ホーム » 用語解説登録 » 景気ウォッチャー調査

景気ウォッチャー調査とは|見方や調査内容などをわかりやすく解説


景気ウォッチャー調査とは、内閣府が毎月公表している景気動向に関する調査で、その結果は経済指標としても注目されています。

北海道や東北、関東など全国12地区の景気に敏感な職種に従事する人たちに景況感の調査を行い、その結果を数値化しています。

これにより、現場の視点から現在と将来の景気動向を把握できます。

本記事では、景気ウォッチャー調査の見方や調査内容をわかりやすく解説します。

景気ウォッチャー調査とは

まずは、景気ウォッチャー調査の基本的な部分について解説します。

  • ・景気ウォッチャー調査の意味と目的
  • ・景気ウォッチャー調査の対象範囲

景気ウォッチャー調査の意味と目的

景気ウォッチャー調査とは、内閣府が毎月公表している景気動向に関する調査で、その結果は経済指標としても注目されています。

調査の目的は、小売店のスタッフやタクシー運転手、飲食店経営者といったその地域における景気の動きに敏感な人たちを対象に調査を行い、地域ごとの景気動向を把握して、全国的な景気動向判断の基礎資料とすることとされています。

数値以外に、調査対象者が景気についてどのように感じているのかのコメントも公表されるため、数字には出にくい現場のリアルな声を反映するものとして注目されています。

景気ウォッチャー調査の対象範囲

景気ウォッチャー調査の調査範囲は、北海道、東北、北関東、南関東、甲信越、東海、北陸、近畿、中国、四国、九州、沖縄です。

これら12地域と全国の数値が発表されます。

景気ウォッチャー調査の内容

景気ウォッチャー調査は、小売業(百貨店やスーパーなど)、飲食関連、ホテルやレジャー施設、タクシー運転手、人材派遣会社などの経営者やスタッフといった景気の良し悪しを肌感覚で感じ取れる人たちを対象に、2000人程度を選定して行われます。

調査方法は、現在の景気や将来の景気に関する質問です。

5段階の回答を基にDI(Diffusion Index:変化の方向性を示す指標)を算出し、その数値から現場で景気動向を直接感じている人たちが景気をどのように考えているのかを把握できます。

また、回答理由についてのコメントもあり、「前年よりも来客数が多い」「売上が伸び悩んでいる」などの数値では表せない現場の実情を把握できます。

回答者の業種に応じて、家計動向関連、企業動向関連、雇用関連の3種類に分類し、それぞれDIの数値で景気をどう捉えているのかを表します。

地域ごとに数値やコメントが公表されるため、各地域の現場担当者のリアルな景況感を把握できる指標です。

景気ウォッチャー調査の見方

景気ウォッチャー調査の結果をどのように判断すればよいのかを解説します。

  • ・DIの基準は50
  • ・現状判断DIと先行き判断DI
  • ・DIの計算方法

DIの基準は50

基本的な見方としては、50のラインを基準に景気の現状を判断します。

DIが50を上回る場合は景気が改善傾向、反対にDIが50を下回る場合は景気が悪化傾向にあると考えられます。

単月だけのDIで判断するのではなく、過去から上昇しているのか、下落しているのかといった推移を見ることが重要です。

また、コメントも併せてチェックすると、回答者が現在の景気をどのように考えているのかを知ることができ、さらに分析が深まります。

現状判断DIと先行き判断DI

景気ウォッチャー調査では、現状判断DIと先行き判断DIを両方チェックすることが大切です。

違いについては、以下の通りです。

名称 意味 見方
現状判断DI 現在の景気をどう感じているか 50を上回れば景気が上向き、50を下回れば景気が悪化(50は変化なし)との見方
先行き判断DI 2~3か月後の景気はどうなると見ているか 50を上回れば将来的に景気が上向いていく、50を下回れば将来的に景気が悪化していく(50は現在と変わらない)との見方

