September 1, 2023
週間展望・回顧(ポンド、加ドル)
- ◆ポンド、中銀の引締めと景気懸念の綱引きで方向感が出にくい
- ◆ブロードベントBOE副総裁とピル英MPC委員、引締め長期化の必要性を力説
- ◆加ドル、BOCの政策金利据置きを予想
予想レンジ
ポンド円 182.00-188.00円
加ドル円 106.00-110.00円
9月4日週の展望
来週、英国内では8月建設業購買担当者景気指数(PMI)や8月総合PMI改定値などの発表が予定されている。
英国のインフレは引き続き深刻な状況であり、イングランド銀行(BOE、英中銀)は主要中銀のなかで金融引き締めを続ける一番手だが、同様に主要国のなかで経済の先行きに対する懸念も一番強い。
景気減速への根強い懸念がポンドの上値を圧迫する動きが続いており、英経済指標結果に一喜一憂しながらBOEの利上げ観測をめぐる動向に振らされる相場展開となる。
BOEが発表した7月の消費者向け融資は前年比7.3%と昨年12月以来の低い伸びとなり、7月住宅ローン承認件数は前月比で5000件以上減少した。
金利上昇で家計が借り入れに慎重になっていることが示された。
ブロードベント副総裁は「インフレ高が急速に鈍化する可能性は低く、金融政策は景気抑制の領域にとどまらざるを得ない」との認識を示し、「高金利を長く維持する必要がある」と述べた。
また、英金融政策委員会(MPC)のピル委員は「利上げによる借入コストの上昇が英経済に打撃を与えるリスクがある」との認識を示した一方で、「政策金利を引き上げすぎるリスクがあっても、インフレ率目標を達成するために仕事をやり遂げる」と表明した。
市場ではBOEが9月会合で政策金利を0.25%引き上げ5.50%にすると予想されている。
加ドルは6日のカナダ中銀(BOC)会合での政策金利決定と声明文の内容次第の動きとなりそうだ。
BOCは根強いインフレに対応するために6月会合で利上げを再開。
7月会合でも追加利上げに踏み切り、政策金利を22年ぶりの高水準となる5.00%とした。
声明文から「政策金利は十分に制約的ではない」との文言を取り下げたが、今年の成長率見通しを上方修正したほか、インフレ率の目標達成見込み時期を2025年半ばに遅らせた。
また、「インフレ目標達成に向けて一段の利上げを実施する用意がある」と表明し、「入手可能な情報に基づき、その都度決定する」とした。
BOCの7月会合後に発表されたカナダの経済指標は強弱まちまちの結果となっている。
小売上高と雇用データは消費の弱さを浮き彫りに。
景気後退の前兆が示され、利上げの国民生活への影響が見えてきた。
一方で、7月消費者物価指数(CPI)は2年3月ぶりの低水準だった6月から予想外に伸びが加速し、インフレの長期化に懸念を強める結果となった。
市場では来週の会合で追加利上げはいったん見送るとの見方が強いが、一部では利上げ観測も根強い。
据え置きが決定されたとしても、さらなる金融引き締めの扉を閉ざしていないことが強調される可能性が高く、8日の8月雇用データにも注目したい。
8月28日週の回顧
今週の米経済指標は予想比下振れの結果が目立ち、週末の米雇用統計を控えドル高に調整が入った。
ポンドドルは1.27ドル半ばまで切り返し、ドル/加ドルは1.35加ドル近辺まで加ドルの買い戻しが進んだ。
対円ではリスクオンの円売りが見られるも方向感は出ず、ポンド円は186円前半、加ドル円は108円前半で失速した。(了)
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