東京為替見通し=ドル円、ドル売り・円買い介入の可能性に要警戒か

市場見通し
 16日のニューヨーク外国為替市場でドル円は、日銀金融政策決定会合での大規模な金融緩和策の維持や米連邦準備理事会(FRB)高官のタカ派発言を受けて141.92円まで上昇した。ユーロドルは、米長期金利の上昇を受けて、1.0971ドルから1.0918ドルまで下落した。ユーロ円は日欧金融政策の方向性の違いを背景に155.26円まで上昇した。

 本日の東京外国為替市場のドル円は、日米金融政策の方向性の違いでドル高・円安が進んでいることで、昨年秋のような本邦通貨当局によるドル売り・円買い介入の可能性に警戒する展開が予想される。

 先週末のドル円は、15日の米連邦公開市場委員会(FOMC)での年内2回の利上げを留保した「タカ派的スキップ(見送り)」と16日の日銀金融政策決定会合での大規模金融緩和策の継続決定を受けて、141.92円まで続伸した。

 ドル円のテクニカル分析では、140.93円と138.45円を底辺とする「三角保ち合い」を上抜けて、最小目標値142.21円が点灯しており、7月FOMCでの利上げ観測や日銀金融政策決定会合での大規模金融緩和策の継続観測を背景にしたドル高・円安トレンドの再開を示唆している。ドル円の目先の上値の目処は以下の通り。
・142.51円:151.95円から127.23円までの下落幅の61.8%戻し
・142.48円;昨年11月11日の高値
・142.21円:三角保ち合い(底辺2.48円幅:140.93円~138.45円)

 しかし、本邦通貨当局は、昨年の円安局面で、ボラティリティー(過度な変動)を抑制するという名目で、ドル売り・円買い介入を断行しており、その水準は、ボラティリティーが上昇していたボリンジャー・バンド+2σ付近だった。現状の+2σは、141.30円付近に位置しており、円買い介入の可能性には警戒しておきたい。

 先週末、米財務省は半期に一度の「外国為替報告書」を公表したが、日本は「監視リスト(Monitoring List)」の対象から除外されていた。為替操作国・監視対象国の3つの判断基準の内の1つは、綿密な分析対象国となっているスイスのように、国内総生産(GDP)2%以上の、ドル買い・当該国通貨売りの為替介入である。
 昨年の外国為替報告書では、日本のドル売り・円買い介入に関して、「日本銀行が緩和的な政策を維持し(日米)金利差が拡大したことなどによって円は対ドルで約25%下落したが、為替変動が激しく、無秩序な為替の乱高下を抑制する目的で介入した」と評価して、批判的な記述は控えていた。
 すなわち、米国が問題視するのは、対米貿易黒字を増大させるためのドル買い・当該国通貨売り介入であり、対米貿易黒字を減らす要因となるドル売り・円買い介入は黙認されることになる。

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