【前日の為替概況】米長期金利上昇でドル全面高 対円146.25円、対ユーロ1.1044ドル
30日のニューヨーク外国為替市場でドル円は3日続伸。
終値は146.17円と前営業日NY終値(144.99円)と比べて1円18銭程度のドル高水準だった。
米連邦準備理事会(FRB)が金融政策を判断するうえで重視する7月米個人消費支出(PCE)価格指数(デフレーター)は前年比2.5%と市場予想通りとなり、変動が激しい食品とエネルギーを除くコアデフレーターは前年比2.6%と予想の2.7%をわずかに下回った。
米インフレの鈍化傾向が続く中、米経済は底堅さを保っていると受け止められたことから、米長期金利の上昇とともにドル買いが優勢となった。
重要なレジスタンスとして意識されていた一目均衡表転換線145.40円を上抜けるとテクニカル的な買いも強まり、2時過ぎに146.25円まで上値を伸ばした。
市場では「FRBの9月利下げは織り込み済みだが、大幅な利下げに対する観測は幾分後退。
指標発表直後に米長期金利が上昇したため、ドル買いが進んだ」との声が聞かれた。
また、「今回のデータでは米インフレの鈍化傾向が続いていることが示された。
マーケットの関心は利下げ時期から今後の利下げペースに移っており、FRBの金融政策を見極めるうえで来週発表される8月米雇用統計が注目される」との指摘があった。
ユーロドルは3日続落。
終値は1.1048ドルと前営業日NY終値(1.1077ドル)と比べて0.0029ドル程度のユーロ安水準だった。
米長期金利の上昇とともに全般ドル買いが優勢になると、前日の安値1.1056ドルを下抜けて一時1.1044ドルまで値を下げた。
主要通貨に対するドルの値動きを示すドルインデックスは一時101.78まで上昇した。
なお、シュナーベル欧州中央銀行(ECB)専務理事は「ECBは利下げを慎重に進めるべき」と述べた一方、レーン・フィンランド中銀総裁やミュラー・エストニア中銀総裁、ビルロワドガロー仏中銀総裁は9月利下げの可能性を示唆した。
ユーロ円は6営業日ぶりに反発。
終値は161.49円と前営業日NY終値(160.62円)と比べて87銭程度のユーロ高水準。
ドル円の上昇につれた円売り・ユーロ買いが出たほか、日経平均先物の上昇に伴う買いが入った。
前日の高値161.27円を上抜けて一時161.63円まで値を上げた。
ナイト・セッションの日経平均先物は大証終値比360円高の3万9070円まで上昇した。
【本日の東京為替見通し】ドル円、米長期金利上昇や日経平均株価強含みで底堅い展開か
本日の東京外国為替市場のドル円は、米10年債利回りが3.9%台に上昇していることや先週末のダウ平均や日経平均先物の上昇を受けて日経平均株価の堅調推移が見込まれることで、底堅い展開が予想される。
しかしながら、今週末6日に米8月雇用統計の発表を控えていることや本日のニューヨーク市場がレーバーデーで休場のため、上値は限定的だと思われる。
金曜日に発表された米連邦準備理事会(FRB)が金融政策を判断するうえで重視する7月米個人消費支出(PCE)価格指数(デフレーター)は前年比+2.5%と市場予想通りとなり、変動が激しい食品とエネルギーを除くコアデフレーターは前年比+2.6%と予想の+2.7%をわずかに下回った。
米国のインフレ率の鈍化傾向は続いているものの、6月と7月が前年比+2.5%で下げ渋ったため、9月米連邦公開市場委員会(FOMC)での利下げ幅が0.50%ではなく、0.25%の可能性が高まったことが、米長期金利の上昇、そしてドルの買い戻しに繋がったと思われる。
FOMCは、2022年3月の利上げ開始以来、2大責務(「雇用の最大化」と「物価の安定」)のうち、「物価の安定」に特段の重点(highly attentive to inflation risks)を置いてきた。
しかし、7月FOMCの声明文では、「2大責務の両面のリスクに留意する」(attentive to the risks to both sides of its dual mandate)との文言に変更された。
すなわち、リスクバランスはこれまでのインフレ抑制に軸足を置いた状態から、インフレと雇用の間でバランスした状態になった、と判断が修正されたのである。
さらに、パウエルFRB議長はジャクソンホール会合で、労働市場のさらなる冷え込みを防ぐため、「政策金利を引き下げる時が来た」と表明しており、9月FOMCでの利下げ幅は、米8月雇用統計の数字次第となる。
本日は、10時30分に7月豪住宅建設許可件数(予想:前月比+2.5%)、10時45分に8月Caixin中国製造業購買担当者景気指数(PMI、予想:50.0)が発表される。
豪ドル/ドルは、豪準備銀行(RBA)の利下げ時期が先送りされるとの観測から強含みに推移しており、豪住宅指標や中国景況感指標のサプライズには警戒しておきたい。
【本日の重要指標】 ※時刻表示は日本時間
<国内>
○08:50 ◇ 4-6月期の法人企業統計調査(法人季報、ソフトウェアを含む設備投資額、予想:前年比10.1%)
<海外>
○10:30 ◎ 7月豪住宅建設許可件数(予想:前月比2.5%)
○10:45 ◎ 8月Caixin中国製造業購買担当者景気指数(PMI、予想:50.0)
○15:30 ◇ 7月スイス小売売上高
○16:00 ◎ 4-6月期トルコGDP(予想:前年比3.2%)
○16:00 ◇ 8月トルコ製造業PMI
○16:30 ◇ 8月スイス製造業PMI(予想:43.9)
○16:50 ◎ 8月仏製造業PMI改定値(予想:42.1)
○16:55 ◎ 8月独製造業PMI改定値(予想:42.1)
○17:00 ◎ 8月ユーロ圏製造業PMI改定値(予想:45.6)
○17:30 ◎ 8月英製造業PMI改定値(予想:52.5)
○24:00 ◇ 8月メキシコ製造業PMI
○米国、カナダ(レーバーデー)、休場
※「予想」は特に記載のない限り市場予想平均を表す。▲はマイナス。
※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。
※指標などの発表予定・時刻は予告なく変更になる場合がありますので、ご了承ください。
【前日までの要人発言】
30日16:09 シュナーベル欧州中央銀行(ECB)専務理事
「25年末のインフレ2%達成に向けて条件が整った」
「金融政策はインフレ目標2%に焦点を当てるべき」
「政策緩和ペースは機械的であってはならず、データ次第となるべき」
「ユーロ圏では景気後退より、軟着陸の可能性が高い」
「ユーロ圏のインフレ率は依然として高い」
「政策は徐々に、慎重に進められるべき」
30日16:52 レーン・フィンランド中銀総裁
「成長見通しは予想を下回っており、9月欧州中央銀行(ECB)理事会での利下げ観測を支持」
30日19:40 ミュラー・エストニア中銀総裁
「9月欧州中央銀行(ECB)理事会での利下げの可能性は高い」
30日23:34 ビルロワドガロー仏中銀総裁
「9月利下げは公平かつ賢明となる可能性」
「市場は2025年の金利2-2.50%が妥当とみている」
「ECBは成長不足のリスクを警戒しなければならない」
※時間は日本時間
〔日足一目均衡表分析〕
<ドル円=下落中の転換線を支持に押し目買いスタンス>

