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フォワードガイダンスとは|役割・目的・事例などを詳しく解説


フォワードガイダンス(forward guidance)とは、中央銀行が将来の金融政策の方針や金利の見通しをあらかじめ市場に示す手法です。

伝統的な金融政策とは異なることから、非伝統的金融政策の一環として位置づけられることが多いです。

本記事では、フォワードガイダンスの意味、事例、よくある質問などを解説します。

フォワードガイダンスとは

フォワードガイダンスの目的や種類などを解説します。

  • ・フォワードガイダンスの目的・役割
  • ・フォワードガイダンスの種類

フォワードガイダンスの目的・役割

フォワードガイダンスとは、今後の金融政策運営や金利動向の見通しに関して、中央銀行が事前に市場へ伝達する手段のことです。

フォワードガイダンスの主な目的は、中央銀行と市場の対話の促進のほか、市場の期待を特定の方向に誘導して政策効果を高めることが挙げられます。

フォワードガイダンスの種類

フォワードガイダンスは、その目的に応じて主に2種類に分けられます。

  • ・デルフォイ的フォワードガイダンス
  • ・オデュッセウス的フォワードガイダンス

デルフォイ的フォワードガイダンス

デルフォイ的フォワードガイダンスとは、将来の見通しについて中央銀行が宣言しているにすぎないという内容です。

中央銀行は、自身が発信した情報に縛られることはなく、経済状況が変われば柔軟に政策を変更します。

中央銀行による金融政策の明確化を意図しており、市場とのコミュニケーション手段として使用されます。

BIS(国際決済銀行)によると、デルフォイ的フォワードガイダンスが最初に使用されたのは、1997年のニュージーランドです。

なお、デルフォイとは、古代ギリシャの聖地を指す言葉です。

オデュッセウス的フォワードガイダンス

オデュッセウス的フォワードガイダンスとは、中央銀行による情報発信は約束であり、金融政策はフォワードガイダンスの内容に縛られるという趣旨です。

約束であるため、市場参加者は中央銀行のフォワードガイダンスを基に期待を形成します。

デルフォイ的フォワードガイダンスと異なり、中央銀行は市場参加者の期待形成に対して積極的に関与する意図があります。

オデュッセウス的フォワードガイダンスの初期事例として、1999年の日本の金融政策が挙げられます。

なお、オデュッセウスとは、ギリシャ神話の登場人物の名前です。

フォワードガイダンスの事例

フォワードガイダンスの事例を紹介します。

日米ともに長期間にわたってフォワードガイダンスが使用されており、以下はその一例です。

米連邦公開市場委員会(FOMC)の事例

2008年のリーマンショックで米国をはじめとして世界中の金融市場が混乱に陥ると、FOMCは2008年12月にフォワードガイダンスを本格的に導入しました(2003年に先行例あり)。

FOMC声明において「当面の間(for some time)、低い政策金利が正当化される」という表現が採用されており、フォワードガイダンスの導入を確認できます。

このフォワードガイダンスでは、当面の間という「期間」を使って金融政策の方向性を示しました。

2009年以降のFOMC声明においてフォワードガイダンスの内容は徐々に変化しており、経済状況に合わせて修正している様子がわかります。

日銀の事例

日銀は1999年にフォワードガイダンスを導入しています。

バブル崩壊後の日本はデフレが懸念され、日銀は1999年2月にゼロ金利政策を導入しました。

同年4月、速水総裁(当時)が定例記者会見で「デフレ懸念の払拭が展望できるような情勢になるまで、ゼロ金利を継続する」と発言し、これによってゼロ金利政策に条件が付され、市場に将来の方針が伝えられたことが、フォワードガイダンスの典型例とされています。

フォワードガイダンスがマーケットへ与える影響

フォワードガイダンスの種類によって、マーケットへの影響は異なると考えられます。

  • ・デルフォイ的フォワードガイダンスが与える影響
  • ・オデュッセウス的フォワードガイダンスが与える影響

デルフォイ的フォワードガイダンスが与える影響

デルフォイ的フォワードガイダンスのマーケットへの影響は、限定的だと考えられます(市場が信頼を置く場合は効果が期待されることもある)。

中央銀行による見通し等を示しているにすぎず、フォワードガイダンスによって市場が特定の期待を形成するかどうかは未知数です。

ただし、中央銀行と市場の対話が進むことによって不確実性が減退し、国債金利等のボラティリティが低下する可能性があります。

オデュッセウス的フォワードガイダンスが与える影響

オデュッセウス的フォワードガイダンスのマーケットへの影響は、デルフォイ的フォワードガイダンスよりも大きいと考えられます。

中央銀行によって示される期間や条件は約束とされており、市場参加者はその内容を強く意識しつつ期待を形成するためです。

ただし、実行される可能性は高いと期待されますが、経済情勢によって修正されることもあります。

フォワードガイダンスに関するQ&A

フォワードガイダンスに関するよくある質問は、主に以下の通りです。

  • ・フォワードルッキングとの違いは?
  • ・フォワードガイダンスは必ず実行されますか?

フォワードルッキングとの違いは?

フォワードルッキングとは、将来を見通して判断する姿勢を意味します。

2023年9月、植田日銀総裁は挨拶で「将来の価格上昇を見越したフォワードルッキングな賃金・価格設定が広がっていくか」と表現しています。

その一方、フォワードガイダンスとは中央銀行による非伝統的政策手段の一環として位置づけられることが多く、将来の金利動向等に関する見通しを市場へ伝える手段です。

フォワードガイダンスは必ず実行されますか?

デルフォイ的フォワードガイダンスは中央銀行による宣言にすぎず、約束ではありません。

必ず実行されるとはいえない性質のものです。

その一方、オデュッセウス的フォワードガイダンスは約束であるため、実行される可能性は高いと期待できます(経済情勢の変化によって修正されることもあります)。

【まとめ】フォワードガイダンスとは|役割・目的・事例などを詳しく解説

フォワードガイダンスとは、中央銀行が将来の金融政策の方針や金利の見通しをあらかじめ市場に示す手法です。

伝統的な金融政策とは異なることから、非伝統的金融政策の一環として位置づけられることが多いです。

デルフォイ的フォワードガイダンスは中央銀行と市場の対話を促進、オデュッセウス的フォワードガイダンスは中央銀行が市場の期待形成に影響力を行使します。

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