July 31, 2024
【前日の為替概況】日銀利上げの観測報道で円全面高 対ドル152.66円、対ユーロ165.11円
30日のニューヨーク外国為替市場でドル円は反落。
終値は152.77円と前営業日NY終値(154.02円)と比べて1円25銭程度のドル安水準だった。
NHKが「日銀は明日まで開く金融政策決定会合で現在0-0.1%の政策金利を0.25%程度に引き上げる案などを議論」と報じたほか、日経新聞が「日銀は追加利上げを検討、国債買い入れを減額する量的引き締めの具体策も決める」と伝えると、日銀の金融政策正常化への思惑が高まり円全面高の展開となった。
前日の安値153.02円を下抜けて152.66円まで値を下げた。
31日就任する三村淳財務官が足もとの円安について「輸入物価を押し上げて国民生活に影響を与えるなどデメリットの方が大きい」との認識を示したことも円買いを促したようだ。
なお、三村氏は為替介入に関しては「国際合意の枠組みの中でやっていく」と述べ、為替水準や見通しについては「コメントしない」と話した。
ユーロドルは小幅ながら続落。
終値は1.0815ドルと前営業日NY終値(1.0821ドル)と比べて0.0006ドル程度のユーロ安水準だった。
欧州市場では一時1.0836ドルまで上昇する場面もあったが、6月米雇用動態調査(JOLTS)求人件数や7月米消費者信頼感指数が予想を上回ると、米10年債利回りが上昇に転じたため一転下落した。
24時前に一時1.0798ドルと4日以来の安値を付けた。
ただ、売り一巡後は下げ渋る展開に。
「イスラエルはヒズボラに報復。
レバノンの首都ベイルートで同国のシーア派勢力ヒズボラの司令官を狙った攻撃を仕掛けた」との報道が伝わると、米10年債利回りが4.12%台まで低下。
ユーロ買い・ドル売りがじわりと強まり、1.0818ドル付近まで下げ幅を縮めた。
ユーロ円は3日続落。
終値は165.25円と前営業日NY終値(166.67円)と比べて1円42銭程度のユーロ安水準。
取引終了間際に一時165.11円と日通し安値を更新した。
日銀金融政策決定会合の結果公表を明日に控えて、各メディアから追加利上げを巡る観測報道が相次いだ。
市場では日銀の政策正常化に関する織り込みが進み、円全面高の展開となった。
米ハイテク株の下落や日経平均先物の下落を背景に、リスク回避目的の円買いも進んだ。
なお、ナイト・セッションの日経平均先物は大証終値比600円安の3万7890円まで大幅に値を下げた。
【本日の東京為替見通し】ドル円、日銀金融政策決定会合の決定次第の展開へ
本日の東京外国為替市場のドル円は、日銀金融政策決定会合での決定次第の展開が予想される。
日銀金融政策決定会合では、国債買い入れ(6兆円:6月は約5.6兆円)の「相当の減額幅」(植田日銀総裁)と政策金利(0-0.10%)の追加利上げの有無に要注目となる。
最もタカ派的なシナリオは、減額幅が3兆円を大幅に上回り、かつ0.15%の追加利上げであり、ドル円は、長期的な攻防の分岐点である200日移動平均線151.61円方向へ向けて下落することが予想される。
背景には、植田日銀総裁による金融政策正常化の示唆「政策金利を引き上げ、金融緩和度合いを調整」、岸田首相の金融政策正常化要請、ポスト岸田候補の河野デジタル相や茂木自民党幹事長による利上げ要請、金融政策正常化の観測報道、6月のコア消費者物価指数(CPI)が前年比+2.6%だったことなどが挙げられる。
日銀筋によるリークを思われる観測報道は、7月24日の「日銀は来週の金融政策決定会合で利上げを検討」、昨日の「日銀は31日の金融政策決定会合で追加利上げを検討し、短期金利を0.25%程度に引き上げる案を議論する」などが挙げられる。
