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本日の東京為替見通し(為替/FXニュース):円売り相場継続、今週は1990年以来の円安水準を狙う展開か(2024年3月25日)

マーケットレポート

March 25, 2024

【前日の為替概況】ユーロドル、1.08ドル手前まで下落 ドル円は9日ぶり反落

22日のニューヨーク外国為替市場でユーロドルは続落。
終値は1.0808ドルと前営業日NY終値(1.0860ドル)と比べて0.0052ドル程度のユーロ安水準だった。
欧州中央銀行(ECB)の利下げ開始時期が近づいているとの観測を背景に、この日もユーロ売りが続いた。
欧州時間発表の3月独Ifo企業景況感指数が予想を上回ったことが分かると1.0832ドル付近まで下げ渋る場面もあったが、戻りは鈍かった。
買い戻しが一巡すると再び上値が重くなり、4時30分前に一時1.0802ドルと1日以来の安値を付けた。

なお、ナーゲル独連銀総裁は「おそらく初回の利下げは夏季休暇前になる」「利下げが早すぎた例をこれまでに見てきている」などと述べた一方、シクルーナ・マルタ中銀総裁は「早ければ4月に利下げに踏み切る可能性を排除すべきではない」などと語った。

ドル円は9営業日ぶりに反落。
終値は151.41円と前営業日NY終値(151.62円)と比べて21銭程度のドル安水準だった。
2022年10月21日の高値151.95円やノックアウトオプションが観測されている152.00円手前で上値の重さを確認したこともあって、利食い売りなどが出た。
市場では「前日まで8日続伸した反動で週末を控えたポジション調整目的の売りが出た」との声も聞かれ、21時30分前に一時151.01円と日通し安値を付けた。

ただ、売り一巡後はじりじりと下値を切り上げる展開に。
対ユーロ中心にドル買いが優勢になると、円に対してもドル高が進んだため、151.48円付近まで下げ渋った。

ユーロ円は続落。
終値は163.67円と前営業日NY終値(164.66円)と比べて99銭程度のユーロ安水準。
前日の英中銀(BOE)やスイス国立銀行(中央銀行、SNB)の金融政策公表後に、ECBの利下げ開始時期が近づいているとの見方が一段と強まったことからユーロ売りが出やすい地合いとなった。
24時前には一時163.49円と本日安値を更新した。

【本日の東京為替見通し】円売り相場継続、今週は1990年以来の円安水準を狙う展開か

本日のドル円も堅調地合いが継続されると予想する。
先週は日銀政策決定会合、米連邦公開市場委員会(FOMC)をはじめ、英中銀(BOE)、豪準備銀行(RBA)、スイス国立銀行(SNB)等の主要中央銀行が政策金利を発表した。
日銀は事前に報道機関を使い、地ならしをしたこともあり、17年ぶりの利上げもサプライズとならなかった。
一方、FOMCの経済予測概要(SEP=Summary of Economic Projections)のドットプロットでは、来年以降の利下げが昨年12月時点の予測よりも緩やかになるとの見通しが示された。

RBAは、前回声明で含みを持たせていた利上げの可能性に関する文言を削除。
政策については何も決定されていないとしたが、引き締めバイアスが後退した。
BOEもこれまで利上げに投票していたタカ派メンバーが据え置きに転じ、ベイリーBOE総裁はFT紙で「利下げはインプレー(in play)」と発言し、金利引き下げへの道筋が見えてきていることを示唆した。
そして、SNBに至っては、主要国の中で、ウクライナ侵攻後で初めて利下げへ踏み切っている。
本来ならば、日本以外の主要国が金融緩和姿勢に傾いたことで、円買い・他通貨売りに動く展開となるべきなのだろうが、円の買い戻しは非常に限られたものになっている。

円買いにならない理由としては主に3つ。
1つ目は他国の金融緩和が株買い、特に日経平均の買いを促していることで、リスク選好の動きになりやすいことが挙げられる。
先週末の米株式市場は、ダウ平均こそ5日ぶりに反落したが、ナスダック総合は再び最高値を更新した。