陽線引け。
転換線は基準線を下回り、遅行スパンは実線を下回り、雲の下で引けていることで、三役逆転の強い売りシグナルが点灯している。
しかし、3手連続陽線で転換線を上回って引けており続伸の可能性が示唆されている。
本日は下落中の転換線を支持に押し目買いスタンスで臨み、同線を下抜けた場合は手仕舞い。
レジスタンス2 148.05(8/19高値)
レジスタンス1 147.35(8/20高値)
前日終値 146.17
サポート1 145.11(日足一目均衡表・転換線)
サポート2 144.22(8/29安値)
<ユーロドル=上昇中の転換線を抵抗に戻り売りスタンス>

陰線引け。
転換線は基準線を上回り、遅行スパンは実線を上回り、雲の上で引けていることで、三役好転の強い買いシグナルが点灯中。
しかし、3手連続陰線で転換線を下回って引けており続落の可能性が示唆されている。
本日は上昇中の転換線を抵抗に戻り売りスタンスで臨み、同線を上抜けた場合は手仕舞い。
レジスタンス1 1.1123(日足一目均衡表・転換線)
前日終値 1.1048
サポート1 1.0990(日足一目均衡表・基準線)
<ポンド円=上昇中の転換線を支持に押し目買いスタンス>

陽線引け。
転換線は基準線を上回っているものの、遅行スパンは実線を下回り、雲の下で引けていることで、売りシグナルが優勢な展開となっている。
しかし、2手連続陽線で転換線を上回って引けており、続伸の可能性が示唆されている。
本日は上昇中の転換線を支持に押し目買いスタンスで臨み、同線を下抜けた場合は手仕舞い。
レジスタンス1 193.26(8/1高値)
前日終値 191.89
サポート1 190.49(日足一目均衡表・転換線)
<NZドル円=上昇中の転換線を支持に押し目買いスタンス>

陽線引け。
転換線は基準線を上回り、遅行スパンは実線を上回り、雲の下で引けているものの、買いシグナルが優勢な展開となっている。
4手連続陽線で転換線を上回って引けており続伸の可能性が示唆されている。
本日は上昇中の転換線を支持に押し目買いスタンスで臨み、同線を下抜けた場合は手仕舞い。
レジスタンス1 92.15(200日移動平均線)
前日終値 91.33
サポート1 90.30 (日足一目均衡表・転換線)
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DZH Finacial Research
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