酒田五法とは|基本パターンや注意点などをわかりやすく解説
酒田五法とは、江戸時代の米相場で活躍した相場師、本間宗久の考えを源流とするケイ線分析(チャート分析)の理論です。
主要な5つのパターン(三山、三川、三空、三兵、三法)は、相場の大底や天井、トレンドの開始などを示唆するとされています。
この記事では、酒田五法の基本パターンや注意点などをわかりやすく解説します。
目次
- 1.酒田五法とは
- 2.酒田五法の5つの基本パターン一覧
- 3.その他の主要なパターン
- 4.酒田五法に関する注意点
- 5.酒田五法に関するQ&A
- 6.【まとめ】酒田五法とは|基本パターンや注意点などをわかりやすく解説
酒田五法とは
酒田五法とは、江戸時代の米相場で活躍した相場師、本間宗久の考えを源流とするケイ線分析(チャート分析)の理論です。
宗久の考えが、近代になってテクニカル分析の文脈で再構築されたものとされています。
「酒田」は宗久の生まれた山形県酒田市(出羽国庄内)を、「五法」は主要な5つの基本パターン(三山、三川、三空、三兵、三法)を指し、相場の大底や天井、トレンドの開始などを示唆します。
なお、五法という名称がついていますが、5つの基本パターン以外にもさまざまなパターンがあるとされています。
酒田五法の5つの基本パターン一覧
ここでは、酒田五法の5つの基本パターンを解説します。
- ・①三山(さんざん)
- ・②三川(さんせん)
- ・③三空(さんくう)
- ・④三兵(さんぺい)
- ・⑤三法(さんぽう)
①三山(さんざん)
大天井の形成を示唆するパターンです。
買いが旺盛でありながらも、高値更新できずに同じ水準で上げ止まる形で、チャートには3つの山が描かれます。
中央の山が最も高く、左右の山がやや低い形は三尊天井(ヘッド&ショルダーズトップ)と呼ばれ、高値圏からの反転サインとされます。
また、三山や三尊天井を反転した形は、逆三山、逆三尊(ヘッド&ショルダーズボトム)と呼ばれ、底値圏からの反転サインとされます。
②三川(さんせん)
底値圏または天井圏で、ローソク足の並びによって相場の反転を示唆するパターンです。
代表例として「明けの明星(底値圏からの反転)」「宵の明星(高値圏からの反転)」などがあります。
③三空(さんくう)
ローソク足の間に窓開けが連続するパターンです。
上昇する形を「三空踏み上げ」、下落する形を「三空叩き込み」と呼びます。
三空踏み上げは、買い方の勢いが増し、売り方が踏み上げられる相場を表し、強気ではあるものの利食いの目安になるとされます。
三空叩き込みはその逆で、売り方の勢いが増している相場を表し、弱気ではあるものの大底圏での反発サインになるとされます。
④三兵(さんぺい)
トレンドの継続を示し、底値圏や高値圏で出現した際には、新たなトレンドの開始を示唆する場合もあるパターンです。
底値圏で陽線が3本連続する形は「赤三兵」、高値圏で陰線が3本連続する形は「黒三兵」と呼ばれ、前者は上昇トレンド、後者は下落トレンドの開始を示唆します。
⑤三法(さんぽう)
停滞した状態から相場が動き出すことを示唆するパターンです。
陽線の後に陰線を3本はらみ(陽線の値幅内に収まり)、次に陽線が出る形を「上げ三法」と呼び、相場の上昇を示唆します。
その正反対の形を「下げ三法」と呼び、相場の下落を示唆します。
3本のはらみ足が「休むも相場」を意味するとされます。
その他の主要なパターン
ここでは上述の基本5パターン以外で、重要とされるパターンを解説します。
- ・包み足
- ・はらみ足
包み足
1本前の値幅を包む、長いローソク足が並ぶパターンです。
相場の上部では天井を、下部では大底を示唆します。
ローソク足の陰陽の組み合わせが重要で、天井では陽線を大陰線が包む形、大底では陰線を大陽線が包む形が注目されます。
「包み線」や「抱き線」とも呼ばれます。
はらみ足
包み足とは逆の形で、1本前の値幅に短いローソク足が収まるように並ぶパターンです。
それまでのトレンドに変化が見られる可能性を示唆します。
高値圏においてはらみ足が出現すると上昇圧力が乏しくなっていることを、底値圏での出現は下落圧力が乏しくなっていることを示唆します。
「はらみ線」とも呼ばれます。
酒田五法に関する注意点
酒田五法を活用する際に注意すべきポイントを解説します。
- ・ダマシが発生することがある
- ・FXでは見られにくいパターンがある
ダマシが発生することがある
酒田五法をはじめとするチャート分析は、相場がサイン通りには動かないダマシが発生する可能性があります。
酒田五法を単独で使用するのではなく、他の分析方法やテクニカル指標と組み合わせて総合的に判断することが推奨されます。
FXでは見られにくいパターンがある
酒田五法は、前日終値と当日始値が乖離して三空のような窓が開いたり、ローソク足同士が重なって包み足やはらみ足になるパターンが多くあります。
24時間相場が動き続けるFXの場合、基本的に1本前の終値は次の始値となるため、必然的に上記が出現するパターンは少なくなります。
酒田五法に関するQ&A
酒田五法に関するよくある質問は、以下の通りです。
- ・酒田五法は使えないって本当ですか?
- ・他のチャートパターンとの違いは?
- ・酒田五法の原典は何ですか?
酒田五法は使えないって本当ですか?
酒田五法は相場の天井や大底、トレンドの開始などを示唆します。
他のチャート分析方法と同様にダマシはありますが、単独で用いるのではなく、他のテクニカル指標やチャート分析方法と組み合わせることで、分析精度を高める期待が持てます。
他のチャートパターンとの違いは?
ダブルトップやフラッグなどの一般的なチャートパターンは、複数のローソク足の並びを1つの図形として見なすのが特徴です(山の形や、三角形・四角形などに見立てる)。
一方、酒田五法では、ローソク足1本1本の並び方に注目するパターンが多くあります。
酒田五法の原典は何ですか?
酒田五法は、本間宗久が作ったと語られる場合もありますが、実際に宗久が書籍などに書き残した記録はないとされています。
諸説ありますが、宗久が弟子の善兵衛に語った内容を善兵衛がまとめた『宗久翁秘録』(チャートに対しての言及はなし)などを基に、近代になってテクニカル分析の文脈で再構築されたものと考えられています。
【まとめ】酒田五法とは|基本パターンや注意点などをわかりやすく解説
酒田五法は、江戸時代の相場師、本間宗久の考えを源流とするケイ線分析(チャート分析)の理論です。
基本パターンである「三山、三川、三空、三兵、三法」は、相場の大底や天井、トレンドの開始などを示唆する重要なサインとされています。
FXにも応用できる分析手法ですが、ダマシが発生することもあり、またFX相場では現れにくいパターンもあるため注意が必要です。
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