February 1, 2024
【前日の為替概況】ドル円、米10年債利回り3.91%台まで低下で146.01円まで下落
31日のニューヨーク外国為替市場でドル円は反落。
終値は146.92円と前営業日NY終値(147.61円)と比べて69銭程度のドル安水準だった。
米連邦公開市場委員会(FOMC)後の荒い値動きの中で、5時前に一時146.01円と日通し安値を付けたものの、売り一巡後は急速に買い戻しが進み、5時30分過ぎに147.44円付近まで下げ渋った。
1月ADP全米雇用報告や10-12月期米雇用コスト指数、1月米シカゴ購買部協会景気指数が軒並み予想を下回ったことが分かると、米長期金利の低下とともに全般ドル売りが先行。
市場では「月末のロンドン16時のフィキシングに絡んだ円買いのフローが入った」との指摘があり、軟調に推移した。
その後、米連邦準備理事会(FRB)は今日まで開いたFOMCで市場予想通りFFレートの誘導目標を5.25-5.50%に据え置くことを決めたと発表。
声明では雇用や物価について「リスクのバランスが改善している」と評価したほか、前回までは追加の引き締め策を決定する際の条件を記していたが、今回はその表現を外し「追加利上げの可能性が極めて低くなった」ことを示唆した。
ただ、「インフレが持続的に2%に向かっているとの確信が深まるまで、利下げは適切ではない」との見解を示し、FRBがすぐに利下げに転じるという市場の見方をけん制する表現を新たに盛り込んだ。
加えて、パウエルFRB議長がFOMC後の会見で「適切であれば金利を長期間維持する用意がある」「3月利下げの可能性が高いとは考えていない」などと発言。
FRBの早期利下げ観測が後退し、ドルを買い戻す動きが広がった。
ユーロドルも反落。
終値は1.0818ドルと前営業日NY終値(1.0845ドル)と比べて0.0027ドル程度のユーロ安水準となった。
この日発表の米経済指標が軒並み予想を下回ると、米長期金利の低下とともにドル売りが先行。
前日の高値1.0857ドルを上抜けて一時1.0887ドルまで上値を伸ばした。
ただ、FOMC声明やパウエルFRB議長を受けて米早期利下げ観測が後退すると、ドル買い戻しが優勢に。
5時30分過ぎに一時1.0795ドルと日通し安値を更新した。
ユーロ円は大幅反落。
終値は158.95円と前営業日NY終値(160.09円)と比べて1円14銭程度のユーロ安水準。
21時頃に一時160.27円と日通し高値を付けたものの、対ドル中心に円が全面高の展開になると大幅に値を下げた。
米国株相場や日経平均先物の急落に伴うリスク・オフの円買いも入り、5時前には158.57円と日通し安値を更新した。
なお、ナイト・セッションの日経平均先物は大証終値比580円安の3万5790円まで大幅に下落した。
【本日の東京為替見通し】ドル円、米10年債利回り3.91%台で下値リスクに要警戒か
本日の東京外国為替市場のドル円は、米連邦公開市場委員会(FOMC)声明を受けて米10年債利回りが3.91%台に低下していることで、下値リスクに警戒する展開が予想される。
昨年のドル円は、早期の米連邦準備理事会(FRB)による利下げ開始と日銀によるマイナス金利解除観測から、昨年11月13日の高値151.91円から12月28日の安値140.25円まで11.66円下落した。
今年は、日米金融政策の早期転換観測の後退や新NISA(少額投資非課税制度)による円売り圧力などから、148.80円まで上昇した。
その後、日銀金融政策決定会合での「物価見通しが実現する確度」への言及やFOMC声明文から利上げの可能性を示唆する文言が削除されたことなどで、146.01円まで反落している。
現状のドル円は、147.36円付近に位置している短期的な攻防の分岐点である日足一目均衡表・転換線や中期的な分岐点である90日移動平均線を下回っていることで、下落リスクが高まりつつある。
FOMCでは、4会合連続でFF金利誘導目標5.25-50%の据え置きが決定された。
ハト派的な解釈としては、利上げの可能性を示唆する文言(any additional policy firming)が削除されて、金利引き下げにオープンな姿勢が示唆されたこととなる。
タカ派的な解釈としては、「インフレ率が持続的に2%に向かっているとの確信を強めるまで、誘導目標レンジの引き下げが適切になるとはみていない」と、必ずしも直ちに利下げが必要なわけではないとの認識が示されたこととなる。
また、毎月最大950億ドルのバランスシートの縮小、量的金融引締政策(QT)を継続する意向が示されたこともタカ派となる。
パウエルFRB議長は、3月FOMCでバランスシートについて詳細な議論を行う予定と述べた。
パウエルFRB議長はハト派的な見解として「政策金利は今回の引き締めサイクルにおけるピークにある可能性が高く、経済がおおむね予想通りに展開した場合は景気抑制的な政策を元に戻すことが適切になる公算が大きいとわれわれは考えている」と述べた。
