用語解説

GPIFとは|ポートフォリオや今後の運用方針などをわかりやすく解説


GPIFとは、日本の公的年金(厚生年金・国民年金)の積立金を運用する機関です。

国民の将来の年金給付を安定的に賄うことを目的に、国内外の株式や債券などさまざまな資産に分散投資を行っています。

本記事では、GPIFの目的と役割、基本ポートフォリオや今後の運用方針などをわかりやすく解説します。

GPIFとは

GPIFの目的と役割、管理体制と仕組みについて解説します。

  • ・目的と役割
  • ・管理体制と仕組み

目的と役割

GPIFは、日本の公的年金(厚生年金・国民年金)の積立金を運用する独立行政法人です。

正式名称は「年金積立金管理運用独立行政法人」で、英語表記の「Government Pension Investment Fund 」の頭文字を取ってGPIF(ジーピーアイエフ)と呼ばれています。

GPIFの主な目的・役割は、国民の将来の年金給付を安定的かつ持続的に行うために、積立金を効率的に運用し資産を増やすことです。

安定した収益の確保を目指して、国内外の債券や株式など幅広い資産に分散投資を行っています。

世界最大規模の運用資産を持つ機関であり、市場に与える影響力が非常に大きいことから「クジラ」と呼ばれることもあります。

管理体制と仕組み

GPIFの仕組み_20250526

GPIFによる年金積立金の管理・運用のおおまかな流れは、上図の通りです。

国民から納付された年金保険料は、厚生労働大臣が管理しGPIFに寄託されます。

GPIFは年金積立金の管理・運用を行いますが、実際の運用は主に信託銀行や金融商品取引業者などの運用機関に委託しています。

運用で得た収益は年金特別会計に繰り入れられ、将来の年金給付の財源として活用されます。

GPIFのポートフォリオ

GPIFは、長期的に維持すべき資産構成割合(ポートフォリオ)を定め、安全かつ効率的な運用に努めています。

ここでは基本の運用方針とポートフォリオについて解説します。

  • ・基本の運用方針
  • ・基本のポートフォリオ

基本の運用方針

GPIFは公的年金の安定的な運用を目的に、以下の5つの基本方針を掲げています。

  • ①長期的視点での安定運用
  • 年金財政に必要な利回りを、最低限のリスクで確保することを目指し、被保険者の利益を最優先とする。

  • ②分散投資と流動性の確保
  • 資産・地域・時間などを分散して投資することを基本とし、市場変動の影響を抑えつつ長期的かつ安定的に収益と年金給付に必要な流動性を確保する。

  • ③基本ポートフォリオに基づく運用とリスク管理
  • 基本ポートフォリオを策定し、それに基づいてパッシブ運用とアクティブ運用を併用。各段階でリスク管理を徹底し、ベンチマーク収益率(市場平均収益率)の確保と収益機会の発掘に努める。

  • ④サステナビリティ投資の推進
  • 財務的な要素に加え、ESG(環境・社会・ガバナンス)や社会・環境的効果(インパクト)といった非財務的要素も考慮し、持続可能な成長と長期的な収益拡大を目指す。

  • ⑤スチュワードシップ責任の遂行
  • 長期的な投資収益の拡大を図る観点から、投資先や市場全体の長期志向・持続的成長を促す活動(ESGを考慮した取り組みを含む)を通じて、スチュワードシップ責任を果たす。

基本のポートフォリオ

GPIFでは、公的年金を運用するにあたり、各資産の期待収益率やリスクなどを考慮したうえで、積立金の基本となるポートフォリオを次のように定めています。

国内債券 外国債券 国内株式 外国株式
資産構成割合 25% 25% 25% 25%
乖離許容幅 各資産 ±6% ±5% ±6% ±6%
債券・株式 ±9% ±9%

※出所:GPIF「第5期中期目標期間における基本ポートフォリオについて」

こちらの基本ポートフォリオは、GPIFの経営委員会で議決され、厚生労働省の社会保障審議会資金運用部会における諮問・答申を経て厚労大臣による認可を受けたもので、2025年4月1日から適用されています。

また、市場動向や運用環境の変化については毎年度検証され、見直しや修正が必要と判断された場合には速やかに実施されます

GPIFの運用実績

GPIFの2024年度第3四半期(10月~12月)と、運用開始以降(2001年度~2024年度第3四半期)の運用実績は次の通りです。

2024年度第3四半期 市場運用開始以降
(2001年度~2024年度第3四半期)
収益額 +10兆7,032億円(期間収益額) +164兆3,463億円(累積収益額)
利子・配当収入 1兆3,932億円 55兆94億円
収益率 +4.31%(期間収益率) +4.40%(年率)
運用資産額 258兆6,936億円(2024年度第3四半期末時点)

