株式明日の戦略-売り先行も終わってみれば3桁高、買い意欲の強さを再確認

市場見通し
 21日の日経平均は続伸。終値は186円高の33575円。休場明けの米国株が下落したことを受けて、寄り付きは3桁の下落。そこから下げ幅を200円超に広げたが、開始5分で安値をつけると、その後は切り返した。プラス転換しても、上げ幅を広げてくると幾度か押し戻された。しかし、マイナス圏に沈むとすかさず買いが入ったことで、次第にプラス圏が定着。後場はスタート直後に不安定な動きも見られたが、概ね堅調に推移した。200円超上昇して33600円台に乗せる場面もあり、3桁の上昇で取引を終えた。

 東証プライムの売買代金は概算で3兆8900億円。業種別では空運、保険、鉄鋼などが上昇している一方、医薬品、精密機器、その他製品などが下落している。ソフトバンクグループが全市場の売買代金トップとなる大商いとなって3.7%高。本日開催された株主総会が刺激材料になったとの見方があった。半面、トヨタ自動車が軟調。子会社のダイハツが認証不正を受けて一部工場の稼働を停止すると伝わったことが売り材料となった。

 東証プライムの騰落銘柄数は値上がり1119/値下がり648。ソシオネクストや東京エレクトロンなど半導体株の一角が強い上昇。5月訪日外客数の発表を前に、空運大手のJALとANAが年初来高値を更新した。きのう価格調整を行っていた疑いがあるとの報道で大きく売られた東京海上やMS&ADなど損保株は、東京海上が調整を主導したことを認めるコメントを出したと伝わったことで、悪材料出尽くし感から軒並み高となった。株主還元強化を発表した銘柄の動きが良く、増配を発表したタムロンが大幅高となり、自己株取得を発表したコニシが急騰した。

 半面、ソニーGや信越化学が軟調。村田製作所やTDKなど電子部品株の一角が弱かった。場中にリスク選好ムードが強まる中、アステラスやエーザイなど薬品株はディフェンシブ性が敬遠されて全般軟調。東京都公安委員会から勧告を受け、代表取締役社長の異動を発表した三栄建築設計が大幅安となった。

 本日、スタンダード市場に新規上場したオービーシステムとグロース市場に新規上場したシーユーシーは、どちらも高い初値をつけて、終値は初値を上回った。どちらもストップ高まで買われており、オービーシステムはストップ高で終えた。

 日経平均は続伸。(1)開始直後に安値をつけた、(2)安値(33154円)でも33000円は割り込まなかった、(3)33500円や5日線(33505円、21日時点)など節目の水準を上回って終えた―と理想的な展開。安く始まっており、米国株の下落をまったく無視したわけではない。どこまで下げるかを見極めつつ、下値が堅いと見るや、アグレッシブな買いが入った。値上がり銘柄も多く、月曜19日の大幅安で弱気に傾きかけた流れが大きく修正された1日となった。

 米国ではパウエルFRB議長が21日に下院、22日に上院で議会証言を行う予定。何を話すかが注目ではあるが、先週、FOMCの会見でメッセージを受け取ったばかり。このタイミングで次回FOMCの利上げの有無に言及することは考えづらく、新しい材料が出てくる可能性は低い。ただ、今の米国株が買い材料を探しているのか売り材料を探しているのかを見極めるリトマス試験紙的なイベントにはなる。短期視点での日本株の物色は、米国株が買われるようなら外需、売られるようなら内需の優位性が強まるとみる。

 日経平均のきょうの終値は33575円。ダウ平均の20日の終値が34053ドルで、両指数の見た目の数字が接近してきた。単位が違うので比較にあまり意味はないが、もし、日経平均がダウ平均を追い抜くような事象が発生した場合は、メディアが大きく取り上げることになると思われる。「3万円」を突破し、「バブル後の高値更新」が続く日経平均がダウ平均を超えるとなれば、株式投資に縁遠い人たちも「株って儲かるの?」となってくる。日本人のマインドに変化が出てくることで、日本株も新たな局面を迎える可能性がある。心の準備はしておいた方が良い。

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