本日の東京為替見通し(為替/FXニュース):円独歩安の展開変わらず、介入以外の日本売り・円売り回避できずか(2023年11月16日)

マーケットレポート

November 16, 2023

【前日の為替概況】ドル円、反発 米小売売上高やNY連銀製造業景気指数が予想を上回る

 

15日のニューヨーク外国為替市場でドル円は反発。
終値は151.36円と前営業日NY終値(150.37円)と比べて99銭程度のドル高水準となった。
前日の10月米消費者物価指数(CPI)
に続き、10月米卸売物価指数(PPI)が予想を下回ったことが伝わると円買い・ドル売りが先行。
前日の安値150.16円を下抜けて一時150.06円まで値を下げた。

ただ、同時に発表された10月米小売売上高や11月米ニューヨーク連銀製造業景気指数が予想を上回ったことから、そのあとは一転ドル買い戻しが優勢に。
米長期金利の上昇に伴う買いも入り、6時過ぎには一時151.42円と日通し高値を更新した。

なお、米長期金利の指標となる米10年債利回りは4.43%台から4.55%台まで急伸した。

ユーロドルは4営業日ぶりに反落。
終値は1.0848ドルと前営業日NY終値(1.0879ドル)と比べて0.0031ドル程度のユーロ安水準だった。
米インフレ指標の下振れを受けて一時本日高値となる1.0886ドルまで上昇したものの、前日の高値1.0887ドルを上抜けることは出来なかった。
米小売指標の上振れで米長期金利が大幅に上昇したこともユーロ売り・ドル買いを促し、24時前に一時1.0832ドルと日通し安値を更新した。
ユーロ円は4日続伸。
終値は164.20円と前営業日NY終値(163.60円)と比べて60銭程度のユーロ高水準。
欧州市場序盤に一時163.07円と日通し安値を付けたものの、売り一巡後は底堅く推移した。
欧米株価の上昇に伴うリスク・オンの円売りが優勢となり、取引終了間際に一時164.23円と2008年8月以来の高値を更新した。
ユーロ円以外のクロス円の上昇も目立った。
豪ドル円は98.59円と22年9月以来の高値を付けたほか、NZドル円は91.20円と15年4月以来の高値を更新した。
また、スイスフラン円は一時170.50円と連日で史上最高値を更新した。

【本日の東京為替見通し】円独歩安の展開変わらず、介入以外の日本売り・円売り回避できずか

 

本日のドル円も底堅い動きとなりそうだ。
対ドルでは昨年高値には届いていないが、多くの通貨で円安進行の勢いが留まる気配はない。
対スイスフランでは170円台まで円安が進み、円の過去最安値を更新したほか、多くの通貨で10年振り前後の円安水準まで円は売られている。
昨日発表された本邦の7-9月期国内総生産(GDP)も市場予想を下回り、日本経済の落ち込みが深刻になっていることも円安要因だ。
GDPデフレーターは前年比で+5.1%まで上昇し、インフレが加速していることで本邦の金利高を促す要因はあるものの、18カ月も実質賃金がマイナス、実質消費支出も7カ月連続でマイナスとなっていることで、金利引き上げによる景気の更なる落ち込みを懸念する声が大きく、大幅な利上げもできない状況だ。
それにもかかわらず、岸田政権の景気刺激策には失望の声も多く、日本売り・円売りを避けられない相場展開が続くと予想される。

円安を阻止できる唯一の方法は、本邦当局者による実弾介入のみとなっている。
しかしながら、14日に鈴木財務相は為替について万全の対応を行うと発言しつつも、「円安のマイナス面を緩和、プラス面を最大化が重要」「円安はプラスとマイナス双方に様々な影響がある」と述べていることで、円買い介入に二の足を踏むのではないかという憶測もある。
今後も当局者の発言を注意深く読み取る必要があるだろう。

本日は本邦から10月貿易統計、9月機械受注、9月第三次産業活動指数など複数の経済指標が発表される。
本邦の指標での市場の反応は限定的だが、円売り要因となる結果が出た場合には要注意となるか。

アジア時間でのドル円以外では、本日は豪州から10月雇用統計が発表されることで豪ドルの動きが注目される。
なお、豪ドル円は早朝に、2014年12月以来の水準まで豪ドル高・円安が進んでいる。

【本日の重要指標】 ※時刻表示は日本時間

<国内>
○08:50 ◎ 10月貿易統計(通関ベース、予想:季節調整前7357億円の赤字、季節調整済6998億円の赤字)
○08:50 ◎ 9月機械受注(予想:船舶・電力除く民需 前月比0.9%/前年比▲3.6%)
○08:50 ◇ 対外対内証券売買契約等の状況(週次・報告機関ベース)
○13:30 ◇ 9月第三次産業活動指数(予想:前月比▲0.1%)

