国際通貨基金(IMF)とは|役割・機能・設立の経緯などをわかりやすく解説
国際通貨基金(IMF)とは、国際的な通貨・金融システムの安定を目的に創設された国際機関です。
世界経済の安定に不可欠な存在であり、国際社会で重要な役割を担っています。
本記事では、IMFの役割や設立の経緯、世界銀行との違い、よくある質問などをわかりやすく解説します。
目次
- 1.国際通貨基金(IMF)とは
- 2.国際通貨基金(IMF)の主な役割と機能
- 3.国際通貨基金(IMF)と世界銀行の違い
- 4.国際通貨基金(IMF)に関するQ&A
- 5.【まとめ】国際通貨基金(IMF)とは|役割・機能・設立の経緯などをわかりやすく解説
国際通貨基金(IMF)とは
国際通貨基金(IMF)の目的、設立の経緯と背景について解説します。
- ・目的
- ・設立の経緯と背景
目的
国際通貨基金(IMF)とは、国際的な通貨・金融システムの秩序を維持し、安定を図ることを目的に創設された国際機関です。
本部は米国のワシントンD.C.にあり、現在では190か国が加盟しています。
加盟国の経済政策の調整や資金援助を通じて、国際通貨・金融システムの安定と世界経済の成長を支援しています。
IMFの主な目的は、以下の5点です(IMF協定第1条の趣旨に基づく)。
- ①通貨に関する国際協力の推進
- ②国際貿易の安定的かつ持続的な拡大の促進
- ③為替の安定と秩序ある為替制度の維持
- ④多国間支払制度の整備と為替制限の緩和支援
- ⑤国際収支問題を抱える加盟国への一時的な資金提供による支援
これらの目的を通じて、IMFは世界経済の安定と持続的成長を支える重要な役割を担っています。
設立の経緯と背景
国際通貨基金(IMF)は、第二次世界大戦後の国際経済の安定と復興を目的に設立されました。
戦争で混乱した世界経済の再建、持続可能な成長、貿易拡大を支えるため、1944年7月に開催された連合国通貨金融会議(ブレトン・ウッズ会議)で、IMFと世界銀行の創設が合意され、翌1945年12月にIMFが正式に発足しました。
当時はブレトン・ウッズ体制による固定相場制が採用されており、IMFは加盟国の通貨の安定維持を支援し、為替レートや国際収支の調整を担う役割を果たしました。
現在では、国際通貨・金融システムの中核機関として、IMFの役割はますます重要性を増しています。
国際通貨基金(IMF)の主な役割と機能
国際通貨基金(IMF)には、「国際通貨協力の強化」「貿易の拡大・経済成長の促進」「繁栄を損なう政策の抑制」といった3つの責務があります。
その責務を全うするため、以下の方法で国際金融システムの安定を図っています。
- ・サーベイランス(政策監視)
- ・金融支援
- ・能力開発
サーベイランス(政策監視)
IMFは加盟国の経済や金融政策の動向を監視し、適切な政策助言を行っています。
IMF職員は通常、年に1度加盟国を訪問し、政府や中央銀行の当局者と為替相場や通貨政策、財政政策、金融政策、構造改革などについて協議し、必要な対応策を検討します。
加盟国の評価が終わると報告書を作成し、理事会で協議したうえで、その見解が加盟国政府に伝えられます。
この過程は「4条協議」と呼ばれ、多くの加盟国が透明性を確保するため、報告書や理事会の見解を公式に公表しています。
金融支援
IMFは経済危機に直面する国に対して融資を行い、その国が経済の安定と成長回復に向けた政策を実施しやすいよう、財政面で支援しています。
また、経済危機を未然に防ぐための予防的な融資も行っており、こうした融資制度は加盟国の多様なニーズに応じて常に見直し・改良されています。
IMFは国ごとに異なる事情やニーズに応じた多様な融資プログラムを提供しており、特に低所得国向けの融資は実質ゼロ金利で実施されています。
能力開発
IMFは加盟国の能力開発を目的として、技術的支援も行っています。
これはIMFの主要な役割の1つであり、年間支出額から数億ドル規模で予算が割かれています。
技術的支援は、加盟国のニーズに応じて柔軟かつ積極的に提供されます。
具体的には、税収の改善、公共財政の強化、金融・為替政策の現代化、法制度の整備、ガバナンスの強化などに取り組む国々を支援しています。
