December 18, 2023
【前日の為替概況】ドル円、4日ぶり反発 141.43円まで下落後に下げ渋る展開へ
15日のニューヨーク外国為替市場でユーロドルは5営業日ぶりに反落。
終値は1.0895ドルと前営業日NY終値(1.0993ドル)と比べて0.0098ドル程度のユーロ安水準だった。
欧州時間発表のユーロ圏の12月製造業・サービス部門PMI速報値が軒並み予想を下回ったことを受けて、NY時間に入ってもユーロ売りが続いた。
ウィリアムズ米ニューヨーク連銀総裁がCNBCとのインタビューで「利下げについて協議しているというほどでもない」「来年3月の利下げについて考えるのは時期尚早」と述べたと伝わると、全般ドル買い戻しが加速。
4時前に一時1.0889ドルと日通し安値を付けた。
ボスティック米アトランタ連銀総裁もロイター通信のインタビューで「来年は第3四半期から2回利下げする可能性が高い」などと発言。
これも早期の利下げ観測の後退につながり、ドル買い戻しを誘った。
ドル円は4日ぶり反発。
終値は142.15円と前営業日NY終値(141.89円)と比べて26銭程度のドル高水準だった。
ウィリアムズ総裁が「利下げは足元の主要な議題ではない」として、早期利下げ期待が拡大する市場をけん制するとドル買い戻しが先行。
22時30分過ぎに一時142.45円付近まで値を上げた。
アジア時間に付けた日通し高値142.47円が目先レジスタンスとして意識されると、いったんは上値が重くなり、0時30分前に一時141.43円と日通し安値を更新した。
ただ、ボスティック総裁の発言が伝わると再び強含み、142.31円付近まで持ち直した。
ユーロ円は反落。
終値は154.85円と前営業日NY終値(156.00円)と比べて1円15銭程度のユーロ安水準。
この日発表のユーロ圏PMIがさえない結果となったことを受けて、NY市場でもユーロ売りが続いた。
0時30分前には一時154.41円と本日安値を更新した。
カナダドル円は堅調だった。
マックレム・カナダ銀行(中央銀行、BOC)総裁が「利下げについて議論するのは時期尚早」「BOCは常に警戒、必要に応じて調整できるようにしておく必要」と発言すると、カナダドル買いが優勢に。
4時30分過ぎに一時106.41円と日通し高値を付けた。
【本日の東京為替見通し】ドル円、上値が重い展開か 日銀会合への警戒感から
本日の東京外国為替市場のドル円は、本日から明日にかけて開催される日銀金融政策決定会合への警戒感から上値が重い展開が予想される。
植田日銀総裁が7日の参院財政金融委員会での答弁で、年末から来年にかけて一段と慎重な金融政策運営が求められるとの認識を示したことで、本日からの日銀金融政策決定会合への警戒感が高まっている。
植田総裁は4月の就任以降の金融政策運営は、さまざまな不確実性が高い状況の下で「チャレンジングな状況が続いているが、年末から来年にかけて一段とチャレンジングな状況になる。
丁寧な説明、適切な政策に努めていきたい」と語った。
そして、「物価目標達成の見通しが立つようになれば、マイナス金利の解除、イールドカーブコントロール(長短金利操作、YCC)のフレームワークの見直しが視野に入ってくる」と述べた。
12月調査の日銀短観では、大企業・製造業の業況判断指数(DI)が+12と3期連続で改善。
2022年3月以来の高水準となり、全般に好調な経済活動が展開されていることを示す結果だった。
雇用人員判断は、大企業製造業が-16、大企業非製造業が-37と人手不足感の強まりが維持されており、人材確保を優先にした企業が賃上げに積極的な対応を取る可能性が高まっている状況が示されている。
すなわち、2%超の消費者物価指数(CPI)上昇を安定的・持続的に維持することが展望できるというマイナス金利解除に向けた条件が整いつつあることが示された。
先週の米連邦公開市場委員会(FOMC)では、フェデラルファンド(FF)金利の誘導目標レンジ5.25-5.50%を、3会合連続で据え置くことを全会一致で決定した。
そして、2024年に3回(x0.25%=0.75%)にわたって金利を引き下げるとの見通しを示し、積極的な利上げキャンペーンが終了したとのシグナルをこれまでで最も明確に発した。
さらに、パウエルFRB議長は「利下げは視野に入り始めており、今回のFOMC会合でも議論した」と述べている。
CMEグループがFF金利先物の動向に基づき算出する「フェドウオッチ」では、来年3月のFOMCで0.25%の利下げが開始され、6回の利下げで12月にはFF金利誘導目標が3.75-4.00%まで引き下げられることが見込まれている。
しかし、先週末は、ウィリアムズ米NY連銀総裁とボスティック米アトランタ連銀総裁が早期の利下げ観測を牽制する発言をしており、今後もFRB高官の発言には警戒しておきたい。
【本日の重要指標】 ※時刻表示は日本時間
<国内>
○日銀金融政策決定会合(1日目)
<海外>
○18:00 ◎ 12月独Ifo企業景況感指数(予想:87.7)
○19:30 ◎ ブロードベント英中銀(BOE)副総裁、講演
○19:45 ◎ ブイチッチ・クロアチア中銀総裁、講演
○21:00 ◎ ウンシュ・ベルギー中銀総裁、講演
○22:30 ◎ シュナーベル欧州中央銀行(ECB)専務理事、講演
