本日の東京為替見通し(為替/FXニュース):ドル円、本邦通貨当局の円買い介入の可能性に要警戒か(2024年6月24日)

マーケットレポート

June 24, 2024

【前日の為替概況】ドル円159.84円まで上昇、予想を上回る6月米製造業・サービス部門PMI

21日のニューヨーク外国為替市場でドル円は7日続伸。
終値は159.80円と前営業日NY終値(158.93円)と比べて87銭程度のドル高水準だった。
6月米製造業・サービス部門購買担当者景気指数(PMI)速報値が予想を上回ったことが伝わると、円売り・ドル買いが先行。
アジア時間の高値159.13円を上抜けて一時159.84円と政府・日銀が為替介入を実施したとみられる4月29日以来約2カ月ぶりの高値を更新した。

米財務省は20日、半期ごとに公表する外国為替政策報告書で、日本を「監視リスト」に追加したと発表。
市場では「政府・日銀による為替介入が困難になった」との思惑が高まり、円売りが出やすい面もあった。

なお、神田真人財務官は日本が「監視リスト」に追加されたことについて「問題があるとは捉えていない」と発言。
「為替の過度な変動がある場合には適切な対応をしっかりと取っていく」と強調した。

ユーロ円は5日続伸。
終値は170.77円と前営業日NY終値(170.09円)と比べて68銭程度のユーロ高水準。
ドル円の上昇につれた円売り・ユーロ買いが優勢になると、アジア時間の高値170.45円を上抜けて一時170.91円と4月29日以来の高値を更新した。

ユーロ円以外のクロス円も堅調だった。
ポンド円は一時202.08円と2008年8月以来の高値を付けたほか、豪ドル円は106.17円と07年11月以来の高値、NZドル円は97.83円と1986年6月以来の高値を記録した。

ユーロドルは小幅ながら続落。
終値は1.0693ドルと前営業日NY終値(1.0702ドル)と比べて0.0009ドル程度のユーロ安水準だった。
欧州の政治情勢や景気の不透明感が改めて意識される中、欧州市場では1.0671ドルまで売られたものの、NY市場では1.06ドル台後半でのもみ合いに終始した。
NY時間に限れば値幅は0.0020ドル程度と小さかった。

【本日の東京為替見通し】ドル円、本邦通貨当局の円買い介入の可能性に要警戒か

本日の東京外国為替市場のドル円は、日銀金融政策決定会合(6月13-14日分)の「主な意見」を見極めながら、160円を巡り本邦通貨当局がドル売り・円買い介入に踏み切るのか否かに注目する展開となる。

ドル円は、4月29日に高値160.17円を付けた後に本邦通貨当局が第一弾の円買い介入に踏み切った159円台に乗せており、円買い介入の警戒ゾーンで推移している。

5月4日、イエレン米財務長官は、3日終了週の円相場の動きは急激だったと認めた後、「こうした介入は稀であるべきで、協議が行われることが期待される」と釘を刺していた。

日本の政府高官筋によると、4月17日に開催された日米韓財務相会談の時、イエレン米財務長官は、自国通貨の急激な下落を巡る日本と韓国両財務相の懸念に留意する姿勢を示し、日本に対しては160円をレッドラインとして、ドル売り・円買い介入を容認していたとのことである。

本日、ドル円が160円に向けて続伸した場合、この噂の真相が判明することになる。

米財務省が6月20日に発表した半期に一度の「外国為替報告書」では、日本が為替の慣行に関する「監視リスト(Monitoring List)」に入れられた。
理由としては、2023年の日本の対米貿易黒字が624億ドルと高水準だったことと、経常黒字の国内総生産(GDP)比率が3.5%だったことが挙げられている。

米国議会への提出が義務づけられている為替報告書は、競争上の優位性を得るために自国通貨レートを人為的に押し下げている、すなわち、自国通貨安に誘導していると見なされる貿易相手国に圧力をかけることが目的である。

判断基準は、

1)財の対米貿易黒字:150億ドル以上
2)経常黒字額:対国内総生産(GDP)比3%以上
3)過去12カ月の外貨購入(介入):対GDP比2%以上
となっており、日本は、1)の624億ドルと2)の3.5%が抵触している。

3)の為替介入は、対米貿易黒字拡大の要因となるドル買い・当該国通貨売り介入であり、本邦通貨当局による2022年と2024年のドル売り・円買い介入はあたらない。
すなわち、日本が対米貿易黒字を減らして「監視リスト」から外されるためには、ドル売り・円買い介入によってドル安・円高に誘導しなければならないことになる。

イエレン米財務長官は、昨年6月の為替報告書に添付された文書で、「米国の貿易相手国が昨年に行った為替介入の多くは、ドル売りという形だった。
これはこうした国の通貨高に作用した。
しかし、財務省は各国の通貨慣行や政策設定、および力強く持続可能かつバランスのとれた世界的成長との整合性への警戒を続ける」と表明していた。

日銀金融政策決定会合(6月13-14日分)では、長期国債買い入れを減額する方針が決定され、今後1-2年程度の具体的な計画を7月の次回会合で決定することにした。
「主な意見」では、7月会合に先送りされた国債買い入れ額の「相応」な減額計画に関する見解や「7月利上げの可能性は場合によっては十分あり得る」(植田日銀総裁)の可能性を見極めることになる。

植田日銀総裁は、14日の記者会見では、足元で月5兆7000億円の買い入れに関し「減額する以上は「相応」の規模になる」と述べた。
さらに総裁は18日の参議院財政金融委員会に出席して半期報告を行い、「相応の、という言葉はコンテクストによって意味を持ち得る。
その規模はこれから金融市場局が債券市場参加者会合を開いて市場参加者の意見を確認し、1カ月間の検討の結果決まってくることだ」と説明した。

