ打ち止め観測が強まると、英中銀(BOE)による追加利上げ観測も後退しポンド売りを促した。
ポンドドルも一時1.2397ドルと6月7日以来約3カ月ぶりの安値を更新した。
【本日の東京為替見通し】ドル円、19-20日のFOMC控えた3連休前で動きづらい展開か
本日の東京外国為替市場のドル円は、来週19-20日に開催される米連邦公開市場委員会(FOMC)を控えた3連休前となるため動きづらい展開が予想される。
昨日のユーロドルは、欧州中央銀行(ECB)のハト派的利上げを受けて1.06ドル台前半まで下落し、ポンドドルもイングランド銀行の利上げ継続観測が後退していることなどで、1.23ドル台後半まで下落している。
ドルは全面高の様相を呈し始めているものの、ドル円が依然として148円の壁の前で足踏みをしているのは、本邦通貨当局によるドル売り・円買い介入への警戒感があるのかもしれない。
ドル円のトレンド系のテクニカル指標(順張り指標)では、依然として上昇基調が示唆されているが、オシレーター系指標(逆張り指標)は、弱気の乖離(ベアリッシュ・ダイバージェンス)による反落が示唆され、サイクル系指標も、日柄的に反落を示唆している。
シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)グループがFF金利先物の動向に基づき算出する「フェドウオッチ」は、来週19-20日の米連邦公開市場委員会(FOMC)では、約97%程度の確率で金利据え置きを示唆している。
そして、利下げ開始は、2024年6月FOMCからだと示唆している。
また、米ウォールストリート・ジャーナルのFEDウォッチャー、ニック・ティミラオス記者は、10日付の記事で、「FRBは利上げに慎重になりつつある」との見解を示している。
一部の市場筋の見立てでは、来週のFOMCでは据え置きだが、11月と12月のどちらかに0.25%の利上げが決定され、ドット・プロット(金利予測分布図)が示唆していた年末のFF金利誘導目標5.50-75%に到達するという「タカ派的据え置き」が予想されている。
11時に発表される8月の中国の鉱工業生産や小売売上高では、中国の景況感悪化への警戒感が高まっていることで、ネガティブサプライズだった場合は、リスク回避地合いとなるため警戒しておきたい。
小売売上高の予想は、前年比+3.0%で、7月の同比+2.5%から改善、鉱工業生産の予想は、同比+3.9%で、7月の同比+3.7%からの改善が見込まれている。
中国人民銀行は、昨日、個人消費の弱い伸びや投資の減少など低迷する景気を支えるため、今年2回目となる預金準備率の引き下げを発表している。
【本日の重要指標】 ※時刻表示は日本時間
<国内>
○13:30 ◇ 7月第三次産業活動指数(予想:前月比0.3%)
<海外>
○11:00 ◎ 8月中国鉱工業生産(予想:前年比3.9%)
○11:00 ◎ 8月中国小売売上高(予想:前年比3.0%)
○15:45 ◇ 8月仏消費者物価指数(CPI)改定値(予想:前月比1.0%/前年比4.8%)
○15:45 ◎ ビルロワドガロー仏中銀総裁、講演
○18:00 ◇ 7月ユーロ圏貿易収支
○18:45 ◎ ラガルド欧州中央銀行(ECB)総裁、講演
○19:30 ◎ ロシア中銀、政策金利発表(予想:12.00%で据え置きと13.00%に引き上げで拮抗)
○21:00 ◎ 7月ブラジル小売売上高(予想:前年同月比1.8%)
○21:30 ◇ 7月対カナダ証券投資
○21:30 ◇ 7月カナダ製造業出荷(予想:前月比0.7%)
○21:30 ◎ 9月米ニューヨーク連銀製造業景気指数(予想:▲10.0)
○21:30 ◇ 8月米輸入物価指数(予想:前月比0.3%)
○22:15 ◎ 8月米鉱工業生産指数(予想:前月比0.1%)
◇ 設備稼働率(予想:79.3%)
○23:00 ◎ 9月米消費者態度指数(ミシガン大調べ、速報値、予想:69.1)
