【2025年10月更新】FOMCとは|開催日程や今後の見通しについて解説
2025年9月のFOMCで政策金利の引き下げが決定し、4.00%~4.25%となりました。
本記事では初心者でもわかりやすく、FOMCの基本的な内容、2025年の開催日程、今後の予想などを解説します。
なお、2025年のFOMCのスケジュールついてすぐに知りたい方は、下のリンクから読み進めてください。
目次
- 1.FOMCとは
- 2.米国FOMCの日程・スケジュール【2025年】
- 3.FOMCの今後の見通し【2025年末~2026年】
- 4.FOMCで注目すべき5つの材料
- 5.FOMCの情報収集のコツ
- 6.FOMCに関するQ&A
- 7.【まとめ】FOMCとは|開催日程や今後の見通しについて解説
FOMCとは
FOMCは米国の金融政策を決定する会合で、Federal Open Market Committee(連邦公開市場委員会)の略です。
約6週間ごとに年8回開催され、必要に応じて追加で開催される場合もあります。
年8回の会合のうち、四半期(3月・6月・9月・12月)ごとに、FOMCメンバーによる経済予測の概要が発表されます。
この経済予測には、3年後までの政策金利や実質GDPの見通しなど、主要な経済指標が含まれます。
以下、次の項目について解説します。
- ・話し合われる内容
- ・FOMCの参加メンバー
- ・金融政策の決定方法
話し合われる内容
FOMCでは米国の金融調節、その中でも公開市場操作(オペ)について議論されます。
公開市場操作の代表的なものは、FF金利(フェデラル・ファンド金利)、QE(量的緩和)そしてQT(量的引き締め)です。
FF金利(フェデラル・ファンド金利)
FF金利は短期金利の一種で、米国の民間銀行が連邦準備銀行に預けている準備預金を他の民間銀行に貸し付ける際に使われます。
FOMCはFF金利の誘導目標を決定し、短期金利を誘導目標に近づけます。
QE(量的緩和)
量的緩和(Quantitative Easing)とは、マネタリーベース(市場に供給されるお金)などの「量」を操作目標として、市場に大量の資金を供給する金融緩和政策のことです。
長期金利を引き下げることで、低金利による景気や物価の下支えを意図しています。
QE(量的緩和)について、以下の記事で詳しく解説しています。
QE(量的緩和)とは|意味やマーケットへの影響やよくある質問について詳しく解説
QT(量的引き締め)
量的引き締め(Quantitative Tightening)とは、景気の過熱や行き過ぎたインフレの抑制を目的として、市場から資金を引き上げる、金融引き締め政策のことです。
中央銀行が、満期を迎えた債券の再投資を回避したり、償還前の国債などの保有資産を売却したりすることで、バランスシートを段階的に圧縮します。QT(量的引き締め)については、記事「QT(量的引き締め)とは|意味やマーケットへの影響やよくある質問について詳しく解説」で詳しく解説しています。
FOMCの参加メンバー
FOMCに参加するメンバーは、7名のFRB理事と12名の地区連銀総裁です。
7名のFRB理事のうち1名はFRB議長、2名はFRB副議長に任命され、7名全員がFOMCで投票権を持ちます。(任期は、理事14年、議長・副議長はいずれも4年)
12名の地区連銀総裁のうち投票権を有するのは、ニューヨーク連銀総裁と、4名の地区連銀総裁(1年ごとに交代の輪番制)です。
残り7名の地区連銀総裁は会合に参加しますが、投票権は持ちません。
米国の金融政策は、7名のFRB理事と5名の地区連銀総裁による投票で決定されます。
なお、金融引き締め(利上げ)を支持するメンバーを「タカ派」、金融緩和(利下げ)を支持するメンバーを「ハト派」と呼びます。
また米国の中央銀行は本来「FRS(FED)」を指しますが、「FRB」を中央銀行としているケースもあり、日本や欧州の中央銀行とは仕組みが少し異なります。
下図は、米国中央銀行のイメージです。
FRBは「FRS(FED)」の中心的な意思決定機関であり、全米12地区の地区連銀を統括しています。
そして、このFRBの理事と全米12地区の地区連銀総裁が集まる会合が、FOMCです。
「米国の中央銀行の仕組み」については、以下の記事で詳しく解説しています。