また、信頼性の高いデータの収集・公表を通じて、各国が効果的に意思決定できるようサポートしています。
国際通貨基金(IMF)と世界銀行の違い
国際通貨基金(IMF)と世界銀行は、いずれも国際的な経済支援を目的とした組織ですが、その役割や活動内容には大きな違いがあります。
世界銀行は、主に開発途上国の経済発展や貧困削減を目的とする国際機関です。
正式には「国際復興開発銀行(IBRD)」を中心としたグループの総称で、加盟国の出資金や国際金融市場での債券発行を通じて資金を調達し、長期的な融資や技術支援を提供しています。
両者の違いをまとめると、以下の通りです。
国際通貨基金(IMF) | 世界銀行 | |
---|---|---|
設立年 | 1945年 | 1945年 |
本部所在地 | 米国ワシントンD.C. | 米国ワシントンD.C. |
目的 | 国際的な金融システムの安定 | 開発途上国の経済発展・貧困削減 |
支援対象国 | 為替・国際収支などの問題を抱える全ての加盟国 | 主に発展途上国 |
支援の内容 | 短期的な融資、財政・金融政策の助言や監視 | 長期的な融資、インフラ整備、教育・医療支援 |
財源 | 加盟国からの出資 | 加盟国からの出資および国際金融市場での債券発行 |
IMFと世界銀行は、それぞれの役割を補完し合いながら国際的な経済の安定と発展に貢献しています。
国際通貨基金(IMF)に関するQ&A
国際通貨基金(IMF)に関するよくある質問に回答していきます。
- ・IMFは何の略称ですか?
- ・国際通貨基金(IMF)の財源は?
- ・日本はいつ国際通貨基金(IMF)に加盟しましたか?
IMFは何の略称ですか?
IMFは、正式名称「International Monetary Fund」の略称で、読み方は「アイエムエフ」です。
日本語では「国際通貨基金」と呼ばれています。
その名称が示す通り、IMFは国際通貨と金融システムの安定維持を目的とした国際機関です。
国際通貨基金(IMF)の財源は?
IMFの財源は、主に以下の3つに分類されます。
- ①加盟国のクォータ(出資割当額)
- クォータとは、加盟国がIMFに拠出する出資金のことで、IMFの基本的かつ恒常的な財源です。
- クォータの金額は、各国の経済規模や国際収支などに応じて決定されます。
- ②新規借入取極
- IMFが資金を一時的に補強するための借入枠で、加盟国や一部の国際機関との間で取り決められます。
- 通常のクォータでは対応が難しい大規模な支援が必要な場合に活用され、クォータに次ぐ第2の財源として機能します。
- ③国別借入取極
- IMFと特定の加盟国が個別に結ぶ借入契約で、新規借入取極でも資金が不足する場合に備えた補完的な手段です(二国間借入取極とも呼ばれます)。
- 迅速に資金を調達できるよう設計されており、第3の財源として位置づけられます。
このように、IMFは加盟国のクォータ(出資割当額)を基本としながら、新規借入取極や国別借入取極といった補完的な枠組みを通じて、安定的に資金を確保できる仕組みを整えています。
日本はいつ国際通貨基金(IMF)に加盟しましたか?
日本は1952年に、53番目の加盟国としてIMFに加盟しました。
それ以来、日本は国際金融の安定や経済協力の推進に積極的に取り組み、IMFにおいて主要な出資国・政策提言国の1つとして重要な役割を果たしています。
【まとめ】国際通貨基金(IMF)とは|役割・機能・設立の経緯などをわかりやすく解説
国際通貨基金(IMF)とは、国際的な通貨および金融システムの安定と秩序の維持を目的として設立された国際機関です。
「国際通貨協力の強化」「貿易の拡大・経済成長の促進」「繁栄を損なう政策の抑制」という3つの責務のもと、加盟国に対して「サーベイランス(政策監視)」「金融支援」「能力開発」を行い、国際金融システムの安定に貢献しています。
IMFは、国際金融の安定と経済成長を支えるうえで、今後も重要な役割を果たすことが期待されています。
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