週間為替展望(ポンド/加ドル)-ポンド、利下げ時期はなお不透明

市場見通し
◆対円、サプライズなしと想定も日銀会合に注目
◆ポンド、3月雇用・物価データを受けて利下げ見通しはなお不透明
◆加ドル、3月CPIを受け中銀の6月利下げ観測強まる

予想レンジ
ポンド円 188.00-194.00円
加ドル円 109.50-113.50円

4月22日週の展望
 来週の円相場は、25-26日に予定されている日銀金融政策決定会合や植田日銀総裁の会見に焦点が集まる。大きなサプライズはないと見込まれるが、日銀の利上げペースを予想する上で、新たな物価見通しなどを示す「経済・物価情勢の展望(展望リポート)」が注目される。

 今週、英国内では注目の3月雇用・物価データが発表されたが、結果は強弱まちまちでイングランド銀行(英中銀、BOE)の利下げ時期や利下げペースに明確な手がかりとはならなかった。12−2月英失業率(ILO方式)は4.2%と前回の3.9%から大幅に上昇。雇用市場発のインフレ圧力が落ち着きつつあることが示された。週平均賃金(除賞与)は6.0%と低下が継続。2022年7-9月以来の低水準となり、賃金上昇圧力が弱まる兆しが見られたが、伸びは依然として高い水準である。また、3月英消費者物価指数(CPI)は前年比3.2%と伸びは2021年9月以来の低水準となるも、市場予想ほど低下しなかった。

来週は4月製造業・サービス部門購買担当者景気指数(PMI、速報値)の発表が予定されており、景気減速への懸念を緩める結果になるかが注目される。

 ベイリーBOE総裁はインフレ率低下を示す力強い証拠があるとし、4月CPIはBOEの目標水準2%に向けて大きく減速するとの見通しを明らかにした。BOEが米連邦準備制度(FRB)より先に利下げに踏み切る可能性を示唆している。ただ、利下げを開始する前に「どの程度の証拠が必要」なのかはBOEにとって依然として課題であるとの認識も示した。最近、英政策見通しは一進一退を繰り返しているが、米英利下げ見通しの格差は引き続きポンドの対ドルの上値を圧迫しそうだ。

 来週、加ドルの動意につながりそうな注目の経済指標やイベントは予定されておらず、中東情勢などを背景とした原油相場の動きを見極めることになる。3月CPIの結果を受けて利下げ思惑が高まっており、加ドルは対ドルで上値の重い動きが続きそうだ。
 
 カナダ3月CPIは前年比2.9%と市場予想と一致。前月の2.8%からわずかに上昇したが、カナダ中銀(BOC)が基調的な物価動向として重視するCPI中央値とCPIトリムはそれぞれ2.8%、3.1%と3カ月連続で伸びが鈍化した。この結果を受けて短期金融市場では6月利下げ観測が6割近くまで上昇した。カナダの経済活動が力強くなっても、インフレ率は徐々に低下し続けており利下げを後押しているが、米利下げ思惑が後退しているなか、BOCが早期の利下げに踏み切る決断をできるかどうかはまだ疑問だ。

4月15日週の回顧
今週は相場全体に大きな手がかりがなく、落ち着いた動きも全般ドル高・円安の流れは変わらず。ポンド円は192円後半、加ドル円は112円半ばまでじり高となった。英賃金・物価データはポンドの方向感につながらず、ポンドドルは1.24ドル近辺まで下押し、1.24ドル台を中心に戻りの鈍い動きとなった。また、加ドルは加3月CPIの結果も重しに対ドルで昨年11月中旬以来の加ドル安となる1.38加ドル台に上昇した。(了)


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