<海外>
○09:30 ◎ 10月豪雇用統計(予想:失業率3.7%/新規雇用者数2.00万人)
○17:00 ◎ ビルロワドガロー仏中銀総裁、講演
○18:30 ◎ センテノ・ポルトガル中銀総裁、講演
○20:30 ◎ ラガルド欧州中央銀行(ECB)総裁、講演
○20:45 ◎ クノット・オランダ中銀総裁、講演
○21:10 ◎ デコス・スペイン中銀総裁、パネルディスカッションに参加
○21:10 ◎ バー米連邦準備理事会(FRB)副議長、ディスカッションに参加
○22:15 ◇ 10月カナダ住宅着工件数(予想:25.29万件)
○22:30 ◎ 前週分の米新規失業保険申請件数/失業保険継続受給者数(予想:22.0万件/184.7万人)
○22:30 ◎ 11月米フィラデルフィア連銀製造業景気指数(予想:▲9.0)
○22:30 ◇ 10月米輸入物価指数(予想:前月比▲0.3%)
○22:30 ◎ メスター米クリーブランド連銀総裁、あいさつ
○23:15 ◎ 10月米鉱工業生産(予想:前月比▲0.3%)
     ◇    設備稼働率(予想:79.4%)
○23:15 ◎ デギンドスECB副総裁、講演
○23:25 ◎ ウィリアムズ米ニューヨーク連銀総裁、講演
○24:00 ◎ 11月全米ホームビルダー協会(NAHB)住宅市場指数(予想:40)
○17日00:30 ◎ ウォラー米連邦準備理事会(FRB)理事、ディスカッションに参加
○17日00:45 ◎ ラムスデン英中銀(BOE)副総裁、講演
○17日02:00 ◎ クックFRB理事、講演
○17日06:00 ◎ 9月対米証券投資動向
○スペイン首相指名選挙

※「予想」は特に記載のない限り市場予想平均を表す。▲はマイナス。
※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。
※指標などの発表予定・時刻は予告なく変更になる場合がありますので、ご了承ください。

>本日発表予定のその他の経済指標についてはこちら

【前日までの要人発言】

16日03:35 デイリー米サンフランシスコ連銀総裁
「データは一段のインフレ減速を示唆」
「インフレ低下を示す最近のデータは非常に心強い」
「米金融当局は慎重に、時間をかけるべき」
「利上げは思慮深く、時間をかけて、判断を急がず、宣言も行わないようにすべき」
「最近の利回りの急激な低下に対する懸念はほとんどない」
「利下げは当面、実施されないだろう」

16日04:33 習近平・中国国家主席
「世界経済は回復傾向にあるものの依然として低迷が続いている」
「保護主義が台頭している」
「米中関係は世界で最も重要な二国間関係である」
「地球は両国が成功するのに十分な大きさ」

16日04:36 バイデン米大統領
「我々は人工知能と気候について協力できる」
「我々は競争が紛争につながらないようにしなければならない

※時間は日本時間

>本日の要人発言をリアルタイムで確認するならこちら

〔日足一目均衡表分析〕

<ドル円=転換線付近から戻り試す底堅さ示す>

ドル円=転換線付近から戻り試す底堅さ示す

各ラインの期間

 

陽線引け。
一時151.42円まで上昇した。
前日の151.78円からの下落で形成した大陰線すべてを帳消しにはできなかったが、下落幅を大方取り戻せた。

上昇傾向の一目均衡表・転換線150.58円付近から戻りを試す底堅さを示した。
現状からすれば明日には150.93円へ切り上がる同線付近を下支えの水準として、さらに戻りを試す展開が期待できる。

レジスタンス2  152.31(ピボット・レジスタンス2)
レジスタンス1  151.91(11/13高値=年初来高値)
前日終値  151.36
サポート1  150.58(日足一目均衡表・転換線)

>ドル円のリアルタイムチャートはこちら

<ユーロドル=大陽線形成後の調整安も底堅さ維持>

ユーロドル=大陽線形成後の調整安も底堅さ維持

各ラインの期間

 

陰線引け。
前日の上昇で大陽線を形成した後を受けて調整安となった。
しかし値幅は限られ、大陽線後の調整としては軽微。
200日移動平均線1.0804ドルや1.0772ドルへ切り上がった一目均衡表・転換線、一目・雲の上限1.0757ドルといった水準を下支えのポイントに底堅さを維持し、上値トライを再開するとみる。

レジスタンス1  1.0887(11/14高値)
前日終値  1.0848
サポート1  1.0804(200日移動平均線)

>ユーロドルのリアルタイムチャートはこちら

<ポンド円=高値圏で調整売り入るも反落軽微にとどめる>

ポンド円=高値圏で調整売り入るも反落軽微にとどめる

各ラインの期間

 

下影極小陰線引け。
14日に188.29円まで年初来高値を更新した後を受け、達成感から調整の売りが入った。
しかし反落は187.20円までと、14日レンジの半値水準187.19円近辺までと軽微にとどめている。
上値を試す動きを再開できるだろう。

レジスタンス1  188.62(7/28-8/22上昇幅によるN計算値)
前日終値  187.95
サポート1  187.20(11/15安値)

>ポンド円のリアルタイムチャートはこちら

<NZドル円=高値警戒感あるが大きな崩れになりにくそう>

NZドル円=高値警戒感あるが大きな崩れになりにくそう

各ラインの期間

 

陽線引け。
2015年4月以来の水準91.20円まで高値を更新した。
高値警戒感はあるものの、上向きの流れを否定する特段のトレンド系テクニカル指標は見当たらない。
深押しがあっても9月29日高値90.20円や上昇中の一目均衡表・転換線90.07円といった水準が支えとなる。
相場の大きな崩れは回避できそうだ。

レジスタンス1  91.85(ピボット・レジスタンス2)
前日終値  91.14
サポート1  90.70(11/15レンジ半値水準)

>NZドル円のリアルタイムチャートはこちら

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