中立的なシナリオは、利上げが見送られ、減額幅が2-3兆円程度に留まった場合であり、植田日銀総裁の記者会見を見極めることになる。ハト派的なシナリオは、減額幅が1-2兆円程度で政策金利据え置きの場合であり、ドル円は、中期的な攻防の分岐点である55日移動平均線157.59円方向に向けて上昇することが予想される。
背景には、1-3月期実質国内総生産(GDP)がマイナス圏でデフレギャップが解消されていないこと、26カ月連続で実質賃金がマイナス圏にあることなどが挙げられる。
しかしながら、米連邦公開市場委員会(FOMC)声明を東京時間明朝3時に控えているため、ドル円の上値は限定的だと予想される。
豪ドル/ドルは、10時30分に発表される6月豪小売売上高(予想:前月比+0.2%)、6月豪消費者物価指数(CPI、予想:前年比+3.8%)、4-6月期豪CPI(予想:前期比+1.0%/前年同期比+3.8%)に要注目か。
今月開催された豪準備銀行(RBA)理事会では、インフレ再加速の兆候を受けて利上げについて議論されており、インフレ目標(2-3%)からの乖離に注目しておきたい。
【本日の重要指標】 ※時刻表示は日本時間
<国内>
○08:50 ◇ 6月商業販売統計速報(小売業販売額、予想:前年比3.2%)
○08:50 ◎ 6月鉱工業生産速報(予想:前月比▲4.5%/前年比▲6.4%)
○未定 ☆ 日銀金融政策決定会合、終了後政策金利発表(予想:0-0.1%で据え置き)
○未定 ◎ 経済・物価情勢の展望(7月、基本的見解)
○14:00 ◇ 6月新設住宅着工戸数(予想:前年比▲2.0%)
○14:00 ◇ 7月消費動向調査(消費者態度指数 一般世帯、予想:36.6)
○15:30 ☆ 植田和男日銀総裁、定例記者会見
○19:00 ◇ 外国為替平衡操作の実施状況(介入実績)
<海外>
○07:45 ◎ 6月ニュージーランド(NZ)住宅建設許可件数
○10:00 ◇ 7月ANZ企業信頼感
○10:30 ◎ 7月中国製造業購買担当者景気指数(PMI、予想:49.3)
○10:30 ◎ 6月豪小売売上高(予想:前月比0.2%)
○10:30 ◎ 6月豪消費者物価指数(CPI、予想:前年比3.8%)
○10:30 ◎ 4-6月期豪CPI(予想:前期比1.0%/前年同期比3.8%)
○15:00 ◇ 6月独輸入物価指数(予想:前月比0.1%/前年比0.5%)
○15:45 ◇ 7月仏CPI速報値(予想:前月比0.3%/前年比2.4%)
○15:45 ◇ 6月仏卸売物価指数(PPI)
○16:00 ◇ 6月トルコ貿易収支(予想:64.0億ドルの赤字)
○16:55 ◎ 7月独雇用統計(予想:失業率6.0%/失業者数変化1.50万人)
○17:30 ◎ 4-6月期香港域内総生産(GDP)速報値(予想:前期比0.3%/前年比2.7%)
○18:00 ☆ 7月ユーロ圏消費者物価指数(HICP)速報値(予想:前年比2.5%)
○18:00 ☆ 7月ユーロ圏HICPコア速報値(予想:前年比2.8%)
○20:00 ◇ MBA住宅ローン申請指数
○21:00 ◎ 6月南アフリカ貿易収支(予想:184億ランドの黒字)
○21:15 ☆ 7月ADP全米雇用報告(予想:15.0万人)
○21:30 ☆ 5月カナダGDP(予想:前月比0.1%/前年比1.0%)
○21:30 ☆ 4-6月期米雇用コスト指数(予想:前期比1.0%)
○22:45 ◎ 7月米シカゴ購買部協会景気指数(予想:45.0)
○23:00 ◎ 6月米住宅販売保留指数(仮契約住宅販売指数、予想:前月比1.5%/前年比▲5.8%)
○23:30 ◇ EIA週間在庫統計
○1日01:00 ◎ 6月ロシア失業率(予想:2.6%)
○1日03:00 ☆ 米連邦公開市場委員会(FOMC)、終了後政策金利発表(予想:5.25-5.50%で据え置き)
