October 11, 2023
【前日の為替概況】ドル円、反発 米長期金利が低下幅を縮めるなか円売り・ドル買い先行
10日のニューヨーク外国為替市場でドル円は反発。
終値は148.71円と前営業日NY終値(148.51円)と比べて20銭程度のドル高水準だった。
米10年債利回りが時間外取引で4.71%台まで低下幅を縮めると円売り・ドル買いが先行。
21時前に一時149.10円と日通し高値を付けた。
ただ、前日の高値149.24円が目先レジスタンスとして意識されると徐々に上値が重くなった。
ボスティック米アトランタ連銀総裁が「これ以上の利上げは必要ないと考える」などと述べたことが相場の重しとなり、2時前には148.55円付近まで下押しした。
米10年債利回りが4.61%台まで低下したこともドル売りを誘った。
もっとも、引けにかけては下げ渋った。
米3年債入札が「低調」だったことから、米10年債利回りが再び低下幅を縮めると、ドル円も148.78円付近まで下値を切り上げた。
ユーロドルは反発。
終値は1.0605ドルと前営業日NY終値(1.0567ドル)と比べて0.0038ドル程度のユーロ高水準だった。
米連邦準備理事会(FRB)高官らによるハト派寄りの発言を受けて、米長期金利が低下すると全般ドル売りが進んだ。
1時過ぎには1.0620ドルと日通し高値を更新した。
ただ、引けにかけては伸び悩んだ。
市場では「12・13日のNYカット(日本時間23時)に行使期限を迎えるまとまった規模のオプションが1.06ドル台前半に観測されており、同水準付近では上値が重くなっている」との声が聞かれた。
ユーロ円も反発。
終値は157.72円と前営業日NY終値(156.93円)と比べて79銭程度のユーロ高水準。
欧州株相場の上昇を背景に投資家のリスク志向が改善すると円売り・ユーロ買いが進行。
欧州市場序盤には一時157.98円と日通し高値を更新した。
ただ、NY市場ではドル円の下落につれた売りが出たため、やや上値の重さが目立った。
3時30分前には157.54円付近まで下押しする場面があった。
【本日の東京為替見通し】ドル円、連日FRB高官の発言が重しに
本日、東京タイムでは主な経済指標の発表や注目のイベントは予定されておらず、ドル円は日中株価や時間外米長期金利の動向を眺めながらの動きも、大きな方向感は出にくく新規の手がかり待ちとなる。
昨日、連休明けの米長期金利は大幅に低下したものの、ドル円は「米長期金利上昇と介入警戒感」の綱引きに揺れる相場展開は変わっていない。
ドル円の下押し局面では依然として日米金融政策の格差を意識した買いが入りやすい一方で、節目の150円に近づけば円買い介入への警戒感が高まる。
連日、米連邦準備理事会(FRB)高官らの発言が米長期金利の低下とドル円の上値を圧迫する要因となっている。
9日はローガン米ダラス連銀総裁が「米長期債利回りの急上昇は金融当局による追加利上げの必要性を減らす可能性がある」と述べたほか、ジェファーソンFRB副議長が「追加的な金融引き締めが必要な程度を慎重に評価する段階にきている」との見解を示した。
また、昨日はボスティック米アトランタ連銀総裁が「これ以上の利上げは必要ない」と表明した。
本日も複数のFRB高官の発言機会があり、その発言内容に注目。
FRBによる年内後1回の追加利上げがあるかどうかをめぐっては、市場でも見方が分かれており、今晩の米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨(9月19-20日分)や明日12日に発表予定の9月米消費者物価指数(CPI)に注目が集まっている。
【本日の重要指標】 ※時刻表示は日本時間
<国内>
特になし
<海外>
○15:00 ◎ 9月独消費者物価指数(CPI)改定値(予想:前月比0.3%/前年比4.5%)
○16:00 ◇ 8月トルコ経常収支(予想:5.3億ドルの赤字)
○17:15 ◎ ボウマン米連邦準備理事会(FRB)理事、講演
○17:15 ◎ クノット・オランダ中銀総裁、講演
○20:00 ◇ MBA住宅ローン申請指数
○20:00 ◎ デコス・スペイン中銀総裁、講演
○21:00 ◎ 9月ブラジルIBGE消費者物価指数(IPCA、予想:前年同月比5.27%)
○21:30 ◇ 8月カナダ住宅建設許可件数(予想:前月比0.5%)
○21:30 ◎ 9月米卸売物価指数(PPI、予想:前月比0.3%/前年比1.6%)
◎ 食品とエネルギーを除くコア指数(予想:前月比0.2%/前年比2.3%)
○23:15 ◎ ウォラーFRB理事、討議に参加
○12日00:15 ◎ ビルロワドガロー仏中銀総裁、講演
○12日01:00 ◎ 9月ロシアCPI(予想:前月比0.7%)
○12日01:15 ◎ ボスティック米アトランタ連銀総裁、講演
○12日02:00 ◎ 米財務省、10年債入札
○12日03:00 ☆ 米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨(9月19-20日分)
○12日05:30 ◎ コリンズ米ボストン連銀総裁、講演
○国際通貨基金(IMF)・世界銀行年次総会(モロッコ・マラケシュ、15日まで)
※「予想」は特に記載のない限り市場予想平均を表す。▲はマイナス。