○24:00 ◎ 12月全米ホームビルダー協会(NAHB)住宅市場指数(予想:37)
○24:00 ◎ レーンECB専務理事兼チーフ・エコノミスト、講演
※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。
※指標などの発表予定・時刻は予告なく変更になる場合がありますので、ご了承ください。
【前日までの要人発言】
15日10:49 鈴木財務相
「為替市場の動向を注視」
「ファンダメンタルズを反映して安定に推移するのが望ましい」
15日16:37 ビルロワドガロー仏中銀総裁
「欧州中央銀行(ECB)理事会での重要な点は、インフレ見通しの変化」
「2025年までにインフレ率を目標の2%まで引き下げる」
「次の政策行動は、サプライズが無ければ利下げ」
15日18:56 ホルツマン・オーストリア中銀総裁
「地政学リスクや賃金の動向がインフレへの脅威」
「欧州中央銀行(ECB)の政策金利は、ターミナルレート(利上げの最終到達点)に到達した可能性が高まっている」
15日20:31 センテノ・ポルトガル中銀総裁
「インフレ率は、上昇スピードよりも速く下落してきた」
15日22:35 ウィリアムズ米ニューヨーク連銀総裁
「利下げについて今議論しているわけではない」
「金利政策が適切な位置にあるかどうかに注目」
「金利について何が起こるか推測しているわけではない」
「必要なら再利上げの用意が必要」
「3月利下げについて考えるのは尚早」
「マーケットは恐らく予測よりも強く反応」
16日02:29 マックレム・カナダ銀行(中央銀行、BOC)総裁
「利下げについて議論するのは時期尚早」
「経済は2024年も低迷が続くと予想」
「今後2-3四半期は困難になるだろう。
失業率は上昇へ」
「インフレのさらなる低下は緩やかになる可能性が高い」
「2%のインフレ目標は視野に入ってきた」
「明らかに物価安定への道筋にある場合は利下げを検討」
「BOCは常に警戒、必要に応じて調整できるようにしておく必要」
「金利政策決定を東部時間午前10時ではなく東部時間午前9時45分に決定」
「金利政策決定ごとに記者会見を開始する予定」
16日03:17 ボスティック米アトランタ連銀総裁
「来年は第3四半期から2回利下げする可能性が高い」
16日04:06 グールズビー米シカゴ連銀総裁
「3月会合での利下げの可能性は排除しない」
「来年の金利は今より下がるが、大幅ではないとの見通し」
16日06:11 ナーゲル独連銀総裁
「利下げを検討するのは時期尚早」
「ドイツのインフレ鈍化は良いニュース」
「ドイツの輸出需要と個人消費は弱い」
※時間は日本時間
〔日足一目均衡表分析〕
<ドル円=12/14高値を抵抗に戻り売りスタンス>
陽線引け。
転換線は基準線を下回り、遅行スパンは実線を下回り、雲の下で引けていることで、三役逆転の強い売りシグナルが点灯している。
3手連続陰線の後、孕み線で反発したものの転換線144.24円を下回って引けており、反落の可能性が示唆されている。
本日は続伸した場合はまず、142.57円付近に位置する200日移動平均線が意識される。
取引スタンスは14日高値を抵抗に戻り売りで臨み、同水準を上抜けた場合は手仕舞い。
レジスタンス2 144.24(日足一目均衡表・転換線)
レジスタンス1 142.90(12/14高値)
前日終値 142.15
サポート1 140.97(12/14安値)
サポート2 139.93(7/26安値)
<ユーロドル=基準線を支持に押し目買いスタンス>
陰線引け。
転換線は基準線を上回り、遅行スパンは実線を上回り、雲の上で引けていることで三役好転の強い買いシグナルが点灯している。
3手連続陽線の後に孕み線で反落したものの、転換線を上回って引けており、反発の可能性が示唆されている。
本日は転換線1.0867ドルを念頭に置き、基準線を支持に押し目買いスタンスで臨み、同線を下抜けた場合は手仕舞い。
レジスタンス1 1.1009(12/14高値)
前日終値 1.0895
サポート1 1.0841(日足一目均衡表・基準線)
<ユーロ円=低下中の転換線を抵抗に戻り売りスタンス>
陰線引け。
転換線は基準線を下回り、遅行スパンは実線を下回り、雲の下で引けているため三役逆転の強い売りシグナルが点灯している。
抱き線で反落して転換線を下回って引けており、続落の可能性が示唆されている。
本日は156円前半まで低下してきた転換線を抵抗に戻り売りスタンスで臨み、同線を上抜けた場合は手仕舞い。
レジスタンス1 156.18(日足一目均衡表・転換線)
前日終値 154.85
サポート1 153.87(12/14安値)
<豪ドル円=基準線を抵抗に戻り売りスタンス>
陽線引け。
転換線は基準線を下回り、遅行スパンは実線を下回り、雲の下で引けていることで三役逆転の強い売りシグナルが点灯中。
3手連続陰線の後に孕み線で反発した。
しかしながら、転換線を下回って引けており反落の可能性が示唆されている。
本日は転換線95.45円を念頭に置き、基準線を抵抗に戻り売りスタンスで臨み、同線を上抜けた場合は手仕舞い。
レジスタンス1 96.17(日足一目均衡表・基準線)
前日終値 95.28
サポート1 94.17(12/8安値)
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