本日の東京為替見通し(為替/FXニュース):ドル円、中東の地政学リスクに警戒しながらの相場展開か(2023年10月17日)

マーケットレポート

October 17, 2023

【前日の為替概況】NYダウ上昇でリスクオン ドル円149.76円、ユーロ円157.99円

 

16日のニューヨーク外国為替市場でユーロドルは3営業日ぶりに反発。
終値は1.0560ドルと前営業日NY終値(1.0510ドル)と比べて0.0050ドル程度のユーロ高水準だった。
「米金利動向や中東情勢を見極めたい」との声が聞かれる中、しばらくは1.05ドル台前半でのもみ合いが続いていたが、今週本格化する米企業決算への期待感から米国株相場が大幅に上昇するとリスク・オンのドル売りが次第に強まった。
前週末の高値1.0559ドルを上抜けると、5時前に一時1.0563ドルと日通し高値を付けた。

なお、主要通貨に対するドルの値動きを示すドルインデックスは一時106.18まで低下した。

ドル円は小幅ながら続落。
終値は149.51円と前営業日NY終値(149.57円)と比べて6銭程度のドル安水準だった。
米10年債利回りが4.72%台まで上昇したことなどを手掛かりに買いが先行。
米国株高に伴う円売りも相場の追い風となり、一時本日高値となる149.76円まで値を上げた。

ただ、前週末の高値149.83円が目先レジスタンスとして意識されると上値が重くなった。
対ユーロなどでドル売りが進んだ影響も受けて、一時149.50円付近まで下押しした。
心理的節目である150円に近づくと、政府・日銀による為替介入への警戒感も高まるようだ。

もっとも、NY時間の安値は149.41円で値幅は35銭程度と小さかった。

ユーロ円は3日ぶりに反発。
終値は157.90円と前営業日NY終値(157.20円)と比べて70銭程度のユーロ高水準。
ダウ平均が一時410ドル超上昇するなど、米国株相場が底堅く推移するとリスク・オンの円売りが優勢となり、一時157.99円と本日高値を更新した。
ただ、前週末の高値158.05円が目先レジスタンスとして意識されると伸び悩む場面もあった。

代表的な暗号資産(仮想通貨)であるビットコインは行って来いの展開。
「米証券取引委員会(SEC)はビットコイン現物ETFを承認」との観測報道が伝わると、対ドルで一時3万0002ドル前後、対円で447万円台まで急伸したものの、すぐに失速した。
現物ビットコインETFを申請している資産運用大手ブラックロックが「引き続き審査中」とのコメントを発表し、当該報道を否定したため一転下落した。

【本日の東京為替見通し】ドル円、中東の地政学リスクに警戒しながらの相場展開か

 

本日の東京外国為替市場のドル円は、中東の地政学リスクを警戒しながらの相場展開が予想される。

昨日は、神田財務官が「為替相場が激しく下落した場合には、国は金利を上げることによって資本流出を止めるか、為替介入で過度の変動に対抗する」と述べた。
そして、昨年の為替介入については、「ファンダメンタルズから外れて、過度な変動が見られた。
それが国民、特に企業と家計の経済行動に多大なる問題をもたらしていることは看過できないので介入した」と述べている。

昨年10月21日と24日の本邦通貨当局によるドル売り・円買い介入は、10月12-13日のG20財務相・中央銀行総裁会議の後に断行された。
今年も、先週末12-13日にG20会合が行われ、鈴木財務相が「為替は場合によって適切な対応が求められる」と述べ、神田財務官も「為替介入で過度の変動に対抗する」と円安を牽制していることで、週末に向けて150円台へ上昇する局面では要警戒となる。

一方で、IMFアジア太平洋局のサンジャヤ・パンス副局長は、「介入の必要性を裏付けるような主要基準である市場の機能不全、金融安定へのリスク、制御不能になったインフレ期待は見当たらない」と述べ、円安抑制のための円買い介入に否定的な見解を示している。

今回のG20会合では、為替に関しては、2017年5月の合意が再確認されている。
2017年5月のG7合意では、為替レートが市場で決定されることなどを再確認し、すべての国が通貨の競争的な切り下げを回避することの重要性を強調する、としていた。

中東情勢に関しては、イスラエルが地上攻撃を始めた場合にはハマスを支援するイランが参戦を警告していることで、戦火は一気に拡大して第5次中東戦争が勃発するリスクが高まる。
1973年10月に勃発した第4次中東戦争では、第一次石油ショックを引き起こし、円建て資産のトリプル安現象(円安・株安・債券安)となり、原油価格は1バレル3ドル台から11ドル台まで上昇し、日本の消費者物価指数は24%台に急騰した。

もし、第5次中東戦争が勃発して石油ショックが引き起こされた場合、ドル円の急騰は必至であり、「市場の機能不全、金融安定へのリスク、制御不能になったインフレ期待」(パンスIMFアジア太平洋局副局長)の介入条件が満たされることで、本邦通貨当局のドル売り・円買い介入の可能性を高めることになる。

【本日の重要指標】 ※時刻表示は日本時間

<国内>
○13:30 ◇ 8月第三次産業活動指数(予想:前月比0.3%)

