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本日の東京為替見通し(為替/FXニュース):円安地合いは変わらず、市場規模拡大で介入効果も薄まる(2024年5月13日)

マーケットレポート

May 13, 2024

【前日の為替概況】ドル円、米金利上昇を受け155円後半まで上昇 ユーロ円は5日続伸

10日のニューヨーク外国為替市場でドル円は反発。
終値は155.78円と前営業日NY終値(155.48円)と比べて30銭程度のドル高水準だった。
米長期金利の指標となる米10年債利回りが4.50%台まで上昇すると円売り・ドル買いが先行。
米ミシガン大学が公表した5月米消費者調査で、消費者態度指数(速報値)は予想を下回ったものの、同時に発表された消費者の期待インフレが予想を上回ったことが分かるとドル買いがさらに進み、24時前に一時155.90円と日通し高値を付けた。
ただ、前日の高値155.95円が目先レジスタンスとして意識されると上昇は一服し、そのあとは155円台後半でのもみ合いに終始した。

なお、ボウマン米連邦準備理事会(FRB)理事は「政策をもう少し長く現状維持する必要がある」「年内の利下げは正当化されないだろう」と述べたほか、ローガン米ダラス連銀総裁は「利下げについて考えるのは時期尚早」「インフレには重要な上振れリスクがある」との考えを示した。

ユーロドルは小反落。
終値は1.0771ドルと前営業日NY終値(1.0782ドル)と比べて0.0011ドル程度のユーロ安水準だった。
23時前に一時1.0790ドルと日通し高値を付けたものの、買い一巡後は一転売りが優勢となった。
米消費者のセンチメントは予想を下回ったものの、インフレ期待が予想を上回ったことでドルを買い戻す動きが広がった。
24時前には1.0760ドルと日通し安値を更新した。
もっとも、NY午後に入ると再び強含み、じりじりと下値を切り上げた。

ユーロ円は5日続伸。
終値は167.76円と前営業日NY終値(167.63円)と比べて13銭程度のユーロ高水準。
ドル円とユーロドルの値動きの影響を同時に受けたため、相場は方向感が出なかった。
NY時間の安値は167.68円、高値は167.96円で値幅は28銭程度だった。

カナダドルは一時買いが強まった。
カナダ統計局が発表した4月カナダ雇用統計で、新規雇用者数が9.04万人増と予想の2.00万人増を大きく上回り、失業率が6.1%と予想の6.2%より強い結果となったことを受けた。
対ドルで一時1.3635カナダドル、対円で114.23円までカナダドル高に振れた。

【本日の東京為替見通し】円安地合いは変わらず、市場規模拡大で介入効果も薄まる

本日のドル円相場は、引き続きドルの買い場探しになるか
本邦からは市場を動意づけるような主だった経済指標の発表は予定されていないことで、依然として市場の焦点は為替介入になる。

ドル円は5月3日に4月の米雇用統計が弱い結果となり151.86円まで下落後は、先週は155.95円まで強含んだ。
上げ幅としては1週間で4円となっているが、4月29日に今年最初の介入が入った時は、前営業日26日の17時頃から当日の10時半過ぎの僅か18時間弱で5円を超える円安(154.99円から160.17円まで)と比較すると、急速に円安が進んだと捉えるのは難しいかもしれない。

4日にイエレン米財務長官が「比較的短期間にかなり大きく動いた」と発言したが、18時間弱で5円超の大幅円安と違い、先週の円安はボラタイルな動きというほどではなく、為替介入の大義名分が成り立たないのではないかとの声も出てきている。
しかも、イエレン氏は介入後に「介入はまれであり、協議が行われると予想される」と、本邦当局の動きに対してけん制したとも思われる発言をし、これまで以上に積極的に介入に動きにくいだろう。
また、これまで140円台からの本邦当局の口先介入の弊害で、円売りが遅れている実需勢からすると円が買われる局面があれば、円売りの機会を逃したくないことでドル円は底堅くなりそうだ。

