FRBとは|役割・話し合われる金融政策について解説
FRBは、Federal Reserve Board(連邦準備制度理事会)の略で、米国内で金融政策を行う中央銀行の位置付けであり、Federal Reserve System(連邦準備制度)内で最高位の意思決定権を有した機関です。
FRBとは
FRB(Federal Reserve Board)とは、米国の連邦準備制度理事会のことです。
米国の中央銀行であるFederal Reserve System(FRS:連邦準備制度)は、一般的にFedという名でも広く知られています。
そのFRSの中心的な機関が、FRBです。
以下の図は、FRSの組織図です。
FRBの役割
FRBは、米国の金融政策の実施や、全米12地区のFederal Reserve Banks(連邦準備銀行)を統制する役割を担う、FRSの最高位の意思決定機関です。
※全米12地区のFederal Reserve Banksを略して地区連銀と呼びます。
FRBはFOMC(連邦公開市場委員会)を開き、米国の金融政策を決定します。金融政策に関しては本記事の「FRBで話し合っている金融政策」で解説します。
その他、FRBは地区連銀を統制し、地区連銀が金融機関に資金を貸し出す際の金利である公定歩合の変更を決定します。
FRBのメンバー
FRBは1名の議長、2名の副議長を含む、7名の理事から構成されます。
議長・副議長を含む理事は大統領が任命し、上院議会の承認を得て正式に就任します。
構成メンバーや任期について解説します。
2024年2月時点の構成メンバー
FRB議長 ジェローム・パウエル |
議長就任(第1期目)2018年2月5日 議長再任(第2期目)2022年5月23日 理事会任期 2014年6月16日~2028年1月31日 |
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FRB副議長 フィリップ・ジェファーソン |
副議長就任 2023年9月13日 理事会任期2022年5月23日~2036年1月31日
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FRB副議長 マイケル・バー |
副議長就任 2022年7月19日 理事会任期 2022年7月19日~2032年1月31日 |
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FRB理事 ミシェル・ボウマン |
理事会任期 2018年11月26日~2020年1月31日理事会任期(再任) 2020年1月30日~2034年1月31日 |
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FRB理事 リサ・クック |
理事会任期 2022年5月23日~2024年1月31日理事会任期(再任) 2023年9月8日~2038年1月31日 |
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FRB理事 アドリアナ・クーグラー |
理事会任期 2023年9月13日~2026年1月31日 |
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FRB理事 クリストファー・ウォラー |
理事会任期 2020年12月18日~2030年1月31日 |
任期
FRB理事の任期は14年(就任時期によっては14年未満の場合あり)です。
2年おきに1名の理事が任期満了となり、14年かけて全ての理事の任期が満了するように設定されています。
議長・副議長の任期は4年(再任もあり)で、議長・副議長の任期満了後に理事の任期が残っている場合、理事としての任期が満了するまではFRB理事として務めることになります。
FRBで話し合っている金融政策
FRBと地区連銀は、FOMC(Federal Open Market Committee)を年に8回開催し、金融政策を決定します。
FRBは金融政策を調整し、「雇用の最大化」と「物価の安定」という2つの責務を果たします。
FOMCについてはこちらの記事で詳しく解説しています。ここでは以下2点の金融政策について解説します。
- ・利上げ・利下げ
- ・QE・QT
利上げ・利下げ
FRBは、FF金利(フェデラル・ファンド金利)の誘導目標を決定します。
一般的にFF金利を引き上げると消費が抑制され、引き下げると消費が促されます。
また、FF金利を引き上げると貸出金利が上昇して、企業の借り入れコストが増加し、株価の上昇を抑えることができます。
反対に、FF金利を引き下げると貸出金利が低下して、企業の借り入れコストが減少し、株価の上昇が見込めます。
QE・QT
QEとはQuantitative Easingの略で量的緩和を意味し、QTとはQuantitative Tighteningの略で量的引き締めを意味します。QT・QEは、マネタリーベース(市場に供給されるお金)の「量」を調節することで、長期金利を引き上げることや引き下げることを目的としています。
金利を引き下げることで経済を活性化させ、逆に金利を引き上げることで経済を抑制します。
FRBに関するQ&A
FRBに関してよくある以下の疑問について解説します。
- ・FOMCとの違いは何ですか?
- ・FRBとFedの違いは何ですか?
FOMCとの違いは何ですか?
米国の金融政策を定める機関がFRBであり、金融政策を定める会合がFOMCです。
FOMCとはFederal Open Market Committee(連邦公開市場委員会)の略で、米国の金融政策を決定する会合です。
一方、FRBはFRSの最高意思決定機関で、地区連銀とともにFOMCを開催し、米国の金融政策を決定します。
FRBとFedの違いは何ですか?
FRBとFedの違いは、機関(FRB)か制度(Fed)かの違いです。
米国の中央銀行に相当する連邦準備制度(FRS)は、一般的にFedという名でも広く知られています。
Fedは、最高意思決定機関であるFRB(Federal Reserve Board)、連邦準備銀行(地区連銀)、FOMC(Federal Open Market Committee)から成り立つ制度を指します。
【まとめ】FRBとは|役割・話し合われる金融政策について解説
FRBとは「Federal Reserve Board」の略で、米国の連邦準備制度理事会です。
米国の中央銀行にあたる連邦準備制度(FRS)の中で最高位の意思決定権を有した機関であり、全米12地区の地区連銀を統制し、金融政策の決定を行います。
FRBは、議長1名、副議長2名を含む7名の理事で構成されており、FF金利の利上げ・利下げや、QT・QE(量的引き締め・量的緩和)を調整し、「雇用の最大化」と「物価の安定」という2つの責務を果たす役割を担っています。
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