<海外>
○09:30 ◎ 10月豪準備銀行(RBA)理事会議事要旨
○15:00 ◎ 9月英雇用統計(失業率/失業保険申請件数推移)
○15:00 ◎ 6-8月英失業率(ILO方式、予想:4.3%)
○18:00 ◎ 10月独ZEW景況感指数(予想:▲9.3)
○18:00 ◎ 10月ユーロ圏ZEW景況感指数
○18:05 ◎ ディングラ英中銀MPC委員、講演
○21:00 ◎ ウィリアムズ米ニューヨーク連銀総裁、討議に参加
○21:15 ◇ 9月カナダ住宅着工件数(予想:24.00万件)
○21:30 ◇ 8月対カナダ証券投資
○21:30 ◎ 9月カナダCPI(予想:前月比0.1%/前年比4.0%)
○21:30 ☆ 9月米小売売上高(予想:前月比0.3%/自動車を除く前月比0.2%)
○22:00 ◎ クノット・オランダ中銀総裁、講演 ○22:15 ◎ 9月米鉱工業生産(予想:前月比横ばい)
     ◇    設備稼働率(予想:79.6%)
○22:20 ◎ ボウマン米連邦準備理事会(FRB)理事、講演
○23:00 ◎ センテノ・ポルトガル中銀総裁、講演 ○23:00 ◇ 8月米企業在庫(予想:前月比0.3%)
○23:00 ◎ 10月全米ホームビルダー協会(NAHB)住宅市場指数(予想:44)
○23:45 ◎ バーキン米リッチモンド連銀総裁、講演
○18日02:00 ◎ デギンドス欧州中央銀行(ECB)副総裁、講演
○18日02:00 ◎ ホルツマン・オーストリア中銀総裁、講演
○18日02:00 ◎ ナーゲル独連銀総裁、講演
○18日05:00 ◎ 8月対米証券投資動向

※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。
※指標などの発表予定・時刻は予告なく変更になる場合がありますので、ご了承ください。

【前日までの要人発言】

16日08:13 バイデン米大統領
「イスラエル情勢で米軍が必要とは考えていない」
「ハマスは完全排除が必要」
「イスラエルは戦争ルールに照らして行動するだろうと確信」

16日17:42 ピル英中銀金融政策委員会(MPC)委員兼チーフエコノミスト
「BOEは金利に関して多くのことをしてきた」
「インフレ率の低下だけで我々の仕事が終わったとは言えない」
「インフレの持続的な要素があれば、持続的な金融政策対応が必要」

16日18:14 神田財務官
「(為替について)必要な時は適切な対応をとっていく」
「金利は為替にとって一つのファクターに過ぎない」

16日18:20 イエレン米財務長官
「米国経済は好調」
「金利上昇は続くかもしれないが、明確ではない」
「財政路線には注意が必要」
「イスラエルとハマスの紛争が経済に及ぼす重大な影響について推測するには時期尚早」

※時間は日本時間

〔日足一目均衡表分析〕

<ドル円=転換線を支持に押し目買いスタンス>

ドル円=転換線を支持に押し目買いスタンス

各ラインの期間

 

小陰線引け。
転換線は基準線を上回り、遅行スパンは実線を上回り、雲の上で引けていることで三役好転の強い買いシグナルが点灯中。
3手連続陽線の後、2手連続陰線で反落したものの、転換線を上回って引けており反発の可能性が示唆されている。

本日は、転換線を支持に押し目買いスタンスで臨み、同線を下抜けた場合は手仕舞い。

レジスタンス2  151.95(2022/10/21高値)
レジスタンス1  150.16(10/3高値)
前日終値  149.51
サポート1  149.00(日足一目均衡表・転換線)
サポート2  148.30(日足一目均衡表・基準線)

<ユーロドル=基準線を抵抗に戻り売りスタンス>

ユーロドル=基準線を抵抗に戻り売りスタンス

各ラインの期間

 

陽線引け。
転換線は基準線を下回り、遅行スパンは実線を下回り、雲の下で引けており、三役逆転の強い売りシグナルが点灯中。
抱き線で切り返したものの転換線を下回って引けており、反落の可能性が示唆されている。

本日は、転換線1.0562ドルを念頭に置き、基準線を抵抗に戻り売りスタンスで臨み、同線を上抜けた場合は手仕舞い。

レジスタンス1  1.0609(日足一目均衡表・基準線)
前日終値  1.0560
サポート1  1.0448(10/3安値)

<ポンド円=転換線を支持に押し目買いスタンス>

ポンド円=転換線を支持に押し目買いスタンス

各ラインの期間

 

陽線引け。
転換線は基準線を上回り、遅行スパンは実線を下回り、雲の中で引けているものの、転換線を上回って引けていることで買いシグナルが優勢な展開。
抱き線で切り返して転換線を上回って引けており続伸の可能性が示唆されている。

本日は、転換線を支持に押し目買いスタンスで臨み、同線を下抜けたら手仕舞い。

レジスタンス1  183.82(10/12高値)
前日終値  182.67
サポート1  182.06(日足一目均衡表・転換線)

<NZドル円=10/10・11の高値を抵抗に戻り売りスタンス>

NZドル円=10/10・11の高値を抵抗に戻り売りスタンス

各ラインの期間

 

陽線引け。
転換線は基準線を上回り、遅行スパンは実線を上回り、雲の上で引けていることで、三役好転の強い買いシグナルが点灯中。
しかし、孕み線で切り返したものの転換線を下回って引けており反落の可能性が示唆されている。

本日は、10・11日の高値を抵抗に戻り売りスタンスで臨み、同線を上抜けた場合は手仕舞い。

レジスタンス  89.93(10/10・11高値)
前日終値  88.61
サポート1  87.32(日足一目均衡表・雲の上限)

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