また、円安になりやすい要因にはほかにも複数ある。
先週発表された3月の毎月勤労統計の現金給与総額は、予想を下回る僅か0.6%となり、物価変動を加味した実質賃金も過去最長の24カ月連続のマイナスだった。
ファンダメンタルズの面からも円を買う地合いではない。
今年の春闘の結果を受けて日銀はマイナス金利を解除したが、解除した3月に日銀が示した「賃金と物価の好循環の強まりを確認」という見解が間違っていたことになる。
先月の日銀政策決定会合の主な意見が公表され、日銀が長期国債の買い入れ削減の可能性についても話し合われたようだが、仮に買い入れ額を減額しても日銀が更に大幅に利上げをできる環境下ではない。

そして、上述のように執拗な円買い介入には、米国当局者が難色を示していることも円安要因。
神田財務官は介入には限界があるということを「全く間違っている」と発言したが、理論上は保有米債を売り続ければ、まだまだ介入の限界に達することはない。
しかしながら、米国にとって米債を売り、大統領選を前にインフレが焦点になり、そのインフレを引き起こす可能性もあるドル売り介入を執拗に行うことを許すことはできないだろう。

さらに、今年の為替介入は東京市場が休場の時と、NY引け間際という極めて流動性の悪いときに行われてきた。
それにもかかわらず、2日間の介入で市場では8兆円から9兆円のドル売り・円買いを行ったとされている。
これまで以上に市場規模が拡大していることで、仮に介入が本日入った場合は、これまで同様のドル売りでは効果が限られる。

なお、先週末10日に発表された商品先物取引委員会(CFTC)が発表した、円の先物ポジション状況では円ショートが大きく減少している。
しかしながら、先週は終始円安に動いたことを考えると、いかに円の売り意欲が強いかを示していると言えよう。

ドル円以外では日本時間正午にNZ準備銀行(RBNZ)が四半期毎の期待インフレを公表予定。
先週は極めて狭いレンジで取引されたNZドル/ドルだが、結果次第では動意づく可能性もありそうだ。

【本日の重要指標】 ※時刻表示は日本時間

<国内>
○08:50 ◇ 4月マネーストックM2

<海外>
○10:30 ◇ 4月豪NAB企業景況感指数
○16:00 ◇ 4月スイスSECO消費者信頼感指数
○16:00 ◇ 3月トルコ経常収支(予想:38.0億ドルの赤字)
○21:00 ◎ 4月インド消費者物価指数(CPI、予想:前年比4.80%)
○21:30 ◇ 3月カナダ住宅建設許可件数(予想:前月比▲5.0%)
○22:00 ◎ メスター米クリーブランド連銀総裁、ジェファーソン米連邦準備理事会(FRB)副議長、討議に参加

※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。
※指標などの発表予定・時刻は予告なく変更になる場合がありますので、ご了承ください。

>本日発表予定のその他の経済指標についてはこちら

【前日までの要人発言】

10日08:55 鈴木財務相
「為替水準についてはコメント控える」
「為替水準、適切か、適切でないか言えば不測の影響与える」
「為替の動向を注視しており、必要ならば適切に対応する」

10日18:45 岸田首相
「最近の円安の動きを十分注視しており、政府・日銀は密接に連携していく」

10日20:23 エルダーソン欧州中央銀行(ECB)専務理事
「見通しが確認されれば6月に利下げを行う可能性が高い」
「6月以降の金利についてはコミットメントしない」

10日20:37 欧州中央銀行(ECB)理事会議事要旨(4月11日分)
「ディスインフレプロセスが継続しているとの確信を強めているとの意見で一致」
「政策金利は当面制限的な領域にとどまる可能性が高い」
「インフレ率がタイムリーかつ持続的に目標に戻るという十分な信頼を得るには、さらなる証拠を確認し、次回の金融政策会合まで待つのが賢明である」
「総合インフレ率は短期的には現在の水準付近で変動し、その後再び低下すると予想」

10日20:52 ピル英中銀金融政策委員会(MPC)委員兼チーフエコノミスト
「インフレの持続性が下降基調にあることを示す十分な証拠があれば、金利は引き下げられる」
「次回のMPCだけに注目するのは少々得策ではない」
「インフレの根本的な要素に注目する必要がある」

