金融緩和とは|仕組み・目的・市場への影響をわかりやすく解説
金融緩和とは、中央銀行が経済を刺激するために行う政策の総称で、政策金利を引き下げたり市場に資金を供給したりすることです。
企業や家計の資金調達コストを低下させて、景気を刺激することを目的としています。
本記事では、金融緩和の意味、特徴、よくある質問などを解説します。
目次
- 1.金融緩和とは
- 2.金融緩和の手段
- 3.金融緩和が経済や物価へ与える影響
- 4.金融緩和が市場へ与える影響
- 5.金融緩和の各国の事例
- 6.金融緩和に関するQ&A
- 7.【まとめ】金融緩和とは|仕組み・目的・市場への影響をわかりやすく解説
金融緩和とは
金融緩和の意味・目的と、金融引き締めとの違いについて解説します。
- ・金融緩和の意味・目的
- ・金融引き締めとの違い
金融緩和の意味・目的
金融緩和とは、中央銀行が経済を刺激するために行う政策の総称で、金利を引き下げたり、市場に資金を供給したりすることです。
景気が悪化するのを未然に防いだり、悪化しても不景気の度合いを浅くしたりすることが期待できます。
経済活動は各企業や個人が自由に行うものであり、結果として景気が良くなったり悪化したりします。
景気の波ができるだけ穏やかになるように、金融緩和が行われます。
金融引き締めとの違い
金融引き締めとは、政策金利を引き上げたり、市中に出回る資金量を減らしたりして、資金調達コストを引き上げることです。
金融緩和の逆の政策で、政策の効果が比較的現れやすいという特徴があります。
金融緩和の場合、金利を下げても企業や家計の借入意欲が弱ければ効果が出にくく、景気刺激の影響は低くなりがちです。
金融緩和の手段
ここでは金融緩和の手段を解説します。
- ・政策金利の引き下げ
- ・量的緩和
政策金利の引き下げ
政策金利とは短期金利の一種で、中央銀行が最も重視する金利を指します。日本の政策金利は無担保コール翌日物、米国の政策金利はフェデラル・ファンド金利(FF金利)であり、国ごとに異なるのが特徴です。
政策金利を引き下げると各種短期金利も低下し、企業や個人の資金調達コストが減少します。
効果として、企業による積極的な投資や個人の支出増加を期待でき、景気回復を促進します。
量的緩和
量的緩和とは市中に出回る資金量を増やす政策で、非伝統的な金融政策の1つとされます。政策金利の引き下げは短期金利の低下を促す一方、量的緩和では中央銀行が長期国債などを大量に買い入れることで、市場に資金を供給し、長期金利の低下や資産価格の上昇を促します。
長期的な資金の借り入れの増加や、資産価格上昇による資産効果を狙える点が特徴です。
金融緩和が経済や物価へ与える影響
金融緩和の影響として、経済活動の活性化と物価の上昇が挙げられます。
金融緩和により、企業は新たな投資を実行しやすくなります。
また、個人もローンを組んで消費財等を購入しやすくなります。
需要が高まれば経済活動が活発になり、需給のギャップの縮小から物価も上昇しやすくなるという流れです。
しかし、金融引き締めと異なり、金融緩和は必ずしも期待通りの成果を得られるとは限りません。
コストが低下しても消費意欲が増加するとは限らないという制約があります。
金融緩和が市場へ与える影響
金融緩和の市場に対する影響として、株価等の上昇や自国通貨安が挙げられます。
金融緩和で企業活動が活発になれば、業績の向上と株価上昇が期待できます。
このため、金融緩和は一般的に株価上昇要因とされます。
資産効果による投資余力増加も期待でき、市場への資金流入がさらに促進されるという点も特徴です。
金融緩和によって金利が低下すると、他国との金利差が拡大し、自国通貨の魅力が相対的に下がります。
その結果、自国通貨が売られやすくなり、為替相場では自国通貨安が進む傾向があります。
金融緩和の各国の事例
各国の金融緩和事例を紹介します。
- ・日本の金融緩和
- ・米国の金融緩和
日本の金融緩和
バブル崩壊以降、日本ではさまざまな金融緩和政策が実行されました。
1999年からゼロ金利政策が実行され、フォワードガイダンスが導入されました。
さらに、量的緩和により市中銀行が日銀に預ける当座預金の量を増やしたり、マイナス金利を導入したりしています。
ETF(上場投資信託)の継続的な購入も実行され、複数の非伝統的な金融政策が導入されました。2024年3月、日銀はマイナス金利政策を解除し、17年ぶりに政策金利を引き上げました。
その後の利上げペースは慎重であり、金融緩和的な環境はある程度継続しています。
米国の金融緩和
2020年3月の新型コロナウイルスの感染拡大を受け、米国は緊急利下げを2回実施しました。
あわせて、大規模な量的緩和(QE)を再開しています。
その後、インフレ率が上昇したため、2021年11月からテーパリング(資産購入の縮小)を開始しました。
そして、2022年3月にテーパリングを終了した後、利上げサイクルに転じました。
2024年後半以降、再び金融緩和方向に傾きつつあります。
金融緩和に関するQ&A
金融緩和に関するよくある質問は、主に以下の通りです。
- ・金融緩和はいつ行われますか?
- ・金融緩和の出口戦略とは何ですか?
- ・フォワードガイダンスとは何ですか?
金融緩和はいつ行われますか?
金融緩和は景気後退期に行われます。
金融緩和により資金調達コストが低下し、企業による投資の活発化や個人の消費活性化を期待できます。
金融緩和の出口戦略とは何ですか?
金融緩和の出口戦略とは、中央銀行が金融政策を緩和的な状態から正常化するための方策です。
金融緩和を長期に継続した後に利上げすると、市場による過度の反応など何らかの悪影響が生じる可能性があります。
出口戦略は、市場の混乱をできる限り小さくしながら金融政策を正常化させることを意図しています。
フォワードガイダンスとは何ですか?
フォワードガイダンスとは、中央銀行が将来の金融政策の方針や金利の見通しをあらかじめ市場に示す手法です。目的として、中央銀行と市場の対話の促進や、市場の期待を特定の方向に誘導することが挙げられます。
【まとめ】金融緩和とは|仕組み・目的・市場への影響をわかりやすく解説
金融緩和とは、中央銀行が経済を刺激するために行う政策の総称で、政策金利を引き下げたり市場に資金を供給したりすることです。
金融緩和の目的は、企業の投資や家計の消費を促し、景気の回復や物価の安定を図ることにあります。
金融緩和の政策手段として、政策金利の引き下げや量的緩和などが挙げられます。
OANDA証券では、金融緩和をはじめ投資に関わる基礎的な用語を、初心者の方向けにわかりやすく解説するコンテンツを提供しています。
OANDA証券での取引に興味をお持ちいただけた方は、以下のボタンから口座開設をご検討ください。
本ホームページに掲載されている事項は、投資判断の参考となる情報の提供を目的としたものであり、投資の勧誘を目的としたものではありません。投資方針、投資タイミング等は、ご自身の責任において判断してください。本サービスの情報に基づいて行った取引のいかなる損失についても、当社は一切の責を負いかねますのでご了承ください。また、当社は、当該情報の正確性および完全性を保証または約束するものでなく、今後、予告なしに内容を変更または廃止する場合があります。なお、当該情報の欠落・誤謬等につきましてもその責を負いかねますのでご了承ください。