○1日03:30 ☆ パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長、定例記者会見
○1日06:30 ☆ ブラジル中銀、政策金利発表(予想:10.50%で据え置き)
※「予想」は特に記載のない限り市場予想平均を表す。▲はマイナス。
※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。
※指標などの発表予定・時刻は予告なく変更になる場合がありますので、ご了承ください。
【前日までの要人発言】
30日11:12 林・官房長官
「日銀には政府と密接に連携を図り、適切な金融政策運営を望む」
「金融政策の具体的手法は日銀に委ねられる」
30日19:30 ブイチッチ・クロアチア中銀総裁
「ECBは9月にはるかに多くのデータを持つことになる」
「次の金利変更は引き下げか据え置き」
31日00:01 三村新財務官(31日付けで就任)
「為替市場の動きは絶え間なく注視している」
「(介入に関して)国際合意の枠組みの中でやっていく」
「為替水準や見通しについてコメントしない」
※時間は日本時間
〔日足一目均衡表分析〕
<ドル円=ピポット・レジスタンス1を抵抗に戻り売りスタンス>
大陰線引け。
転換線は基準線を下回り、遅行スパンは実線を下回り、雲の下で引けていることで、三役逆転の強い売りシグナルが点灯中。
抱き線で反落して転換線を下回っており続落の可能性が示唆されている。
本日はピポット・レジスタンス1を抵抗に戻り売りスタンスで臨み、同水準を上抜けた場合は手仕舞い。
レジスタンス2 154.90(日足一目均衡表・転換線)
レジスタンス1 154.44(ピポット・レジスタンス1)
前日終値 152.77
サポート1 151.61(200日移動平均線)
サポート2 150.81(4/5安値)
<ユーロドル=下落中の転換線を抵抗に戻り売りスタンス>
陰線引け。
転換線は基準線を上回り、遅行スパンは実線を上回り、雲の上で引けていることで、三役好転の強い買いシグナルが点灯中。
しかし、2手連続陰線で転換線を下回って引けており続落の可能性が示唆されている。
本日は下落中の転換線を抵抗に戻り売りスタンスで臨み、同線を上抜けた場合は手仕舞い。
レジスタンス1 1.0851(日足一目均衡表・転換線)
前日終値 1.0815
サポート1 1.0759(日足一目均衡表・雲の上限)
<ポンド円=ピポット・レジスタンス1を抵抗に戻り売りスタンス>
大陰線引け。
転換線は基準線を下回り、遅行スパンは実線を下回り、雲の下で引けていることで、三役逆転の強い売りシグナルが点灯中。
抱き線で反落して依然として転換線を下回って引けているため続落の可能性が示唆されている。
本日はピポット・レジスタンス1を抵抗に戻り売りスタンスで臨み、同水準を上抜けた場合は手仕舞い。
レジスタンス1 198.43(ピポット・レジスタンス1)
前日終値 196.16
サポート1 194.48(5/10安値)
<NZドル円=7/30高値を抵抗に戻り売りスタンス>
陰線引け。
転換線は基準線を下回り、遅行スパンは実線を下回り、雲の下で引けていることで、三役逆転の強い売りシグナルが点灯中。
8手連続陰線で依然として転換線を下回って引けており続落の可能性が示唆されている。
本日は30日の高値を抵抗に戻り売りスタンスで臨み、同水準を上抜けた場合は一旦手仕舞い。
レジスタンス1 91.53(7/30高値)
前日終値 90.20
サポート1 88.72(1/3安値)
Provided by
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