April 5, 2024
【前日の為替概況】ドル円151.12円まで下落、中東の地政学リスク回避の株安・円高
4日のニューヨーク外国為替市場でドル円は反落。
終値は151.34円と前営業日NY終値(151.70円)と比べて36銭程度のドル安水準だった。
明日5日の3月米雇用統計の発表を前に様子見ムードが広がると、しばらくは151.70円を挟んだ狭いレンジ取引が続いた。
ただ、「イランは48時間以内にイスラエルを攻撃する可能性」との一部報道などを受けて、中東の地政学リスクが高まると原油先物価格が急騰し、米国株相場が一転下落。
為替市場ではリスク・オフの円買いが強まった。
前日の安値151.44円を下抜けると一時151.12円まで値を下げた。
もっとも、円以外の通貨に対してはリスク・オフのドル買いが入ったため、下値は限定的だった。
カシュカリ米ミネアポリス連銀総裁が「インフレの進展が停滞すれば米連邦準備理事会(FRB)は今年利下げしない可能性」と述べたほか、バーキン米リッチモンド連銀総裁が「利下げまでに時間かけるのが賢明」と指摘。
ハーカー米フィラデルフィア連銀総裁が「インフレ率は依然として高すぎる」との考えを示したこともドルを下支えした。
ユーロドルはほぼ横ばい。
終値は1.0837ドルと前営業日NY終値(1.0836ドル)と比べて0.0001ドル程度のユーロ高水準だった。
前週分の米新規失業保険申請件数が予想より弱い内容となったことを受けて、全般ドル売りが先行。
22時30分過ぎに一時1.0877ドルと日通し高値を付けた。
ただ、中東情勢が緊迫化するとの懸念が高まったことなどから、高く始まったダウ平均が一時560ドル超下落するとリスク・オフのドル買いが優勢に。
5時過ぎには1.0832ドルと日通し安値を更新した。
FRB高官からタカ派的な発言が相次ぎ、米利下げ観測が後退したことも相場の重しとなった。
ユーロ円は3営業日ぶりに反落。
終値は164.03円と前営業日NY終値(164.38円)と比べて35銭程度のユーロ安水準。
ユーロドルの上昇につれた買いが先行したほか、日経平均先物の上昇に伴う円売りが出ると、24時前に一時164.92円と日通し高値を更新した。
ただ、米国株や日経平均先物の急落をきっかけにリスク回避の円買いが強まると163.80円の本日安値まで一転下落した。
なお、ナイト・セッションの日経平均先物は一時4万0010円まで上昇したものの終盤失速し、大証終値比740円安の3万9080円まで急落した。
【本日の東京為替見通し】ドル円、地政学リスクや米雇用統計への警戒感から上値が重い展開か
ドル円は152円のノックアウトオプションの防戦売りや本邦通貨当局のドル売り・円買い介入への警戒感から151円台後半で伸び悩んでいたが、本日の東京外国為替市場のドル円は今夜発表される米3月雇用統計への警戒感から上値が重い展開が予想される。
また、昨日のニューヨーク市場での円買い材料となった報道(イランとイスラエル間をめぐる中東リスクの高まりと植田日銀総裁の追加利上げ検討)の続報にも警戒しておきたい。
イランは、シリアの首都ダマスカスにあるイラン大使館の敷地内の建物を攻撃したのはイスラエルだと主張して報復を宣言しており、昨日は、48時間以内にイスラエルを攻撃する可能性と報じられた。
敵対関係にあるイランとイスラエル両国が直接的に対峙した場合、第5次中東戦争への警戒感が高まることで、中東の地政学リスクが高まりつつある。
第5次中東戦争が勃発した場合、米国がイスラエル側に付くため、有事のドル買いではなくドル売り・円買い要因となるが、原油価格の上昇傾向が続いた場合は、ドル買い・円売り要因となる。
そして、原油価格の上昇と円安基調は、輸入物価の上昇による「第1の力」を台頭させるため、日銀の追加利上げ観測を高めることになる。
