本日の東京為替見通し(為替/FXニュース):ドル円、トランプ米政権の貿易戦争回避で軟調推移か(2025年1月21日)

ニュース

January 21, 2025

【前日の為替概況】ユーロドル、反発 米インフレ再加速への懸念が和らぎドル売り先行

20日のニューヨーク外国為替市場でユーロドルは反発。
終値は1.0416ドルと前営業日NY終値(1.0273ドル)と比べて0.0143ドル程度のユーロ高水準だった。
米国がキング牧師誕生日で休場となる中、米ウォールストリートジャーナル紙(WSJ)が「米大統領に就任するトランプ氏は米国への輸入品に対する新たな関税について、本日の発動は見送る見通し」と報じると、米インフレ再加速への懸念が和らぎ全般ドル売りが先行。
一時1.0430ドルまで値を上げた。

トランプ氏の大統領就任演説が始まると1.0354ドル付近まで売られたものの、下押しは限定的となり、そのあとは再びドル売りが優勢に。
5時過ぎには一時1.0434ドルと7日の高値に面合わせした。

なお、トランプ氏は日本時間21日2時、第47代大統領に就任した。
演説では「米国の黄金時代がいま始まる」と宣言し、対外政策に関しては「米国は成長国家であり、領土を拡大する」と述べ、パナマ運河の支配を目指す姿勢を示した。
また、経済については「記録的なインフレを打破し、物価を速やかに下げる」「市民を豊かにするために外国に関税を課す」と表明した。

ドル円は反落。
終値は155.62円と前営業日NY終値(156.30円)と比べて68銭程度のドル安水準だった。
WSJの報道を受けて投資家の過度な警戒感が和らぐとともに、関税引き上げを見込んで積み上がっていたドル買いポジションを解消する動きが出ると、23時30分過ぎに一時155.42円と日通し安値を更新した。

米大統領就任演説が始まると156.05円付近まで下げ渋る場面もあったが戻りは鈍く、引けにかけては155.50円付近まで押し戻された。

ユーロ円は続伸。
終値は162.09円と前営業日NY終値(160.56円)と比べて1円53銭程度のユーロ高水準。
英独株価指数が史上最高値を更新するなど、欧州株相場が底堅く推移すると投資家のリスク志向が改善し円売り・ユーロ買いが優勢となった。
24時30分前には一時本日高値となる162.31円まで値を上げた。
その後の下押しも161.54円付近にとどまった。

【本日の東京為替見通し】ドル円、トランプ米政権の貿易戦争回避で軟調推移か

本日の東京外国為替市場のドル円は、トランプ米大統領が就任演説や大統領令で関税発動を見送ったことを受けたドル全面安の流れが継続することが予想される。

第2次トランプ米政権では、まず、中国、カナダ、メキシコに対する関税を発動して貿易戦争を仕掛ける前に貿易関係を検証し、今後数週間または数カ月の関税発動に向けた準備を進める可能性が示された。

トランプ米大統領は、外国からの関税を徴収する新機関「外国歳入庁」を設立して、「他の国を豊かにするために米国民に課税するのではなく、米国民を豊かにするために外国に関税と税金を課す」と述べており、通商協議が不調に終わった場合は、関税を引き上げて貿易戦争に踏み切る可能性を残している。

しかし、第2次トランプ米政権の通商政策が、警戒されていたような強硬路線ではなく、通商交渉による穏健路線となる可能性が示されたことで、23-24日の日銀金融政策決定会合では0.50%への追加利上げの可能性が高まっている。

先週、氷見野日銀副総裁と植田日銀総裁は、23-24日の日銀金融政策決定会合について、トランプ次期米大統領の演説内容、政策などを見極めて、追加利上げを行うかどうか判断する、と述べていた。

オーバーナイト・インデックス・スワップ(OIS)市場が示す日銀金融政策決定会合での0.25%の追加利上げ確率は80%台となっている。

目先の第2次トランプ米政権にとっての懸念材料は、債務上限の引き上げ、あるいは効力の再停止に関する議会の判断となる。
イエレン前米財務長官は、連邦債務の法定上限突破を回避するため、21日から会計上の特別措置を始めると発表し、債務上限の引き上げか一時停止を議会に要請していた。

昨年末の「つなぎ予算」の協議の際に、共和党の保守強硬派が、トランプ次期米大統領の債務上限の引き上げ、停止要請を拒否していたことで警戒感が高まっている。

【本日の重要指標】 ※時刻表示は日本時間

<国内>
特になし

<海外>
○16:00 ◎ 12月英雇用統計(失業率/失業保険申請件数推移)
○16:00 ◎ 9-11月英失業率(ILO方式、予想:4.4%)
○17:30 ◎ 12月香港消費者物価指数(CPI、予想:前年同月比1.5%)
○19:00 ◎ 1月独ZEW景況感指数(予想:15.3)
○19:00 ◎ 1月ユーロ圏ZEW景況感指数
○20:00 ◎ センテノ・ポルトガル中銀総裁、講演
○22:30 ◎ 12月カナダCPI(予想:前月比▲0.4%/前年比1.9%)
○世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議、スイス・ダボス、24日まで)

※「予想」は特に記載のない限り市場予想平均を表す。▲はマイナス。
※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。
※指標などの発表予定・時刻は予告なく変更になる場合がありますので、ご了承ください。

