東京為替見通し=米債務上限の関連報道に注視、米金利見通しもポイントに

市場見通し
 先週末の海外市場でドル円は一時137.43円まで反落した。米債務上限問題を巡る交渉の行き詰まりや一部の米銀行に対する経営不安がドル売りを誘った。ただ一巡後には138円前半まで下値を切り上げている。ユーロドルは1.0829ドルまで反発。欧州金融当局者からのタカ派発言に後押しされた。ユーロ円は149円後半から148.72円まで売り押される場面があった。

 本日の東京為替市場では、再び警戒感が高まりつつある米債務上限問題の動向を気にしながらの取引か。また、先週末にパウエル米連邦準備理事会(FRB)議長が示唆した6月利上げ休止に対するアジア・オセアニア勢の反応にも注目したい。

 広島で19-21日に開催された先進7カ国首脳会議(G7サミット)に参加したバイデン米大統領は20日、米国のデフォルト(債務不履行)回避は可能だとする考えを再び示した。その前日、米大統領はG7の夕食会を途中退席し、債務上限引き上げを巡る交渉についての報告を聞いていた。

 もっともバイデン大統領の言葉とは裏腹に、複数のメディアがホワイトハウスと野党・共和党の間の溝の深さを報じている。先週半ばには楽観論が広がりつつあっただけに、話し合い難航となった場合の反動は大きそう。交渉官レベルの協議は21日にも行われ、大統領と共和党・マッカッシー下院議長の会談は米国東部時間22日午後に再開されるもよう。交渉の行方を見守りながら、相場は一喜一憂することになるだろう。

 パウエルFRB議長は先週末、「さらなる引き締めについては現時点では何も決まっていない」と参加した会議で発言。パウエル議長は「データや変わりつつある見通しの進展を注視し、慎重に評価する余裕がわれわれにある」とも述べ、追加利上げの必要性を訴えた一部FRB高官とは異なる姿勢を示した。パウエル発言を受けがCMEのフェドウォッチ(FedWatch)は、6月会合で0.25ポイントの利上げ織り込み度が35%前後から15%前後まで低下した。

 本日も先週末の動きを引き継いで足もとの金利先高観の調整が進めば、ドルも積極的に上値を試すのは難しそうだ。ただFedWatchが見込む年末利下げについては、米金融当局者が否定し続けてもおり、必ずしも市場参加者の総意というわけではない。また、植田日銀総裁のもとでの調緩和策の継続が確実視されるなか、日米金利差が大きく縮まるということも考え難い。米債務上限問題について不透明感はあるものの、金利面では下がったところで買いというスタンスでまだ良いのではないか。

 なお、今週は23日に5月米PMI速報値や同月リッチモンド連銀製造業景気指数、24日に米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨(2-3日分)、25日に1-3月期米GDP改定値、26日に4月米PCEコアデフレーターの発表が予定されている。

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