July 8, 2024
【前日の為替概況】ドル円、続落 NY時間は方向感が乏しい
5日のニューヨーク外国為替市場でドル円は続落。
終値は160.75円と前営業日NY終値(161.28円)と比べて53銭程度のドル安水準だった。
ただ、NYの取引時間帯に限れば方向感に乏しい展開だった。
米労働省が発表した6月米雇用統計では非農業部門雇用者数が前月比20.6万人増と予想の19.0万人増を上回り、円売り・ドル買いが先行。
一時161.00円付近まで上げた。
ただ、4月分と5月分が下方修正されたこともあってすぐに失速。
失業率が4.1%と予想の4.0%より弱い内容となったことも相場の重しとなり、一時160.35円と日通し安値を更新した。
なお、平均時給は前月比0.3%/前年比3.9%と市場予想に沿った結果となった。
根強い円先安観を背景に押し目買いが入ると、23時過ぎには161.33円付近まで強含んだが、東京時間に付けた日通し高値161.40円が目先レジスタンスとして意識されると再び下落。
一時160.63円付近まで下押しした。
市場では「米雇用統計は労働市場の底堅さとインフレ圧力が幾分鈍化したことを示唆するまちまちの結果となり、相場は売り買いが交錯。
大きな方向感は出なかった」との声が聞かれた。
ユーロドルは7日続伸。
終値は1.0840ドルと前営業日NY終値(1.0812ドル)と比べて0.0028ドル程度のユーロ高水準だった。
6月米雇用統計が強弱入り混じる結果となったことを受けて、しばらくは1.08ドル台前半でのもみ合いが続いた。
ただ、引けにかけては米長期金利の低下に伴うユーロ買い・ドル売りが入り、4時30分過ぎに1.0843ドルと日通し高値を更新した。
ユーロ円は小幅ながら続落。
終値は174.21円と前営業日NY終値(174.37円)と比べて16銭程度のユーロ安水準。
ドル円が上昇したタイミングで前日の高値174.49円を上抜けて一時174.50円まで値を上げたものの、3日に付けたユーロ導入以来の高値174.52円がレジスタンスとして意識されると伸び悩んだ。
【本日の東京為替見通し】調整相場も実質賃金の下振れに要注意、選挙後の欧州通貨も要警戒
本日の東京市場では調整色が継続する可能性があるものの、中長期的な円安の流れを変えるのは難しいだろう。
先週は3日には1986年以来となる161.95円まで円安が進んだが、週後半は本邦輸出やポジション調整のドル売りも入ったことで160円前半まで円が買い戻された。
円安が続いたことで調整相場になりやすいが、円を積極的に買うには材料不足なことで、中長期的な円安の流れは変わらないと思われる。
本日は本邦から複数の経済指標が発表されるが、注目したいのは5月の毎月勤労統計調査で発表される実質賃金の推移。
4月は速報値では前年比-0.7%となったが、確報値では-1.2%と下方修正された。
これで過去最長となる25カ月連続のマイナスを記録している。
また、先週発表された、1-3月期の実質国内総生産(GDP)確報値も、前期比で改定値の-0.5%から-0.7%、前年比で-1.8%から-2.9%へと大幅に下方修正されている。
実質賃金速報値、GDP改定値とも6月の日銀政策決定会合前に結果が出たあとに、確報値が修正されていることで、日銀は修正前水準でしか6月は景気見通しなどを判断していない。
しかも、両指標とも改定幅が大幅に悪化したこともあり、これらの修正結果を見ていれば6月の日銀の見解と相違があっても不思議ではないだろう。
また、5日に発表された5月消費支出は-1.8%となり、市場予想の+0.1%を下回る結果となっただけでなく、前月の313,300円から290,328円まで下がるなど内容も悪かった。
相次ぐ経済指標の下方修正や、予想比下振れの指標結果が続いているが、5月の実質賃金の結果もさえないものとなった場合は、7月の日銀政策決定会合で短期金利引き上げなどの積極的な政策変更が難しくなるだろう。
岸田政権が円安抑制策に対して全く手を打たない状況下で、7月に日銀が多少の長期国債の買い入れの減額にしか動けない場合は、さらに円安進行のリスクも高まりそうだ。
なお、本日は日銀支店長会議も予定されている。
東京時間では円相場が中心の値動きになるだろうが、欧州入り後は欧州通貨が大きく動意づきそうだ。
週末7日に行われたフランスの決選投票では、左派の政党連合「新人民戦線(NFP)」が議会の最大勢力になる見通しと伝わった。
マクロン大統領が左派連合とどの程度協力する意思を示すかにより、今後の仏政局が流動的になることが予想される。
早朝はややユーロ安が進んでいるが、欧州勢がどのように反応するかが注目される。
