April 10, 2024
【前日の為替概況】ドル円、3日ぶり小反落 米CPI発表を翌日に控えて神経質な動き
9日のニューヨーク外国為替市場でドル円は3営業日ぶりに小反落。
終値は151.76円と前営業日NY終値(151.82円)と比べて6銭程度のドル安水準だった。
政府・日銀による為替介入への警戒感が根強い中、「日銀は今月25-26日に開く金融政策決定会合で、2024年度の物価見通しの上方修正を議論する公算が大きい」との一部報道が伝わると、円買い・ドル売りが先行。
米長期金利の指標となる米10年債利回りが4.35%台まで低下したことも相場の重しとなり、23時30分過ぎに一時151.57円と日通し安値を付けた。
ただ、米利下げ開始時期が後ずれするとの観測が高まる中、押し目を拾いたい向きは多く下押しは限定的だった。
前日の安値151.57円が目先サポートとして働いた面もあり、引けにかけては151.79円付近まで下げ渋った。
市場では「3月米消費者物価指数(CPI)の発表を明日に控えて、やや神経質な動きとなった」との声が聞かれた。
ユーロドルはほぼ横ばい。
終値は1.0857ドルと前営業日NY終値(1.0859ドル)と比べて0.0002ドル程度のユーロ安水準だった。
米長期金利の低下に伴うユーロ買い・ドル売りが優勢になると22時30分過ぎに一時1.0885ドルと日通し高値を付けたものの、ユーロ円の下落をきっかけにユーロ売り・ドル買いが出ると、4時過ぎに1.0848ドルと日通し安値を更新した。
ユーロ円は3日ぶりに小反落。
終値は164.80円と前営業日NY終値(164.86円)と比べて6銭程度のユーロ安水準。
ユーロドルの上昇につれた買いが入ると22時前に一時165.17円と日通し高値を付けたものの、3月20日に付けた2008年以来の高値165.35円がレジスタンスとして働くと失速した。
高く始まったダウ平均が一時320ドル超下落した場面ではリスク回避の円買いも入り、24時前には164.55円と日通し安値を更新した。
【本日の東京為替見通し】ドル円、米CPIを前に152円手前で足踏みが続くか
本日の東京外国為替市場のドル円は、本日の3月米消費者物価指数(CPI)を前に、米長期金利を眺めつつも152円の大台を前に足踏みする展開が予想される。
先月後半以降、ドル円は152円を前にしたもみ合いが続いている。
日米金利差を背景としてドル買い・円売りの流れとなりやすい中ではあるが、何度も上抜けに失敗している。
同水準にはオプションバリアも観測されるほか、介入警戒感が根強いことも、上値を重くしている。
日銀がどんどん利上げを行う状況にないなど、円を買う材料に乏しいこともあり、本日も引き続き米長期金利を眺めつつ、152円手前でこう着した展開が見込まれる。
もし152円台に乗せると、1990年7月以来の高値水準に足を踏み入れることとなる。
その場合は近くの目標値が見当たらない中、手探りで上値を試す展開が予想される。
もっとも、本邦当局の円買い介入への警戒感が高まるため、不意の乱高下には十分注意したい。
一方で下値については、5日に151円を割るも一時的で、その後は下値を切り上げていることから、8・9日の安値である151.57円付近では買いが入りやすいとみる。
他方、NZではNZ準備銀行(RBNZ)の金融政策が発表される。
市場予想は政策金利の5.50%据え置きであるが、NZの国内総生産(GDP)は直近で2期連続マイナス成長と国内景気が減速しており、市場ではRBNZの利下げ前倒し観測がくすぶっている。
そうした中、声明で前回よりもタカ派トーンが弱まったとの印象を与えるような内容となれば、NZドル売り圧力が強まる公算だ。
反対に、早期利下げ観測をけん制することがあればNZドルが買われる展開もあり得るだけに、直後は神経質な展開となる恐れがある。
そのほか引き続き、中東情勢にも注意したい。
今年は4月9日から10日がラマダン(断食月)終了のタイミングとされており、リスクシナリオとしてラマダン明けにイランがイスラエルに対し報復攻撃に踏み切る恐れがある。
その場合、ドル円は米長期金利や主要国株価の動向に反応して神経質な動きを迫られることも考えられる。
【本日の重要指標】 ※時刻表示は日本時間
<国内>
○08:50 ◇ 3月企業物価指数(予想:前月比0.3%/前年比0.8%)
<海外>
○11:00 ☆ ニュージーランド準備銀行(RBNZ)、政策金利発表(予想:5.50%で据え置き)
○15:00 ◎ 3月ノルウェー消費者物価指数(CPI、予想:前月比0.5%/前年比4.2%)
○20:00 ◇ MBA住宅ローン申請指数
○21:00 ◎ 3月ブラジルIBGE消費者物価指数(IPCA、予想:前年同月比4.01%)
○21:30 ◇ 2月カナダ住宅建設許可件数(予想:前月比▲4.5%)
○21:30 ☆ 3月米CPI(予想:前月比0.3%/前年比3.4%)
☆ エネルギーと食品を除くコア指数(予想:前月比0.3%/前年比3.7%)
○21:45 ◎ ボウマン米連邦準備理事会(FRB)理事、討議に参加
○22:45 ☆ カナダ銀行(BOC、中央銀行)、政策金利発表(予想:5.00%で据え置き)
○23:00 ◇ 2月米卸売売上高(予想:前月比0.4%)
○23:30 ◇ EIA週間在庫統計
○11日01:00 ◎ 3月ロシアCPI(予想:前月比0.4%)
○11日01:45 ◎ グールズビー米シカゴ連銀総裁、バーキン米リッチモンド連銀総裁、パネルディスカッションに参加
