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米7月CPIなど、重要指標は9月据え置きを正当化

マーケットレポート

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米7月CPIは伸び鈍化、スーパーコアは3%割れ

英フィナンシャル・タイムズ(FT)紙は8月6日、「ウォーシュ米連邦準備制度理事会(FRB)議長の考えを知る複数の関係者」の話として、今後発表されるインフレ指標が強ければ、9月会合での利上げも辞さない意向だと報じた
これを受け、為替市場ではドルの買い戻し・円売りが進んだ。
この報道は、FRBの意向を市場へ伝える非公式な「Fed Whisperer」の役割が、本記事を執筆したクレア・ジョーンズ記者へ移った可能性をちらつかせた。
直前に、ベッセント財務長官がウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)紙のFRB担当記者ニック・ティミラオス氏をFedの「速記係」と名指しで批判していたことも、その一因だ。
しかし、その後の米7月消費者物価指数(CPI)の結果を踏まえれば、そう判断するのは早計だ。
ウォーシュ体制のFRBは現在、コミュニケーション、バランスシート政策、データ、生産性・雇用、インフレの枠組みを扱う五つの作業部会を設置し、政策運営を見直している。
ウォーシュ氏自身も従来のフォワードガイダンスに距離を置いているため、特定の記者を通じて政策の方向性を市場へ伝える従来型の手法が、そのまま踏襲される可能性は低いとみられる。

逆に言えば、米経済指標の重要性が以前よりも増してきたと言えよう。
米7月雇用統計に続き、米7月消費者物価指数、生産者物価指数、小売売上高はそろって9月利上げを正当化する結果ではなかった。

米7月消費者物価指数(CPI)は前年同月比3.4%、コアCPIは同2.5%と、そろって市場予想と一致しただけでなく、2カ月連続で伸びが鈍化した。
加えて、かつてパウエル前FRB議長が重要視してきたコアサービス(住居費を除くコアサービス)は同2.8%と、2月以来の3%割れと鈍化が鮮明となった。
一因には、自動車保険が同-4.5%、中古車が同-1.9%とマイナスを保ったほか、W杯の終了を控え宿泊が5月の同5.0%でピークアウトし、7月に同2.8%まで鈍化した影響が考えられる。

チャート:米7月CPI、2カ月連続で伸び鈍化
チャート:米7月CPI、2カ月連続で伸び鈍化

川上・川中での物価も、鈍化を確認した。
米7月PPIは前年同月比4.7%、コアPPIは同4.2%、そろって4カ月ぶりの低い伸びとなった。
財が同6.4%と前月の7.8%から鈍化が進み、サービスも同3.9%と4カ月ぶりに4%割れを迎え、イラン戦争後の上昇を打ち消しつつある。
しかも、流通網の利ザヤを示すトレードサービスは2.4%と、年初来で2番目に低い伸びにとどまった。

チャート:米7月PPI、鈍化を確認
チャート:米7月PPI、鈍化を確認

米7月小売売上高は25年5月以来の落ち込み、アマゾン・プライムデー前倒しも影響

米7月小売売上高は同0.6%減、GDPの個人消費に反映されるリテール・コントロール(自動車、ガソリン、建築材、外食を除く)も同0.4%減だった。
トランプ関税発動前の駆け込み需要の反動で減少した2025年5月以来の落ち込みを記録した格好だ。
自動車・部品が同1.8%減、ガソリンが同0.9%減と減少を主導したほか、特殊要因も挙げられる。

今年は、W杯開催と建国250周年を受けてアマゾン・プライムデーが従来の7月ではなく6月に前倒しで開催された。
これにより、無店舗が6月の同0.9%増→同2.2%減と弱く、小売売上高を押し下げた。
無店舗は小売売上高のうち約18%を占めるだけに、ここの落ち込みは全体に影響しうる。
2021年も、東京五輪を受けてアマゾン・プライムデーが6月に開催された結果、7月に無店舗の弱さに引っ張られ、小売売上高全体も減少していた。

チャート:米7月小売売上高、アマゾン・プライムデーが影響し減少
チャート:米7月小売売上高、アマゾン・プライムデーが影響し減少

チャート:2021年もアマゾン・プライムデーが6月に前倒しされた結果、6月に無店舗が支え小売売上高が増加し、7月は逆に減少する傾向が確認できる
チャート:2021年もアマゾン・プライムデーが6月に前倒しされた結果、6月に無店舗が支え小売売上高が増加し、7月は逆に減少する傾向が確認できる

以上の結果を受け、FF先物市場では9月利上げ織り込み度が8月14日に33%まで低下した。
ただし、米7月コアCPIが同2.5%と高止まりし、米国とイランの情勢緊迫化が続くなか、年内利上げ観測は根強い。
12月までに1回利上げを行う予想確率は45.3%で、2回以上の利上げ織り込み度の18.9%と合わせれば、64.1%に及ぶ。
年内の利上げ観測消滅には一段のインフレ鈍化に加え、中東情勢の火種を抑える必要がありそうだ。

チャート:FF先物市場、12月は利上げ織り込み度が1回と2回合わせ6割超えと引き続き優勢
チャート:FF先物市場、12月は利上げ織り込み度が1回と2回合わせ6割超えと引き続き優勢

株式会社ストリート・インサイツ代表取締役・経済アナリスト 安田佐和子

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株式会社ストリート・インサイツ代表取締役・経済アナリスト 安田佐和子

世界各国の中銀政策およびマクロ経済担当の為替ライターの経験を経て、2005年からニューヨークに拠点を移し、金融・経済の最前線、ウォール街で取材活動に従事する傍ら、自身のブログ「My Big Apple NY」で現地ならではの情報も配信。
2015年に帰国、三井物産戦略研究所にて北米経済担当の研究員、双日総合研究所で米国政治経済や経済安全保障などの研究員を経て、現職。
その他、ジーフィット株式会社にて為替アンバサダー、一般社団法人計量サステナビリティ学機構にて第三者委員会委員を務める。
NHK「日曜討論」、テレビ東京「モーニング・サテライト」の他、日経CNBCやラジオNIKKEIなどに出演してきた。
その他、メディアでコラムも執筆中。
X(旧ツイッター):Street Insights
お問い合わせ先、ブログ:My Big Apple NY


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