※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。
※指標などの発表予定・時刻は予告なく変更になる場合がありますので、ご了承ください。
【前日までの要人発言】
14日21:21 欧州中央銀行(ECB)声明
「2023年のインフレ見通しを+5.6%(前回は+5.4%)、2024年を+3.2%(前回は+3.0%)、2025年を+2.1%(前回は+2.2%)と予想」
「2023年のGDP見通しを+0.7%(前回は+0.9%)、2024年を+1.0%(前回は+1.5%)、2025年は+1.5%(前回は+1.6%)と予想」
「金利は十分に抑制的な水準に設定する」
14日21:52 ラガルド欧州中央銀行(ECB)総裁
「インフレは依然として高すぎる」
「経済は今後数カ月、抑制される可能性」
「雇用の伸び、勢いは減速している」
「第3四半期の成長は弱いだろう」
「基調的インフレの大半の指標、低下を始めている」
「インフレ、今後数カ月で低下を見込む」
「現行の金利水準は2%のインフレ目標の達成を助ける」
「パンデミック緊急購入プログラム(PEPP)の再投資については議論しなかった」
「金利が高水準にとどまる期間について議論しなかった」
「ECBの金利がピークに達したかについては言えない」
※時間は日本時間
〔日足一目均衡表分析〕
<ドル円=転換線を支持に押し目買いスタンス>
小陽線引け。
転換線は基準線を上回り、遅行スパンは実線を上回り、雲の上で引けていることで、三役好転の強い買いシグナルが点灯中。
3手連続陽線で転換線を上回って引けており続伸の可能性が示唆されている。
反落を示唆する寄引同事線の足型となっていることには警戒しておきたい。
本日は、転換線を支持に押し目買いスタンスで臨み、同線を下抜けた場合は手仕舞い。
レジスタンス2 148.40(2022/11/4高値)
レジスタンス1 147.87(9/7・8高値)
前日終値 147.47
サポート1 146.89(日足一目均衡表・転換線)
サポート2 146.15(日足一目均衡表・基準線)
<ユーロドル=下落中の転換線を抵抗に戻り売りスタンス>
陰線引け。
転換線は基準線を下回り、遅行スパンは実線を下回り、雲の下で引けていることで、三役逆転の強い売りシグナルが点灯中。
2手連続陰線で転換線を下回って引けており続落の可能性が示唆されている。
本日は、下落している転換線を抵抗に戻り売りスタンスで臨み、同線を上抜けた場合は手仕舞い。
レジスタンス1 1.0715(日足一目均衡表・転換線)
前日終値 1.0643
サポート1 1.0551(3/16安値)
<ユーロ円=転換線を抵抗に戻り売りスタンス>
陰線引け。
転換線は基準線を下回り、遅行スパンは実線を下回り、雲の上で引けているものの、売りシグナルが優勢な展開。
抱き線で反落して転換線を下回って引けており続落の可能性が示唆されている。
本日は、転換線を抵抗に戻り売りスタンスで臨み、同線を上抜けた場合は手仕舞い。
レジスタンス1 157.62(日足一目均衡表・転換線)
前日終値 156.97
サポート1 156.35(日足一目均衡表・雲の上限)
<豪ドル円=転換線を支持に押し目買いスタンス>
陽線引け。
転換線は基準線を上回り、遅行スパンは実線を下回り、雲の上で引けていることで、三役好転の強い買いシグナルが点灯している。
5手連続陽線で転換線を上回って引けており続伸の可能性が示唆されている。
本日は、転換線を支持に押し目買いスタンスで臨み、同線を下抜けた場合は手仕舞い。
レジスタンス1 95.90(7/26高値)
前日終値 94.98
サポート1 94.32(日足一目均衡表・転換線)
Provided by
DZH Finacial Research
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