植田日銀総裁は、3月の日銀金融政策決定会合の後、「基調的物価上昇率がもう少し上昇すれば短期金利の水準の引き上げにつながる」「為替相場が経済物価見通しに影響を与えるのであれば、金融政策での対処を検討する」と述べていた。
なお、昨日の朝日新聞のインタビューでも植田総裁は「物価上昇率2%目標の達成に向けた確度がさらに高まれば、追加利上げを検討する考え」と応えていることで、この続報にも警戒が必要か。
なお、今夜発表される米3月雇用統計の予想は、失業率が3.9%で2月の3.9%と変わらずに高止まり、非農業部門雇用者数は前月比+20.0万人で2月の同比+27.5万人からの増加幅の減少が見込まれており、予想通りならば、ドル売り材料となる。
【本日の重要指標】 ※時刻表示は日本時間
<国内>
○08:30 ◇ 2月家計調査(消費支出、予想:前年比▲3.0%)
○08:50 ◇ 3月外貨準備高
○14:00 ◇ 2月景気動向指数速報値(予想:先行111.6/一致110.9)
<海外>
○08:20 ◎ ムサレム米セントルイス連銀総裁、就任あいさつ
○08:30 ◎ クーグラー米連邦準備理事会(FRB)理事、講演
○09:30 ◇ 2月豪貿易収支(予想:105.00億豪ドルの黒字)
○13:30 ☆ インド中銀、金融政策決定会合(予想:6.50%で据え置き)
○15:00 ◎ 2月独製造業新規受注(予想:前月比0.8%/前年同月比▲10.1%)
○15:00 ◇ 2月独輸入物価指数(予想:前月比横ばい/前年比▲4.6%)
○15:45 ◇ 2月仏鉱工業生産(予想:前月比0.5%)
○16:00 ◇ 3月スイスSECO消費者信頼感指数(予想:▲41.0)
○17:30 ◎ 3月英建設業購買担当者景気指数(PMI、予想:50.0)
○18:00 ◎ 2月ユーロ圏小売売上高(予想:前月比▲0.4%/前年比▲1.3%)
○21:30 ☆ 3月カナダ雇用統計(予想:新規雇用者数変化2.50万人/失業率5.9%)
○21:30 ☆ 3月米雇用統計(予想:非農業部門雇用者数変化20.0万人/失業率3.9%/平均時給、前月比0.3%/前年比4.1%)
○21:30 ◎ コリンズ米ボストン連銀総裁、あいさつ
○22:15 ◎ バーキン米リッチモンド連銀総裁、講演
○23:00 ◇ 3月カナダIvey購買部協会景気指数
○24:00 ◎ ローガン米ダラス連銀総裁、講演
○6日01:00 ☆ 10-12月期ロシアGDP速報値(予想:前年比5.5%)
○6日01:15 ◎ ボウマンFRB理事、講演
○6日04:00 ◇ 2月米消費者信用残高(予想:150.0億ドル)
○中国(清明節)、休場
○7日 豪州、NZが冬時間に移行
※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。
※指標などの発表予定・時刻は予告なく変更になる場合がありますので、ご了承ください。
【前日までの要人発言】
4日05:40 クーグラー米連邦準備理事会(FRB)理事
「FF金利に対する自身の予想は3月FOMC予測と一致」
「予想通りのディスインフレと労働市場の状況が進行すれば、今年、ある程度の利下げは適切だろう」
「ディスインフレ傾向は今後も続くと予想」
「現在の政策は制限的」
「労働市場はより良いバランスに移行している」
「今年は消費の伸びが若干鈍化すると予想」
4日14:16 鈴木財務相
「為替動向、高い関心を持って注意深く見ている」
4日20:36 欧州中央銀行(ECB)理事会議事要旨(3月7日分)
「今会合で利下げについて議論するのは時期尚早との見方で一致」
「政策金利は必要な限り十分に制限的な水準に設定されることが保証される」
「最初の利下げがより明確に視野に入ってきた」
「4月の会合までに入手できる新たな情報は限られており、それまでにインフレ解消プロセスの持続可能性について十分な確信を持つことは難しい」
4日23:19 ハーカー米フィラデルフィア連銀総裁
「インフレ率は依然として高すぎる」