しかし、タカ派的な見解として、「適切だと判断すれば、われわれは現在のFF金利誘導目標レンジをより長期にわたって維持する用意がある。
3月利下げの可能性が高いとは考えていない」、すなわち、「より高く、より長く(higher-for-longer)」の可能性を示唆している。
シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)グループがFF金利先物の動向に基づき算出する「フェドウオッチ」では、3月19-20日のFOMCでは、据え置き確率が65%台へ上昇、5.00-25%への利下げ開始確率が34%台へ低下している。
【本日の重要指標】 ※時刻表示は日本時間
<国内>
○08:50 ◇ 対外対内証券売買契約等の状況(週次・報告機関ベース)
<海外>
○09:30 ◇ 10-12月期豪輸入物価指数(予想:前期比0.6%)
○09:30 ◎ 12月豪住宅建設許可件数(予想:前月比1.1%)
○10:45 ◎ 1月Caixin中国製造業購買担当者景気指数(PMI、予想:50.6)
○16:00 ◇ 1月トルコ製造業PMI
○17:30 ◎ スウェーデン中銀、政策金利発表(予想:4.00%で据え置き)
○17:30 ◇ 1月スイス製造業PMI(予想:44.5)
○17:50 ◎ 1月仏製造業PMI改定値(予想:43.2)
○17:55 ◎ 1月独製造業PMI改定値(予想:45.4)
○18:00 ◎ 1月ユーロ圏製造業PMI改定値(予想:46.6)
○18:15 ◎ センテノ・ポルトガル中銀総裁、講演
○18:30 ◎ 1月英製造業PMI改定値(予想:47.3)
○19:00 ☆ 1月ユーロ圏消費者物価指数(HICP)速報値(予想:前年比2.8%)
○19:00 ☆ 1月ユーロ圏HICPコア速報値(予想:前年比3.2%)
○19:00 ◎ 12月ユーロ圏失業率(予想:6.4%)
○20:30 ◎ レーン欧州中央銀行(ECB)専務理事兼チーフ・エコノミスト、講演
○21:00 ☆ 英中銀(BOE)、政策金利発表(予想:5.25%で据え置き)
○21:00 ☆ 英中銀金融政策委員会(MPC)議事要旨
○21:30 ◎ ベイリー英中銀(BOE)総裁、記者会見
○21:30 ◇ 1月米企業の人員削減数(チャレンジャー・グレイ・アンド・クリスマス社調べ)
○22:30 ◇ 10-12月期米非農業部門労働生産性・速報値(予想:前期比2.5%)
○22:30 ◇ 10-12月期米単位労働コスト・速報値(予想:前期比1.6%)
○22:30 ◎ 前週分の米新規失業保険申請件数/失業保険継続受給者数(予想:21.2万件/184.0万人)
○23:45 ◎ 1月米製造業PMI改定値(予想:50.3)
○24:00 ☆ 1月米サプライマネジメント協会(ISM)製造業景気指数(予想:47.0)
○24:00 ◇ 12月米建設支出(予想:前月比0.5%)
○24:00 ◇ 1月メキシコ製造業PMI
○欧州連合(EU)特別首脳会議(ブリュッセル)
※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。
※指標などの発表予定・時刻は予告なく変更になる場合がありますので、ご了承ください。
【前日までの要人発言】
31日08:50 日銀金融政策決定会合における主な意見(1月22-23日分)
「マイナス金利解除含めた政策修正の要件、満たされつつある」
「物価目標の実現の確からしさ、具体的な経済指標で見極めていく段階に入った」
「能登半島地震の影響は1-2カ月程度フォロー必要、経済への影響確認なら金融正常化可能と判断できる可能性」
「物価目標の達成に現実味、出口の議論を本格化する必要」
「現段階からマイナス金利やYCCの解除について基本的考え方の対外説明は有用」
1日03:34 レーンECB専務理事兼チーフ・エコノミスト
「ECBはインフレ率が2%に向かうというさらなる確信を必要としている」
1日04:00 米連邦公開市場委員会(FOMC)声明
「最近の指標は、経済活動が堅実なペースで拡大していることを示している」
「雇用の増加は昨年初めから鈍化したが依然として強く、失業率も低いままだ」
「インフレは過去1年間で緩和したが、依然として高止まりしている」
「委員会は雇用最大化と長期的な2%のインフレ率の達成を目指す」
「委員会は、雇用とインフレの目標達成に対するリスクのバランスが改善されつつあると判断している」
「経済の見通しは不透明であり、委員会は引き続きインフレリスクに細心の注意を払っている」
「FF金利の目標レンジの調整を検討する際、委員会は今後のデータ、今後の見通し、リスクのバランスを慎重に評価する」
「委員会は、インフレ率が2%に向けて持続的に推移しているという確信がさらに高まるまでは、目標レンジを引き下げるのは適切ではないと考えている」
