市場見通し
◆豪ドル、RBA理事会での利下げペースを確認
◆豪ドル、RBA後の賃金指数・雇用統計が今後の金融政策に影響も
◆ZAR、米国の高関税賦課も南アへの投資意欲引かず
予想レンジ
豪ドル円 93.00-98.00円
南ア・ランド円 8.10-8.50円
8月11日週の展望
豪ドルは11−12日に行われる豪準備銀行(RBA)理事会の結果に大きく左右される相場になりそうだ。RBAが利下げを継続する可能性が高い中で、RBAの声明文などで、今後の利下げペースを確認することになる。
豪州のインフレは低下傾向にあり、4−6月期消費者物価指数(CPI)は前年比2.1%と前期の2.4%からインフレ鈍化が確認されたほか、RBAが重視しているトリム平均も2.7%と2021年10-12月期以来の低水準となった。RBA理事会では25bpの利下げはほぼ確実だろうが、注目されるのは声明文。緩やかな緩和路線になるとの予想だが、FRBが9月から利下を繰り返す可能性もあり、RBAの利下げが緩やかになれば豪ドルは対ドルで底堅い動きになりそうだ。
また、先週の米雇用統計発表後にマッケンターファー労働省労働統計局(BLS)局長を解任したこともドル売り(豪ドル買い)要因となっている。後任のBLS局長はトランプ米大統領の意向に沿った指標結果を発表し、BLSの透明性と信頼性を失うことが懸念されている。BLSは雇用統計だけでなくCPIや卸売物価指数(PPI)等のインフレ指標も発表しており、トランプ米大統領の望む利下げへ舵を切りやすいように、「インフレ低下の指標結果が相次ぐ」とのうがった憶測も台頭している。
なお、豪州からは12日にNAB企業信頼感・景況感、13日に4−6月期賃金指数、14日に7月雇用統計が発表予定。賃金指数や雇用統計の結果次第で今後のRBAの金融政策に影響を与えそうだ。
南アフリカ・ランド(ZAR)は底堅くなりそうだ。米国の関税率が30%に引き上げられたが、南アと米国の関係が冷え込んでいたこともあり、高関税賦課は避けられなかった。ただ、2025年上半期は南アにとって厳しい状況にもかかわらず、南ア株式市場は好調で、南ア債への投資も進んでいる。ヨハネスブルグ証券取引所(JSE)は利益が大幅に増加。税引き後純利益(NPAT)は13.2%増加して5億5780万ランド。1株当たり純利益(HEPS)は687.0セント増加し、前年比13.4%増となった。米国の政治・経済的な不確実的要素の高まりなどが、南アなどの新興国市場への資金移動につながっていることがZARの支えとなっている。なお、来週は経済指標では、12日に4−6月期失業率、13日6月小売売上高が発表される。
8月4日週の回顧
豪ドルは底堅かった。先週の米雇用統計ショックの影響で、週初の豪ドル円は約1カ月振りとなる94円台まで弱含んだが、相場が落ち着くと96円台を回復する場面もあった。対ドルでもユーロに対してドルが売られた影響もあり、0.65ドル台を回復した。ZARは堅調だった。週明けには対円の下落に連れて弱含む場面もあったが、すぐに反転し堅調に推移した。ZAR円は8.09円から8.30円台まで上昇した。対ドルでも18ランドを維持できず、17ランド後半までドル安・ランド買いが進んだ。(了)
(執筆:8月8日、9:00)
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◆豪ドル、RBA後の賃金指数・雇用統計が今後の金融政策に影響も
◆ZAR、米国の高関税賦課も南アへの投資意欲引かず
予想レンジ
豪ドル円 93.00-98.00円
南ア・ランド円 8.10-8.50円
8月11日週の展望
豪ドルは11−12日に行われる豪準備銀行(RBA)理事会の結果に大きく左右される相場になりそうだ。RBAが利下げを継続する可能性が高い中で、RBAの声明文などで、今後の利下げペースを確認することになる。
豪州のインフレは低下傾向にあり、4−6月期消費者物価指数(CPI)は前年比2.1%と前期の2.4%からインフレ鈍化が確認されたほか、RBAが重視しているトリム平均も2.7%と2021年10-12月期以来の低水準となった。RBA理事会では25bpの利下げはほぼ確実だろうが、注目されるのは声明文。緩やかな緩和路線になるとの予想だが、FRBが9月から利下を繰り返す可能性もあり、RBAの利下げが緩やかになれば豪ドルは対ドルで底堅い動きになりそうだ。
また、先週の米雇用統計発表後にマッケンターファー労働省労働統計局(BLS)局長を解任したこともドル売り(豪ドル買い)要因となっている。後任のBLS局長はトランプ米大統領の意向に沿った指標結果を発表し、BLSの透明性と信頼性を失うことが懸念されている。BLSは雇用統計だけでなくCPIや卸売物価指数(PPI)等のインフレ指標も発表しており、トランプ米大統領の望む利下げへ舵を切りやすいように、「インフレ低下の指標結果が相次ぐ」とのうがった憶測も台頭している。
なお、豪州からは12日にNAB企業信頼感・景況感、13日に4−6月期賃金指数、14日に7月雇用統計が発表予定。賃金指数や雇用統計の結果次第で今後のRBAの金融政策に影響を与えそうだ。
南アフリカ・ランド(ZAR)は底堅くなりそうだ。米国の関税率が30%に引き上げられたが、南アと米国の関係が冷え込んでいたこともあり、高関税賦課は避けられなかった。ただ、2025年上半期は南アにとって厳しい状況にもかかわらず、南ア株式市場は好調で、南ア債への投資も進んでいる。ヨハネスブルグ証券取引所(JSE)は利益が大幅に増加。税引き後純利益(NPAT)は13.2%増加して5億5780万ランド。1株当たり純利益(HEPS)は687.0セント増加し、前年比13.4%増となった。米国の政治・経済的な不確実的要素の高まりなどが、南アなどの新興国市場への資金移動につながっていることがZARの支えとなっている。なお、来週は経済指標では、12日に4−6月期失業率、13日6月小売売上高が発表される。
8月4日週の回顧
豪ドルは底堅かった。先週の米雇用統計ショックの影響で、週初の豪ドル円は約1カ月振りとなる94円台まで弱含んだが、相場が落ち着くと96円台を回復する場面もあった。対ドルでもユーロに対してドルが売られた影響もあり、0.65ドル台を回復した。ZARは堅調だった。週明けには対円の下落に連れて弱含む場面もあったが、すぐに反転し堅調に推移した。ZAR円は8.09円から8.30円台まで上昇した。対ドルでも18ランドを維持できず、17ランド後半までドル安・ランド買いが進んだ。(了)
(執筆:8月8日、9:00)
Provided by
DZH Finacial Research
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