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日銀政策委員会とは?参加メンバー9名の詳細を詳しく解説


政策委員会とは、日本銀行における最高意思決定機関です。
総裁、副総裁(2名)、審議委員(6名)で構成されています。

https://www.boj.or.jp/about/organization/policyboard/index.htm

日本銀行では、総裁と(日銀出身の)副総裁の考えが最も重要です。

他の審議委員の考え方も勿論重要です。
しかし、日銀は他の国の中央銀行と違い、日銀法により独立した組織となっているものの、政府との連携が重要な組織といえます。
その理由は、2013年1月22日に政府との間で「デフレ脱却と持続的な経済成長の実現のための政府・日本銀行の政策連携について」という、政府・日銀共同声明を取り決めたためです。

金融政策決定会合には、初日、二日目ともに政府側から必ずオブザーバーの形で2名の出席者がいます。
政策決定後、政府側からの出席者は会議を一時中座し、所属官庁へ電話連絡をとります。
その結果を踏まえて最終的に政策が決定されます。

よって、単純に経済分析、政策論だけで金融政策を決定できるわけではない面があります。

政策委員会

※写真はhttps://www.boj.or.jp/about/organization/policyboard/index.htm から引用

植田和男総裁

植田和男総裁

2023年4月9日、日銀総裁就任。
1998年から2005年まで日銀政策委員会審議委員。
超金融緩和派ですが、著書において量的緩和政策に関しては「究極的には財政政策」と批判的でした。
金融政策の正常化を目指す方向性にあると思われますが、慎重です。

現状は賃金の上昇を伴う、持続的・安定的な2%物価目標の実現はまだ見通せていないとして、粘り強く金融緩和を続けることを主張。

MITに留学しPh.D取得。
バーナンキ元FRB議長やイエレン元FRB議長等と同じ指導教官(スタンレー・フィッシャー元イスラエル中銀総裁)。
ラリー・サマーズ元米財務相は日本のバーナンキとして植田氏を紹介。

現在、1年から1年半をかけて「金融政策の多目的レビュー」を行う予定です。

内田眞一副総裁

内田眞一副総裁

内田眞一副総裁は2012年5月より2017年1月まで、企画局長として日銀政策決定会合を裏方として支えてきました。
黒田総裁の異次元緩和、マイナス金利政策、YCC導入等に内田氏は「設計者」として関わってきましたが、設計者自ら解体作業に関わります。

2023年7月7日、日本経済新聞は内田副総裁のインタビューを掲載しました。
YCCに関して、「うまく金融緩和を継続するという観点から続けていく」と継続の意志を示したにも関わらず、「市場機能に影響を与えていることは強く認識している」と発言をしました。
発言の「強く」という部分に、ヘッジファンド等は反応しました。
その結果、米ドル円は数日間かけて144円前後から137.25円前後まで下落しました。
7円という大きな下げになったのは、内田副総裁発言に反応したことが理由と考えられます。
内田氏はこれからもキーマンとして活躍していくことになるのでしょう。

氷見野良三副総裁

氷見野良三副総裁

氷見野良三副総裁は元金融庁長官。
金融監督行政に精通しています。

これまで日銀総裁人事は、財務省と日銀が交互に総裁を出してきました。
しかし、今回初めて学者出身の植田氏が日銀総裁へ就任することになり、財務省と日銀のたすき掛けは崩れました。
副総裁のポストは、財務省と日銀で分け合っています。

氷見野氏はこれまで金融政策に積極的に発言してきたわけではありません。
副総裁という立場上、総裁といつも意見を合わせていく必要があるので、意図的に発言を控えているようにも見えます。
表立った考え方は中立ですが、ややハト派とも考えられています。

非常に博識で、「孔子がギリシア悲劇を読んだら 易経入門」、「マイヨール」等、さまざまな本を出版しています。

安達誠司審議委員

安達誠司審議委員

安達誠司審議委員はハト派の論客です。
同じくハト派の論客であった原田泰新議員の交代に伴い、審議委員となりました。
大和証券からスタートし、クレディ・スイス、ドイツ証券、丸三証券でエコノミストしていました。
著書も多数あります。