また、英国の総選挙で労働党が地滑り的な勝利をおさめたが、新財務相には予想通りに元イングランド銀行(BOE=中央銀行)のリーブス氏が就任した。
歳出拡大よりも財政規律を重視する同氏就任が決まり、ポンドがどのような動きを示すか注目したい。
そして、9年ぶりに行われたイラン大統領選挙では、改革派のペゼシュキアン氏が勝利をおさめた。
イランの政治は最高指導者のハメネイ師が実権を握るが、欧米との協調を訴える新大統領を迎え、欧州相場並びにドルの動きが注目される。
【本日の重要指標】 ※時刻表示は日本時間
<国内>
○08:30 ◇ 5月毎月勤労統計(現金給与総額、予想:前年比2.1%)
○08:50 ◎ 5月国際収支速報
◇ 経常収支(予想:季節調整前2兆4539億円の黒字/季節調整済2兆510億円の黒字)
◎ 貿易収支(予想:1兆1867億円の赤字)
○14:00 ◇ 6月景気ウオッチャー調査(予想:現状判断指数46.1/先行き判断指数46.5)
○14:00 ◇ 日銀地域経済報告(さくらレポート)
<海外>
○15:00 ◇ 5月独貿易収支(予想:211億ユーロの黒字)
○9日01:15 ◎ ハスケル英中銀金融政策委員会(MPC)委員、講演
○9日04:00 ◇ 5月米消費者信用残高(予想:100.0億ドル)
※「予想」は特に記載のない限り市場予想平均を表す。▲はマイナス。
※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。
※指標などの発表予定・時刻は予告なく変更になる場合がありますので、ご了承ください。
【前日までの要人発言】
5日11:27 鈴木財務相
「円安が輸入物価を押し上げている」
「為替市場と株式市場を注意深く監視」
5日20:09 ウィリアムズ米NY連銀総裁
「FRBはインフレ目標達成に向けて大きく前進したが、なお道のり残る」
「当分の間、引き続き不透明感が、金融政策環境の明確な特徴になるだろう」
※時間は日本時間
〔日足一目均衡表分析〕
<ドル円=転換線前後の攻防>
下影陰線引け。
3日に161.95円まで1986年12月以来、約37年半ぶりの高値を更新して以降の調整安が160.35円まで進んだ。
足もとでは、週明け160.79円へ切り上がった一目均衡表・転換線前後の攻防となっている。
同線付近で底堅さを示して再び高値更新へ挑む流れを期待するが、下げ止まらないようであれば、159.38円前後で上昇中の21日移動平均線も推移する159円台で下げ渋るポイントを探ることになるか。
レジスタンス1 161.40(7/5高値)
前日終値 160.75
サポート1 160.26(6/28安値)
サポート2 159.62(6/26安値)
<ユーロドル=雲を上回る水準で上昇>
陽線引け。
一目均衡表・雲を上回る水準で6月12日以来の高値を1.0843ドルまで更新した。
再び雲の中へ押し戻されても、一目・基準線1.0791ドルなどが支えとなり、底堅さを維持できるだろう。
下押しが1.0800ドル前後で上昇中の5日移動平均線付近にとどまるなら、より強めな地合いの確認となり、上向きの意識を高めることになる。
レジスタンス1 1.0902(6/6・7高値)
前日終値 1.0840
サポート1 1.0791(日足一目均衡表・基準線)
<ユーロ円=最高値圏で動きやや停滞>
下影小陰線引け。
ユーロ導入以来の高値圏で推移しつつも動きはやや停滞気味で、目先のすう勢を示す5日移動平均線前後の攻防となっている。
週明け、5日線は174.07円前後へ切り上がって推移。
同線付近から下放れるようなら、現水準172.69円から週後半にも173円台へ上昇する見込みの一目均衡表・転換線のサポートを試す展開も視野に入ってくる。
レジスタンス1 174.92(ピボット・レジスタンス2)
前日終値 174.21
サポート1 173.42(7/3安値)
<豪ドル円=1991年以来の高値圏で気迷い気味の足型形成>
極小陽線引け。
108.60円まで1991年以来の高値を更新したものの、高値圏で気迷い気味の小さな足型を形成している。
調整気味の動きを想定しておきたいが、週明け108.28円前後に切り上がった5日移動平均線付近に下押しがとどまるなら堅調な地合い継続の確認といえよう。
押し目がもう少し深めになっても、一目均衡表・転換線107.29円前後までなら、上向きの流れを維持できているとみていい。
レジスタンス1 108.93(ピボット・レジスタンス2)
前日終値 108.49
サポート1 107.82(7/1高値)
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