10日22:52 ボウマン米連邦準備理事会(FRB)理事
「経済には引き続き勢いがある」
「政策をもう少し長く現状維持する必要がある」

11日01:06
「利下げの準備が整うまでに数回の会合を要するだろう」
「年内の利下げは正当化されないだろう」
「予期せぬショックがあれば利下げの可能性も」

10日22:58 ローガン米ダラス連銀総裁
「利下げについて考えるのは時期尚早」
「まだソフトランディングには至っていない」
「現在の金融引き締め政策が十分に制約的かどうかには不確実性」
「インフレには重要な上振れリスク」
「第1四半期のインフレデータは失望させられるものだった」

11日03:26 カシュカリ米ミネアポリス連銀総裁
「金融政策がどの程度引き締め的かについて慎重な姿勢」
「金融政策の今後については見守る姿勢」

※時間は日本時間

>本日の要人発言をリアルタイムで確認するならこちら

〔日足一目均衡表分析〕

<ドル円=4/29-5/3の半値戻しを注視しながらの取引>

ドル円0513

パラメータ0513

陽線引け。
155円前半の9日安値の手前で支えられ、155円後半まで反発。
ただ9日高値には届かずに上昇が一服した。
目先は4月29日から5月3日までの下落幅の半値戻し156.02円を注視。
超えていくようだと、前述した下落幅の下値から61.8%戻しとなる157円が意識される。
下サイドは先週末に155円割れまで大きく水準を切り下げた日足一目・転換線が支持水準として働くかが注目される。

レジスタンス2 157.00(4/29-5/3レンジの下値から61.8%戻し)
レジスタンス1 156.28(5/2高値)
前日終値 155.78
サポート1 154.93(日足一目均衡表・転換線)
サポート2 153.86(5/7安値)

>ドル円のリアルタイムチャートはこちら

<ユーロドル=5/3高値超えれば上昇トレンドの強化に>

ユーロドル0513

パラメータ0513

小陰線引け。
前日高値は上抜けたものの、1.0790ドル台で下向きの200日移動平均線が重しとなった。
1.07ドル前半の日足一目・転換線辺りでは底堅さを確認できているが、上サイドには200日線だけでなく、1.0810ドル前後にも90日線や3日高値が控えている。
4月後半からの上昇トレンドの強化は上サイドの主要ポイント抜けが必要となるだろう。

レジスタンス1 1.0811(5/3高値)
前日終値 1.0771
サポート1 1.0724(5/9安値)

>ユーロドルのリアルタイムチャートはこちら

<ユーロ円=大台乗せとなれば、5/1高値付近が上値めど>

ユーロ円0513

パラメータ0513

小陽線引け。
167円半ばで支えられて5日続伸となったものの、168円手前では伸び悩んだ。
ロウソク足の実体も狭く、買いの勢いは緩んできた中で、10日に届かなかった168円をしっかりと超えらえるかがポイントになる。
大台乗せとなった場合、先月末と月初に上値を抑えられた168.60円台が次の上値めどとなる。
下向きの調整となれば、167円割れの基準線や先週末に166.30円台まで低下した転換線が意識される。

レジスタンス1 168.66(5/1高値)
前日終値 167.76
サポート1 166.92(日足一目均衡表・基準線)

>ユーロ円のリアルタイムチャートはこちら

<豪ドル円=7手ぶり陰線引けも買い場探しは継続>

豪ドル円0513

パラメータ0513

小陰線引け。
約2週間ぶりに乗せた103円台で上値を抑えられ、102円後半で伸び悩んだ。
7手ぶり陰線引け。
1日安値から10日高値まで3円超上げてきており、暫くは下サイドへの調整を意識しながらの取引か。
ただ、強い買いシグナルとされる三役好転は維持されており、買い場探しは継続。
9日安値付近までを下押し水準と想定し、101.30円台の基準線を割り込むようなら手仕舞い。

レジスタンス1 103.30(ピボット・ターニングポイント)
前日終値 102.87
サポート1 102.05(5/9安値)

>豪ドル円のリアルタイムチャートはこちら

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