5日01:20 バーキン米リッチモンド連銀総裁
「FRB当局者は同じデータを見ているが、異なる結論を下すのは簡単」
「金融引き締めは最終的に経済を更に減速させるが、より強靭な経済のもとでは痛ましい雇用喪失を意味しない」
5日03:10 カシュカリ米ミネアポリス連銀総裁
「利下げ前にインフレの進展をさらに確認する必要がある」
「インフレが停滞すればFRBは今年利下げしない可能性」
5日03:12 メスター米クリーブランド連銀総裁
「今年後半には利下げできる状況にあると予想」
5日03:16 グールズビー米シカゴ連銀総裁
「3月時点では今年2回の利下げを想定」
「インフレ率が横ばいの動きを続けるなら、今年利下げすべきなのかどうか疑問に思う」
「インフレに対する最大のリスクは住宅サービスのインフレ高」
「インフレの動向を注意深く監視」
5日03:35 ホワイトハウス
※バイデン米大統領とネタニヤフ・イスラエル首相の電話会談について
「バイデン大統領は、ガザ地区の即時停戦が不可欠だと伝えた」
「イスラエルの政策が変わらなければ、米国の政策も変更せざるを得ない」
「ガザ地区に関し、具体的で実質的な措置が必要であり、数時間から数日以内にイスラエルから変更の発表を期待」
※時間は日本時間
〔日足一目均衡表分析〕
<ドル円=3/27高値を抵抗に戻り売りスタンス>
陰線引け。
転換線は基準線を上回り、遅行スパンは実線を上回り、雲の上で引けていることで、三役好転の強い買いシグナルが点灯中。
しかし、抱き線で反落して転換線を下回って引けており続落の可能性が示唆されている。
本日は転換線151.50円を念頭に置き、3月27日の高値を抵抗に戻り売りスタンスで臨み、同水準を上抜けた場合は手仕舞い。
レジスタンス2 152.30(1990/7/6高値)
レジスタンス1 151.97(3/27高値=年初来高値)
前日終値 151.34
サポート1 151.03(3/27安値)
サポート2 149.23(日足一目均衡表・基準線)
<ユーロドル=4/2安値を支持に押し目買いスタンス>
小陽線引け。
転換線は基準線を下回り、遅行スパンは実線を上回り、雲の中で引けているものの、転換線を上回って引けていることで、買いシグナルが優勢な展開となっている。
3手連続陽線で転換線を上回って引けており続伸の可能性が示唆されている。
本日は転換線1.0801ドルを念頭に置き、2日安値を支持に押し目買いスタンスで臨み、同水準を下抜けた場合は手仕舞い。
レジスタンス1 1.0917(日足一目均衡表・雲の上限)
前日終値 1.0837
サポート1 1.0725(4/2安値)
<ポンド円=4/2安値を支持に押し目買いスタンス>
陰線引け。
転換線は基準線を上回り、遅行スパンは実線を上回り、雲の上で引けていることで、三役好転の強い買いシグナルが点灯中。
孕み線で反落したものの、依然として転換線を上回って引けており反発の可能性が示唆されている。
本日は転換線191.15円を念頭に置き、2日安値を支持に押し目買いスタンスで臨み、同水準を下抜けた場合は手仕舞い。
レジスタンス1 192.25(4/4高値)
前日終値 191.33
サポート1 190.05(4/2安値)
<NZドル円=4/1安値を支持に押し目買いスタンス>
小陽線引け。
転換線は基準線を下回り、遅行スパンは実線を下回り、雲の中で引けていることで、売りシグナルが優勢な展開となっている。
しかし、3手連続陽線で転換線を上回って引けており続伸の可能性が示唆されている。
本日は転換線90.91円を念頭に置き、1日安値を支持に押し目買いスタンスで臨み、同水準を下抜けた場合は手仕舞い。
レジスタンス1 91.80(日足一目均衡表・雲の上限)
前日終値 91.18
サポート1 90.11(4/1安値)
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