2つ目は、日経新聞が21日に追加利上げの3つのシナリオ(10月・7月・25年以後)を報じ、円安調整への援護射撃となる記事を掲載したが、市場参加者の多くが再利上げに動くほど日本経済が回復過程をたどるとは信じていないことだ。
本日掲載の同紙でも、調査対象の77%が「物価上昇を上回る賃上げ」が実現するとは思わない、と回答している。
昨年、神田財務官が「一般論として日本に魅力がなければ(円は)下がるに決まっている」と発言したように、ファンダメンタルズの弱さの円安も継続している。

そして3つ目は、FOMCでは今年の利下げ回数の予想は前回同様に3回に留まったが、欧州やオセアニア諸国と比較し米国の利下げスピードが緩やかになる可能性があること。
ドルが対欧州通貨やオセアニア通貨に対して強含み、ドル円も連れて買われやすい傾向にある。
これらの複合的な要因で、ドル円も当面は堅調地合いが予想される。

本日は日銀金融政策決定会合議事要旨が発表されるが、1月分のため相場に影響を与えることはないだろう。
また、午後の1月景気動向指数改定値も動意づくとは考えづらい。
市場では、2022年10月に付けた高値151.95円を超えると再び1990年以来の円安になることで、円買い介入を警戒する声がある。
もっとも、日経平均が4万円台に乗せてこれまでと状況が違うことや、利上げという切り札を切った中で、為替介入だけで円安の流れを止めるのは難しいかもしれない。
たとえ介入が実施され円高に動いても、絶好の円の売り場を提供することになりそうだ。

なお、152.00円には大きめのノックアウトオプションが存在し、その水準の手前には防戦の売りがあると先週末は噂されていた。
しかし、先週も欧州入り後は同水準のオプションが減少したこともあり、現時点でどの程度のオプションが存在するかは定かではない。

【本日の重要指標】 ※時刻表示は日本時間

<国内>
○08:50 ☆ 1月22-23日分の日銀金融政策決定会合議事要旨
○14:00 ◇ 1月景気動向指数改定値

<海外>
○14:00 ◎ 2月シンガポール消費者物価指数(CPI、予想:前年比3.2%)
○17:00 ◇ 1-3月期南アフリカ経済研究所(BER)消費者信頼感指数
○19:30 ◎ ホルツマン・オーストリア中銀総裁、講演
○21:25 ◎ ボスティック米アトランタ連銀総裁、討議に参加
○23:00 ☆ 2月米新築住宅販売件数(予想:前月比2.1%/67.5万件)
○23:15 ◎ マン英中銀金融政策委員会(MPC)委員、講演
○23:30 ◎ クック米連邦準備理事会(FRB)理事、講演
○26日02:00 ◎ 米財務省、2年債入札
○インド(水掛け祭)、休場

※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。
※指標などの発表予定・時刻は予告なく変更になる場合がありますので、ご了承ください。

>本日発表予定のその他の経済指標についてはこちら

【前日までの要人発言】

22日09:46 鈴木財務相
※為替の円安について
「政府としては高い緊張感をもって注視」
「為替相場はファンダメンタルズ反映して安定的に推移すること重要」
「為替相場の日々の動きにはコメント控える」

22日11:11 植田日銀総裁
「大規模緩和は役割を果たしたとして終了した」
「国債買い入れの継続で、ネットの国債残高はしばらく現在の水準で推移する」
「長期金利の形成は、基本的に市場に任せる」
「利上げ幅がわずかとの指摘はあるが、利上げは利上げ」
「仮に追加利上げれば、支払利息が増加して収益に下押しとなる」
「社債については少し時間をかけて新規買入をやめる」
「国債購入は、政策変更の消化の様子を見て将来的に減額する」
「足元の為替動向にはコメント控える」
「異次元緩和は、円高を静めて企業収益の改善に繋がった」
「基調的なインフレ率の上昇が現在生じてきている」