金融政策の決定方法
FOMCの議長はFRB議長が務め、副議長はニューヨーク連銀総裁が務めます。
議決は、投票権を有する参加者の計12名の単純多数決で決定されます。
決定した公開市場操作の基本方針は、実際の執行機関であるニューヨーク連銀に向けて指令されます。
米国FOMCの日程・スケジュール【2025年】
ここでは、米国FOMCのスケジュールと時間帯について解説します。
- ・日程・スケジュール(2025年)
- ・時間
日程・スケジュール(2025年)
米FOMCのスケジュールは以下の通りです。
FOMC(米国) | 2025年の開催日程 | 経済見通し |
---|---|---|
1月28日~1月29日 | ー | |
3月18日~3月19日 | 〇 | |
5月6日~5月7日 | ー | |
6月17日~6月18日 | 〇 | |
7月29日~7月30日 | ー | |
9月16日~9月17日 | 〇 | |
10月28日~10月29日 | ー | |
12月9日~12月10日 | 〇 |
時間
米国はサマータイム制度を導入しており、夏時間と冬時間(標準時)とでは、金融政策発表や記者会見の時間が変わります。
日本時間におけるスケジュールは、以下の通りです。
1月・12月 冬時間(標準時) |
4:00 FOMC金融政策発表 4:30 記者会見 |
3月・5月・6月・7月・9月・10月 夏時間 |
3:00 FOMC金融政策発表 3:30 記者会見 |
FOMCの今後の見通し【2025年末~2026年】
2025年9月、FOMCはFFレートの誘導目標を0.25%引き下げて4.00%~4.25%としました。
声明では、雇用に対する下振れリスクが高まっている点が指摘されています。
また、同時に発表された経済の見通しにおいて、FOMCメンバーによる2025年末の政策金利水準の予想の中央値は3.6%でした。
年内2回のFOMCで0.25%ずつ引き下げられる可能性があります。
fedwatchツールによると、2025年中の2回の政策金利引き下げはすでに織り込まれており、2026年半ばまでに3.00%~3.25%まで引き下げられると予想しています。トランプ政権による関税政策による物価高の懸念が残る中、実際に物価水準はどのように推移し、そして政策金利はどこまで引き下げられるか、注目です。
以下、物価と雇用に関する重要な経済指標3点のグラフを掲載します。
- ・消費者物価指数(CPI)
- ・PCEデフレータ
- ・米雇用統計(非農業部門雇用者数変化)
消費者物価指数(CPI)
出典:国別経済指標
CPI(消費者物価指数)は物価動向を示す経済指標です。
インフレが目標値を上回り続けると、FOMCは金融を引き締めて物価上昇を抑えようとします。
逆に、インフレが目標値を下回る状態が続くときには、金融緩和をします。
金融政策を決める上で物価動向が判断材料となるので、CPIの傾向を把握しておく必要があります。
PCEデフレータ
出典:国別経済指標
PCEデフレータは米国の個人消費を基に算出され、CPIと同様に物価動向を示します。
CPIに比べて消費者の嗜好や行動の変化を反映しやすいと考えられ、FOMCはPCEデフレータを重視しています。
米雇用統計(非農業部門雇用者数変化)
出典:国別経済指標
米雇用統計は米国の労働環境を示し、項目として非農業部門雇用者数・失業率・平均時給・労働参加率が含まれます。
非農業部門雇用者数は米国の景気変動を把握するために重要とされ、市場参加者の注目を特に集める経済指標です。
なお、グラフの中央で大きなマイナスを記録しており、これはコロナショックによる経済の混乱を反映しています。
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FOMCで注目すべき5つの材料
FOMCでは多岐にわたる情報が発信されます。
その中で効率よく情報収集を行うには、次の5つの材料に注目します。
- ・【材料1】声明文(Statement)
- ・【材料2】FRB議長の記者会見
- ・【材料3】FOMCメンバーによる経済予測の概要(Summary of Economic Projections)
- ・【材料4】議事要旨
- ・【材料5】FOMCメンバーのコメント
【材料1】声明文(Statement)