「委員会は、以前に発表された計画に記載されているように、委員会は保有する米国債およびエージェンシーローン担保証券の削減を続ける」
「委員会はインフレ率を2%の目標に戻すことに強く取り組む」
「金融政策の適切なスタンスを評価する上で、今後も入ってくる情報が経済見通しに与える影響を監視していく」
「もしも委員会の目標の達成を妨げる可能性があるリスクが生じた場合、委員会は金融政策の姿勢を適切に調整する準備がある」
「委員会の評価は、労働市場の状況、インフレ圧力、インフレ期待、金融と世界の動向を含む幅広い情報を考慮する」
「今回の金融政策決定は全会一致」
1日04:38 パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長
「政策金利は制限的な水準に十分入っている」
「インフレは緩和した。それは非常に良いニュース」
「経済活動は堅実なペースで拡大している」
「労働市場は依然として逼迫。需要と供給のバランスは改善している」
「インフレは顕著に緩和したが、依然として目標の2%を上回っている」
「インフレ低下は歓迎。ただ継続的な証拠が必要」
「政策金利はサイクルのピークにある可能性高いと判断」
「インフレが持続的に抑制されるとの確信が得られるまで、FOMCは利下げは見込んでいない」
「適切であれば金利を長期間維持する用意がある」
「年内のある時点で利下げの可能性が高い」
「私たちが見ているものを裏付けるさらなる証拠を確認する必要がある」
「多くのディスインフレは商品セクターからもたらされている」
「成長の加速を問題とは考えていない」
「インフレに関するより良いデータを探している」
「今回の会合では利下げの提案はなかった」
「早すぎる動きや遅すぎる動きを防ぐためにリスク管理モードに入っている」
「労働市場が予想外に弱まれば、確実に早期の利下げが必要となるだろう」
「インフレが予想よりも強かったり、高かったりした場合は、後で行動する必要がある」
「ほぼすべての当局者が利下げが適切であると信じている」
「いつ利下げするかについては大きな隔たりがある」
「全体的に経済に関してはかなり良い状況だ」
「3月利下げの可能性が高いとは考えていない」
「バランスシートに関する詳細な協議を3月に開始する予定」
※時間は日本時間
〔日足一目均衡表分析〕
<ドル円=1/31高値を抵抗に戻り売りスタンス>
陰線引け。
転換線は基準線を上回り、遅行スパンは実線を上回り、雲の上で引けていることで、三役好転の強い買いシグナルが点灯している。
しかし、抱き線で反落して転換線を下回って引けており、続落の可能性が示唆されている。
本日は転換線147.36円を念頭に置き、1月31日の高値を抵抗に戻り売りスタンスで臨み、同水準を上抜けた場合は手仕舞い。
レジスタンス2 148.80(1/19高値)
レジスタンス1 147.90(1/31高値)
前日終値 146.92
サポート1 146.01(1/31安値)
サポート2 144.53(日足一目均衡表・基準線)
<ユーロドル=三役逆転、1/31高値を抵抗に戻り売り>
小陰線引け。
転換線は基準線を下回り、遅行スパンは実線を下回り、雲の下で引けていることで、三役逆転の強い売りシグナルが点灯した。
抱き線で反落して転換線を下回って引けており、続落の可能性が示唆されている。
本日は転換線1.0864ドルを念頭に、1月31日高値を抵抗に戻り売りスタンスで臨み、同水準を上抜けた場合は手仕舞い。
レジスタンス1 1.0887(1/31高値)
前日終値 1.0818
サポート1 1.0724(2023/12/8安値)
<ユーロ円=転換線を抵抗に戻り売りスタンス>
陰線引け。
転換線は基準線を上回り、遅行スパンは実線を上回り、雲の上で推移していることで、三役好転の強い買いシグナルが点灯している。
しかし、抱き線で反落して転換線を下回って引けており、続落の可能性が示唆されている。
本日は転換線を抵抗に戻り売りスタンスで臨み、同線を上抜けた場合は手仕舞い。
レジスタンス1 160.15(日足一目均衡表・転換線)
前日終値 158.95
サポート1 157.48(日足一目均衡表・雲の下限)
<豪ドル円=転換線を抵抗に戻り売りスタンス>
大陰線引け。
転換線は基準線を上回り、遅行スパンは実線を下回っているものの、雲の上で引けていることで、買いシグナルが優勢な展開。
しかし、2手連続陰線で転換線を下回って引けており、続落の可能性が示唆されている。
本日は転換線を抵抗に戻り売りスタンスで臨み、同線を上抜けた場合は手仕舞い。
レジスタンス1 97.16(日足一目均衡表・転換線)
前日終値 96.51
サポート1 95.84(1/2安値)
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