22日14:40 ベイリーBOE総裁(FT紙)
「今後の会合で利下げは『in play』(続行中)」

22日18:39 ナーゲル独連銀総裁
「インフレとの戦いの最後の1マイルが最も難しい」
「利下げが早すぎた例をこれまでに見てきている」
「特にコアインフレをもっと明らかにする必要がある」
「インフレについて楽観的すぎないようになるべき」

22日19:12 ホルツマン・オーストリア中銀総裁
「6月公表の新たな情報が利下げへの扉を開く可能性がある」
「利下げは準備中だが、利下げの時期は不透明」
「6月の展開次第で引き下げることができると信じている人が多い」
「インフレは人々が考えているよりも粘り強く、6月のデータを待っている」

22日22:11 パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長
「パンデミックは経済に永続的な影響を与えている」
*金融政策についてはコメントせず

23日01:49 シクルーナ・マルタ中銀総裁(ECB政策委員会メンバー)
「早ければ4月に利下げに踏み切る可能性を排除すべきではない」

※時間は日本時間

>本日の要人発言をリアルタイムで確認するならこちら

〔日足一目均衡表分析〕

<ドル円=22・23年高値や節目152円を見据えた動き>

ドル円3.25

パラメータ3.25

陰線引け。
年初来高値を151.86円まで更新したが、2023年高値151.91円や22年高値151.95円が抵抗水準として意識されて伸び悩んだ。
9手ぶりの陰線引けではあるものの、下押しも151円の手前までと下値の堅さは維持されている。

久しぶりの陰線で上昇一服感は出たが、上向きトレンドの転換を示すような強いサインはまだ見当たらない。
前述した22・23年高値や節目152円を見据えた動きが継続されそうだ。

レジスタンス2 152.69(ピボット・ターニングポイント)
レジスタンス1 151.95(2022/10/21高値)
前日終値 151.41
サポート1 150.27(3/21安値)

>ドル円のリアルタイムチャートはこちら

<ユーロドル=200日線が目先の上値めど、雲の下限も注視>

ユーロドル3.25

パラメータ3.25

陰線引け。
日足一目・雲の中で推移が続くなか、200日移動平均線を下抜けて1.08ドル手前まで下値を広げた。
1日以来の1.07ドル台には入り込めなかったものの、反発力弱いまま2手連続の陰線引けとなった。

1.0839ドルの200日線が目先の戻りのめどだが、上抜けても1.08ドルには主要線(基準線・21日線・90日線・転換線)が待ち構えている。
下サイドは1.0790ドル台の雲の下限を割り込むようだと、売り圧力が高まることになるか。

レジスタンス1 1.0883(日足一目均衡表・転換線)
前日終値 1.0808
サポート1 1.0762(2/19・20安値)

>ユーロドルのリアルタイムチャートはこちら

<ユーロ円=転換線がサポートとして働くか見極め>

ユーロ円3.25

パラメータ3.25

陰線引け。
戻り鈍いまま164円前半の21日安値を下抜けると下げ足を強め、163円後半の20日安値も割り込み、2手連続の陰線引けとなった。

先週後半は162円後半だった日足一目・転換線は週初から163円前半まで水準を切り上げてきた。
同線がサポートとして働くかが今日のポイント。
割り込むようだと、基準線や21日移動平均線が位置する162.70円台が次の目標水準。

レジスタンス1 164.82(3/22高値)
前日終値 163.67
サポート1 163.13(日足一目均衡表・転換線)

>ユーロ円のリアルタイムチャートはこちら

<豪ドル円=基準線や転換線を睨んだ値動き>

豪ドル円3.25

パラメータ3.25

陰線引け。
21日に2014年以来の100円台に乗せるも、その日に作った上ヒゲが重しとなり売り戻し優勢に。
98.50円台の日足一目・転換線や基準線を下回る場面もあった。

本日は98.71円付近まで上昇した転換線から98円半ばの基準線を睨みながらの値動き。
20日の大陽線をほぼ帳消しにしており、下押し圧力が更に強まるようだと、98円手前の21日移動平均線をまずは目指す展開が想定される。

レジスタンス1 99.71(3/22高値)
前日終値 98.66
サポート1 98.11(21日移動平均線)

>豪ドル円のリアルタイムチャートはこちら

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