これら2つのDIを組み合わせて見ることで、景気の現在地と方向性を分析しやすくなります。

仮に、現状判断DIが50未満で、先行き判断DIが50を超えていれば、将来的に景気が回復していくと考えている人が多いことを表します。

ただし、あくまでも回答者の肌感覚を基にしているため、絶対的な指標ではない点には注意が必要です。

DIの計算方法

DIは、質問における回答を基に計算されています。

具体的には、以下のように質問に対する5段階の回答に点数が与えられており、各回答区分の構成比に乗じて、DIが算出されます。

評価 点数
良い(良くなっている) +1
やや良い(やや良くなっている ) +0.75
変わらない(どちらともいえない) +0.5
やや悪い(やや悪くなっている ) +0.25
悪い(悪くなっている) 0

景気ウォッチャー調査と他の指標との違い

景気ウォッチャー調査と類似する他の経済指標との違いについて解説します。

  • ・消費者態度指数との違い
  • ・景気動向指数との違い

消費者態度指数との違い

景気ウォッチャー調査と同じく日本の景気動向を表す指標の一種に、消費者態度指数があります。

景気ウォッチャー調査の調査対象は各地域の小売店などの現場関係者である一方、消費者態度指数の調査対象は全国の世帯から選出された一般の消費者です。

企業視点で景気全体の流れを肌感で掴みたい場合は景気ウォッチャー調査、消費者や家庭目線から消費マインドの先行きを見たい場合は消費者態度指数が向いています。

景気動向指数との違い

内閣府が発表する景気動向を表す指標には、景気動向指数もあります。

景気動向指数は生産・出荷・雇用・販売など複数の指標を統合して、景気の現状と先行きを示す指標です。

景気ウォッチャー調査は現場の肌感覚を基に算出していますが、景気動向指数は各経済データを基に算出されるため客観的な景気動向を判断可能です。

景気ウォッチャー調査に関するQ&A

景気ウォッチャー調査に関するよくある質問は、主に以下の通りです。

  • ・景気ウォッチャー調査はどこで確認できますか?
  • ・景気ウォッチャー調査はいつ発表されますか?
  • ・DIが50を切るとどうなりますか?

景気ウォッチャー調査はどこで確認できますか?

景気ウォッチャー調査は、内閣府の公式サイトで確認可能です。

こちらのページでは、調査結果以外に調査の概要や公表時期なども公開されています。

また、OANDA証券などの経済指標カレンダーでも発表日や結果を確認できます。

景気ウォッチャー調査はいつ発表されますか?

調査結果は毎月第6営業日(原則)に、前月の結果が発表されます。

調査は毎月25日から月末に行われます。

DIが50を切るとどうなりますか?

一般的に50を下回ると、肌感覚で景気が悪くなっていると考えている回答者が多いため、景気は下向きだと判断できます。

先行き判断DIの場合は、将来的に景気が悪化していくと考えている回答者が多いことを示します。

50を上回っている場合は、その逆になると考えられます。

【まとめ】景気ウォッチャー調査とは|見方や調査内容などをわかりやすく解説

景気ウォッチャー調査とは、日本の景気動向を表す経済指標の1つです。

各地域における景気を肌感覚で感じ取れる職種の人たちが、現在と将来の景気をどのように判断しているのかを把握できます。

基本的に、DIが50を上回れば景気が上向きと感じている人が多く、50を下回れば景気が悪化していると感じている人が多いことを示します。

また、回答者のコメントもあり、数字には表れない部分も把握できます。

OANDA証券では、景気ウォッチャー調査をはじめ投資に関わる基礎的な用語を、初心者の方向けにわかりやすく解説するコンテンツを提供しています。

OANDA証券での取引に興味をお持ちいただけた方は、以下のボタンから口座開設をご検討ください。

OANDA証券の口座開設


本ホームページに掲載されている事項は、投資判断の参考となる情報の提供を目的としたものであり、投資の勧誘を目的としたものではありません。投資方針、投資タイミング等は、ご自身の責任において判断してください。本サービスの情報に基づいて行った取引のいかなる損失についても、当社は一切の責を負いかねますのでご了承ください。また、当社は、当該情報の正確性および完全性を保証または約束するものでなく、今後、予告なしに内容を変更または廃止する場合があります。なお、当該情報の欠落・誤謬等につきましてもその責を負いかねますのでご了承ください。

この記事をシェアする