※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。
※指標などの発表予定・時刻は予告なく変更になる場合がありますので、ご了承ください。
【前日までの要人発言】
10日11:23 鈴木財務相
「今の円安は金利差によるもの」
「財政再建と財政健全化をしっかり主張していきたい」
10日14:50 ビルロワドガロー仏中銀総裁
「金利は今正しい水準」
「追加利上げは望ましくない」
「イスラエル情勢にもかかわらず、インフレ率は低下傾向」
「イスラエル情勢により、インフレ見通しを微調整する理由はない」
10日17:18 国際通貨基金(IMF)
「米国経済は顕著な強さが見られるが、世界全体の成長は依然として弱く不均一」
「2024年の世界のGDP成長率予想を2.9%と、7月時点から0.1%引き下げ」
「ユーロ圏の2024年のGDP成長率予想は1.2%と、7月時点より0.3%引き下げ」
「中国の2024年のGDP成長率予想は4.2%と、7月時点より0.3%引き下げ」
10日22:57 ボスティック米アトランタ連銀総裁
「インフレは大幅に改善したが、道のりは長い」
「私のドット・プロットにはリセッション(景気後退)はない」
「これ以上の利上げは必要ないと考える」
「経済は明らかに減速しているが、多くの影響はこれから起こるだろう」
11日02:33 ウォラー米連邦準備理事会(FRB)理事
「FRBは物価安定を達成するために職務を続ける」
「FRBはインフレ率を目標の2%まで下げると決意」
11日03:37 バイデン米大統領
「ハマスに拘束されている人々の中にアメリカ国民も含まれていることを我々は知っている」
「これはテロだ」
「米国はイスラエルを支持する」
「イスラエルには攻撃に対応する権利と義務がある」
「米国はイスラエルを支援しており、イスラエルが自国を守ることができるようにする」
11日04:48 カシュカリ米ミネアポリス連銀総裁
「インフレは下サイドに向かっている」
「長期債利回りは上昇しているが、インフレは上昇していない」
「現在、10年債利回りが上昇している理由は少々不可解だ」
※時間は日本時間
〔日足一目均衡表分析〕
<ドル円=転換線付近で頭打ちの可能性も、基準線が支え>
小陽線引け。
149円台へ浮上する場面もあった。
しかし終値は148.71円と、一目均衡表・転換線148.80円を回復しきれない。
現状からすれば転換線は来週にも148.85円へいったん切り上がる見込み。
同線付近の底堅さをしばらく維持するとみるが、このまま相場が伸び悩めば転換線は同水準で頭打ち。
相場も頭打ちとなる示唆ともいえる。
ただ、代わって一目・基準線148.04円がやがて現行の転換線付近の水準まで上昇する見込みで下落を限定するとみる。
レジスタンス2 149.53(10/6高値)
前日終値 148.71
サポート1 148.04(日足一目均衡表・基準線)
サポート2 147.43(10/3安値)
<ユーロドル=21日線や基準線を試す動きに>
陽線引け。
9日に長めな下ひげをともなう小陽線を形成して目先的な底堅さを示した後を受け21日移動平均線や一目均衡表・基準線を試す動きとなった。
1.06ドル付近で低下中の両線付近では相応の売り圧力が生じているもよう。
一方で下値1.0534ドルに控える一目・転換線は底打ちから1.06ドル台を目指して切り上がる流れを開始し始めた見込み。
重いながら底堅さを維持して戻りを試す展開が期待できる。
レジスタンス1 1.0672(9/22高値)
前日終値 1.0605
サポート1 1.0534(日足一目均衡表・転換線)
<ポンド円=6日に伸び悩んだ際の高値上抜けうかがう様相>
陽線引け。
一時182.79円と、先週末6日の伸び悩んだ際の高値182.98円の上抜けをうかがう様相となった。
182.35円前後で上昇中の90日移動平均線付近を支えにこのまま戻りを試す展開となるか。
低下し始めた一目均衡表・基準線181.94円の動きを追うように下値を探るリスクはあるものの、その場合も底打ちから182円台回復をうかがう一目・転換線がやがて下値を押し上げることになるだろう。
レジスタンス1 183.15(ピボット・レジスタンス1)
前日終値 182.72
サポート1 182.02(10/9-10上昇幅の半値押し)
<NZドル円=目先のすう勢を示す5日線の上昇を伴い上昇>
陽線引け。
目先のすう勢を示す短期5日移動平均線の上昇を伴い上昇し、9月29日につけた年初来高値90.20円を視野に入れた動きとなっている。
下押しがあっても本日89.44円前後で推移する5日線付近や昨日安値89.31円といった水準にとどめ高値更新をうかがう展開を予想。
伸び悩んだ際、次に支えとなりそうな9日安値88.91円や一目均衡表・転換線88.65円から多少かい離している点には注意が必要か。
レジスタンス1 90.35(10/6-9下落幅の倍返し)
前日終値 89.91
サポート1 89.31(10/10安値)
Provided by
DZH Finacial Research
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