東京為替見通し=ドル円の方向感は出にくい、米金利相場から日銀動向に注目が変わるか

市場見通し
 海外市場でドル円は、3月米小売売上高が予想を大きく下回ったことが伝わると全般ドル売りが先行し、一時132.21円付近まで下げた。しかし、米ミシガン大学が発表した4月消費者態度指数が予想を上回り、併せて発表した消費者の期待インフレ率も予想を上回ったことが伝わるとドル買いが加速。一時133.84円と日通し高値を更新した。ユーロドルは一時1.0972ドルまで弱含んだ。

 先週、米国から発表された3月消費者物価指数(CPI)、同月卸売物価指数(PPI)などは、軒並み市場予想よりも弱い結果となった。米金利動向は、発表直後は金利が低下したものの、一日を通すと発表前の水準まで戻している。為替市場関係者の中では、3月の米連邦公開市場委員会(FOMC)でのドット・プロットが、昨年末との変化がほぼなかったことで、米連邦準備理事会(FRB)が継続して利上げするのでは、と判断する傾向もあった。しかしながら、CMEグループがFF金利先物の動向に基づき算出する「フェドウォッチ」では、金融危機が起こった3月上旬から、すでに今年中旬に米金利はピークに達し、年末には利下げに転じると予想されていた。そして、先月の弱い米経済指標の結果は、金利サイドからすると予想通りの結果になったといえそうだ。また、FOMCが3月のドット・プロットを変更しなかったのは、立場上「金融危機がさらに深刻化し、年後半から利下げに転じる」と予測を立てられなかったから、との声もあった。

 このような状況下の中で、本日のドル円は、方向感が出にくい動きとなりそうだ。米金利動向がドット・プロットではなく、フェドウォッチ通りの結果通りとなりそうなことで、ここから米金利が大きく振幅するのが難しくなるのかもしれない。今後も米経済指標の結果次第で、多少は米金利が振れてドル円は上下するだろうが、アジア時間では方向感は出にくそうだ。また、大きなトレンドを形成するのは米金利動向から、本邦の金融政策に変わる可能性もあるだろう。

 本邦の金融政策に関しては、注目されるのが来週4月27-28日に予定されている日銀政策決定会合になる。植田日銀新総裁は、現行の大規模金融緩和策について「継続することが適当」と述べているが、この見解に多少でも変化が生じた場合には要警戒となる。今週は、21日に本邦のCPIが発表されることもあり、今月末にかけては日銀政策決定会合を前に様々な憶測が市場を動意づけるようになりそうだ。

 なお、週末にイエレン米財務長官がCNN「Fareed Zakaria GPS」のインタビューで「最近の銀行の破綻を受けて、銀行はより慎重になる可能性が高く、融資をさらに引き締める可能性がある。FRBのさらなる利上げの必要性を否定する可能性がある」と述べている。市場は現時点では、この発言への反応は限られているが、欧米市場では反応する可能性もあることで、注意を払いたい。
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