○11日02:00 ◎ 米財務省、10年債入札
○11日03:00 ◎ 3月米月次財政収支(予想:1975億ドルの赤字)
○11日03:00 ☆ 米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨(3月19-20日分)
○日米首脳会談(ワシントン)
○シンガポール(ハリラヤプアサ)、韓国(総選挙)、トルコ(砂糖祭)、休場
※「予想」は特に記載のない限り市場予想平均を表す。▲はマイナス。
※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。
※指標などの発表予定・時刻は予告なく変更になる場合がありますので、ご了承ください。
【前日までの要人発言】
9日08:51 鈴木財務相
「(為替市場について)高い緊張感をもって注視」
「行き過ぎた動きにあらゆる手段を排除せず適切に対応」
9日16:30
「高い緊張感を持って市場の動向を見ている」
「ドル円相場に関して、コメントは控える」
「為替市場はファンダメンタルズに沿って安定的に推移するのが望ましい」
「過度な動きにはあらゆる手段で対処する」
9日13:16 植田日銀総裁
「2%物価目標の持続・安定的な実現が見通せる状況に至った」
「3月の金融政策決定会合で賃金と物価の好循環を確認」
「賃金・物価の好循環を確認し、大規模金融緩和の見直しを決定」
「短期金利操作を主たる政策手段とし適切に金融政策を運営」
「政策効果発揮には、適切な情報発信が重要」
「当面は緩和的な金融環境が継続すると考えている」
「金融政策の変更、あくまで2%物価目標の持続・安定的実現のため」
「政策変更のタイミングや引き上げ幅の事前情報発信は考えず」
「中小企業の賃上げ、一定程度の広がり期待できると判断」
「為替の動きや水準へのコメントは控える」
「為替はファンダメンタルズに沿って安定推移が重要」
「金融政策は為替コントロールのために運営するものではない」
「インフレに影響があれば為替対応も検討」
9日19:19 フローデン・リクスバンク(スウェーデン中銀)副総裁
「スウェーデンや欧州のインフレは目標に向かっているようだ」
「サービス価格は急速に上昇しているが心配はしていない」
10日01:34 シュレーゲル・スイス国立銀行(SNB、中銀)副総裁
「為替介入は物価安定の達成という目標を支える」
10日04:24 ボスティック米アトランタ連銀総裁
「サービスの需要は依然として非常に高い」
「2024年のディスインフレのペースは緩やかになるとみている」
「CPIがコンセンサスに達することは歓迎されるだろう」
「FRBの成長予測は常に上昇する可能性がある」
※時間は日本時間
〔日足一目均衡表分析〕
<ドル円=下押しあっても21日線などが下げ渋りのポイントに>
小陰線引け。
高値圏で強い方向感なく推移した。
底堅さを維持した一方、頭打ち気味の状態を嫌気して一目均衡表・転換線151.38円の下抜けを試す可能性もある両にらみの状態といえる。
ただ、下押しがあっても150.94円前後で上昇中の21日移動平均線や5日安値150.81円といった水準が下げ渋りのポイントになるとみる。
レジスタンス1 152.30(1990/7/6高値)
前日終値 151.76
サポート1 150.94(21日移動平均線)
サポート2 150.27(3/21安値)
<ユーロドル=基準線付近へ押し戻される>
上影極小陰線引け。
一時1.0885ドルと3月21日以来、約3週間ぶりの水準へ上振れた。
ただ、低下が予想される一目均衡表・基準線1.0853ドルを上回る水準では動きが重く、同線近辺へ押し戻されている。
基準線と、上昇が見込まれる転換線の交差が予想される1.0840ドル付近へ収れんする流れも想定しておきたい。
レジスタンス1 1.0917(日足一目均衡表・雲の上限)
前日終値 1.0857
サポート1 1.0805(日足一目均衡表・転換線)
<ユーロ円=気迷い気味の足型形成>
小陰線引け。
一時165.17円と3月21日以来、約3週間ぶりに165円台を回復した。
しかし伸び悩み、値幅が狭い気迷いを示す足型を形成している。
164.56円前後で推移する5日移動平均線を割り込むような調整も想定しておきたい。
だが、上向きの流れが終わったとの強い証左もなく、164円台で下げ渋るポイントを探ることになるか。
今後の切り上がりが予想される一目均衡表・転換線163.90円や、163.67円前後で上昇中の21日線といったサポートも下値に控えている。
レジスタンス1 165.35(3/20高値=年初来高値)
前日終値 164.80
サポート1 164.19(4/8安値)
<豪ドル円=調整挟む可能性も、相場の崩れは回避へ>
上影陽線引け。
2014年12月以来の高値を100.81円まで更新した。
9年ぶり以上の高値圏とあって、100.19円前後で上昇中の5日移動平均線付近への調整を挟む可能性はあるだろう。
しかし深押しがあっても節目の100.00円が目先の支えとなりそうであるほか、上昇傾向の一目均衡表・転換線99.53円も支えとなり相場の崩れは回避できるとみる。
レジスタンス1 101.20(2014/12/8高値)
前日終値 100.61
サポート1 100.00(4/5-9上昇幅の半値押し)
Provided by
DZH Finacial Research
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