東京為替見通し=円安基調は変わらず、水準的に口先介入などで乱高下の可能性には要注意

市場見通し
 海外市場では米10年債利回りが3.68%台まで低下したことなどを受けて円買い・ドル売りが先行し、一時142.72円と日通し安値を付けた。しかし、デイリー米サンフランシスコ連銀総裁が「今年あと2回の利上げは非常に妥当な予測」などと発言すると一転円売り・ドル買いが優勢に。米10年債利回りが3.75%台まで低下幅を縮めたことも相場を下支えし、一時143.87円と昨年11月以来7カ月ぶりの高値を更新した。ユーロドルはユーロ圏の6月購買担当者景気指数(PMI)速報値が軒並み予想を下回ると、欧州序盤には一時1.0845ドルと日通し安値を付けた。ただ、NY市場に入ると下げ渋る展開になり、ユーロクロスの上昇も支えに1.0902ドル付近まで持ち直す場面があった。

 本日のドル円も円安基調は変わらないか。日本以外の各国がインフレ抑制姿勢をさらに強めていることもあり、円の独歩安が続く可能性は高そうだ。もっとも、先週発表された本邦の5月コア消費者物価指数(CPI)は、ヘッドラインもコアも市場予想を上回る結果となったことで、日本も大規模緩和策からの脱却を計る可能性もあるだろう。特に今週末30日に発表される、6月の東京都区部のCPIが高止まった場合には、債券市場が金融緩和是正を催促する相場展開になり、7月の日銀金融政策決定会合でのイールドカーブコントロール(YCC)上限引き上げへの思惑が高まりそうだ。

 円安基調はなかなか変わりにくいもの、水準的には為替介入が起こり得る水準での取引が続いていることには警戒したい。昨年の円買い介入は9月22日に行われたが、ドル円が145.90円に到達した後に行われた。現行水準から3円にも満たない水準ということもあり、口先介入や、金融機関のフェイク介入などで、市場が急激にドル売り・円買いに傾く場面も考えられることで、注意を怠らないようにしたい。また、岸田内閣の支持率が急降下していることで、円安是正に対する風圧が高まった場合は、支持率回復を狙った動きとしての為替介入なども起こりうるか。

 本日は本邦から5月企業向けサービス価格指数と、6月15-16日に行われた日銀金融政策決定会合における主な意見が公表される。もっとも、よほどのサプライズとなることが公表されない限りは、市場が動意づくのは難しいと言えそうだ。

 国外の動きでは、ロシア情勢には引き続き要警戒。24日には民間軍事会社ワゴネルとロシアの正規軍との対立が表面化したが、その後反乱は終結し、ワグネル党首プリゴジン氏がベラルーシへ出発したと報じられた。もっとも、この件についてブリンケン米国務長官は「土曜日にロシアで起きた混乱はこの国の亀裂を露呈させた」と述べるなど、今後のロシア情勢に変化が生じる可能性がある。プーチン氏がさらに過激な行動を取るのか、逆にプーチン氏の失脚を狙う動きが表面化するかなど、これまで以上にロシア情勢が不安定になる可能性もあり、ユーロや欧州株式市場が動意づくかもしれない。

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