>本日発表予定のその他の経済指標についてはこちら

【前日までの要人発言】

20日07:57 トランプ米大統領
「バイデン政権の大統領令は全て撤回される」
21日02:27
「インフレ阻止やコスト低下を閣僚に指示する」
「外国に関税や税金を課す」
「EV販売の義務付けを撤廃する」
「国民を守るため貿易システムを見直す」
「国家エネルギーの非常事態を宣言する」
「パナマ運河を取り戻す」

20日15:22 ホルツマン・オーストリア中銀総裁
「1月の利下げは規定の結論ではない」
「CPIが上昇している時に金利を引き下げると、信頼性が損なわれる」

20日22:54 プーチン露大統領
「新たな米政権との対話に前向き」
「我々はロシアの利益のために戦う」
「ウクライナの永続的な平和を望む」

20日23:56 ブイチッチ・クロアチア中銀総裁
「インフレを巡るリスクは均衡している」
「現在のECB政策スタンスには満足」
「データは概ねECB予測と一致している」
「為替市場の動きに注目している」

21日02:33 ホワイトハウス
「トランプ大統領はパリ協定から離脱する意向」

※時間は日本時間

>本日の要人発言をリアルタイムで確認するならこちら

〔日足一目均衡表分析〕

<ドル円=155円前後を下放れ下落加速するリスク警戒>

ドル円0121

パラメータ0121

陰線引け。
一目均衡表・基準線156.02円を割り込んでNYを引けた。

上昇余地を残す基準線に追随して戻す期待は残されている。
しかし155.83円前後で低下中の5日移動平均線が目先の重しとなるほか、今後の低下が予想される一目・転換線156.93円も抵抗として重みを増してきそう。
17日安値154.98円も位置する155円前後を下放れて下落が加速するリスクに警戒しておきたい。

レジスタンス1 156.33(ピボット・レジスタンス1)
前日終値 155.62
サポート1 154.98(1/17安値)
サポート2 154.44(12/19安値)

>ドル円のリアルタイムチャートはこちら

<ユーロドル=雲の下限を見据えた展開>

ユーロドル0121

パラメータ0121

大陽線引け。
一目均衡表・転換線1.0306ドルを下回る水準から、1.03ドル台で低下中の21日移動平均線や一目・基準線といった抵抗を上抜け7日以来、約2週間ぶりの1.04ドル台まで急上昇した。
ここからは一目均衡表・雲の下限1.0520ドルを見据える展開。
ただ、低下する雲の下限は抵抗になりそう。
足もとの急上昇に対する大調整が大きめになる展開にも注意が必要か。

レジスタンス1 1.0478(ピボット・レジスタンス1)
前日終値 1.0416
サポート1 1.0354(1/15高値)

>ユーロドルのリアルタイムチャートはこちら

<ポンド円=転換線に追随した調整も視野に入れ臨みたい>

ポンド円0121

パラメータ0121

大陽線引け。
先週末17日に12月3日以来、約1カ月半ぶりの安値189.34円をつけたところで下げ渋ったところから、一時192円台を回復するところまで上振れた。
ただ、低下中の一目均衡表・転換線192.58円が抵抗となる可能性に留意。
現状からすれば同線は明日192.06円へ低下する見込み。
転換線の動きに追随した調整も視野に入れて臨みたい。

レジスタンス1 192.58(日足一目均衡表・転換線)
前日終値 191.84
サポート1 191.00(1/17-20上昇幅の38.2%押し)

>ポンド円のリアルタイムチャートはこちら

<NZドル円=基準線前後の攻防>

NZドル円0121

パラメータ0121

陽線引け。
一時88.39円まで上昇しており、ここからは一目均衡表・基準線88.20円前後の攻防となりそう。
同線を支えに一目均衡表・雲の下限88.82円をうかがう展開を予想。
基準線を下回ってきた場合は87.73円前後で低下中の5日移動平均線を追うような調整を進めることになるか。

レジスタンス1 88.82(日足一目均衡表・雲の下限)
前日終値 88.24
サポート1 87.74(1/17-20上昇幅の38.2%押し)

>NZドル円のリアルタイムチャートはこちら

OANDA CFD

Provided by
DZH Finacial Research

「投資を面白く、投資家を笑顔に」をスローガンに、株式や為替など様々な金融マーケットの情報を提供。 豊富な経験を持つエキスパートが多数在籍し、スピーディー且つオリジナルな視点からの情報をOANDA Labに配信しています。
会社名:株式会社DZHフィナンシャルリサーチ
所在地:東京都中央区明石町8番1号 聖路加タワー32階
商号等:【金融商品取引業者】投資助言業/【登録番号】関東財務局長(金商)907号


本ホームページに掲載されている事項は、投資判断の参考となる情報の提供を目的としたものであり、投資の勧誘を目的としたものではありません。投資方針、投資タイミング等は、ご自身の責任において判断してください。本サービスの情報に基づいて行った取引のいかなる損失についても、当社は一切の責を負いかねますのでご了承ください。また、当社は、当該情報の正確性および完全性を保証または約束するものでなく、今後、予告なしに内容を変更または廃止する場合があります。なお、当該情報の欠落・誤謬等につきましてもその責を負いかねますのでご了承ください。

この記事をシェアする
一覧へ戻る

ホーム » マーケットニュース » 本日の東京為替見通し(為替/FXニュース):ドル円、トランプ米政権の貿易戦争回避で軟調推移か(2025年1月21日)