FOMCの会合後、声明文(Statement)が公表されます。
声明文は、主に経済や物価に対する評価の概要、金融政策の変更の有無等の基本的な決定事項などを確認できます。
この声明文は、次回の会合で金融政策の変更を示唆する内容となることもあるので、多くの投資家から注目を集めます。
前回の声明文から表現の変更があるだけでも、市場が敏感に反応することもあります。
声明文に関しては、英語の原文を見ると、より正確に情報を得ることができます。
英語が苦手であれば、自動翻訳サービスや、日本語のニュースサイトの速報が役に立ちます。
声明文については「FRB議長、ECB総裁、日銀総裁の記者会見動画」から確認できます(英語)。
【材料2】FRB議長の記者会見
声明文公表の30分後に、FRB議長による記者会見が行われます。
会合での決定事項に関しての説明、経済や物価に関しての評価などが行われた後、記者からの質疑応答が行われます。
その内容によっては、会見中であっても市場が大きく反応することもあるので、注意が必要です。
2018年までは2回に1回の開催でしたが、2019年以降はFOMCの度に毎回記者会見が行われるようになりました。
金融政策の変更は、記者会見がある回に行われる傾向がありましたが、2019年以降はFOMCの度に金融政策が変更される可能性があります。
なおOANDA証券では、FRB議長の記者会見をLive配信しています。
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【材料3】FOMCメンバーによる経済予測の概要(Summary of Economic Projections)
FOMCでは四半期(3月・6月・9月・12月)に一度、FOMCに参加したメンバーによる経済予測の概要(Summary of Economic Projections)が公表されます。
この経済見通しには、主に3年後までの政策金利や実質GDP、失業率、PCEインフレ率、コアPCEインフレ率の予測値が含まれます。
どの予測値も重要ですが、その中でも特に注目を集めるのが政策金利の見通しです。
この見通しは、ドットを使ったグラフで表示されるので、市場関係者の間では「ドット・プロット(ドット・チャート)」と呼ばれます。
ドット・プロットでは、各メンバーによる年末の政策金利予想が公表されます。
以下は、2025年9月に公表されたドット・プロットです。
出典:FRB
2025年9月のドット・プロットにおいて、大半のメンバーが2025年末に3%台後半から4%台前半の政策金利を予想しており、年内にあと2回の政策金利引き下げが行われる可能性があります。
ドット・プロットはFRBの公式サイトから確認可能で、OANDA証券も無料で提供しています。
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【材料4】議事要旨
FOMC開催後、3週間程度でFOMCの議事要旨が公表されます。
この議事要旨では、主に声明文や記者会見で公表されていない議論の内容が明らかとなるので、相場が敏感に反応する可能性があります。
基本的には、市場は声明文や記者会見で主な情報を取得しているため、多くの場合、真新しい材料にはならない傾向があります。
しかし、市場が米国の金融政策を意識するきっかけになることもあるので、公表後は多少不安定な値動きになる可能性があります。
【材料5】FOMCメンバーのコメント
FOMCメンバーであるFRB議長や副議長、理事、各地区連銀総裁などは、様々な講演や記者会見、シンポジウムなどでコメントをする機会が多くあります。
FOMCメンバーのコメントは普段から注目を集めますが、特に市場が米国の金融政策に注目している場合は、より敏感に反応する可能性があります。
同じ地区連銀総裁のコメントでも、FOMCの投票権を持っている地区連銀総裁のコメントの方が、市場への影響が大きくなる傾向があります。
ただし、マーケットは金融政策を先読みすることから、年末が近づいてくると来年の投票権を持っている地区連銀総裁に注目が移ります。
1年ごとに各地区連銀総裁の投票権は変更されるので(ニューヨーク連銀総裁は常に投票権を持ちます)、誰が持っているのかをチェックしておく必要があります。