2024年度第3四半期には、国内外の株式市場の回復などを背景に収益額が10兆円を超え、収益率も4.31%と堅調なパフォーマンスを記録しました。

また、市場運用開始以降の累積収益は164兆円を超え、年率収益率も4.40%と、長期的な視点から見ても安定したリターンを確保しており、GPIFの運用が着実な成果を上げてきたことがわかります。

なお、2024年度第3四半期末(12月末)における年金積立金全体の運用資産額・構成割合は下図の通りです。

GPIFの運用方針_20250526

資産配分は国内外の債券・株式にほぼ均等に分散されており、リスク分散と安定運用の基本方針に沿ったバランスの取れたポートフォリオとなっています。

GPIFの今後の運用方針(ESG投資)

GPIFは、今後もESG投資の推進に積極的に取り組む方針を打ち出しています。

ESG投資とは、環境(Environment)・社会(Social)・ガバナンス(Governance)の頭文字を取った用語で、持続可能性を重視した投資手法です。

これら3つの要素を投資判断に取り入れることで、長期的なリスク調整後リターンの向上が期待されています。

GPIFは、長期的に安定した収益を確保するうえで、ESG投資は不可欠であるとの認識を示しています。

GPIFに関するQ&A

GPIFに関するよくある質問に回答していきます。

  • ・GPIFの保有銘柄は確認できますか?
  • ・GPIFは世界で何位ですか?
  • ・GPIFのリバランスはいつですか?

GPIFの保有銘柄は確認できますか?

GPIFは、透明性向上を目的として、公式サイトで全保有銘柄を公表しています。

ただし、速報性はなく、直近では2023年度末のデータが2024年7月に公開されています。

なお、資産配分や運用成果、投資方針などの概要は四半期毎に公表され、直近では「2024年度第3四半期運用状況」(10月~12月)が最新です。

GPIFは世界で何位ですか?

GPIFは、2024年度末時点で約258兆円の運用資産を有し、世界1位の公的年金基金です(具体的な順位は年によって変動。1位の座を譲ることも)

その豊富な資産を背景に、国内外の債券・株式に分散投資しながら安定した運用を行っています。

GPIFのリバランスはいつですか?

GPIFのリバランス(資産配分の調整)は、固定スケジュールに基づいて行われているわけではありません。

市場環境や基本ポートフォリオとの乖離状況に応じて、柔軟かつ機動的に対応しています。

乖離の状況は少なくとも月に1回確認され、リバランスが必要と判断された場合には、市場への影響を考慮しつつ円滑に実施されます。

【まとめ】GPIFとは|ポートフォリオや今後の運用方針などをわかりやすく解説

GPIFとは、日本の公的年金(厚生年金・国民年金)の積立金を運用する独立行政法人です。

正式名称は「年金積立金管理運用独立行政法人」で、運用規模の大きさから市場への影響力が非常に強く、「クジラ」と呼ばれることもあります。

国民の将来の年金給付を安定的かつ持続的に行うために、国内外の債券や株式など幅広い資産に分散投資を行っています。

GPIFの運用方針や動向は、年金制度の持続性を支えるとともに、今後も日本経済や金融市場の安定に寄与すると期待されています。

OANDA証券では、GPIFをはじめ投資に関わる基礎的な用語を、初心者の方向けにわかりやすく解説するコンテンツを提供しています。

OANDA証券での取引に興味をお持ちいただけた方は、以下のボタンから口座開設をご検討ください。

OANDA証券の口座開設


本ホームページに掲載されている事項は、投資判断の参考となる情報の提供を目的としたものであり、投資の勧誘を目的としたものではありません。投資方針、投資タイミング等は、ご自身の責任において判断してください。本サービスの情報に基づいて行った取引のいかなる損失についても、当社は一切の責を負いかねますのでご了承ください。また、当社は、当該情報の正確性および完全性を保証または約束するものでなく、今後、予告なしに内容を変更または廃止する場合があります。なお、当該情報の欠落・誤謬等につきましてもその責を負いかねますのでご了承ください。

この記事をシェアする

ホーム » 用語解説登録 » GPIF