中村豊明審議委員

中村豊明審議委員

日銀審議委員の中には、必ず企業代表と金融代表が入っています。
中村審議委員は元・日立で、産業界の代表として日銀審議委員に入っていると考えられます。

中村審議委員は7月28日のYCC修正に関して、反対しました。
法人企業統計等で企業の稼ぐ力が高まったことを確認したうえで、YCCを行う方が望ましい、という考えです。

今後も、中村審議委員は産業界を代表する立場として、金融引き締めに反対していくのではと、見ています。

高田創審議委員

高田創審議委員

高田創審議委員は中道派からややタカ派よりの考え方を持ちます。
元みずほ総合研究所、岡三証券のエコノミストで、「世界国債暴落」、「異次元緩和脱出」等々の著作があります。

前任は金融緩和派の片岡剛士氏であり、政策決定委員会内部の勢力図が少し変わるという点が話題となりました。

しかし、日銀政策委員になってからの高田氏は、意外に慎重です。
高田氏のことを知る人達からすると、ややがっかりでしょうか。
今後は、総裁、副総裁の考え方に合わせて動くことにしていると考えられます

野口旭審議委員

野口旭審議委員

野口旭審議委員は金融緩和派のエコノミストです。
現在の日銀政策委員会内部では、最もハト派寄りの考えの方といえます。

しかし、これまでYCCバンド幅拡大や、YCCの修正といった政策変更には反対していません。
7月会合でYCCの修正が行われたことに対しては、「インフレ期待などの変化を伴わない金利上昇を避けられれば、それは金融緩和の縮小を意味しない」としています。
上記は、長期金利が上昇したとしても、その背景に期待インフレ率の上昇があるならば、実質金利で見れば金融緩和度合いは同じ、引き締まっているわけではない、という意見です。
中川委員も同様の意見を述べています。

実質金利に基づいた解釈をすると、「金融緩和派でも金融引き締めを受け入れられる」という点は非常に新しい解釈といえます。

植田総裁はこのような考えを表明はしていませんが、金融緩和派も受け入れられる「出口」の提示という点で、野口氏の貢献は大きいといえます。

中川順子審議委員

中川順子審議委員

中川順子審議委員は野村アセットマネジメント(株)取締役会長からの転身です。

9月7日の講演で「長期金利上昇の背景で中長期の予想物価上昇率が上昇しているならば、実質金利で見た金融緩和の度合いは弱まるわけではありません。市場機能にも配慮しながら、緩和的な金融政策を粘り強く行うことは両立します」と発言していますが、これは金融緩和派も飲める引き締め肯定の解釈といえます。
今後も執行部解釈に沿った考え方をしていくのではないかと考えています。

田村直樹審議委員

田村直樹審議委員

田村直樹審議委員は三井住友銀行出身です。
銀行出身なので、マイナス金利解除や、YCC修正は大歓迎。
このところの銀行株の上昇を見ると、長期金利の上昇がかなり銀行には有利に働くというのがわかります。
銀行株は倍近い値段となっています。
政策委員会の中では、最も引き締めには肯定的です。


以上の9名のメンバーによる多数決合議制で日本の金融政策は決定されます。
個性的な審議委員もいますが、基本は執行部の以降に沿った政策変更がなされるでしょう。

日本は歴史的に見て、厳しいデフレを経験しましたが、今は正常化するチャンスです。
このチャンスを逃さずに正常化してもらいたいところですが、個人的にはそれは来年以降となると考えています。

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志摩力男(しまりきお)

慶應義塾大学経済学部卒。
ゴールドマン・サックス、ドイツ証券などの大手金融機関でプロップトレーダー(自己勘定トレーダー)を歴任。
その後、香港でマクロヘッジファンドマネージャーを務める。
独立後も世界各地のヘッジファンドや有力トレーダーと交流し、現在も現役トレーダーとして活躍中。


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