2025年の投票権は、以下の地区連銀総裁が持っています。
役職 | メンバー |
---|---|
シカゴ地区連銀総裁 | オースタン・グールスビー |
ボストン地区連銀総裁 | スーザン・コリンズ |
セントルイス地区連銀総裁 | アルベルト・ムサレム |
カンザスシティ地区連銀総裁 | ジェフリー・シュミッド |
2024~2026年までの投票権は、こちらのFRBの公式サイトから確認できます。
FOMCの情報収集のコツ
FOMCで公表される声明文や記者会見などの情報は、すべて英語で発信されるため、英語で情報収集することが好ましいです。
英語が苦手な場合は、多少時間は遅れるものの、ロイターやブルームバーグ等のニュースサイトであれば日本語でチェックすることが可能です。
またFOMCの情報収集をする1つの手段として、次回FOMCの政策金利の織り込み度を確認する方法もあります。
FOMCの今後の動向を把握する上で、最も参考となる情報の1つに「金利先物市場」のデータがあります。
金利先物市場は金利を専門的に扱う市場であり、FRBの動向を熟知していると言っても過言ではありません。
政策金利を予想するツールの1つに「FedWatch Tool」があります。
使い方については、「FedWatch Tool(フェドウォッチ ツール)とは|使い方・注意点を解説」の記事で解説しています。
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FOMCに関するQ&A
FOMCに関して、以下のような疑問点がよく挙げられます。
- ・FOMCの結果は日本時間で何時にわかりますか?
- ・FOMCは1年に何回開催されますか?
- ・サマータイムとは何ですか?
- ・ベージュブックとは何ですか?
- ・FOMCはなぜ重要なんですか?
FOMCの結果は日本時間で何時にわかりますか?
FOMCの結果は日本時間午前4時(米国がサマータイムのときは午前3時)に発表されます。
その後、日本時間午前4時半(同午前3時半)から、FRB議長による記者会見が開かれます。
FOMCは1年に何回開催されますか?
FOMCは約6週間おきに、年8回開催されます。
その中でも3月・6月・9月・12月のFOMCでは、経済見通しが同時に発表されることから注目度が高くなっています。
サマータイムとは何ですか?
サマータイムとは、日照時間の長くなる夏の期間に時計の針を1時間早める制度のことです。
夏と冬で日照時間の差が大きい北米や欧州、オセアニアなどでも導入されています。
標準時間から1時間早めるので、サマータイム制度のない日本からみると時差が1時間少なくなります。
米国では、毎年3月第2日曜日から11月第1日曜日の期間がサマータイムです。
ベージュブックとは何ですか?
ベージュブックとは、米国にある12の地区の連邦準備銀行が、管轄地区の経済状況をまとめた「地区連銀経済報告」のことです。
表紙の色がベージュ色であるため、ベージュブックと呼ばれています。
内容は、米国の経済情勢についての総合判断に加え、製造・金融・不動産・雇用・消費支出などの各項目についての説明がまとめられています。
FOMCの2週間前の水曜日に公表され、FOMCで金融政策を変更するか否かの判断材料に用いられます。
FOMCはなぜ重要なんですか?
FOMCが重要な理由は、米国の金融政策が決定・発表されるためです。
米国の経済は世界の経済にも大きく影響するため、FOMCの発表内容によっては為替レートも大きく変動することがあります。
FOMCでは通貨供給量や政策金利の誘導目標などの重要な内容が決定され、FOMCメンバーによる今後の経済見通しなども発表されます。
FOMCの結果次第で円高や円安が加速することもあり、FX取引のファンダメンタルズ関連のイベントの中でも、重要なものの1つといえます。
【まとめ】FOMCとは|開催日程や今後の見通しについて解説
連邦公開市場委員会(FOMC)とは、米国の政策金利などを決定するための会合です。
政策金利はさまざまな経済活動に影響を与え、市場参加者の注目度が高い経済指標の1つです。
FOMCはおよそ6週間ごとに年8回開催され、必要に応じて臨時で開催される場合もあります。
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