7月9-10日に、国債買い入れの運営について意見を聴取する「債券市場参加者会合」が開催され、7月30-31日の日銀金融政策決定会合で減額計画、そして利上げ幅が決定されることになる。

【本日の重要指標】 ※時刻表示は日本時間

<国内>
○08:50 ◇ 日銀金融政策決定会合における主な意見(6月13-14日分)

<海外>
○07:45 ◎ 5月ニュージーランド(NZ)貿易収支
○14:00 ◎ 5月シンガポール消費者物価指数(CPI、予想:前年比3.1%)
○16:00 ◎ ウォラー米連邦準備理事会(FRB)理事、あいさつ
○17:00 ◎ 6月独Ifo企業景況感指数(予想:90.5)
○19:10 ◎ ナーゲル独連銀総裁、講演
○21:30 ◎ ビルロワ・フランス中銀総裁、講演
○25日00:30 ◎ シュナーベル欧州中央銀行(ECB)専務理事、講演
○25日02:30 ◎ マックレム・カナダ銀行(中央銀行、BOC)総裁、講演
○25日03:00 ◎ デイリー米サンフランシスコ連銀総裁、あいさつ

※「予想」は特に記載のない限り市場予想平均を表す。▲はマイナス。
※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。
※指標などの発表予定・時刻は予告なく変更になる場合がありますので、ご了承ください。

>本日発表予定のその他の経済指標についてはこちら

【前日までの要人発言】

21日05:43 グールズビー米シカゴ連銀総裁
「利下げ前に年間のインフレ率が2%を付ける必要はない」

21日08:22 神田財務官
「米国の為替リストは機械的基準に照らして評価」
「何か問題があるとは捉えていない」
「為替介入には効果があった」
「過度な変動があれば適切に対応する方針は変わらない」
「今の為替の動きは何か一つの要因というわけではない」

21日10:01 林官房長官
「米為替報告書の監視対象指定、日本の為替政策を問題視していると意味するものではないと理解」
「円に対する高い信認を維持すること重要」
「為替相場はファンダメンタルズを反映して安定的に推移することが重要」
「政府は引き続き為替市場の動向をしっかり注視し万全の対応」

21日10:14 鈴木財務相
「過度の為替変動は経済に悪影響」
「各国と緊密に意思疎通をとる」

21日15:39 植田日銀総裁(内田副総裁が代読)
「国債買い入れの減額、相応の規模になる」
「景気、一部に弱めの動き見られるが緩やかに回復している」
「消費者物価の基調的な上昇率、需給ギャップ改善や中長期的な予想物価上昇率の上昇で徐々に高まっていく」
「金融・為替市場の動向や日本経済・物価への影響、十分注視する必要」
「見通しに沿って経済・物価展開すれば、金融緩和の度合い調整していく」

※時間は日本時間

>本日の要人発言をリアルタイムで確認するならこちら

〔日足一目均衡表分析〕

<ドル円=6/21の安値を支持に押し目買いスタンス>

ドル円0624

パラメータ0624

陽線引け。
転換線は基準線を上回り、遅行スパンは実線を上回り、雲の上で引けていることで、三役好転の強い買いシグナルが点灯している。
7手連続陽線で転換線を上回って引けていることで続伸の可能性が示唆されている。

本日は21日の安値を支持に押し目買いスタンスで臨み、同水準を下抜けた場合は手仕舞い。

レジスタンス2 160.61(ピポット・レジスタンス2)
レジスタンス1 160.17(4/29高値=年初来高値)
前日終値 159.80
サポート1 158.67(6/21安値)
サポート2 157.78(日足一目均衡表・転換線)

>ドル円のリアルタイムチャートはこちら

<ユーロドル=転換線を抵抗に戻り売りスタンス>

ユーロドル0624

パラメータ0624

陰線引け。
転換線は基準線を下回り、遅行スパンは実線を下回り、雲の下で引けていることで、三役逆転の強い売りシグナルが点灯している。
2手連続陰線で転換線を下回って引けており続落の可能性が示唆されている。

本日は、転換線を抵抗に戻り売りスタンスで臨み、同線を上抜けた場合は手仕舞い。

レジスタンス1 1.0760(日足一目均衡表・転換線)
前日終値 1.0693
サポート1 1.0611(4/19安値)

>ユーロドルのリアルタイムチャートはこちら

<ポンド円=6/20高値を支持に押し目買いスタンス>

ポンド円0624

パラメータ0624

陽線引け。
転換線は基準線を上回り、遅行スパンは実線を上回り、雲の上で引けていることで、三役好転の強い買いシグナルが点灯している。
5手連続陽線で転換線を上回って引けており続伸の可能性が示唆されている。

本日は20日の高値を支持に押し目買いスタンスで臨み、同水準を下抜けた場合は手仕舞い。

レジスタンス1 203.13(ピポット・レジスタンス2)
前日終値 202.06
サポート1 201.39(6/20高値)

>ポンド円のリアルタイムチャートはこちら

<NZドル円=転換線を支持に押し目買いスタンス>

NZドル円0624

パラメータ0624

陽線引け。
転換線は基準線を上回り、遅行スパンは実線を上回り、雲の上で引けていることで、三役好転の強い買いシグナルが点灯中。
2手連続陽線で転換線を上回って引けていることで続伸の可能性が示唆されている。

本日は転換線を支持に押し目買いスタンスで臨み、同線を下抜けた場合は手仕舞い。

レジスタンス1 98.31(ピポット・レジスタンス2)
前日終値 97.80
サポート1 96.99(日足一目均衡表・転換線)

>NZドル円のリアルタイムチャートはこちら

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